次の一歩を踏み出す時期が来た

──こうして新しいアルバムを作り上げて、ご自身の満足度はいかがですか？

1曲1曲できあがるたびに本当にうれしくて。移動中もできたての曲をずっと聴きながら、じっくりと曲順を考えました。去年はベストアルバムがありましたけど（2011年11月発売「THE MUSEUM II」）、オリジナルアルバムとしては約2年半ぶりなので、皆さんからの「楽しみにしてます」という声もたくさんいただいて。待っていただいた分、期待以上のものを作りたい。皆さんの予想を超えるような「こう来たかー！」という部分も必要だし、来てほしいところにはビシッと刺さるような……。いつも以上にハードルは高かったですけど、納得のいく作品になりました。

──これまでの作品と比べて変わったところ、水樹さん自身にとって成長できたと感じられるところは？

今回は新しいチャレンジも多いですけど、よりそぎ落とされている部分もあって。メロディと歌がグッと力強く入ってくる曲ばかりなので、私の核となる部分をより感じてもらえるアルバムになったんじゃないかなと思います。1stアルバムは周りのみなさんに助けていただきながらヨチヨチ歩きで始まって、2枚目から4枚目までは私の中で3部作のような気持ちがあるんです。矢吹（俊郎）さんの曲を中心とした歌謡ロックで、初めてダンスにも挑戦したり、ライブを意識したアルバム3作で。5枚目の「HYBRID UNIVERSE」（2006年5月発売）ではケルト音楽を取り入れたりと、さらに一歩進んだことにチャレンジして。そして6枚目から8枚目まではElements Gardenの皆さんを中心としたシンフォニックロックを追求した3部作。

──なるほど。確かにそういう流れがありますね。すると今作は……。

はい。ベストアルバムを出したことがひとつの節目になったこともあって、次の一歩を踏み出す時期が来たんじゃないかなって。自分の核となる部分はそのままに、守りに入ることなく、進化した姿を皆さんに届けられるように……という思いで作りました。また新しい展開が見られる1枚になったと思います。

フルオケライブと「大いに唄う」は定期公演にしたい

──アルバム発売後、年明けの1月19、20日には2度目となるフルオーケストラ公演「NANA MIZUKI LIVE GRACE 2013 -OPUS II-」が控えています。

めちゃくちゃ楽しみです。前回（2011年1月「NANA MIZUKI LIVE GRACE 2011 -ORCHESTRA-」）は、まったく未知の領域に踏み込むような状態でしたけど（笑）、指揮者の藤野浩一さんがクラシックの世界だけではなくロックにも精通されている方だったので、すごく絶妙なバランスでアレンジを行って導いてくださったんです。

──バンドメンバーとフルオケが同時に演奏するんですよね。

アンプを通さないクラシカルな楽器とバンドの演奏は相反するものなので、同じステージで融合させるのはとても難しいんです。どちらかを立てると、もう一方の存在感が消えてしまう……。藤野さんはそれを見事に融合させてくださったので、第2弾が決まったときはまず「指揮は絶対に藤野さんでお願いします！」って（笑）。すごく多忙な方なんですけど、なんとかスケジュールを調整してくださって。新たな曲がたくさん生まれたタイミングで第2弾ができるのは本当にうれしいですね。多分セットリストも前回とはガラリと変わるので、前回のステージを観てくださった方にも楽しんでいただける内容になると思います。

──ニューアルバムからの新曲も早速？

はい。今回のアルバムで激アツな曲もさらに増えたし、藤野さんも「これは大変だ」とおっしゃってました（笑）。

──さらに3月には座長公演第3弾「水樹奈々大いに唄う 参」も予定されていますが、こちらは3が並んだ……。

そうなんです！ 3月3日に第3弾、という運命的な日にできることがうれしくて。座長公演とフルオケライブは定期公演にできたらいいなとひそかに思っています。たくさんの声優キャストの皆さんにもお声がけしていて、新しいメンバーも入る予定です。今回は両国国技館という大きな会場なので、どんな演目をやろうかと今計画中です。時代劇になるのか、それとも全く違うものになるのか……ぜひ注目していてください！