音楽ナタリー PowerPush - MIYAVI
最新アルバム「The Others」セルフライナーノーツ
早く次へ進みたい
──全楽曲の振り返りが終わりました。前作がその時点までの活動やメッセージの集大成であり、世界に打って出る第一歩であったのに対して、「The Others」は、MIYAVIの最新のモードと現在の感情の集約ではありながらも、決して集大成という感じではないですね。試していなかったこともたくさんありそうだし、MIYAVIにはまだまだ多くの音楽的可能性が秘められているということがはっきりしたアルバムだと言えるんじゃないでしょうか。
俺自身、まさにそんな思いです。今回も120%の力を出し切って、今のMIYAVIが持ち得るすべてを作品に詰め込みました。でも、決して満足はしてないです。今回の制作のプロセスで得た経験と、その先に見えた景色のほうがが大きい。だからまた早く次へ進みたい。
──そしてサウンド的には「Into The Red」のリフのサステインなどからわかるように、新たに導入したというテレキャスターの鳴りが効いていると感じました。従来のエレアコからテレキャスに持ち替えた理由は?
たまたまロバート・ランドルフ(Robert Randolph & The Family Bandのリーダー。ペダルスティールの名手)とジャムる機会があったんです。Drew & Shannonは彼の作品も手掛けていたので、その縁もあって。そのとき、ロバートが、ペダルスティールをスタジオにあったVOXのアンプに直につないで音を出したその音がむちゃくちゃ強烈だったんです。1発1発が心にビンビン突き刺さってくる感じ。悔しいぐらいハンパなかった。セッションしながら「ああ、俺、変わらなきゃ。変わらなきゃやられちまうな」と思った。
──その「やられちまうな」という感覚は、自分の心構えという意味で?
そう。この世界をロックする以上、根本から叩き直さなきゃって思った。これまで基本、人と同じことは絶対にしたくなかった。だからファッションもギターのプレイスタイルもリリックも、すべてにおいて唯一無二であることばかり追求してきた。だからある種ギターに関しては、テレキャスやレスポールみたいなある意味トラディショナルな楽器は意識的に避けてきた部分もあったんですね。同じ道をたどっては、先人達がやってきたことを超えられないんじゃないかと思って。でも結局、自分の音楽性さえブレていなければ、どんな楽器だろうが一緒じゃんと思えてきた。だから今後もエレアコだって使うし、いずれまたほかのギターに持ち変えるかもしれない。
心が震える作品を書きたい
──大阪から東京、そして世界へ。ここまでの道程を振り返ると、率直にどういう感想ですか?
すべては必然で、呼ばれてるんだと感じています。東京にせよ、ロスにせよ、ナッシュビルにせよね。音楽という星があって、その星が照らす光に向かってギターと一緒に歩いている。ソロ活動を始めたときも、6年前に独立したときも、全部そう。不安だらけでも、それを塗り替えるほどの希望がある。だから、もう1歩踏み込める。何より、まずその1歩を踏み込まないと、希望があるかもしれないということすら感じられないからね。例えば、今の俺でグラミーを獲れると思っていません。まだまだすごく遠い。でもね、その“遠い”という距離感を、今はリアルに感じられる。
──おお。
何事も時間はかかるんですよ。グラミーも獲るのがゴールじゃない。1回ノミネートされたから「イエイ!」というんじゃなくて、当たり前に日本人がそこにコミットできる時代が来るかどうかだと思うんですね。なので、今も変わらず、たくさん素晴らしい国内外のクリエイターたちと出会いながら1歩1歩しっかりと踏みしめながら歩いていきますよ。とにかくもっと自分の心が震える作品を作りたい。ただそれだけです。だから日本ツアーが終わったらすぐアメリカに戻って、また創作の日々に突入するつもりです。まだまだ変わっていくと思うので「The Others」とこれからのMIYAVIをぜひ楽しみにしていてください。
- ニューアルバム「The Others」 / 2015年4月15日発売 / Virgin Music
- ニューアルバム「The Others」
- 初回限定盤 [CD+DVD] / 4860円 / TYCT-69079
- 通常盤 [CD] / 3240円 / TYCT-60061
CD収録曲
- Cruel
- Into The Red
- Come Alive
- Alien Girl
- Let Go (2015 Ver.)
- Odyssey
- All The Way
- Unite (feat. Rob Harvey)
- The Others
- Calling
- Shangri-La
初回限定盤DVD収録内容
MIYAVI Live in L.A. at El Rey Theatre 02.18.2015
- What's My Name?
- Strong
- Chase It
- Secret
- Let Go
- Guard You
- Cry Like This
- Ganryu
- Survive
- Futuristic Love
- Day 1
- Selfish Love
- What A Wonderful World
- Horizon
MIYAVI「MIYAVI Tour 2015 "WE ARE THE OTHERS"」
- 2015年4月30日(木)広島県 広島CLUB QUATTRO
- 2015年5月2日(土)福岡県 DRUM LOGOS
- 2015年5月3日(日・祝)香川県 高松MONSTER
- 2015年5月5日(火・祝)愛知県 DIAMOND HALL
- 2015年5月7日(木)大阪府 なんばHatch
- 2015年5月9日(土)宮城県 Rensa
- 2015年5月10日(日)新潟県 GOLDEN PIGS RED STAGE
- 2015年5月12日(火)北海道 札幌PENNY LANE24
- 2015年5月16日(土)東京都 新木場STUDIO COAST
MIYAVI(ミヤビ)
1981年大阪府出身のソロアーティスト / ギタリスト。ピックを使わず指でエレクトリックギターを弾く、独自のスラップ奏法で世界中から注目を集めている。これまでに北米、南米 、ヨーロッパ、アジア、オーストラリアなど約30カ国で250公演以上のライブを行い、4度のワールドツアーを成功させている。2010年10月リリースのアルバム「WHAT'S MY NAME?」では、ギターとドラムのみの編成でオリジナルのサウンドを確立。2012年11月にさまざまなジャンルの“サムライアーティスト”とのコラボレーションアルバム「SAMURAI SESSIONS vol.1」を発表。アーティストやクリエイターからも高い評価を受けており、CMへの楽曲提供や、布袋寅泰、野宮真貴、Good Charlotteらの作品への参加など、精力的な活動を続け、2013年6月には自身の名を冠した海外デビューアルバム「MIYAVI」をリリース。2014年にはSMAPのシングル「Top Of The World」を作曲し話題を集め、9月には、ジャネット・ジャクソン、アッシャーなどの作品で知られるJam & Lewisをプロデューサーに迎えたシングル「Real?」をリリース。さらに12月には俳優として参加したアンジェリーナ・ジョリー監督によるハリウッド映画「UNBROKEN」が全米で公開された。2015年4月にDrew & Shannonをプロデューサーに据えロサンゼルス、ナッシュビルにて制作されたフルアルバム「The Others」を発表。