エンタメでみんなのためにできること
──DISC 2「SONGS BEST」の投票結果を宮野さんご自身はどう感じましたか?
あったかさを感じる曲が多くなりましたよね。「Kiss×Kiss」や「GOLDEN NIGHT」のようなライブでアガる曲も選ばれているけど、「THANK YOU」や「FOREVER LULLABY」など温かいバラードが多かった。「MOONLIGHT」や「Beautiful Life」は東日本大震災のあとに作った曲で……あの頃は自分自身の無力さをすごく感じていたんです。エンタメでみんなのためにできることってあるのかな、自分には何もできないんじゃないかと思っていたんですけど、「勇気をもらいました」「元気をもらいました」というファンのみんなの声を聞いてすごく心が救われました。そんな思いを込めた曲が選ばれているのは単純にうれしかったですし、いろいろ思い出しますね。
──震災のあと、エンタメの世界は本当に不安でしたよね。
今も復興活動は続いていますし、大変なことはありますけど……自分自身が本当に無力だなと思ったんですよ。ただ、僕はその頃ウルトラマンゼロや「ポケットモンスター」のデントを演じていたので、声を通して伝えられることもあったりして。僕の言葉ではないですけど、ウルトラマンゼロとして子供たちに呼びかけることはできる。そういうエンタメの力もあるんだと感じながら活動していましたね。
歴代ライブ映像のベストチョイスで1本のライブを
──初回限定盤にBlu-ray / DVDで収められるDISC 3「LIVE BEST」はファン投票による歴代ライブ映像のベストセレクションですが、映像でファン投票をやるのはちょっと珍しいですね。
せっかくならみんなからリクエストをもらって、1つのライブを作りたいと思ったんです。なので、楽曲で選んでもらうんじゃなく、「このライブのここが好き」という選び方をしてもらいました。僕は1stライブからちゃんと構成にこだわって、自分が真ん中に立ち軸になって進めてきたので、そのこだわりをDISC 3でも見せたかったんです。「ライブのオープニング映像はこれが好き」とか「コントはこれ」とか(笑)、メンバー紹介にいたるまで細かく選んでもらいました。ファンの皆さんには難しいお願いをしてしまいましたけど、けっこういろんな場面が集まってきて。その中でも特に票が多かったものから、1つのライブを作るように構成しました。
──ライブレポートを出すとき、内容もさることながらセットリストにも注目が集まるんですよ。どういう流れで組まれているのか、ライブに行けなかった人は流れを想像したり、セトリ通りにプレイリストを組んで聴いたりしているようで。「LIVE BEST」の投票はある意味セトリ作りに参加するような感覚ですね。
そうそう。過去のライブパフォーマンスからファンのみんなが考えた見どころを集めた作品になっているので、まだ僕のライブを観たことがない人も、ぜひこの「LIVE BEST」で雰囲気を楽しんでほしいです。
たぎる情熱をサウンドでも表現した新曲「そっと溶けてゆくように」
──また本作には、新曲も2曲収録されています。「そっと溶けてゆくように」はテレビアニメ「デビルズライン」のエンディングテーマで、配信シングルとして4月に先行配信されました。バラードのように始まりながらも、じわじわと熱を帯びてダンスミュージックのように展開していく楽曲ですね。
そうなんです。デモは頭から音に厚みのあるミディアムバラードだったんですけど、「デビルズライン」のエンディングを飾るいい演出ができないかと思って、僕のほうからも意見を出させてもらいました。アニメ本編の最後に重なるように始まってエンディングに向かっていきたいというアニメスタッフからの提案があったので、だったら導入はもっと音を間引いてみたり。いきなりエモーショナルにいっちゃうと、作品の感情に寄り添うことができないと思ったんです。切なかったり、苦しかったり、温かかったり……毎回いろんな感情が押し寄せるエンディングになると思ったので、バラードのように始まり、奥底にある情熱が少しずつたぎってくるような展開にしました。
──少しずつ、ふつふつと感情が高ぶっていく感じはサウンドにもしっかり現れてますね。
サウンドも含めてしっかりと物語の世界観を表現できたかなと思います。ミュージックビデオでも、アニメの世界観に通ずる孤独感や虚無が表現したくて。それを宮野真守個人が表現すると考えたとき、自分が今戦っている東京という街で、孤独を感じながらもストイックに向かっていく姿を描くのがいいんじゃないかと監督から提案されました。さらにセルフオマージュと言うか……5周年のときに作った「passage,」(2013年9月発売の4thアルバム「PASSAGE」収録曲)のMVも日常をドラマ仕立てに描いた内容で、ほぼリップシンクなしで情景を見せていく撮り方だったんですけど、今回は10周年なので同じように情景を見せていくセルフオマージュをしてみました。
──なるほど。激しいパフォーマンスの裏にはこんなストイックな姿が……とプライベートの宮野さんを垣間見ているような気分になりました。
あんな広い部屋に住めたらいいですけどね(笑)。
──手元だけのカットもすごく印象に残ります。
そこは監督の芸術性ですね。リップシンクなしでの表現は難しいんですけど、ああいう印象的なカットがしっかりと感情を表現してくれるんです。フルサイズでMVを観るといろんな仕掛けが入っているので、ぜひフルサイズで楽しんでほしいです。ちょっとしたシャワーシーンもありますよ(笑)。
──フルサイズは初回限定盤DISC 3にのみ収録されます。シャワーシーンは発売後にざわざわするやつですね。
ざわざわしてもらえるとうれしいですね(笑)。一番の見どころはフルサイズで、ということで(笑)。
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“君”と一緒に乗り越えた先の「EXCITING!」
- 宮野真守「MAMORU MIYANO presents M&M THE BEST」
- 2018年6月8日発売 / KING RECORDS
-
初回限定Blu-ray盤
[CD2枚組+Blu-ray]
4644円 / KICS-93711~2 -
初回限定DVD盤
[CD2枚組+DVD]
4644円 / KICS-93713~4 -
通常盤 [CD2枚組]
3564円 / KICS-3711~2
- DISC 1【SINGLES BEST】
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- Discovery
- …君へ
- J☆S
- REFRAIN
- ヒカリ、ヒカル
- オルフェ
- DREAM FIGHTER
- ULTRA FLY
- カノン
- NEW ORDER
- BREAK IT!
- シャイン
- HOW CLOSE YOU ARE
- SHOUT!
- テンペスト
- The Birth
- DISC 2【SONGS BEST】
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- Kiss×Kiss
- Not Alone
- MOONLIGHT
- Last Around
- SUPER★SOUL
- Beautiful Life
- GOLDEN NIGHT
- THANK YOU
- FOREVER LULLABY
- Identity
- passage,
- Gravity
- EVER LOVE
- POWER OF LOVE
- そっと溶けてゆくように
- EXCITING!
- DISC 3(初回限定盤Blu-ray / DVD)【LIVE BEST 】
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- Prologue -Rush and Fly-(LIVE TOUR 2015 ~AMAZING!~)
- Magic(LIVE TOUR 2015 ~AMAZING!~)
- FRONTIER(LIVE TOUR 2015-16 ~GENERATING!~)
- シャイン -Prince Mix-(LIVE TOUR 2017 ~LOVING!~)
- NEW ORDER(LIVE TOUR 2015 ~AMAZING!~)
- Theme of AMAZING!(LIVE TOUR 2015 ~AMAZING!~)
- 愛の詩~Ulyssesの宴~(SPECIAL LIVE 2013 ~TRAVELING!~)
- Garnet(LIVE TOUR 2014 ~WAKENING!~)
- 恋はホップステップジャンプ(SPECIAL LIVE 2012 ~FIGHTING!~)
- TRANSFORM(LIVE TOUR 2015-16 ~GENERATING!~)
- Happy Happy Birthday(LIVE TOUR 2014 ~WAKENING!~)
- IT'S THE TIME(LIVE TOUR 2012-13 ~BEGINNING!~)
- STY Non Stop Remix(LIVE TOUR 2016 ~MIXING!~)
- Crazy Wonder Night(LIVE TOUR 2016 ~MIXING!~)
- POWER OF LOVE(LIVE TOUR 2017 ~LOVING!~)
- GOLDEN NIGHT(LIVE TOUR 2016 ~MIXING!~)
- そっと溶けてゆくように(Music Video)
- EXCITING!(Music Video)
ツアー情報
- MAMORU MIYANO ARENA LIVE TOUR 2018 ~EXCITING!~ supported by JOYSOUND
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- 2018年6月2日(土)
兵庫県 ワールド記念ホール - 2018年6月3日(日)
兵庫県 ワールド記念ホール - 2018年6月10日(日)
埼玉県 さいたまスーパーアリーナ - 2018年6月16日(土)
愛知県 日本ガイシホール - 2018年6月17日(日)
愛知県 日本ガイシホール
- 2018年6月2日(土)
- 宮野真守(ミヤノマモル)
- 1983年6月8日、埼玉県生まれの声優、俳優、歌手。7歳から劇団ひまわりに所属し、子役として活動を始める。声優としてのデビューは2001年放送のNHK海外ドラマ「私はケイトリン」グリフェン役。以降はアニメ、ゲーム、洋画吹替など幅広く活躍し、2003年にはミュージカル「『テニスの王子様』 Remarkable 1st Match 不動峰」でも高い評価を集めた。ミュージカルや出演アニメのキャラクターソングで歌手としての実力も発揮し、2008年にシングル「Discovery」でアーティストデビュー。2009年3月には1stアルバム「BREAK」を発表した。ライブ活動も積極的に行っており、2013年10月には初の日本武道館公演「MAMORU MIYANO SPECIAL LIVE 2013 ~TRAVELING!~」を大成功に収め、2015年2~3月に開催された全国ツアー「MAMORU MIYANO LIVE TOUR 2015 ~AMAZING!~」では最終公演として日本武道館2DAYSを行った。デビュー10周年を迎えた2018年6月には初のベストアルバム「MAMORU MIYANO presents M&M THE BEST」を発表し、初のアリーナツアー「MAMORU MIYANO ARENA LIVE TOUR 2018 ~EXCITING!~ supported by JOYSOUND」を開催。
2018年6月12日更新