M!LK「アオノオト」佐野×曽野×山中インタビュー|近付く夢への足音 終わらない5人の青春 (3/3)

5人の新しい挑戦

──そして、もう1つのカップリングがバラード曲ですね。「おもちゃのつるぎ」というメッセージソングです。

曽野 この曲も、はやちゃん発信じゃない?

佐野 そうだね。仁人にも相談役みたいな感じで入ってもらいつつ。この曲は、なんて言えばいいんだろうな……M!LKは恋愛とか自分たちのことを歌った曲が多いけど、世の中に対して考えを発信するような曲をあまり持っていないなと前から思っていて。メッセージ性を込めたバラードを作ってもらったんです。

佐野勇斗

佐野勇斗

山中 今までになかったタイプの曲だよね。

佐野 けっこう難しい歌ですけど、あえて歌割りを細かくしないで、サビは1人ずつが順番にしっかり歌っていくっていう。

山中 これも新しい挑戦です。

佐野 レコーディングのとき、全員分はその場で聴けなかったんだけどさ。太智が俺の前に歌ったのを聴かせてもらったら、めちゃくちゃよくて。初めてレコーディング中に泣きそうになるくらい。

山中 俺、だいちゃんに言ったのよ。「だいちゃんが真剣に歌ったら、絶対泣けるから。マジでちゃんと練習してきな」って。

佐野 え、言ったの?

山中 言った。俺から言ったらちゃんとやるかなと思って。そしたら「やるか~」って(笑)。

曽野 そうだったんや(笑)。

佐野 そのあとに全員の歌を聴かせてもらったんですけど、みんな本当にめちゃくちゃよくて。舜太の「おもちゃのつるぎ」の言い方もよかったし、仁人の落ちサビも、言い方が合ってるかわからないけど、すごい表現力が上がったなって。

山中 ホントそうだよね……って、俺わい!

一同 あはははは!

佐野 (笑)。柔太朗はキーの関係でサビではなく落ちメロを歌っているんですけど、「暖かさかな 痛みかもな」っていうフレーズ、仮歌さんは地声で歌っていたのを柔太朗は裏声で歌ったんです。それがめっちゃよかった。

──勇斗さんは、自分のパートをどんな意識で歌いましたか?

佐野 この曲は、本当に“気持ち”でしたね。テクニックとかじゃない。気持ちを意識していました。

山中 ライブで歌うときもさ、本当に“伝える”ことを強く意識して届けたいよね。

曽野 そうだね。

曽野舜太

曽野舜太

ホントの意味での仲のよさ

──昨年11月にスタートした10周年イヤー。「イイじゃん」の大ヒットという大きなトピックもあり、かなり快調に駆け抜けていらっしゃいますよね。昨年インタビューさせてもらった際に「2024年の目標」として皆さんが挙げていた「冠番組、CMソング、アリーナツアー、富士山登山、紅白歌合戦出場」も、ほとんどが叶っているんですよね。

佐野 確かに。あとは富士山と紅白か。冠番組もまたやりたいよね。

曽野 「やってM!LK」(TBS「限界突破!やってM!LK」)が終わっちゃったからね。

──そうなったときに、皆さんは“次の一手”をどう考えているのか。M!LKはこれから、どんな思いを持って先へ進んでいくのかを教えてもらえますか?

山中 「イイじゃん」はまだまだ広がる可能性がある強い武器になったと実感しているので、これからも大切にするべきだと思っていて。現状、「イイじゃん」を通してM!LKの名前を世間の皆さんに少しでも知ってもらうところまでは叶ったと思っているんです。そこから、僕たちのことをどう好きになってもらうか……今、ガチの目標を言ってます(笑)。

山中柔太朗

山中柔太朗

佐野 柔太朗の言ったことに関連してなんですけど、個々の強化が大事になってくるというか。M!LKというグループの名前は「イイじゃん」を通して広まって、僕らの“箱”の部分は世間の皆さんに知ってもらえたんですけど、ここからメンバー全員の顔と名前が一致するようになるのって、けっこう難易度が高いと思うんです。「いいグループだな、ライブに行きたいな」と思ってもらえるように、まずは顔と名前を一致してもらえるようにがんばっていきたいです。

──なるほど。

山中 M!LKってさ、そうやってメンバー同士、お互いにスポットライトを向け合えるのが強みなのかもしれないね。最近思ってることなんだけど。

曽野 ああー。

山中 みんながみんなチームのためを思っているから、その場その場で“最適解の人”を押し出すことに、嫉妬の気持ちがまったくないんですよ。これが10年やってる強さだし、僕らのホントの意味での仲のよさなのかもしれない。

佐野 確かに。

山中 それこそ「イイじゃん」のサビで僕がセンターに立ったのも、みんなが勧めてくれたからなんです。「ここは柔太朗でいこう」って。そういうのがね。本当に嫉妬1つなくできるっていうのはすごいことだなと思います。

曽野 そうやって誰にでもチャレンジさせてくれる環境が、ありがたいよね。

山中 今回のシングルでは「チラチLOVE」でじんちゃんにスポットが当たってますし、それこそだいちゃんも……最近TikTokで“短パンニキ”って私服が注目されてバズりだして(笑)。いや、あれは彼の素なんですけど……。

曽野 逆にキャラ作りだったらすごいよね。

佐野 計算!? だったら友達やめるわ(笑)。

山中 やっぱ変なんですよ、あの人。

佐野 本当にそう。今ちょっとグループ自体が注目されてるタイミングなのに、なんも気にしない格好をしてるから。ちょっとカッコよくしようとか思わないのかな? しかも、同じ半袖と短パンを何着も持ってるんですよ、アイツ(笑)。

山中 スティーブ・ジョブス状態。

曽野 とにかく荷物を減らしたいらしくて。この間なんか、歯ブラシだけ握って現場に来ました(笑)。

山中 変わってるよなあ、本当に。

曽野 独特なマイルールがあるんだよね。

山中 注目されて広がっていく段階に入ってるから、だいちゃんのそういうとこにもっとフォーカスするほうがいいのかもしれない。

──そこでも、5人一丸となって……。

山中 打ち出していくっていう。その作業が必要かもしれないですね。

5人で売れたら楽しくね?

──皆さん、本当に仲がいいですね。

佐野 仲いいのかな? なんだろうね?(笑)

曽野 仲良しなんじゃない?

左から佐野勇斗、曽野舜太。

左から佐野勇斗、曽野舜太。

佐野 僕ら、この感じが当たり前でやってきたからね。でもあれか。普通だったら週1で会議とかしないのか(M!LKはメンバー主導のもと、週に1回定例会議を開いている)。

──自分たちの活動に対して、すごく主体的かつ楽しそうに向き合っているなと思います。

曽野 確かに、みんな“ビジネスマン”というか、しっかりしてると思う。

山中 佐野、塩﨑がツートップですね。

佐野 俺、性格的にはそういうのちゃんとやれるタイプじゃないんだけどね。

山中 まあまあ、そうだけど。でもちゃんとやろうとしてくれてるじゃん。そのおかげで僕自身変われたってのもあるんですよ。

曽野 で、じんちゃんは気ままな“バンドマン”ね。

山中 そう、最近バンドマンなんですよ(笑)。たぶんリーダーはみんなで長く一緒にいたいから、同じ方向を向いて動いてる感覚なのかなと思います。

佐野 仁人が一番つかめないですね。

左から佐野勇斗、山中柔太朗。

左から佐野勇斗、山中柔太朗。

──勇斗さんの、グループ活動に対するそのモチベーションの一番の原動力は何なんですか?

佐野 メンバーが好きだからですね。

曽野 うわお!

佐野 もう、シンプルにそこ。ただ仲がいいからというか……5人で売れたら楽しくね?っていう。5人でドームツアーができて、ファンの人が喜んでくれたらそんな幸せなことなくない?と思ってます。あとは、これネガティブな言葉に聞こえちゃうかもしれないんですけど、掲げた目標がちょっと自分の“人生の枷”みたいになってるところがあったかもしれないです。これをやり切らなかったら絶対後悔するぞって。「ドームツアーが夢」とか、僕が勝手に言い始めたところがあって。舜太と柔太朗が入ったばかりの頃は、僕の夢に付き合わせてるのかなと思ったこともあったんですけど、気付いたらみんなも言ってくれるようになったから、それはうれしかったというか。

曽野 確かに、聞かれたもんね! M!LKに入って3、4年目ぐらいのとき、会議中に「ちょっと言いたいことあるから」と。そうしたら「本当にドームツアーしたいと思ってる?」って。これ、超真剣モードなんですよ。

佐野 ガチトーンです(笑)。

曽野 「俺が付き合わせてるなら、それは違うと思うし」って。

佐野 その頃は「ドームツアーしたい」っていうのを僕以外が言わなかったんですよ。もう、僕がドームツアーキャラみたいな。

山中 “ドームくん”になっちゃってる(笑)。

佐野 メインマスコットキャラのドームくんとしてやらせてもらってた感じだから(笑)、みんな言いづらい雰囲気もあったと思うんですけど……舜太と柔太朗はたぶん同じ気持ちでいてくれているだろうという認識だったんです。今この場にいないのに言うのもあれだけど、太智と仁人はそういう目標を口にするタイプじゃないからわからなくて。ただ、太智が突然……この瞬間のこと今でも覚えてるんですけど、取材のときに「ドームツアーが目標」だと言ったんです。

山中 だいちゃんは現実主義者だから、たぶん自分の中でドームツアーが“見えた”んじゃないかな。

曽野 “夢”じゃなくなったんだろうね。

左から山中柔太朗、曽野舜太。

左から山中柔太朗、曽野舜太。

佐野 で、仁人が口に出したのは去年のたまアリのMCかな。

──口にすることでさらに意思疎通ができて、きっと結束もより強まりますよね。ドームツアーが“見えた”というお話もそうですが、皆さんが昨年の目標に掲げていた「紅白出場」も現実的に見えてきたのでは?と個人的に思いまして……そのときに、勇斗さんがずっと「紅白の司会をやりたい」と言い続けていることを思い出したんです。

佐野 そうですね、言ってますね。

──「いつ頃からこの夢を口にしているんだろうな?」と気になって調べてみたら、最初から。M!LKのデビュー記念インタビューのときから「紅白の司会をやりたい」と発言されてました。

曽野 へえー! すご!

佐野 いや、紅白の司会もドームツアーもそうなんですけど、まず一番に「国民的な存在になりたい」という思いがあるんですよ。

山中 わかりやすいところでね。

佐野 そう。「紅白の司会する人は国民的な存在だよね」っていう。最初からね、なんか言ってましたね。

──ものすごい初志貫徹だなと感服します。

佐野 いやあ、頭がガチガチなだけです(笑)。

左から山中柔太朗、佐野勇斗、曽野舜太。

左から山中柔太朗、佐野勇斗、曽野舜太。

プロフィール

M!LK(ミルク)

2014年11月結成のダンスボーカルグループ。メンバーは佐野勇斗、塩﨑太智、曽野舜太、山中柔太朗、吉田仁人の5人。グループ名には「何色にも染まることの出来る存在に」という意味が込められている。2015年3月、「コーヒーが飲めません」でCDデビュー。2021年11月、ビクターエンタテインメントよりメジャーデビューシングル「Ribbon」をリリースした。2023年10月にはグループ史上初となる神奈川・横浜アリーナでの単独公演を開催。2024年10月にシングル「エビバディグッジョブ!」をリリースする。同年11月より結成10周年イヤーに突入し、初のアリーナツアー「10th Anniversary M!LK ARENA TOUR 2024『I CAN DRINK!』」を開催した。2025年3月にリリースしたメジャー2ndアルバム「M!X」のリード曲「イイじゃん」が、SNSでの総再生数20億回を突破する大ヒットを記録中。7月に、ボディケアブランド「シーブリーズ」のCMタイアップソングを表題曲とするシングル「アオノオト」をリリースした。