5人の本気芝居
──ちなみに、ミュージックビデオは撮影されたんですか?
山中 撮り終わりました。大変でしたよ。
佐野 MVの話、聞いちゃいます? 今回僕も打ち合わせに入らせてもらって。どういう感じで撮りたいのか、意見を取り入れてもらったんです。普通のMVとも違う、本格的な映像にしたくて。まず全員野球部という設定にして、坊主になりました!
山中 坊主はさすがに嘘です(笑)。
佐野 でも、金髪の舜太と仁人は黒スプレーで色を変えて。アイドルがやる“野球部風”じゃなく、ガチ野球部になりました。で、ポジションは柔太朗がエースピッチャー。
山中 やらせていただきました。
佐野 舜太がショートで、僕が控えピッチャー。太智がセンター、吉田がキャッチャーです。
山中 本当は僕とはやちゃんが逆なんでしょうけど、そこはストーリーがあるので、それに沿った配役にして。本当に、ちゃんと芝居をしました。
佐野 5人でこんなにしっかり芝居したの初めてだよね? 柔太朗と僕は、めちゃくちゃ近距離で怒鳴り合ってます。
曽野 キスしちゃうんじゃないか?ってくらいの近さです。
山中 ガチでやり合ったよね。音はもちろん使われないんですけど……。
佐野 「お前、声ちっちぇえんだよ!」って。
山中 声がちっちゃいことを急に指摘されて、笑いそうになっちゃいました(笑)。
佐野 本気の芝居だから気持ち入れたくて、普段思ってることを言いました。そしたら逆に「声でけえんだよ!」って返された(笑)。
山中 本番に入るとき、はやちゃんの表情がクッと変わったんですよ。そういう切り替えを初めて見たから、「うわっ」と思った。
スターの発言だ!
曽野 あと、だいちゃんの芝居もよかったよね。
山中 だいちゃん、なぜかカメラに映ってないところでも芝居してて……(笑)。
曽野 だいちゃんが僕を教室から連れ出すシーンがあるんです。教室を出たらカメラには映らないんですよ。なのに、出たあとにバーン!って壁に押されて「お前、何やってんだよ!」みたいな感じで芝居を続けるから、「もうカットになってる!」って止めて(笑)。
佐野 アイツ、意外だけど役に入ると抜けないタイプなんだな。外の現場大丈夫かな? めっちゃ心配になる(笑)。
──キャッチャーの仁人さんはいかがでしたか?
佐野 がんばってたけど、キャッチャーのセンスはないですね(笑)。
曽野 超至近距離でボールをキャッチできなかった(笑)。
山中 キャッチャーミットが小さかったのかな? やりづらそうではあったんですけど、にしても3回くらいやれば感覚をつかめるじゃないですか。彼は5、6回やってて。
曽野 そうしたら手が痛くなっちゃったみたいで、そのあと氷で冷やしてました。
佐野 か弱すぎるだろ(笑)。
山中 でも僕も人のこと言えないからなあ。ずっとサッカーをやってたから、ピッチャーは経験がなくて。エース役だからキレよく投げないといけないのに、実際投げてみたらヘタすぎて(笑)。もう、そこから練習です。
佐野 でも日々ダンスをやってるからか、体の使い方がうまかったです。「初日でここまでできないだろ」って思うくらい、きれいなフォームで投げてましたよ。
──勇斗さんは朝ドラ(「おむすび」四ツ木翔也役)でピッチャーの経験がありますよね。
佐野 朝ドラで練習したというのもあるし、僕ソフトボール部だったんですよ。ショートとかやっていたので、上投げは慣れてて。
山中 さすがにうまかったです。当たり前かもしれないけど、バチバチに入るんですよ、ストライク。
佐野 あれは奇跡だった。普段あんなに入らないもん。人に見られてるほうが入るみたい。
山中 うわ、スターの発言だ! 僕は本当に入らなかったです(笑)。
僕らがずっと青春をしている証
──「アオノオト」は“終わらない青春”を表現した楽曲で、それは先ほどの皆さんの言葉にもあったように、M!LKメンバーの関係性そのものでもあるのかなと感じます。実際、現在進行形で青春を感じる瞬間って、皆さんの中にもありますか?
佐野 僕は今27歳なんですけど、同世代の仲いい友達がバリバリ働いて親父になっていたりもする中で、自分はM!LKのメンバーとして目標に向かってがんばってるわけじゃないですか。そのことにすごく青春を感じるんですよ。大変なことも多いけど、きっと目標を達成したときには「すべてが楽しかったよな」って、未来の自分は感じると思います。
山中 僕は、この曲に気付かされた感じがあって。本当に毎日聴いてるんですけど、「アオノオト」を聴いてると、自分はやっぱりM!LKの活動が楽しくてこの業界にいるんだなと思えるというか。正直言って僕は歌もダンスもすごく得意なわけではないけど、この5人でファンのみんなを喜ばせたいから、そういう気持ちがあるから続けられてる。自分のモチベーションの在処がそこなので、それを青春って言うのかな?というのはマジで思いますね。
曽野 僕はそれこそ、同世代の仲間が社会人1年目の年だから……もしM!LKじゃなかったら、自分もきっと社会人としてどこかで働いていたのかな?とか、今とは違う世界線を考えることもあったりしました。大人になるにつれ、きっと何かをあきらめる判断をすることも増えてくるじゃないですか。それが大人になるということなのかな?とも思うんですけど、僕、M!LKに入って何かをあきらめたことがなくて。それこそが、僕らがずっと青春をしている証なのかなと、すごく実感してますね。
佐野 確かに、あきらめるってことないね。あきらめることを知らないわ。
山中 (佐野と曽野を指して)この2人は本当にあきらめないですよ(笑)。
佐野 あきらめなさすぎてバカだよな、俺ら。会議で決まったこととかも「やっぱ考え直す?」って言ったりするし。そうすると、絶対仁人が「もういいいよー」って(笑)。
山中 あはははは。
佐野 だって、最善の案がいつ飛び出すかなんてわからないじゃないですか。いい加減に決めて、あとから「こっちがよかった」とか思いたくないし。
曽野 可能性を最後まで捨てたくないんだよね。
M!LKの“真の姫”吉田仁人
──では、ここからはカップリング曲の話を。「チラチLOVE」は、恋人になる寸前の2人の駆け引きを歌った、かわいらしいポップソングですね。
佐野 この曲は、僕が作りました!
曽野 作ってはない(笑)。
山中 まあ、生みの親ではあるかも。
佐野 「テレパシー」に続くような、かわいい曲を作りたかったんです。み!るきーず(M!LKファンの呼称)って僕らのことを「かわいい、かわいい」と言ってくれる方が多いし、「みんなやっぱりかわいいのが好きだよね」なんて話をしたら、仁人が賛成してくれて。で、僕はその段階から、この曲では仁人をメインにしたいと思ってました。
山中 最初から考えてたんだ。
佐野 そう。ただ「本人に言うのはまだ早いな」と。
山中 最初は絶対「イヤだ」って言うもんね(笑)。
佐野 そうなのよ。でも、曲ができあがって「仁人でいける」って確信した。この曲は甘めのセリフパートがあるんですけど、仁人って今までそういうセリフをちゃんと担当したことがないんですよ。けどアイツ、最近み!るきーずの間で“かわいいキャラ”になりつつあって。ちょっと煙ってきてるんですよ。
──なんとなくわかります。M!LKの“姫ポジション”のような……。
曽野 そう!
山中 吉田さん、実は“真の姫”なんだよ。
佐野 よく「姫」だと言われる柔太朗は“姫キャラ”なんですけど、アイツは本当に、心が姫なんです。驚くと(両手で口を押さえて)「ハッ!」ってなるし。
曽野 確かに、それめっちゃやるわ。
佐野 昔からかわいい素質があったんですよ。ちょっとビビリで、小心者なところもあって。
山中 それをごまかすように自分を大きく見せてるところも、冷静に考えたらかわいいよね。
佐野 そうそう。みんなから「社長」って呼ばれたがったりとかさ。
山中 それは幼稚園のときの話ね(笑)。
佐野 とにかく、ツンとデレのギャップがあるじゃないですか。だから、本当は相手のことが大好きなのにイキがっちゃうセリフは仁人に言わせようと。歌割りも僕が決めたんですけど、“仁人とその他4人”みたいな感じになってます。
全部僕らがみんなに言ってるセリフ
──どうして仁人さんがセリフを全部言っているんだろうと気になっていましたが、そういうことだったんですね。
佐野 私がプロデュースしたからですね。だから仁人のレコーディングにも入らせてもらって。
──勇斗さんのディレクションが入ったと。
佐野 あのね、マジでイヤそうにしてた。
一同 あはははは!
佐野 ただ、デモが上がってきた段階で「セリフはよろしくね」と伝えて、了承を得ていたから。それでも「マジで無理」になるか、そうじゃないかはテンションでわかるんで。
曽野 ホントにイヤだったら低めのガチトーンで拒否すると思うけど、声は高かったもんね。(ハイテンションな口調で)「無理ィ!」って。
佐野 そうそう(笑)。絶対ナシじゃないんだなっていう肌感はあったんで。
山中 10年一緒にいるから、本当にイヤなときはさすがにわかる。
佐野 ……だし、ちょっとうれしそうだった(笑)。
曽野 かわいいね、そういうところがね(笑)。
山中 この曲きっかけで、また吉田推しが増えるんじゃない?
佐野 絶対増えると思う! 納得いかんけどなあ、俺がブン回してるのに……ってのは冗談ですけど(笑)。とにかくファンのみんなはこの曲を気に入ってくれると思うし、あとは世間の皆さんにも浸透しないかなって、ちょっと思ってたりもします。
──確かに、TikTokとの親和性も高そうですね。
佐野 みんながマネしてくれる部分が詰まってる曲だと思うんですよ。
山中 サビ前の「かわいい かわいい かわいすぎる」の掛け合いみたいなパートもいいよね。
佐野 そこはファンのみんなに言ってほしくて。「かわ」「いい」で掛け合ってほしいのよ。
──それで言うと、この曲は皆さんとみ!るきーずの歌としても読み解けるなと思いました。こちらも、相手が自分のことを好きだとわかっているうえでコミュニケーションを取るという関係性ですよね。
佐野 その通りです。「似合うって前に褒めた髪型」とか「そのネイル ねえそのリップ 誰のため?」とか、全部僕らがみんなに言ってるセリフとして捉えてもらえたらなと思います。
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