M!LK「Kiss Plan」インタビュー|甘く魅惑的な“Kiss Plan” 大人の顔で恋の駆け引きを

M!LKが1月24日にニューシングル「Kiss Plan」をリリースした。メジャー4枚目のシングルとなる「Kiss Plan」は、過去3作でM!LKが見せた王子様のような甘くさわやかなイメージとは異なる、大人の表情をフィーチャーした作品。艶やかな恋の駆け引きを歌うこの曲で、5人は過去にないほどセンシュアルな表現を見せている。

音楽ナタリーではメンバー5名にインタビュー。M!LKにとって初のアリーナワンマンとなった、昨年10月開催の「M!LK 1st ARENA "HAPPY! HAPPY! HAPPY!"」の振り返り、そして「Kiss Plan」で見せた新たな一面について話を聞いた。

取材・文 / 三橋あずみ撮影 / 須田卓馬

エモい感じを出したくなかった

──昨年10月に行われた横浜アリーナでのワンマンライブ「M!LK 1st ARENA "HAPPY! HAPPY! HAPPY!"」は、M!LKにとって初のアリーナ規模での単独公演でした。まずはこちらの振り返りができたらと思うのですが、ライブを終えたときの率直な実感はいかがでしたか?(参照:M!LK、横浜アリーナで1万2000人と叶えた過去最大のHAPPY!「5人で夢が追えて本当に最高です」

佐野勇斗 僕らは1年くらい前から開催に向けて準備をしていたんですけど、大きなライブ、しかも1日だけということで太ちゃん(塩﨑太智)も気合い入れて演出をしてくれて、メンバーもかなり気合いを入れてライブに臨みました。9年くらい活動してきた中で、ようやくしっかりと1つ上のステージに上がれたかなという気持ちですね。でも同時に、ここからがスタートだなという気持ちでもあります。

佐野勇斗

佐野勇斗

吉田仁人 横浜アリーナは大きい会場だし、有名だし、ライブをやる前は「5人だけでやるのすごいなあ」とかいろいろ思っていたんですけど、実際やってみたら「楽しかったな」という気持ちが何より大きかったですね。僕らが作り上げたものを観てもらう空間でもあり、みんながM!LKのことを愛して応援してくれて一緒に楽しんでくれる空間でもあって、本当にタイトル通りのハッピーな空間ができあがったなと思って「楽しかったな」と。

曽野舜太 楽しかったよね。

吉田 ライブを終えたあともいろんな場所で「M!LK、横アリやったんだってね」という声をすごくもらうので、みんなから「すごい」と思われることを1つできたのか、なんてことも思うと……じゃあ次はどうしようかと。僕らは記念で横アリワンマンをやったわけじゃないし、もっとがんばらなきゃいけないなと思いますね。次の11月に結成10周年を迎えたときに、今よりもよりよい形でいなければなって。

──活動に対しての責任感も大きくなった。

吉田 そうですね。「横アリを踏んだ君たちがそれだけ?」と思われたらイヤだなという気持ちもありますし。やんなきゃいけないことはたくさんあるなって。

──太智さんは、演出を担当するうえでどんなテーマを持っていたんですか?

塩﨑太智 仁人がさっき言った「記念で横アリワンマンをやるわけじゃない」という認識がメンバー全員一致していたんです。アリーナで満足したような、すべてを懸けているようなエモい感じを出したくなかったので、「1日しかないから楽しもう!」という空気感、コンセプトを大事にしようという思いはずっと頭の中にありました。「HAPPY! HAPPY! HAPPY!」というタイトル通り、最後まで楽しく終われるように、ポップな「Aiシャンデリア」を本編の最後に持ってきたりとか。ずっと「ああ、楽しいな」と思ってもらえるようなものにしたつもりです。その1曲前の「コトノハ」で泣いちゃったメンバーもいたけどね?(笑) 危ないぜ。あそこで「Aiシャンデリア」が来なかったら、いいライブ感満載で終わることに……。

山中柔太朗 それでもいいと思うけどね(笑)。

塩﨑 いいんだけどさ! 方向性の違う“いいライブ”になっちゃうから。

塩﨑太智

塩﨑太智

「うれしい」だけじゃない……そこには「悔しい」もあった

佐野 「コトノハ」で泣いたことに関しては、太智くんにあとから「ホントにありえない」って怒られたんですけど……。

塩﨑 言ってないって! そんなん、僕ヤバいやつやん(笑)。

一同 あはははは!

佐野 センターステージであの曲を歌ったら、やっぱりグッとくるものはありました。

──どんな気持ちになりました?

佐野 なんだろう。楽しい……いや、ありがたい、かな。

塩﨑 気持ちわかるよ。この5人でアリーナに立ててることへの思いだよね。歌詞もそういう感じじゃん。いろいろあったけど……って。

吉田 M!LKの伝記みたいな歌詞だからなあ。

──M!LKの同期であり、皆さんの歩みをよく知るさくらしめじの2人が書いた曲ですからね。

曽野 やられたよね。

佐野 歌いながら「いろいろあったな」みたいなことは考えましたね。でも、1つの感情だけじゃなかったです。「うれしい」だけじゃない……そこには「悔しい」もあったし。ここに来るまでにはいろんな人からいろんなことを言われてきたりもしたので。

──以前にもインタビューでも話してくれましたよね。アーティストとしての活動と俳優としての活動を両立するうえで、周囲からさまざまな意見を言われることもある、と(参照:M!LK「ERA」インタビュー)。

佐野 そうですね。誰へ向けてってわけじゃないけど「少しは見返せたかな」という気持ちにもなりました。

──さくらしめじの2人から、ステージに対しての反応はありましたか?

山中 仁ちゃん(吉田)と僕には(田中)雅功からLINEが来ました。3人のグループLINEがあって。さくらしめじは自分たちの仕事があったから現地には来られなかったんですけど「速攻で配信観たよ」って……そんなこと、なかなかできないじゃないですか。

山中柔太朗

山中柔太朗

佐野 確かにね。てか、感想くれたんだ?

吉田 そうそう。(スマホを見ながら)「ライブ観ました。たぶん現地にいたら泣いてたと思う。M!LKがどんどん上っていくのが死ぬほどうれしい」と……。

曽野 そんなこと言ってくれるの。

吉田 「友達としてもファンとしても、M!LKはドカンと行くと本気で思ってるから。お疲れ様」って。

佐野 ……えっ、共有してよ。なんで共有しないの?(笑)

一同 あははははは!

吉田山中 ごめんごめん。

吉田 俺らも若干既読無視してるから……(笑)。

曽野塩﨑 やっば!

吉田 嘘嘘、嘘だよ!(笑)

佐野 感想もらってたなら話変わってくるやん! こっちも「ありがとう」って言わなきゃいけないんだから。

吉田 ごめんごめん(笑)。

山中 でもさ、他グループのことをこんなにちゃんと見てくれるって、なかなかできないことだよね。

吉田 M!LKとさくらしめじは結成日も同じで、本当の同期だから……うれしいですよね。戦友というか。それぞれの畑は違っても、お互いにずっと見合っている感じ。

佐野塩﨑 ありがたいね。

テンション上がっちゃって。楽しいし、煽りたくなっちゃって

曽野 「コトノハ」のことで、これはちょっとしたハプニングなんですけど、僕、この曲でコンタクトが取れちゃって……。

塩﨑 泣きすぎて?

曽野 そうかもしれない。だから、ラストの「Aiシャンデリア」は視界が歪んだ状態で歌ってました(笑)。

山中 知らなかった(笑)。

曽野 舞台袖にハケたあと、マネージャーさんに「僕のリュック取って来てください!」って急いでお願いして、アンコール前に予備のコンタクトレンズ着けて。

曽野舜太

曽野舜太

吉田 その一部始終、初めて知ったわ。

山中 それで言うと、僕は思いがけず声を出しすぎちゃって、“喉のハプニング”がありました(笑)。

塩﨑 どの歌で声出しすぎたんだっけ?

山中 「ジャングリズム」。この曲で、今までに出したことない声で「オオオーイ!」って叫んだんですよ(笑)。

一同 あはははは!

山中 テンション上がっちゃって。楽しいし、煽りたくなっちゃって叫んだら、最後のほうは声を出すのがちょっとキツかったですね。勉強になりました(笑)。

佐野 いい思い出だよね。

塩﨑 初アリーナだったからね。みんな体力の消費量ヤバかったんでしょ? 僕、びっくりするくらい大丈夫だったからさ。みんなの感覚がわからなくて。

佐野 マジでヤバかったよ。普段はだいたい1公演に1度、体力的なピークを感じるんですけど、横アリはその感覚が3回くらいあって。

塩﨑 勇ちゃんは煽りもけっこうやってるからね。

佐野 そう。さらに盛り上げようと思って、走ったり叫んだりするから。その分体力も使うんですよね。

いい機会くれたなと思って、うれしかったのよ

──「イチニノサン」で仁人さんがギター演奏を初披露したのも印象的でしたね。

吉田 やりましたね。もう、本番ギリギリまで不安で……当日会場に入ってからも、ギターを受け渡す直前まで控え室で弾き続けていたんです。そしたら太智に「うるさい」って言われました。

山中 直接的に「うるさい」とは言わないんだけど、「あっちの部屋、空いてるよ」みたいなね(笑)。

一同 あはははは!

吉田 でも太智の気持ちはわかるんですよ。全力弾きを延々とやってたから(笑)。本人がうんざりするほどやってたんだから、聴いてる側はどれだけうんざりするだろうっていう。

塩﨑 「不安なんだろうな」というのはわかったんですけど、まったく同じフレーズを何回もやるから……「さすがにもう大丈夫やろ!」と思って(笑)。でもよかったよ、うまくいって。ライブの中に1カ所、そうやって熱中して取り組むポイントがあるといいよね。

吉田 そう。だから、太智からの「ギターやって」という提案はありがたかった。けっこう難易度が高かったし、アコギをステージでちゃんと弾いたのは初めてだったから楽しかったし。めっちゃいい機会くれたなと思って、うれしかったのよ。

吉田仁人

吉田仁人

山中 これも裏話なんですけど、メンバーがソロでフィーチャーされる企画が会議で発表されていったんですよ。そのとき、仁ちゃんは「ポールダンスやります」って言われてて。

吉田 ドッキリかけられたんですよ。太智とスタッフさんに。「センターステージにポール立ててやってもらうんだけど」と言われて……これは冗談ですけど、本当にこのグループ辞めてやろうと思いました。

一同 あはははは!

吉田 なんで僕が全身タイツ姿でポールでグルグルせなあかんねん(笑)。

塩﨑 み!るきーず(M!LKファンの呼称)だって見てられないでしょ。

吉田 おい!(笑)

佐野 あはははは!(笑) 観たかったなあー。