M!LK「ブルーシャワー」インタビュー|CMタイアップでつかんだ“夢のピース” 青のシャワー浴びて全力で駆ける夏 (2/3)

自分じゃなく、誰かのために歌うっていう

──シーブリーズのCMのために書き下ろされた「ブルーシャワー」、最初に聴いたときにどういう印象を持ちましたか?

吉田 もうすごい、ジャストでイメージに合わせてきたなっていう夏感と青春感があって。「シーブリーズ」っていうフレーズが歌詞にないのが不思議なくらい(笑)、CMにピッタリだなと。

曽野 爽快感がすごいよね。タイトルもすごくシーブリーズのイメージに合っていると思うし、聴いているうちに学生時代の思い出がよみがえるような感覚がありました。

曽野舜太

曽野舜太

山中 僕は桑田佳祐さんが好きなのもあり、“夏曲”がもともと好きなんです。だから「ブルーシャワー」の雰囲気はもちろん好きだし……さわやかさだけじゃない、“夏の寂しさ”を少し感じられて、すごくいいなって。いい曲だなと思いました。

──レコーディングで歌うときには、どういうイメージを持ってこの曲を表現しましたか?

吉田 僕はめちゃくちゃ「空!」と思ってました。レコーディングブースは閉鎖的ですけど、「みんな聴いてー!」という気持ちで歌ったので、頭の中には空が広がっていましたね。いつもより軽やかに、弾む気持ちで歌おうって。

塩﨑 僕も吉田さんと同じ感じかも。青空の下、開放的な場所で歌っているようなイメージを思い浮かべていました。ラストサビとかは特にそう。

佐野 僕は疾走感を意識していましたね。全力で走って汗かいて……というイメージを思い浮かべて。気持ち暑苦しいところや、はかないところもあるけれど、基本は必死というか。全力で自分と向き合うような感覚でした。

曽野 僕は癖なくまっすぐ届けることを意識しながら歌いました。「誰かと比べないで」「君が主役の物語だ」と、大人目線でメッセージを投げかけるパートもあるので、そういったメッセージがしっかり伝わったらいいなと思って。

──柔太朗さんはいかがですか?

山中 レコーディングするとき、僕の中のモードが大きく分けて2種類あって。“通常モード”と“はっきり歌うモード”で声の出し方、息の使い方を変えているんですけど……。

佐野 へえ、そうなんだ。

山中 “通常モード”はニュアンス多めというか、息が多めな感じなんです。で、今回の「ブルーシャワー」は“はっきりモード”で歌いました。しっかりと発声を意識しながら。

山中柔太朗

山中柔太朗

──M!LKの活動初期、皆さんがティーンだった頃の曲には学生ならではの空気感や青春をダイレクトに感じられる楽曲が数多くありますが、「ブルーシャワー」はそれと同じ“青春”を描いた曲ながら、舜太さんが先ほどおっしゃったような“大人目線のメッセージ”が込められていて、その違いに時間の経過や成長を感じることができます。

塩﨑 僕たちが学生だった頃は「今僕たちはがんばってます!」みたいな、自分たち自身のことを歌う曲が多かったけど、そういう曲って聴く側の皆さんはどうやって受け止めてくれるんだろう?と思うこともありました。けど今回の「ブルーシャワー」は聴く人の背中を押せる曲なので、歌詞を読むと「僕たちも大人になったんだな」と思いますね。自分じゃなく、誰かのために歌うっていう。

山中 確かにそうだね。

吉田 いつの時代もそのときどきで楽曲にしっかりと向き合い、まっすぐに表現をしてきましたけど、歳を重ねたことによって自分たちの“容量”がいつのまにか増えていた、みたいな感じなのかな。あとは年齢に応じた声の安定感とか、そういうところの変化もあるかもしれないですね。

表情やパッションで伝えることに重きを置いて

──続いて、「ブルーシャワー」の振付についても教えてください。

塩﨑 今回のダンスはキャッチーだよね。

吉田 スーパーキャッチー。

塩﨑 細かな動きが多かった前作の「Kiss Plan」とのギャップがすごいです。

吉田 「Kiss Plan」は半分ダンスで見せるような感じの曲だからね。「ブルーシャワー」は歌詞と表情が60%くらいを占めていて、ダンスはみんなで楽しく踊る感じというか。手振りがメインの構成ですね。

曽野 ミュージックビデオ撮影のときもそうでした。最低限の動きを合わせるのはもちろんなんですけど、あとは表情やパッションで伝えることに重きを置いて。

──今回の振付を手がけたのは?

吉田 姉妹でダンサーをされているSISさんにお願いしました!

山中 TikTokの投稿がすごく人気な方なんですけど、元気いっぱいな関西弁で教えてくださって、本当に面白かったです。すごいのが、話し出す瞬間が2人カブるんですよ。

吉田 左耳姉、右耳妹みたいな感じ(笑)。

塩﨑 楽しい方だったよね。MV撮影にも、わざわざ大阪から来てくださって。

M!LK

M!LK

“Not制服”に見た成長

──MVについても聞かせてください。撮影はいかがでしたか?

塩﨑 雨が大変だったね……(笑)。

山中 朝から晩まで降ってました。なので、当初屋上で撮る予定だったシーンを体育館での撮影に変更したりして。でも僕、体育館のほうが結果的によかったんじゃないかなと思ってて。

吉田 それは思った。

山中 セットもしっかり組めたし、紙吹雪の演出とか、屋上だったらできないこともやれたから。すごく青春感を出せたと思います。

塩﨑 M!LKのMVを体育館で撮るのって、「新学期アラカルト」(2016年3月リリース)以来だよね。

佐野 そんな前か! 柔太朗と舜太が生まれる前だわ。

山中曽野 さすがに生まれてるわ!(笑)

曽野 M!LKに入る前ね。

塩﨑 あの頃は衣装が制服だったけど、今回は……。

佐野 着させてもらえなかったねー。

吉田 Not制服です(笑)。

塩﨑 それも成長ですよ。

山中 「M!LKはM!LKとして存在していよう」となったんです。あと今回のMVは撮影にあたってメンバーからも意見を出させてもらって、最初の案から大幅に変わった部分もあるんですよ。

塩﨑 もともとはスタジオみたいな場所で撮る案が出てたんだよね。

山中 曲のイメージを表現するためには学校が舞台のほうがいいんじゃないか?という案を僕らから出して。でも、ただ学校で撮るだけだと“あるある”な感じになっちゃうなとも思ったので、そこから監督に相談して演出の落としどころを見つけてね。

塩﨑 それもあって、完成が楽しみなんです。ただ「撮影よかったよなあ」という気持ちが続けば続くほど、期待値が上がっちゃって……。

佐野 逆に不安になっちゃうよね、わかる(笑)。撮影場所のほかにも、風船を使った演出を柔太朗がリクエストしたり。けっこうメンバーの意見を取り入れてもらっているんですよ。

塩﨑 外のシーンの水柱とかもそう。

佐野 それは僕が言ったか。当日は雨だったんで、悔しかったんですけど。

山中 スタッフさんがすごくがんばってくれてたね。本当に感謝です。

決定したのは太智でも、それはM!LKの総意ですから

──カップリング曲のお話も伺えたら。まず初回限定盤に収録されているのは「Bad Liar」というクールな楽曲です。

山中 この曲は太ちゃんが作詞作曲を。

塩﨑 いや、してないよ!(笑)

曽野 でもいろいろ考えてくれたよね?

山中 プロデュースみたいな立場で制作に入ってくれたんですよ。

塩﨑 そんなに大げさなものじゃないですけど、自分の中で前々から「こういう曲が欲しい」という楽曲のイメージがいくつかあったので、今回スタッフさんがリストアップしてくれた候補の中から自分が選ばせてもらった感じです。歌詞も「こんなふうにしますか」と方向性を相談して決めて。

塩﨑太智

塩﨑太智

吉田 もともとあった歌詞を太智が確認して、かなり変更を加えたってスタッフさんから聞いてるよ。

塩﨑 そうなのよ。もともとの歌詞にはけっこう難しい比喩とか文学的な表現があったんだけど、そういうところはできる限りわかりやすく、すっと耳に入ってくるようなフレーズに変更させてもらった感じですね。

吉田 曲調的にはね、ライブでやったらおそらくセットから火が噴き出るんだろうなとか(笑)、そういう想像力が駆り立てられる感じで。

曽野 最初に聴いたとき、僕的には“魔王城”が目の前に現れたような感覚があって。火の演出も合いそうだし、ダンスセクションを入れてもいいかも。あとは「君の知らない世界へ」と続けてやってもよさそう。想像が膨らむよね。

──ライブの演出を担当している太智さんですから、そういう演出面での表現も加味したうえでの楽曲プロデュースなのでしょうか。

吉田 ね。そこまで想像できてるんだろうなとは思いますよね。

塩﨑 M!LKのカッコいい方向性の曲を増やしたかったんだよね。

山中 この曲さ、手持ちマイクでやりたい。

塩﨑 いつものヘッドセットじゃなくね。それもいいと思う。

山中 こうやって口に出しておくと、のちのち実現することがあるんです。

塩﨑 だからどんな小さなことでもメンバー間で共有しておくっていう。

吉田 さっきのMVの話もそうですけど、今回のシングルではこういう感じでメンバーがいろんな形で制作面にも関わってるんですよ。この先いったいどうなっちゃうんだ?って思います。どんどんクリエイティブな集団になっていく。

吉田仁人

吉田仁人

──太智さんがこうして選曲に関わるのは初めてですか?

塩﨑 メンバーが個人的に関わるっていうのは初めてかもしれないですね。でも、感覚としてはM!LK全員で関わったという感じですよ。

佐野 全員が「こういう曲今までなかったね、いいね」と太智の意見に納得して、同意しているからね。決定したのは太智でも、それはM!LKの総意ですから。