ナタリー PowerPush - 加藤ミリヤ

彼女の孤独と本当の姿

孤独を感じてなかったら表現する人生を選んでない

──ちょっと気付いたことがあるんですが、「ディア ロンリーガール」と「Lonely Hearts」、今回のシングルのカップリングに「Aitai(Loneliness Remix)」、前作のカップリングに「Summer Time Lonely」とありまして……。

あはは、好きですよね(笑)。

──「Lonely」好きすぎるだろと(笑)。

確かに。

──加藤ミリヤにとって「孤独」とはそんなに大きいテーマなのか。また、それはなぜなのか教えてください。

加藤ミリヤ

孤独を感じてなかったら、音楽にしても小説にしても表現してない。自分は孤独だなあって感じるタイプじゃなかったら、自分を使って表現するこの人生を選んでないと思うんです。でもなんで孤独なのかが今でもわからなくて、それを知りたくてやってるっていう感じなんですよね。

──孤独を感じるようになった発端ってあるんですか?

もともとは思春期の頃に「なんか寂しいな」とか「自分のことをわかってくれる人っているのかな」とか「自分って必要とされてるのかな」っていう思いから、孤独感があって。それで自分の存在を知ってもらいたいから、孤独を埋めるために音楽を始めたんです。

──それなら今は大勢の人が自分の曲を受け入れてくれて、孤独感は埋まってきてるんじゃないかなと推測するんですけど。

そうですよね。そう思うんだけど、なんかまた違う種類の孤独が生まれてくる感じなんですよ。自分の曲がある一定の人たちに受け入れられても、受け入れたくないっていう意思表示してる人たちに対して「なんでこの人たちは私の曲を聴いてくれないんだろう」って思うんです。まだ自分は受け入れられていないって感じると、すごく寂しく思うし、なんで?って知りたくなっちゃう。それがやめられないって感じなのかもしれない。

──例えば「ディア ロンリーガール」で当時16歳だったミリヤさんが感じていた孤独と、現在25歳のミリヤさんが抱える孤独。これは質が違うものなんですね。

違いますね。

──どちらが深い、とは比べられないもの?

うーん……今のほうが軽いかも。10代のときのほうがもっとシリアスに孤独と向き合ってたから。歳を重ねるごとにやっぱり人付き合いも上手になっていって、「この人が今の私に必要」「この人は信じられない」というのがわかるようになってきて、傷付くことも少なくなっていってるとは感じます。

「大人になればわかるよ」って言う大人にはなりたくなかった

──ミリヤさんの曲からは、圧倒的に若者の味方という姿勢も常々感じられます。実際に「ディア ロンリーガール」では「押し付けないで古い考え ここからうちらの時代」と、自分を含めて「うちら」と称してますし、「Lonely Hearts」にも「私たち」という言葉が出てきます。少女たちと同じ目線に立つことは意識していますか?

加藤ミリヤ

はい。やっぱり自分が10代のときに上から話されることが一番ウザいって思ってたから、自分はそういう大人になりたくないなって思ってたんですよね。大人になったときに「大人になればわかるよ」って言うような大人にはなりたくなかった。

──その、大人に対する嫌悪感の所以というかルーツってなんなんでしょうか?

すっごい嫌な経験をしたことがあるんです。小学1年生ぐらいのとき、当時の担任だった先生から露骨に嫌がらせを受けたことがあって、それで大人が嫌になったんだと思う。たぶん。

──どんなことか聞いてもいいですか?

徒競走でリレーの選手決めるときに、3人でよーいドンして1位の子がリレーのAチームの選手、2位の子がBチーム、3位の子が補欠だったんですよ。そこへ私がバーッと走って、誰がどう見ても私がダントツで1位だったのに、補欠にされたんですよ、なぜか。

──ええ? 意味わからないですね。

そういうことされたり、特別に呼び出されて、あなたはこうでこうで、あなたが発言することによって周りがどうのこうので、みたいな注意を受けたり。それで大人は自分を脅かすもの、受け入れようとしてくれないものって思っちゃった。

──それは確かに嫌いになるのも無理ないと思うんですけど……視点を変えれば、ミリヤさんが良くも悪くも目立っていたのかもしれないですね。他の生徒とはどこか違うところがあるように見えていたんじゃないかな。

そうかもしれない。私自身も物心付いたときからずーっと、常に違和感を感じて生きてきて。どこにいても自分の居場所じゃない感じがする。学校で器用に友達と仲良くすることはできても「なんか違う」って思ってたんですよ。で、音楽に出会えた瞬間に「自分の居場所はここなんだ」って思ったんですよね。

ニューシングル「Lonely Hearts」 / 2013年10月2日発売 / Sony Music Records
「Lonely Hearts」初回限定盤 [CD+DVD] 1680円 / SRCL-8359~60
「Lonely Hearts」通常盤 [CD] 1300円 / SRCL-8361
CD収録曲
  1. Lonely Hearts
  2. Only U
  3. Aitai (Loneliness Remix)
  4. Lonely Hearts (Instrumental)
初回限定盤DVD収録内容
  • Lonely Hearts -Music Video-
加藤ミリヤ(かとうみりや)
加藤ミリヤ

1988年生まれ、愛知県出身のシンガーソングライター。2004年9月にシングル「Never let go / 夜空」でメジャーデビューする。その後「ECDのロンリーガール」のアンサーソングである「ディア ロンリーガール」、UA「情熱」をサンプリングした楽曲「ジョウネツ」など話題作を数多く発表。10代女性からの共感を呼ぶリアルな歌詞が魅力で、同年代女性のカリスマとして支持されている。2009年5月には同い年の清水翔太とコラボシングル「Love Forever」を発表し、人気アーティスト同士の共演は大きな話題を集めた。また同年11月には初の日本武道館ワンマンライブを開催。2011年に初のベスト盤「M BEST」でオリコン週間ランキング初登場1位を記録する。2013年10月には、ティーンの悩みに寄り添ったメッセージソング「Lonely Hearts」をリリースした。