MeseMoa.活動12年で叶えた“アイドルドリーム”、つんく♂との初タッグ実現

MeseMoa.の15thシングル「愛してる体感BABY」がリリースされた。

MeseMoa.はモーニング娘。のダンスカバーを中心とした“踊ってみたグループ”morning musumenでの活動を経て、本格的にアイドル活動をするために前身グループ・むすめん。を結成し、2017年に現在のグループ名に改名。昨年メンバーの白服、フォーゲル、二番煎じ、にーちゃんが卒業し、あおい、気まぐれプリンス、野崎弁当、とみたけ、ノックソの5人体制となった。

ニューシングルの表題曲「愛してる体感BABY」は、メンバーが敬愛してやまないつんく♂が作詞作曲し、モーニング娘。のダンスも手がけるYOSHIKOが振付を担当したラブソング。念願のつんく♂との初タッグとなった「愛してる体感BABY」の制作エピソードや、MeseMoa.の近況についてメンバーに聞くと、支え合う5人の姿が見えてきた。なお、インタビューにはメンバー全員が参加したが、あおいは都合により撮影不参加となった。

取材・文 / 小松香里撮影 / 梁瀬玉実

いまだにカバーをしている気持ち

──15thシングル「愛してる体感BABY」の作詞作曲はつんく♂さん、振付はモーニング娘。の楽曲のダンスも手がけるYOSHIKOさんです。MeseMoa.はモーニング娘。のダンスカバーをするために結成されたグループですが、つんく♂さんやYOSHIKOさんの参加が決まったときはどう思いましたか?

気まぐれプリンス 「いつかつんく♂さんに曲を書いてもらえたらうれしいよね」と半分本気、半分冗談で言ってたんです。だから決まった瞬間はうれしさよりもドッキリを仕掛けられたような感覚でした。仮歌の音源を送っていただいたときもまったく信じられなくて。最近つんく♂さんがSNSに「愛してる体感BABY」のことをポストしてくださっているのを見て、ようやく本当のことなんだと実感が湧いてきました。

あおい ぷんちゃん(気まぐれプリンス)の前のリーダー・白服さんは、2019年につんく♂さんの「今までやったことない新人でもすでに現役アイドルでもだれでもええけど、才能があるならばそれを作品にしてみたいなぁって思う」というSNS投稿に「僕らの曲を書いてもらうのが昔からの夢です!」とリプを送っているんです。5年越しにそれが現実になったことに驚きを隠せませんでした。つんく♂さんとYOSHIKOさんは自分がアイドルになったきっかけを作ってくれた2人なので、うれしさ3割驚き7割くらいの気持ちで、まだ現実だとは思えないです。

──「愛してる体感BABY」を聴いたときはどう思いましたか?

あおい めっちゃつんく♂さんだな!って。音作りも歌詞もタイトルも“つんく♂節”すぎて、恐れ多くて「自分たちが歌っていいのかな」と不安になりました。

野崎弁当 つんく♂さんに曲を書いてほしい気持ちはもちろんありましたが、叶うことのない夢だと思っていたので本当に驚いたし、うれしかったです。曲を聴いたとき、自分が今まで聴いてきたいろいろなハロー!プロジェクトさんの楽曲が浮かんできて、「こういうメロディでこういう歌詞の曲をずっとカバーしてきたよな。この曲が自分たちの作品になるんだ」と不思議な気持ちになりましたね。じわじわとうれしさがこみ上げてきました。

ノックソ 4月から7月にかけて開催したライブハウスツアー「give me FIVE」のファイナル公演で初披露したんですが、曲も振りもあまりにもハロプロさんらしいのでいまだにカバーをしている気持ちがありますね。本当に素敵な歌とダンスをいただけたなって。

MeseMoa.

MeseMoa.

“ベストオブ高音”を出したのは

──レコーディングにはどういった準備をして臨みましたか?

とみたけ かなりタイトなスケジュールだったので、みんなで練習する時間はそんなに取れなかったんですが、なんとか数回集まってつんく♂さんの楽曲ならではの歌唱法をしっかり練習しました。

気まぐれプリンス 「たちつてと」が「たちぇつてとぅ」みたいな発音になるのが、つんく♂さんの曲を歌唱するうえでの特徴で。そこを重点的にみんなで練習しましたね。でも難しかったです。カバーだと「◯◯さんみたいに歌おう」と意識するんですが、オリジナルだからそういうわけにもいかないし。しかも僕は今回かなりの高音パートがあって、それは自分の中で挑戦でした。

あおい 最初にぷんちゃんの高音パートが来るんですけど、すごく心地いいなと思いました。

とみたけ ぷんちゃんはレコーディングの時点でその高音パートだけじゃなく、ほかのパートも含めてつんく♂さん流の歌唱法みたいなものができあがってたんですよね。

あおい しかもそのとき風邪を引いてたから、満足に練習できない中でのレコーディングだったはずなのに、めちゃくちゃきれいに歌ってて、死ぬほど早くレコーディングが終わってました(笑)。

気まぐれプリンス 気まぐれプリンスという名前はモーニング娘。さんの「気まぐれプリンセス」っていう楽曲が好きすぎて付けた名前ですし、約14年の音楽人生の95%ぐらいはつんく♂さんとYOSHIKOさんの影響でできているので「愛だけは誰にも負けない」と思ってがんばりました。

気まぐれプリンス

気まぐれプリンス

あおい MeseMoa.が始まってからの12年間の中で“ベストオブ高音”だと思いますよ。

ノックソ た行の歌唱法のようなアプローチで歌ったことがなかったので、難しかったですね。ぷんちゃんはやっぱりすごいなと思いました。僕もがんばりました。

野崎弁当 みんなとのすり合わせによってしっくりきたところはありました。みんなも言ってますけど、気まぐれプリンスの歌が段違いにうまくて刺激になりましたね。自分もハロプロさんの曲を長いこと聴いてきたので、その曲たちを思い出しながら一生懸命取り組みました。

とみたけ 僕はレコーディングの順番が最初だったんですが、とにかく自分なりにつんく♂さんの歌唱法を理解しなければと思って、いろいろと試行錯誤した結果、イメージしていたものと実際の歌がかけ離れちゃって録り直しになったんです。そのあとがぷんちゃんの歌を聴いて「これが正解だな」と思いました。長年ハロプロさんの曲を聴いてきたことがすごく糧になってるんだなって。自分はハロプロさんの曲に触れたのが恥ずかしながらMeseMoa.に加入してからなので、ほかのメンバーに比べたら知識が相当浅い。その違いを痛感しましたね。

あおい 僕はレコーディングが最後だったんですが、3時間くらい巻いてたんですよ。だから、みんな歌と真剣に向き合ってたんだなと思いました。帰り道、マネージャーと一緒に「めちゃくちゃ早く終わったね」と言いながら桜を見てました。晴れやかな気持ちでしたね。

セリフパートの適任は

──「愛してる体感BABY」で特につんく♂さん節を感じたところはどこですか?

気まぐれプリンス たくさんあるんですけど……例えば2番のノックソのパートに「温泉しよう」という歌詞があって、「温泉行こう」という言い方が一般的だと思うんですが「温泉しよう」という言い回しがつんく♂さんらしいですよね。あと、つんく♂さんの歌詞には衣食住についての描写がよく出てくる印象があります。「帰りにうどん食べてくわ」という歌詞があったりするんですが(℃-ute「Danceでバコーン!」)、「愛してる体感BABY」にも「何が食べたい?」という歌詞があって。そこもつんく♂さん節だと思いました。

──2番の「どうなんだよ ベイベ~!」「ねえねえ どうなの?」という野崎さんが担当しているセリフ調のパートも印象的ですよね。

野崎弁当 デモ音源と歌詞をいただいた時点でセリフのパートがあることがわかって「自分が担当しそうだな」と思ったんですが、やっぱりそうなりましたね。

野崎弁当

野崎弁当

とみたけ デモ音源を聴いたとき、たぶん全員が「野崎さんのパートだな」と思ったはずなんですよね。

野崎弁当 過去のハロプロさんの楽曲にもセリフみたいなパートが多くあって、いろいろな方が印象的な歌唱をされているので、最初は「自分がもしハロプロさんにいたらこんな感じかな」と意識してレコーディングしたんです。でも、最終的には細かいことを考えずにパッションを大切にして歌いました。結果的に聴いてくださった方たちの反応がよくてありがたいです。

気まぐれプリンス やっぱり野崎さんでよかったなと思いました。ほかのメンバーだとどうしても演技臭くなるんですが、野崎さんは「もしかしてこのセリフ何度も言ったことある?」と思うくらい自然に聞こえるんですよね。

オタクを出さないように気を付けた

──YOSHIKOさんの振付にはどういう印象を持ちましたか?

気まぐれプリンス YOSHIKOさんはハロプロさんの5、600曲くらいの振付をされているんですが、「愛してる体感BABY」の振りは過去のハロプロさんの曲と被るような部分がなくて。でもシンプルでわかりやすい振りになっているので感動しました。

とみたけ 振りがみるみるうちに体に浸透していきました。過去イチで覚えが早かった気がします。オリジナルの振りなのに初めて踊った気がしなかったんですよね。

あおい 初めて見る振りなのにすっと入ってきましたね。僕も振り入れがすごく早かった記憶があります。

気まぐれプリンス みんな覚えが早くてびっくりしました。「ちょっと待って!」と思ったもん。

とみたけ YOSHIKOさんのチームの先生方が来て、マンツーマンで教えてくれたんです。メンバーそれぞれのペースがある中でパッと後ろを向いたらあおいくんが佇んでて。「あらあら、子供(あおい)はもう覚えたんだ」と思いました(笑)。

あおい 最初にチームの皆さんでお手本として「愛してる体感BABY」を踊ってくれたんですが、「めっちゃハロプロやん!」と思ってこの12年間で一番感動しました。それを見ただけでもう踊れる気がしましたね。

あおい

あおい

野崎弁当 楽曲を聴かせていただいたときに振付をイメージしてみたんですが、実際の振付を見たときに曲との親和性100%だなと思いました。不自然に感じる部分がどこにもなくて、振りが一瞬で馴染んでいく感覚があったんです。僕はそんなにダンスが得意なほうではないんですが、終始楽しく振り入れができました。スムーズに覚えられたおかげで時間に余裕が生まれて、YOSHIKO先生たちとフリートークする時間もあったんです。

とみたけ YOSHIKO先生は初めて会ったとは思えないくらいフランクに話してくださいました。自分は先生が振付したメロン記念日さんの「肉体は正直なEROS」が大好きなので、その話ができてめちゃくちゃ盛り上がりましたね。

気まぐれプリンス 一応お仕事でお会いしているので、いろいろ話すと「そんな細かいところまで見てるの?」と気持ち悪がられるかと思い、あまりオタクを出さないよう気を付けました(笑)。

ノックソ 教えてもらった歌振りがあまりにもハロプロすぎて「うわ! この動きは代々引き継がれていってるんだ」と感動しましたね。