ナタリー PowerPush - MAY'S
最大の逆境を乗り越え「Smiling」完成
「運命のバラード」は人生を歌うような、どストレートな曲に
──あと、本作で名曲だと思ったのが「運命のバラード」です。
河井 うれしいですね。ありがとうございます。
片桐 我々も「名曲きたー!」と思って作ってた曲なんです。
──これはどんなふうに作っていったんですか?
片桐 今回新しく作った曲なんですけど、NAUGHTYさんが作ったトラックを聴いたときに「これは来た」と。で、「これは人生を歌うような、どストレートな曲にしよう」って2人で話したんですね。MAY'Sのバラードでは「永遠」っていう曲の支持がすごく高いんですよ。あの曲は女の子から男性に向けて、特別なことは何ひとつないけど当たり前のように暮らしてる毎日の中で感じる幸せや愛を書いていて、私が書くラブソングの代名詞だと自分でも思ってるんですね。で、今回はその男の子バージョンを書こうっていうのを最初のヒントにしたんです。なので、そこから「永遠の隣にある運命のバラード」っていう歌詞のフレーズが生まれたんですよ。
──ピアノ1台から始まって、ストリングスが入って、ゴスペルクワイアが入ってと、どんどんスケールが大きくなっていく曲ですね。
河井 僕が一番近々で作ったバラードは前作に入ってる「君に届け」なんですが、あれはディストーションギターも入って、フルストリングスも入って、ブラスセクションも入って、ハープも入って、「これでもか!」っていうくらい派手なサウンドに仕上げた作品で。そのあとのバラードになるから、逆にピアノ1台でドラムレスにしようって最初から思ってたんです。そこにストリングスが入る程度で、本当に歌声が響くようなバラードを作ろうっていう意識で作り始めた。あと、僕らはポジティブな曲が多い分、結婚式で曲が使われることが多いんですね。だから、そこもちょっと意識して聖なる感じというか教会感もイメージして作ったんです。結婚式で使ってもらえるような曲=運命のバラードだと思ったし、歌詞に関しては舞子にそういうリクエストもした。それで最後にゴスペルクワイアを入れたんです。
──この曲は、曲調もさることながら、声がとにかく美しいと思いました。
片桐 ありがとうございます。これは今の声だから歌えてる曲なんですよ。このメロディは全てNAUGHTYさんが作ったんですけど、前の声しか知らなかったら、このメロディは出てこないと思うんです。今の声になって、ある程度歌ってきて、その声の良さがわかってきた頃に作った曲だし、メロディを聴いたときに、私の今の声を生かしてくれてるなって感じたんです。そういう意味で本当に、今だからこそできたし、歌えた曲だなって思います。
リミックスじゃなくて「Remaking」
──リミックスアルバム「Remaking ~Remix Collection Vol.2~」についても訊かせてください。このアルバムもそうですが、MAY'Sの場合、原曲を英語詞で歌い直すというのがお決まりですよね。それはなぜなんですか?
片桐 最初にアナログで「1/2」っていう曲のリミックスを出したときに、当時の日本のクラブシーンって洋楽しかかかってなかったし、英語の曲じゃないとDJにかけてもらえないから英語詞で歌おう、っていうのがきっかけなんです。ただ、それがお決まりになってきたのは、私も英語で歌うのが面白いから。符割りが変わるとか、英語のほうが発音的に声が通るとか、英語で歌ったほうがメロディの音程を取りやすいとか、いろいろ発見があったし、私の声の違う部分を見せたり、少し変化したメロディを聴かせられるなって。そういう楽しさがあって、これまで歌い直しで続けてきたんです。
──だから、MAY'Sの場合は「リミックス」じゃなくて「リメイク」なんですよね。
片桐 そうなんですよ。リミックスじゃない(笑)。だから、このアルバムのタイトルは正しいんです、「Remaking」だから。
河井 リミックスは声を素材にしてトラックを作り直すけど、僕らは先にトラックを作り直して、それから歌い直すときもあるくらいですからね。
──今回のアルバムにはSTUDIO APARTMENTやLILによる新録曲もありますね。収録曲の中で特にお気に入りの音源は?
片桐 私の3大お気に入りは、まずSTUDIO APARTMENTさんの「Can't Say "I Love You"」。これは世界クオリティになって帰ってきたと思いました。あと「I WISH」は、以前アコースティックセットでこの曲を歌ったときにこういうアレンジでやったんです。そのハマりが良くて、リメイクするならそういうバンドっぽい感じにしたいって作ったものなのでお気に入り。もうひとつは、「LOVE」。これはインディーズで出したものをちょっとミックスし直しただけで入れてるんですけど、当時のチープさがいい意味で味を出してるなって。
河井 そう。マイクも機材も良くないからこそのビットレートの低さなんだよね(笑)。アナログ感があるというか。
片桐 なんかちょっとザラッとしてるんですよ。でも、これは狙ってザラッとしてるんじゃなくて、そうなるしかなかったっていう(笑)。今聴くと、それがすごく新鮮だし、お気に入りですね。
「ただいま」&「ありがとう」ツアー
──ところで、9月から「LIVE TOUR 2012 "Smiling"」が始まりますが、最後にそれぞれ意気込みをお願いします。
片桐 去年のツアーのあとに活動休止したので、今回は元気になった姿を見せに行きたいと思ってます。私の場合は「ただいま」&「ありがとう」ツアーですね、完全に。新しい声の舞子を生で体験してもらって、たくさん堪能してもらいたいです。
河井 僕はセットリストを考えることが仕事なんですけど、持ち曲が多くなりすぎて、今回はどうしようかなと。ニューアルバムの曲はもちろんやるんですけど、過去曲もちょこちょこ入れたいと思っているので、今から頭を悩ませてます(笑)。
──結成10周年だし、「NOW & THEN」みたいなキーワードにすればいいんじゃないですか?
河井 あ、それ、いいですね(笑)。今まではなるべくわかりやすいセットリストを考えてきたんですけど、今年はちょっとごり押し感があってもいいのかなって考えていて。「昔の曲もちゃんと覚えてね!」じゃないけど、ちょっとコアな曲をやってもいいのかなって思ってたので、そういうコーナーがあってもいいかも。もし丸パクリで「NOW & THEN」にしてたら許してください(笑)。
CD収録曲
- Intro ~Prologue Of Smiling~
- SKY
- Smiling
- CrazyAboutYou
- Devil's Girlfriend
- あなたを愛してる feat. 中村舞子
- 日曜日の歌
- BONDS
- Bad Man feat. DOBERMAN INC
- 今宵、月の下で feat. 上妻宏光
- I Remember You
- Honey
- YOU & I feat. LL BROTHERS
- 夏がくれたストーリー
- 運命のバラード
- Outro ~Keep On Smiling~
- STAY TOGETHER / NATURAL8
(ボーナストラック)
初回限定盤DVD収録内容
- BONDS
- SKY
- Smiling
CD収録曲
- My Everything (NBZ House Remix)
- Forever (NBZ "Eien" Remix)
- Can't Say "I Love You" (STUDIO APARTMENT Remix)
- BONDS (TSUGE a.k.a. LIL Remix)
- ONE LOVE feat. Nieve, Tunji (NBZ Hip Hop Remix)
- Spread Your Wings (Dj Chika Remix) feat. M.V.P from M-ST★R
- Daydream (DJ Deckstream Remix)
- REAL (DJ WATARAI Remix)
- Appreciation (NBZ R&B Remix) feat. Herb "Q" Kentrick
- Brave Heart (NBZ Smooth Remix)
- I WISH (NBZ June Bride Remix)
- MaMa (NBZ 90's Remix)
- LOVE (Urban Mellow Remix)
- KISS ~Unforgettable "Aishiteru" ~ (NBZ Ballad Remix)
- My Love All For You (NBZ "Kimi ni Todoke..." Remix)
MAY'S(めいず)
片桐舞子(Vo)と河井純一a.k.a NAUGHTY BO-Z(トラックメーカー)による2人組ユニット。インディーズ時代よりR&Bシーンで注目を集め、2006年発売のアナログ12inchはCISCO、DMRのチャートで1位を記録。2008年7月にシングル「My Everything」でメジャーデビューを果たす。2011年秋には舞子が声帯結節をわずらい、およそ半年間の活動休止を余儀なくされたが、2012年3月9日に東京・Shibuya O-EASTで行われたワンマンライブ「THE FACTORY presents MAY'S RETURN LIVE "39"」で完全復活。6月13日にニューアルバム「Smiling」とリミックスアルバム「Remaking ~Remix Collection Vol.2~」を同時リリースする。