ナタリー PowerPush - MAY'S
ソロ活動を経て向き合った「純度100%のラブソング」
約2年ぶりとなるオリジナルアルバム「Kissing」をリリースするMAY'S。昨年12月に初のソロアルバムをそれぞれリリースし、ユニットとは異なる世界観を描き出した片桐舞子、河井純一の2人は、その経験を踏まえて臨んだ今回の制作において“MAY'Sらしさの追求”というテーマを掲げたのだという。結果、タイトルから連想される通り、本作は彼らの真骨頂とも言うべきラブソングをメインとして編まれることとなった。
MAY'Sとしてナタリー2度目の登場となる今回のインタビューでは、ソロ活動がもたらしたさまざまな変化を通して生み出された本作の魅力について語ってもらった。
取材・文 / もりひでゆき
純粋なラブソングを作りたい
──MAY'Sとして約2年ぶりのオリジナルアルバム。制作作業はいかがでしたか?
片桐舞子(Vo) これまでのアルバムは先行リリースされているシングルがあって、それを含めた形で1枚にまとめていくという手法だったんですね。でも今回はすべてが新曲で、まったくのゼロから構築するという初めての作り方をしたんですよ。アルバムのテーマやタイトルなんかも含めて、すべてを最初に決めてから制作に取り掛かるという。
河井純一(Track Making) その結果、アルバム全体にいい一貫性が出たと思いますね。タイトルが「Kissing」なので、じゃほぼ全曲に“キス”というワードを入れてみようとか、そういう遊びもできたので。サウンド面含めて統一感のあるパッケージになったなと。
──本作はMAY'S流のラブソングが満載ですよね。
片桐 そうですね。このアルバム制作の前に私も純ちゃんもそれぞれソロをやったんですけど、そこではお互いMAY'Sとは真逆なアプローチをしたところがあって。だからきっと……なんて言ったらいいかな?
河井 反動?(笑)
片桐 そうそう! その反動がけっこう激しくて。私のソロは1人で生きている女性に向けた内容にするっていう1つのテーマがあったから、「ハッピーな曲は一切入れません!」っていう感じだったんです。だから「いい加減もうハッピーなラブソングが書きたい!」っていう気持ちになったというか(笑)。
河井 僕としても今のモード的に、純粋なラブソングを作りたいっていう気持ちがすごくあったんですよ。2008年にメジャーデビューしてからずっとラブソングを作ってはいたけど、途中にはメッセージソングを多めにしたりっていう寄り道をした時期もあって。でも去年にベストを出して、ソロを経験してみたことで、改めてMAY'Sとして純度100%のラブソングに向き合ってみたくなったんですよね。
──MAY'Sに対して、そこを求めているファンも多いでしょうしね。
片桐 うん、そうですね。だからタイトルもポロっと「Kissing」はどうかなっていう案が出たときに、「それしかないわ!」って感じになったんですよね。要は私にも純ちゃんにも「今回は超MAY'Sらしいアルバムにしようぜ!」っていう気持ちがあったってことなんだと思うんです。サウンド的にもそういうところがあったんでしょ?
河井 そうね。僕の場合、ソロではオール打ち込みで、けっこうバキバキのダンスミュージックばかりをやったんですよ。だからその反動はありましたね(笑)。生楽器をたくさん入れたバンド感のあるサウンドにしたいなっていう。
片桐 そうやってお互いにやりたいことが明確だったんで、アルバムにどんな曲を入れるのかっていう大枠の部分はすごくスムーズに決まりましたね。ただ、細かい作業はすごく時間がかかったんですけど……っていうか、そもそも時間がなかったんだよね(笑)。
河井 そうそう。発売日に間に合わないんじゃないかって思いました(笑)。
片桐 正味1カ月半くらいしかなかったんですよ、制作期間が。
ソロを経て客観的にMAY'Sを見れる
──片桐さんはソロのインタビュー時(参照:片桐舞子(from MAY'S)「Solo」インタビュー)に、「(MAY'Sのニューアルバムの制作は)確実にスケジュール的には追いつめられることになりそう」とおっしゃっていましたが、それが現実になったと。
片桐 まさに(笑)。去年のクリスマスにやったMAY'Sのワンマンライブが終わってから制作がスタートした感じでしたからね。しかも時間はないのにやりたいことはすごく多いっていう状況でもあったから、相当密度の濃い制作になりました。
河井 合宿みたいな感じでしたよ。2人でずーっとスタジオにいるっていう(笑)。楽しかったけどね。
──制作をしていく中で、ソロでの経験がもたらしてくれたものを実感する瞬間はありましたか?
河井 視野が広がった感じはあったかもしれないですね。客観的にMAY'Sを見れるっていうんですかね。海外に行くと客観的に日本が見れて、やっぱり日本っていい国だなって思ったりするじゃないですか。そういう感覚で(笑)。
──改めて見えたMAY'Sのよさっていうのは?
河井 サウンド的なあれやこれやはもちろんあるんですけど、舞子の声はやっぱりすごく魅力的だなっていうのは思いましたね。2年前にノドの手術をしたことで声がちょっと変わっちゃってた時期もあったんですけど、今はすごくコンディションがよくなってるんですよ。今回の曲たちは、いわゆる舞子のおいしいキーというか、声の魅力をものすごく出すことができたので、僕としてはすごくうれしいんですよね。
- MAY'S ニューアルバム「Kissing」 / 2014年3月5日発売 / KING RECORDS
- 初回限定盤 [CD+DVD] / 3500円 / KICS-93029
- 通常盤 [CD] / 3000円 / KICS-3029
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CD収録曲
- Kissing
- Just For You ~君だけが僕の未来~
- F&R
- みんなのうた
- Milky Way ~眠れない夜は~
- ジュリエット
- PASSION
- Wanna Be Your Only One / MAY'S × SHIKATA
- チョコレートガール
- 結婚しようよ
- PaPa
- シンデレラ
初回限定盤 DVD収録内容
- 「Just For You ~君だけが僕の未来~」MUSIC VIDEO
- 「シンデレラ」MUSIC VIDEO
- 「TOKYO BLUE」MUSIC VIDEO / 片桐舞子
MAY'S Tour 2014
- 2014年3月15日(土)
- 群馬県 プレイアス太田
supported by ライムメンバーズ - 2014年3月21日(金・祝)
- 宮城県 darwin
supported by アールベルアンジェ仙台 - 2014年3月22日(土)
- 青森県 青森Quarter
- 2014年3月29日(土)
- 岡山県 CRAZYMAMA KINGDOM
supported by ラヴィール岡山 - 2014年3月30日(日)
- 大阪府 umeda AKASO
supported by ベルクラシックグループ - 2014年4月5日(土)
- 熊本県 DRUM Be-9 V2
- 2014年4月6日(日)
- 福岡県 イムズホール
supported by ベルクラシックグループ - 2014年4月12日(土)
- 茨城県 mito LIGHT HOUSE
- 2014年4月19日(土)
- 石川県 金沢EIGHT HALL
supported by ラヴィール金沢 - 2014年4月20日(日)
- 福井県 福井まちなか文化施設 響のホール
- 2014年4月26日(土)
- 愛知県 THE BOTTOM LINE
supported by アールベルアンジェ三重 - 2014年4月29日(火・祝)
- 東京都 赤坂BLITZ
supported by ラヴィータウェディング
MAY'S(めいず)
片桐舞子(Vo)と河井純一(Track Making)による2人組ユニット。インディーズ時代よりR&Bシーンで注目を集め、2006年発売のアナログ12inchはCISCO、DMRのチャートで1位を記録。2008年7月にシングル「My Everything」でメジャーデビューを果たす。2011年秋には舞子が声帯結節をわずらい、およそ半年間の活動休止を余儀なくされたが、2012年3月9日に東京・Shibuya O-EASTで行われたワンマンライブ「THE FACTORY presents MAY'S RETURN LIVE "39"」で完全復活。2013年末には片桐、河合それぞれが初のソロアルバムを同時発売し、話題を集めた。2014年3月、オリジナル作品としては約2年ぶりとなるニューアルバム「Kissing」をリリース。