ナタリー PowerPush - MAY'S
最大の逆境を乗り越え「Smiling」完成
「SKY」はアーティスト舞子、「Smiling」は普段の舞子
──アルバムリード曲「SKY」は、どんな思いから書いたんですか?
片桐 元々この曲は、サビの部分だけが以前から存在していて、前のアルバム「Cruising」でもサビの部分を鼻歌で歌っていたし、ツアーでも歌ってたんですね。で、ツアーが終わって活動休止に入ったとき、このサビの部分の歌詞が歌えない時期の私にとってすごく支えになってたんです。辛くてどんなに泣いていてもいつか晴れるだろうねって。自分がそう言ってるんだから多分大丈夫だろうって心の支えにしてたところがあって。なので、この曲に今の自分の気持ちを乗せて復帰後一発目に書きたいなと休止中に思ってたんです。誰かに届けるっていうよりも、私自身が助けてもらえる、私自身の支えになるような言葉を書いていこうって。
──曲の終盤では片桐さんがロングトーンボーカルを決めていて、復調ぶりをアピールする曲にもなってますよね。「ほら、私、歌えるよ!」って(笑)。
片桐 あはは! でもね、ああいう声が楽に出るんですよ。細かいコントロールの方が難しくて、ああいうロングトーンとかファルセットとかで高い音を突く歌い方は、びっくりするほど楽にできるようになったんです。
──声色も透明感があって美しかった。
片桐 ありがとうございます。でも、本当、声が重くないんですよね。重くない声を出せるのが自分でも新しくて、楽しいです(笑)。
──カントリー調のタイトル曲「Smiling」は、活動休止中のことを振り返って作った曲なんですか?
片桐 これは「THE 私」っていう感じの曲ですね。アルバムの頭2曲は自分のことしか言ってないんですよ(笑)。
河井 「SKY」はアーティスト舞子、「Smiling」は普段の舞子で、言ってることは一緒、みたいな感じだもんね。
片桐 そう。「Smiling」は家ですっぴんでいるときの私、みたいな(笑)。実は「Smiling」は2年前くらいに作った曲なんです。「ちょっと今までにないテイストでしょ?」ってNAUGHTYさんから渡された曲で、思いつくままに歌詞を書いたら、そうやって自分のことを書いていて。で、自分ってどういう人間なんだろうって考えると、結局笑って暮らしていたいっていうのが理想なんですよね。それが「Smiling」っていう言葉につながって、じゃあ、これはファンクラブのテーマソングだねって。ただ、ファンクラブのテーマとか、「Smiling」っていうタイトルにしちゃったら大切な曲になりすぎて、どのタイミングで発表したらいいかわからなくなっちゃって(笑)。でも、このアルバムだったら入れられるねって、今回入れることにしたんです。
実は初めての夏リリース
──「日曜日の歌」も今までにないテイストの曲調ですね。ほのぼのとした雰囲気がある、レイドバックしたノリの曲です。
河井 これは歌詞も音も作った当時のまんまなんです。ストックの中で僕も舞子も好きだった曲で、いつかアルバムに入れたいねって話してたんですけど、これまでのアルバムの世界感に溶け込みづらい曲だったんで、タイミングを逃してた。でも、この曲の雰囲気は今回の「Smiling」っていうキーワードに合ってるし、こういう力を抜いた感じの曲は普段なかなか作れないので、ここは入れておこうと。
──それにこの曲は、河井さんが初めて作詞していてびっくりしました(笑)。
河井 あはは。けど、意外と昔は書いてたんですよ。
片桐 MAY'Sの前にやってたバンドのときは作詞作曲を全部やってたしね。
──この曲は小悪魔的な女性像を書いた「Devil's Girlfriend」に対する、男性目線で書いたアンサーソングなんですか?
片桐 それね、すごいよく言われるんです。
河井 けど、全然意識してないんですよ。でも、その通りだなと思うし、今後、そういうことにしていくかもしれないです(笑)。
──ここまでは偶然古い曲の話題になりましたが、河井さんの最新モードが表れてるとか、新境地を開拓したという曲はどれですか?
河井 「CrazyAboutYou」ですね。西海岸のインディーロックテイストがある曲。これはずっとやりたかった感じでもあり、最近のメインストリームでもちょっと来るんじゃないかなって思ってるんです。
──この曲の後半、展開するところのサウンドを聴いたとき炭酸飲料を思い浮かべました(笑)。
片桐 あはは、確かに!(笑)
河井 作ってるときに炭酸感はあんま意識してなかったですね(笑)。でも、今回のアルバム、実は初めての夏リリースなんですよ。いつも真冬のリリースだったのでサマーチューンが入れられなかったんですね。だから、今回は全体的に夏感を出したいなって思ってたところはありますね。
──じゃあ、炭酸飲料というイメージはあながち間違ってない。
河井 間違ってないです。というか、コーラのCMにでも使ってもらえないかな(笑)。
ここらでMAY'S=ニュージャックを確立したいなと
──最新モードとは反対に、MAY'Sのルーツを表現してるのは「YOU & I feat. LL BROTHERS」ですね。モロにニュージャックスウィングに取り組みました。
河井 そうですね。ここらでMAY'S=ニュージャックっていうのを確立したいなと思って。世間一般的にニュージャックのイメージがわかりやすくある人はLL兄さんたちかなと思ってオファーしたんです。
──曲作りはどのように進めたんですか?
片桐 ラフなトラックを作ってからLLさんに渡したんです。LLさんはお兄さんのTakanoriさんが制作担当なので、そこからはTakanoriさんと私がやりとりして、歌詞の方向性やメロディを詰めていきました。年齢的にもあちらがお兄さんなので、年の差カップル的な曲をやろうかって話したんです。
河井 で、どうせならっていうことで、あの頃のバブリーな感じを出してもらおうと。それで、クルーザーとかシャンパンとか、ラグジュアリーな感じのフレーズを歌詞に入れてもらったんです。
──楽曲の世界観としては、ボビー・ブラウンとホイットニー・ヒューストンが歌った「Something In Common」を想起しました。
河井 そうですね。あとはBabyfaceとトニー・ブラクストンの「Give U My Heart」とか。ああいう甘酸っぱい男女デュエットのニュージャックにしたいなと思ってたんです。
CD収録曲
- Intro ~Prologue Of Smiling~
- SKY
- Smiling
- CrazyAboutYou
- Devil's Girlfriend
- あなたを愛してる feat. 中村舞子
- 日曜日の歌
- BONDS
- Bad Man feat. DOBERMAN INC
- 今宵、月の下で feat. 上妻宏光
- I Remember You
- Honey
- YOU & I feat. LL BROTHERS
- 夏がくれたストーリー
- 運命のバラード
- Outro ~Keep On Smiling~
- STAY TOGETHER / NATURAL8
(ボーナストラック)
初回限定盤DVD収録内容
- BONDS
- SKY
- Smiling
CD収録曲
- My Everything (NBZ House Remix)
- Forever (NBZ "Eien" Remix)
- Can't Say "I Love You" (STUDIO APARTMENT Remix)
- BONDS (TSUGE a.k.a. LIL Remix)
- ONE LOVE feat. Nieve, Tunji (NBZ Hip Hop Remix)
- Spread Your Wings (Dj Chika Remix) feat. M.V.P from M-ST★R
- Daydream (DJ Deckstream Remix)
- REAL (DJ WATARAI Remix)
- Appreciation (NBZ R&B Remix) feat. Herb "Q" Kentrick
- Brave Heart (NBZ Smooth Remix)
- I WISH (NBZ June Bride Remix)
- MaMa (NBZ 90's Remix)
- LOVE (Urban Mellow Remix)
- KISS ~Unforgettable "Aishiteru" ~ (NBZ Ballad Remix)
- My Love All For You (NBZ "Kimi ni Todoke..." Remix)
MAY'S(めいず)
片桐舞子(Vo)と河井純一a.k.a NAUGHTY BO-Z(トラックメーカー)による2人組ユニット。インディーズ時代よりR&Bシーンで注目を集め、2006年発売のアナログ12inchはCISCO、DMRのチャートで1位を記録。2008年7月にシングル「My Everything」でメジャーデビューを果たす。2011年秋には舞子が声帯結節をわずらい、およそ半年間の活動休止を余儀なくされたが、2012年3月9日に東京・Shibuya O-EASTで行われたワンマンライブ「THE FACTORY presents MAY'S RETURN LIVE "39"」で完全復活。6月13日にニューアルバム「Smiling」とリミックスアルバム「Remaking ~Remix Collection Vol.2~」を同時リリースする。