ナタリー PowerPush - 摩天楼オペラ

新境地を切り開く新曲とヴィジュアル系へのこだわり

どの曲もシングルとしていけるクオリティで作ってる

燿(B)

──今回は初回限定盤と通常盤でカップリング曲が異なります。初回限定盤の「Sleeping Beauty」はミディアムテンポのメロウな楽曲で、今まで摩天楼オペラを聴いてきた人には入りやすい曲かなと思うんですが、この曲はどういったことをイメージしてできたんですか?

 「Sleeping Beauty」は僕が作詞作曲を手掛けたんですけど、今まではスローな曲ってAnziや彩雨が作ることが多かったんです。僕はあまりそういう曲を作ったことなかったんだけど、特にシングルのカップリング曲を作ろうとか意識せずに、こういう曲をやりたいなってギターをかき鳴らして作りました。

──曲作りでは「これはシングル向き」「これはアルバム用」と意識して書き分けたりしますか?

 「落とし穴の底はこんな世界」に関しては、今とはイントロやサビがちょっと違う原曲を苑が持ってきて、「ここを変えたらかっこいいシングルになるんじゃないかな」って手を加えていったんです。そういう意味では、シングルをイメージして作り替えたっていうのはありますね。

 ゼロから曲を作る際に「シングル用の曲を作ろう」って考えることはないですよ。たまたま完成した曲が「おや、これはシングルにいいんじゃないか?」ってなることはあるけど。

Anzi でも、基本的にはどの曲もシングルの表題曲としていけるようなクオリティで作っているつもりです。

──なるほど。で、通常盤のみに収録される「Diorama Wonderland」は、デジタル要素を取り入れたアッパーチューンです。この曲は彩雨さんと苑さんで作曲していますが。

 彩雨が原曲を持ってきたんですけど、僕がサビメロをちょっと変えさせてもらってシンフォニックなメロディを付けたんです。

──今回の3曲の中で、この曲は英語詞のパートが一番多いですね。

 普段は日本語詞で、なるべく聴き手に伝わりやすい言葉を使うよう意識してます。「Diorama Wonderland」は確かギターリフができてからこのメロディになったんですけど、英語詞がとても似合うメロディだと思ったのでこういう感じになりました。多分、今までで一番英語詞の比率が大きいんじゃないかな。

ヴィジュアル系代表としてほかのフィールドで戦いたい

彩雨(Key)

──このシングルに収録された3曲は従来のファンだけでなく、それこそ皆さんが影響を受けてきたメタルシーンのファンにも届きやすい楽曲だと思うんです。摩天楼オペラはヴィジュアル系シーンで活動していますが、今後「LOUD PARK」みたいなハードロック、ヘヴィメタルのシーンに出ていって勝負したいって気持ちはありますか?

 もちろんあります。いろんな人にCDを聴いてほしいしライブを観てほしいし。でも、そこはヴィジュアル系代表というか、ヴィジュアル系バンドとして勝負したいですね。

 そこで化粧を落としたら、なんで今まで化粧してたのかってことになるし。そこはブレずに、ちゃんと自分たちの世界観を保ったままほかのジャンルのフィールドで戦いたいです。

──摩天楼オペラにとって「ヴィジュアル系」という要素はそれだけ大事なものなんですね。

 摩天楼オペラの曲と世界観を表現するには、このヴィジュアルは絶対に必要なものだと思ってます。でも、僕個人が外でなにか活動するなら、ガチガチにメイクするかどうかはわからないかな。

──あくまで、見せ方としてのこだわりの1つだと?

 そうですね。どのジャンルでもあると思うんですよ。パンクバンドにTシャツとハーフパンツ姿が多いのだって、ある意味一緒なんじゃないかなと。その姿を見ればどんなジャンルの音楽をやっているかわかるし、それがヴィジュアル系だったらメイクや衣装に特徴が出ているってことなんだと思います。

セカンドシングル「落とし穴の底はこんな世界」 / 2011年10月19日発売 / キングレコード

  • セカンドシングル「落とし穴の底はこんな世界」 / 2011年10月19日発売 / 1500円(税込) / KICM-91364 / Amazon.co.jpへ
収録曲
  1. 落とし穴の底はこんな世界
  2. Sleeping Beauty
初回限定盤DVD収録内容
  • 「落とし穴の底はこんな世界」MUSIC CLIP+ディレクターズカット
セカンドシングル「落とし穴の底はこんな世界」 / 2011年10月19日発売 / 1050円(税込) / KICM-1365 / Amazon.co.jpへ
収録曲
  1. 落とし穴の底はこんな世界
  2. Diorama Wonderland
摩天楼オペラ(まてんろうおぺら)

アーティスト写真

2007年に結成されたヴィジュアル系ロックバンド。2008年に苑(Vo)、Anzi(G)、燿(B)、悠(Dr)、彩雨(Key)という現在の編成になる。叙情的な歌詞とシンフォニックメタルからの影響が強いサウンドが特徴で、国内のみならず海外でもCDリリースやライブ活動を展開。2010年5月に初のホールワンマンライブを渋谷公会堂(当時・渋谷C.C.Lemonホール)で実施した。同年12月にはミニアルバム「Abyss」でメジャーデビュー。2011年7月にリリースしたメジャー1stシングル「Helios」は、オリコンウィークリーチャート初登場16位を記録した。