lyrical school|生まれ変わり突き進むアイドルラップ道

オリジナルメンバーの卒業、新メンバーの加入を経て、今年5月にminan、hime、hinako、yuu、risanoの5人体制での活動をスタートさせたlyrical school。大きく生まれ変わったリリスクのスタイルはじわじわと浸透し、また新たなうねりを作り上げつつある。12月16日には約半年間の集大成を見せる場となる大舞台、東京・LIQUIDROOMでのワンマンライブ「lyrical school one man live 2017 "TAKE ME OUT"」の開催も決定。12月19日には現体制で2作目となるニューシングル「つれてってよ / CALL ME TIGHT」もリリースされる。5人はこの半年でどのような道を歩み、どのように新生リリスクとしてのアイデンティティを獲得したのか。メンバー5人とプロデューサー・キムヤスヒロ氏に話を聞いた。

取材・文 / 臼杵成晃 撮影 / 沼田学

オリジナルメンバー脱退、新体制へ

──lyrical schoolからオリジナルメンバーのayakaさん、meiさん、amiさんが2017年2月のライブをもって卒業するという発表があったのが去年の12月21日でした(参照:lyrical schoolから初期メンバー3名卒業、新体制での活動へ)。

hime えっ!? もう1年も経つんだ? びっくりした。

──minanさんとhimeさんは途中でリリスクに加入しているので、結成時のメンバーがいなくなったリリスクを引っ張っていくプレッシャーがあったのではないでしょうか。

hime

hime 私はtengal6時代からのファンだったので、オリジナルメンバーが抜けてしまうことは悲しかったし、私も辞めようかなとも考えたんですけど、プロデューサーのキム(ヤスヒロ)さんと話したときに、私も目指しているところは一緒だなと思ったんです。それで、やっぱり続けようって。

──大好きなlyrical schoolの目標のためには、ここで止めるわけにはいかないぞと。

hime はい。

minan 私は悲観というよりも、「新メンバーにいい子が入ってくれるかな」という不安のほうが大きかったですね。

──卒業発表のあと、12月29日のワンマンライブを経て(参照:リリスク全国ツアーZepp Tokyoで完結、現体制ラストライブは2月に新宿で)、前体制ラストライブを控えた年明けの1月16日にメンバー募集が開始しました(参照:lyrical school新メンバー募集開始、熱く強い気持ちがあれば経験不問)。3人はこの募集を目にして今ここにいるわけですね。

risano そうですねー。

──そして2月26日のワンマンライブ「lyrical school one man live 2017 “ラストソング”」で前体制での活動が終了しました(参照:「リリスクはまだ終わりません!」現体制ラストライブで涙こぼし歌った“9本のマイク”)。ここから現体制で動き出すまでの空白が3カ月ほどありました。

hime minanさんと2人でのお仕事はあったんですけど、やっぱりライブではなかったので、新体制のお披露目ライブまでは不安でしたね。あと、私は新メンバーを4人入れて6人になると思ってたんですよ。「もう一度新しい6人で始めて」という自分が勝手に想像していたイメージとは違っていて。

minan

minan それ私も思った。なのでメンバーが決まったときは、ちょっと気持ちが追い付けない部分もありました。

──“6本のマイク”はリリスクを象徴するスタイルでありフレーズでしたからね。あとはリリスクのファン、“ヘッズ”の皆さんが新しい体制になって離れてしまう不安もあったのかなと。

minan いや、もちろんありました。それに、オリジナルメンバーも私たちが続けていくことに複雑な気持ちもあるんじゃないかなと思いましたけど……それでも「やるしかない!」って。

hime 離れてしまうヘッズの方は絶対にいるだろうけど、それよりも増えるほうに期待しようって考えました。でも、3人がいなくなることで離れちゃうかなと思ってたヘッズのみんなも、いい感じに分散して新しい3人のことを推してくれていて(笑)。「みんなlyrical schoolというグループそのものが好きなんだな、よかったな」って思いました。

新メンバー加入、それぞれの思い

──risanoさん、yuuさん、hinakoさんの3人は1月のメンバー募集を見つけて、なぜリリスクに入ろうと思ったんですか?

lyrical school

hinako ハクション!(くしゃみ)

yuu ふふふふふ(笑)。

──どういう経緯で加入に至ったのか、1人ずつ教えてもらえますか?

risano 私はロサンゼルスに2年半ダンス留学をしていたんです。歌って踊れるアーティストになるのが夢だったので、日本に帰ってきていろんなオーディションを探していたときに見つけたのがリリスクでした。正直、私はアイドルに全然興味がなかったんですけど、YouTubeでリリスクを観てみたらすごくカッコよくて。「こういうカッコいいアイドルもいるんだな」と思って、すぐに応募しました。

yuu 私はダンスと歌を小さい頃からやっていて、ずっとアーティストになりたいという夢があったんです。18歳のときに上京してがんばってたんですけど、一度諦めて兵庫の実家に帰ってしまって。何もしていなかった時期に、友達だったrisanoから「こんなオーディションがあるんだけど、まだアーティストになりたい気持ちがあるなら、一緒に挑戦してみない?」って誘われたんです。

hinako 私はTwitterを始めたときに上に出てきたので。Twitterを始めるにあたって誰かフォローしなきゃいけなくて、とりあえずフォローしたんですよ。そのとき上にあったのがリリスクで、たまたま見たら募集してたので、押して、送信して、こうなりました。

──えっ?

yuu Twitterの「おすすめユーザー」にリリスクが出てきたみたいで(笑)。

──すごくわかりにくいですね(笑)。リリスクの公式アカウントをフォローしてたらちょうどメンバー募集が始まったので、受けてみたと。先の2人のように、もともとアーティストになりたいという目標があったんですか?

hinako 友達に「アイドルやれば?」って言われたりしてました。文化祭とかで踊ってたんですけど、「アイドルのほうがいいんじゃない?」って。それで1つ別のアイドルのオーディションを受けようとしたんですけど、体調不良で面接に行けなくて。そのあとTwitterを始めたら、上に出てきて……。

risano またそのくだり(笑)。

──オーディションの選考にはminanさんとhimeさんも参加したんですか?

hime はい。risanoの面接はちょうど学校があったので行けてないんですけど、yuuちゃんとhinakoの面接には立ち合いました。私はラップのスキルばかり気にして、この子が入ったらバランスがどうとか、そういうところにはあまり意識がいってなくて。あまり意見してなかったんですけど、唯一yuuちゃんだけめっちゃ推しました。みんな最後に特技を披露してもらったんですけど、yuuちゃんはその場でアカペラで歌ってくれたんです。

yuu カラオケ音源を探してもらったんですけど見つからなくて、「じゃあアカペラで歌います」と言ってはみたものの、歌ったら歌詞もぐちゃぐちゃで。

hime でもそれがすごく響いたんですよ。

動き出した新生リリスク

──オーディションの結果3人が新メンバーに選ばれて、5月21日にお披露目ライブが行われました(参照:lyrical school新章の始まり、ワンマン&フリーライブで夏先取りの新曲披露)。

risano (レポート記事を見て)うわあ懐かしい。まだ赤ちゃんの顔してる。

hime してないよね。そんな前じゃないよね。

yuu あはははは(笑)。

──お披露目ライブでrisanoさんを観たとき、歴代のリリスクメンバー全員の要素を凝縮したみたいな人だなという印象を持ったんですね。最初からすでにリリスクっぽかった。

risano ああー、うれしいです。

──yuuさんも似た印象ですが、risanoさんが主にリリスクの元気な部分を継承しているとしたら、yuuさんはリリスクのほんわかした部分を受け継いでいると言うか。そんな中で、hinakoさんだけ今までのリリスクにまったくなかった要素を持ち込んでいる感じがあって、そこがまた面白いなと感じました。皆さんとしてはお披露目ライブはいかがでしたか?

minan 3人はみんなダンス経験者で、ダンスの飲み込みは早いし、ラップもすぐにできるようになったし……hinakoは滑舌悪いけど(笑)、以前の曲も自分なりに解釈して対応してくれて。あとはどうやってそれぞれの個性を出していくかと考えながらのスタートでした。

──3人は実際にリリスクメンバーとしての活動をスタートさせてみて、「付いていけないかも」みたいな不安はありませんでしたか?

hinako それはありましたよ。2人(himeとminan)は自分のものにして歌ってるし、この2人(risanoとyuu)も付いていってるけど、私は舌が回らなくて。でも見て学ぶしかないから、とにかく見てました。

yuu 最初は「個性をどうやって出していこう」という葛藤があったんですけど、最近はあまり考えず自由に楽しくやれています。

risano 私はそこまで不安はなくて、毎回のライブが楽しかったんですけど、一度前体制の曲を初めて披露するという日に、歌詞がぶっ飛んでぐちゃぐちゃになってしまって。それがトラウマみたいになってしまって、新しくお披露目をするときは毎回めちゃくちゃ緊張します。

──新メンバー3人がそうやって少しずつリリスクになじんでいる一方で、himeさんとminanさんがどんどん頼もしい存在になっているなと感じます。himeさんはスキルの安定感もさることながら、ボスのような風格すらあって。

lyrical school

hime あははは(笑)。でも私、メンバーの中で一番歳下なんですよ。

──minanさんはリリスクの体幹をしっかり支える存在と言うか、この人がいれば何があっても揺るがないと思えるような強さを感じます。

minan 前は途中加入ということもあったから、できるだけ自分を抑えなきゃ、元からいるメンバーより目立たないようにしなきゃという気持ちがどこかあって。今もそこまで自分から前に出たいとは思わないけど、前とは気持ちの部分が変わったのかなと思います。

hime うんうん、わかる。私はもともとファンだったから、入ってすぐの頃に取材で「リリスクさん」とか言っちゃって(笑)。最近は自分がリリスクだと名乗りやすい……名乗りやすい? 堂々とリリスクのhimeだと言えるようになりました。

lyrical school「つれてってよ / CALL ME TIGHT」
2017年12月19日発売 / BootRock
lyrical school「つれてってよ / CALL ME TIGHT」初回限定盤A

初回限定盤A [CD]
1350円 / BRTW-1046

Amazon.co.jp

収録曲
  1. つれてってよ[作詞:SUEKKO LIONS(c) / 作・編曲:坪光成樹、高橋コースケ]
  2. CALL ME TIGHT[大久保潤也(アナ) / 作・編曲:Anutha]
  3. つれてってよ ENJOY Xmas!!! Remix
    Remixed by 江本祐介(EMC)
  4. つれてってよ(INST)
  5. CALL ME TIGHT(INST)
lyrical school「つれてってよ / CALL ME TIGHT」初回限定盤B

初回限定盤B [CD]
1350円 / BRTW-1047

Amazon.co.jp

収録曲
  1. つれてってよ
  2. CALL ME TIGHT
  3. CALL ME TIGHT - Jun Kamoda Remix
    Remixed by Jun Kamoda
  4. つれてってよ(INST)
  5. CALL ME TIGHT(INST)
lyrical school「つれてってよ / CALL ME TIGHT」通常盤

通常盤 [CD]
1080円 / BRTW-1045

Amazon.co.jp

収録曲
  1. つれてってよ
  2. CALL ME TIGHT
  3. つれてってよ(INST)
  4. CALL ME TIGHT(INST)
lyrical school one man live 2017 "TAKE ME OUT"
  • 2017年12月16日(土)東京都 LIQUIDROOM
    OPEN 15:00 / START 16:00
lyrical school「つれてってよ / CALL ME TIGHT」発売記念イベント
  • 2017年12月17日(日)東京都 タワーレコード錦糸町店
  • 2017年12月18日(月)インターネットサイン会
  • 2017年12月19日(火)東京都 タワーレコード新宿店
  • 2017年12月20日(水)神奈川県 タワーレコード横浜ビブレ店
  • 2017年12月21日(木)東京都 TSUTAYA IKEBUKURO AKビル店
  • 2017年12月22日(金)東京都 池袋サンシャインシティ噴水広場
  • 2017年12月23日(土・祝)東京都 タワーレコード新宿店
  • 2017年12月24日(日)東京都 新宿マルイメン屋上
lyrical school(リリカルスクール)
lyrical school
「清純派ヒップホップアイドルユニット」というコンセプトのもとオーディションで選ばれた、ami、ayaka、erika、mariko、mei、yumiという6人のメンバーにより2010年に結成。「tengal6」というユニット名で活動し、ハイクオリティな楽曲と「アイドルラップ」という特異なスタンスで大きな支持を集めた。2012年にタワーレコードのアイドルレーベル・T-Palette Recordsに移籍し、それを機にユニット名を「lyrical school」に改名した。2013年にはmarikoとerikaの卒業を受け、hinaとminanが加入。2015年12月にhinaが海外留学のため卒業し、himeが新たに加入した。2016年4月にシングル「RUN and RUN」でキングレコードからメジャーデビューを果たす。同年9月にyumiが脱退し5人体制となり、2017年2月にami、ayaka、meiが卒業。その後オーディションを経て3名が新たに加入し、minan、hime、hinako、yuu、risanoの5人体制がスタートした。7月に自主レーベルより現体制第1弾シングル「夏休みのBABY」をリリース。12月にはニューシングル「つれてってよ / CALL ME TIGHT」を発表し、東京・LIQUIDROOMでワンマンライブを行う。