音楽ナタリー Power Push - ラックライフ

目標は「お客さん全員友達化」!? 変わらぬ思い持ちメジャーデビュー

「それジュディマリみたいになるんちゃう?」

──カップリング曲の「ブレイバー」「ストレンジマン」はこれまでの作品にも見られたようなアップテンポなナンバーですね。

このシングル用に作ったわけでなく、今まで作ってきた楽曲の中の2曲ですね。「名前を呼ぶよ」がバラードだったんで、「なめんなよ!」みたいなのもちゃんと入れようと思って。

──パンチのある楽曲を盛り込んだと。

「ブレイバー」はマイナー調の四つ打ちっていう、ラックライフにはあまりないパターンの曲なんですね。「こんなん思い付いたからやろうや」っていろいろやってみて、「ええやん」の延長でできてしまったというか。完成したときは「俺らやればできるやん!」ってテンション上がりましたね。

──歌詞についてはいかがでした?

「めっちゃPONやな」って言われるような内容にまとまりました。僕が歌詞を書くときは、基本ネガティブ発信のポジティブ思考なんです。何か考え込んでて、後半になるにつれてがんばりたいって思いが強くなっていくというか。

──「ストレンジマン」も「誰かと誰かは愛し合うくせに 誰かと誰かは殺し合って」「僕らはそのうち灰になる」とネガティブな歌詞でスタートしますね。

ラックライフ(撮影:河上良)

でも、もともとはおふざけで作った曲だったんです。楽器のセッティングしてるときにギターのイコちゃんがなんとなく弾いたフレーズを聴いたら「それジュディマリ(JUDY AND MARY)みたいになるんちゃう?」って話になって。まあ全然ならなかったんですけど(笑)。

──ははは(笑)。 曲のテーマは?

10年ぐらい前、先輩がライブのMCで「死ぬってわかってるのにヘラヘラ笑ってられるのは人間だけだ」って言ってたんですね。それ聞いたときにすごく納得したんですけど、ちょうど「ストレンジマン」を作ってるときに思い出したんです。死ぬのは怖いけど、なんとなく明日も生きれるって考えて暮らしてるっていう、人間のようわからへんとこをわからないまま歌にしたんですよ。

──あえて答えは出さなかったと。

自分の中では全然結論は見えてないんですよ。死ぬのは怖いし、考え出したら震えるくらい怖がれるし。だけど5分後には忘れてしょうもないことをしてる自分もおるし。そうやってこの先も生きていくんやろなっていう漠然としたものというか、そういうのをポップに表現したかったんです。人が生きるとか死ぬとか、むちゃくちゃ重たい話やないですか。けどそれを感じさせない明るいサウンドに乗せて、熱くなりすぎないテンションで言いたかったんです。

──楽曲のアレンジは精巧に作られている印象を受けたんですが、これはバンド内で相談しながら?

そうですね。みんなで「あれいいな」「これやろう」って盛り込んでく感じで。もちろん無茶苦茶なことになってしまうこともあるんですけど、最終的には僕がみんなの演奏を聴いて「それいらん、やめて」ってバランスを取ってます。

心込めなヤバいやん

──6月にはツアーも始まりますが、これはどんな内容になりそうですか?

全部ツーマンでやる予定なんですけど、これまで全然関わりのなかったような人とやってみたいとは思ってます。今までの対バンって友達とか先輩のバンドばっかりだったし、メジャーデビューって大きい武器になるじゃないですか。だからこそ新しい人たちとどんどん一緒にやっていきたいですね。

──ライブのMCではものすごくウエルカムな雰囲気で、お客さんを歓迎しているのが印象的でした。しっかりと観客を意識しているというか。

ライブハウスは15歳の頃から入り浸ってきたから、自分が生きてる中で一番何かを感じられる場所なんですよ。非日常と思われている場所だけど、僕にとっては日常的な場所だし、あそこでしか会えない人もたくさんおったし。逆にライブハウスでしか会えない人がいっぱいいるって考えたら……ヤバいなって。わざわざ会場に来てくれて歌を聴いてくれる人がたくさんおるんなら、心込めなヤバいやんって思ったんです。

──自然と生まれてくる感情だったと。

僕は昔からライブは「友達と居酒屋でサシ飲み」っていう距離感のイメージなんです。どんだけ広い会場で何人いたとしても、1人ひとりとサシ飲みしてしょうもない話もできるくらいのテンションのライブをしたいって思ってますね。物販に立つんじゃなくて、ステージと客席っていう距離感でもなんでも言えちゃうような関係性を作れたらなって。

──そんなふうにお客さんを意識し始めたのはいつ頃から?

もう最初からですね。でも正直言うと、結成してすぐは遊び場としてライブハウスを使ってた感覚だったんです。目立てて、友達が50人ぐらい観に来てくれてわーって騒げる場所ってないじゃないですか。でもライブの回数を重ねているうちに新しく友達もできたし、音楽が好きな人も来てくれて、お客さんに対する意識も強くなっていったんです。今でもライブ中に「あの人めっちゃ笑かしたろ」って思ったりするし(笑)。つまんなそうにしてる人をどうにか30分で惹きつけて右腕を上げさせたいとか。昔からなんにも変わってないけどそういうほうが面白いですし、そうでありたいですね。

──もう1つライブで気になっているのが、PONさんが裸足でパフォーマンスを行っていることで。

もともと僕はJ-POPが大好きだったんですよ。だから矢井田瞳さんとか、裸足で歌ってる人に憧れてて(笑)。

──最近靴を履き出したとのことでしたが、このきっかけは?

ふとしたときに「これただの野生児ちゃうん」って気付いて……。それで靴を履き始めたら違和感はあったんですけど、別にいいかなってなりました。そんなにこだわりもなかったみたいです(笑)。まあ裸足だとエフェクターとか踏みづらいし、血まみれなってることもあるので……。

ラックライフ(撮影:河上良)

──これからメジャーでの活動がスタートしますが、目標はありますか?

11年やってきたけど焦ったりせんかったし、ずっと「心込めて音楽やってったら絶対売れるから」って思ってましたから、続けていくっていうのが目標です。これがなくなってしまったら何もできなくなってしまうし、ちゃんと続けていたら、気付いたときには武道館にいると思うんです。だから今は、届けられる人にちゃんと音楽を手渡ししていくのが一番ですね。今までも「これやったらおもろいかな」っていうノリでずっとやってきたんですよね。突然BIGCATとかなんばHatchを押さえたりしたのも、どうにかなると思ってたからだし。周りの人に対しても、僕たちの勢いが刺激になったらうれしいですね。

──直近で具体的にやってみようとしていることは?

今なんばHatchで2ステージ組んでイベントをやってるんですけど、ゆくゆくは東京でも同じようなことをやってみたいです。極端な話、お客さん全員と友達になれたらいいなって思うんですよね。身内ノリって悪いイメージがあると思うんですけど、「いっそジャパニーズ全員を身内にしたら、こんな楽しいノリないぞ!」って先輩が言ってて(笑)。でも僕はその考え方に感銘を受けて。同じものが好きで、同じところに集まる人が隣にいるんだから、ライブハウスぐらいはそうなってもいいんじゃないかな。

──もしラックライフ主催で大規模なフェスをやったら、すごく平和な雰囲気になりそうですね。

はははは!(笑) そういうのやってみたいですね!

ラックライフ メジャーデビューシングル「名前を呼ぶよ」レコ発ツアー

2016年6月24日(金)
東京都 Shibuya eggman
2016年7月2日(土)
愛知県 CLUB ROCK'N'ROLL
2016年7月9日(土)
大阪府 OSAKA MUSE

※各公演ゲストの出演あり。

ラックライフ

2005年に高校の同級生であったPON(Vo, G)、イコマ(G, Cho)、たく(B)、LOVE大石(Dr)の4名で前身バンドを結成し、大阪・北摂を中心に活動を開始。2008年「ラックライフ」に改名し、全国でのライブ活動を積極的に行った。2010年からは自主企画「GOOD LUCK」もスタートさせ、現在までに30回以上実施している。2013年に事務所内のインディーズレーベル・I WILL MUSICに所属し、2014年5月にシングル「ハルカヒカリ」を発売。2015年8月リリースのシングル「変わらない空」の表題曲はテレビアニメ「純情ロマンチカ3」のエンディング主題歌に使用された。2016年1月にはランティスからメジャーデビューすることを発表。5月に同レーベル所属後初のシングル「名前を呼ぶよ」をリリースした。