音楽ナタリー Power Push - ラックライフ

目標は「お客さん全員友達化」!? 変わらぬ思い持ちメジャーデビュー

人に対しての思いを歌う曲がラブソング

──タイアップは今回が2度目で、前作「変わらない空」はテレビアニメ「純情ロマンチカ3」のエンディング主題歌に選ばれました。「変わらない空」はどのように作られたんでしょうか。

ラックライフ(撮影:河上良)

このときは「アップテンポのラブソングが欲しい」っていうアニメのスタッフさんからの要望があったんですね。こういう楽曲が欲しい、っていうお題を与えられて作るのはこのときが初めてでしたけど、すごい面白かった。自分では自覚していなかった可能性を引き出してくれたというか。

──これまでにラブソングを制作したことはありましたか?

意識的に作ったことはなかったし、むしろ苦手意識があったんです。でもファンからは自分らの曲に「これラブソングですよね?」って言われることが多くて。それで、人に対しての思いを歌う曲はみんなラブソングなんじゃないかなって考えるようになったんです。「がんばれよお前は!」っていうのも、「俺はがんばりたいんや!」っていうのもそうだし。それからはラブソングを作るのが楽になって、「変わらない空」はすぐに完成しました。

──「名前を呼ぶよ」もテレビアニメ「文豪ストレイドッグス」エンディング主題歌に使用されていますが、こちらはどうでした?

原作を読んで自由にどうぞ!って感じでしたね。あとはバラードがいいって言われたぐらいかな。で、原作を読んでみたらバチバチのバトルマンガだったんですよ(笑)。「これでバラードか!」ってなったんですけど、あるキャラのセリフで「人は誰かに生きてていいよって言われないと生きていけない」っていうのがあって。それって自分にもバンドにも、すごく重なる部分だったんですよ。そこをきっかけに、普段自分が考えていることを曲に盛り込んでみたんです。

──PONさんが考えていたこととは?

11年もバンドを続けてきて、しんどいことも山ほどあったけど、なんでやってこれたんかなって考えてみたら、「ラックライフめっちゃ今日よかったよ」とか「普段聴いてがんばれてます」とか、お客さんの何気ないひと言のおかげだったんですよね。それがすごい支えになっていたし、支えてくれた人がいたからこそ今があるわけで。

──なるほど。

それで支えてくれた人たちを、今度は自分たちも支えられるようになりたいというか。名前を呼べるわけじゃないですけど、僕らがステージでこの歌を歌うことで、その人たちの心のよりどころになれたらいいなって思います。

自分たちの音楽がブレなかったら構わない

──ちょうど今までやってきたことを振り返るような楽曲に仕上がったと。

本当ジャストフィットだったんですよ。しかもこれがメジャーデビューシングルっていうめちゃくちゃ大事な場面で、自分が今までやってきた過程の歌ができたのはすごくうれしくて。アニメの監督さんと打ち合わせしたときもテーマに共感していただいて。3月にライブで初披露したとき、泣きながら曲の解説をしたんです(笑)。でも「PONがんばれー」って笑いながら話してた人も、曲始まったら泣いてて。

──メジャーデビューにあたって、周りの反応はいかがでしたか?

「変わっちゃうんじゃないか」とか「寂しいです」って言われるんですけど「俺ら変わってないやん!」「きっと大丈夫やわ!」って思ってます。新曲を「いいじゃないか!」って言ってくれる制作チームの中で活動できてるし、新しい楽曲を喜んで聴いてくれるお客さんもいますし。いいやつに囲まれてるのがわかってうれしくなりました。

──メジャーデビュー作がバラードかつアニメとのタイアップ、さらにアニソンを多くリリースしているランティスというレーベルからのデビューというのはどう感じていますか?

PON(Vo, G)(撮影:河上良)

正直、今の事務所に所属する前は抵抗がありました。ロックバンドとして活動していきたい気持ちがありましたし。でも事務所内のインディーズレーベル、I WILL MUSICでリリースを重ねていくうちに、考え方が変わっていったんですよね。結局大事なのは誰と何をするのかなので。アニソンだったらめっちゃいろんな人に聴いてもらえるし、こんなチャンスないし。それに自分たちがやってきたライブのやり方を続けていけば、いい意味で何も変わらないんじゃないかって。自分たちの音楽がブレなかったら構わないんです。それをnano.RIPEの活動を見てて感じたんですよね。

──具体的にはどの点ですか?

彼らはモロアニソンバンドって感じだと思うんですけど、やってる曲はバリバリのロックなんですよね。それを見てたら大丈夫って思えたんです。客層のチェンジはあるかもしれへんけど、今まで来てくれた人が離れたくないって思えるライブを続ければいいし、アニメから入った人にも「ライブハウスってこんなとこなんやで」「俺たちこんなふうにやってきたんやで」って言えるような、強い意志があれば気に入ってもらえるだろうし。だからこのタイアップの話をいただいたときも「ウェーイ!」って手放しで喜べましたね。

ラックライフ メジャーデビューシングル「名前を呼ぶよ」レコ発ツアー

2016年6月24日(金)
東京都 Shibuya eggman
2016年7月2日(土)
愛知県 CLUB ROCK'N'ROLL
2016年7月9日(土)
大阪府 OSAKA MUSE

※各公演ゲストの出演あり。

ラックライフ

2005年に高校の同級生であったPON(Vo, G)、イコマ(G, Cho)、たく(B)、LOVE大石(Dr)の4名で前身バンドを結成し、大阪・北摂を中心に活動を開始。2008年「ラックライフ」に改名し、全国でのライブ活動を積極的に行った。2010年からは自主企画「GOOD LUCK」もスタートさせ、現在までに30回以上実施している。2013年に事務所内のインディーズレーベル・I WILL MUSICに所属し、2014年5月にシングル「ハルカヒカリ」を発売。2015年8月リリースのシングル「変わらない空」の表題曲はテレビアニメ「純情ロマンチカ3」のエンディング主題歌に使用された。2016年1月にはランティスからメジャーデビューすることを発表。5月に同レーベル所属後初のシングル「名前を呼ぶよ」をリリースした。