音楽ナタリー PowerPush - LiSA
揺るぎない確信と“PiNK & BLACK”を手に ネクストステージにぶっ放す快作「Launcher」
武道館を越えた私が歌いたくなるアルバム
──今回はニューアルバム「Launcher」の聴きどころを伺う企画なのに、なぜ武道館のことを振り返ったかというと、今作も「“PiNK”なLiSAと“BLACK”なLiSAのハイブリッド」というコンセプトをさらに推し進めた1枚だなっていう印象を受けたからなんです。
まさにそうですね。去年はまず「Rising Hope」で「LiSAといえば、こういう強いロック」っていうサウンド、“BLACK”的なサウンドをやらせてもらって、続けて“PiNK”と“BLACK”の両極に振り切った「BRiGHT FLiGHT / L.Miranic」を出していて。で、年末にはバラードの「シルシ」とミディアムチューンの「No More Time Machine」っていう“PiNK”サイドの2曲が入ったシングルもリリースして。その5曲を歌ったことで自分のキャパシティとか力量を確かめられた気がしたんです。
──かなりデカかったですね、LiSAさんのキャパ(笑)。
「あれっ!? 私、ピンクもけっこう似合ったんだ」って感じでしたね(笑)。だから去年のシングル曲を聴き直したときにもう1つ思ったのが「今のLiSAがやりたいこと、やるべきことの基準になる曲はすでにあるから、アルバム用の新曲はすごく自由に作れるな」ということで。「アルバムなんだし、1曲はバラードがあるべきだよな」みたいなことに頭を悩ませない。「『シルシ』っていう強いバラードがすでにあるんだから、もうバラードは十分」っていう作り方ができた。今年の武道館を越えた私がきっと歌いたくなる曲を集めたアルバム、“PiNK”なLiSAと“BLACK”なLiSAの未来の姿を強く打ち出したアルバムを作れるなって思えたんです。
武道館を越えたらたぶん、無敵になっちゃう!
──武道館後のLiSA像って具体的には?
「武道館を越えたらたぶん私、無敵になっちゃう!」って思ってました(笑)。
──確かにこのアルバムって“無敵感”がハンパないですよね。リードトラックの「Mr.Launcher」からして「ボーダーライン越えたら 今はとびきりのビッグマウス いつか見せるんだ 僕が勝ち取った最強のピースを」「カミサマが呆れるまで 何回も何回も立ち上がれ まだ終われない」と本当に負けないLiSA像を歌っている。
言葉もそうだし、サウンドもそうなったと思ってます。アルバムタイトルの「Launcher」自体、言葉の意味のまんま。「発射」とか「発進」っていう意味を込めて付けたものですし、リード曲でアルバムのオープニング曲でもある「Mr.Launcher」もとにかく強い曲、発射されたが最後、アルバムを聴く人をここから1回も休ませないっていう宣言になる曲にしようと思って詞を書きましたし。作曲のHIDEO NEKOTAさんにも「とにかく勢いのある曲を」ってお願いさせてもらいました。
──で、この曲を武道館2日目で初披露している。つまり年末には完成していたわけですよね。
「Mr.Launcher」の詞を書いたのは「シルシ」が出たあと(2014年12月)くらいかな。
──となると「Mr.Launcher」を作詞していた時点で今年の武道館で無敵になれる保証は……。
なかったですね。でももし武道館が大変なことになったとしても、今の私ならそれすらも全部楽しめる自信はありました。実際は全然“無敵”じゃなかったんですけどね。歌詞は忘れちゃうし、2日目の「ROCK-mode」を歌ってるとき、お立ち台から落ちちゃったし、カメラを蹴飛ばしちゃうし(笑)。「Mr.Launcher」を作っていた頃から、そういう失敗があっても楽しめるって思ってたし、実際楽しめましたね。
「アルバム」の持つ2つの意味
──だからこのアルバムってまさしく“武道館以降”の作品なんですよね。6曲目「BRiGHT FLiGHT」と7曲目「L.Miranic」の前後でアルバムのテイストが“PiNK”と“BLACK”にスプリットされているから1曲目の「Mr.Launcher」は“PiNK”サイドのはずなだけど、あまり“PiNK”的ではない。LiSAさんの過去のロックチューン、“BLACK”的な楽曲並に音と言葉がタフだから。
去年、さらに強力で“BLACK”な「L.Miranic」を作っちゃってますから(笑)。
──「L.Miranic」を“BLACK”の基準に据える以上、それよりポップなものは過去作よりもタフであっても“PiNK”曲だ、と。
そういう感じなんだと思います。……ただ、それって実は「結果的に」っていう話で。私自身は「『BRiGHT FLiGHT』と『L.Miranic』を境に “PiNK”なA面と、“BLACK”なB面にしよう」「アルバムの真ん中で曲の色分けをしよう」とは思っていなくて。この曲順になったのは本当にたまたまなんです。
──たまたま?
今回のアルバムは、ある意味、写真のほうのアルバムみたいなイメージ。私の成長過程というか、時が移り変わることでだんだん変化していく私の姿を見せる、物語みたいな1枚にしようと思いながら作っていたら、こうなったって感じなんです。
──その「物語」って?
まずアルバムの中のLiSAは、“PiNK”な姿、ポップだったり、明るかったりする姿を見せているんだけど、曲が進むにつれて大人になっていって、自分の中の“BLACK”な一面にも気付いて。自分の裏側に潜む暗い気持ちやイラ立ちを知ることになるんだけど、そういう経験をしたからこそ、最後の2曲、みんなとつながれていることを喜ぶ「No More Time Machine」や「シルシ」を作れたっていう物語ですね。
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- ニューアルバム「Launcher」2015年3月4日発売 / アニプレックス
- 「Launcher」
- 初回限定盤 [CD+Blu-ray] 4860円 / SVWC-70056~7 / Amazon.co.jp
- 初回限定盤 [CD+DVD] 4104円 / SVWC-70058~9 / Amazon.co.jp
- 通常盤 [CD] 3240円 / SVWC-70060 / Amazon.co.jp
CD収録曲
- Mr.Launcher
- Rising Hope
- rapid life シンドローム
- 蜜
- アコガレ望遠鏡
- BRiGHT FLiGHT
- L.Miranic
- FRAGILE VAMPIRE
- ANTIHERO
- Bad Sweet Trap
- エレクトリリカル
- 君にピエロ
- No More Time Machine
- シルシ
初回限定盤Blu-ray / DVD収録内容
- 「LiVE is Smile Always~LiSAMMERLAND~」
- OP映像
- crossing field
- コズミックジェットコースター
- ミライカゼ
- say my nameの片想い
- 覚醒屋
- 僕の言葉で
- traumerei
- DOCTOR
- シロイトイキ
- いつかの手紙
- アシアトコンパス
- EGOiSTiC SHOOTER
- ROCK-mode
- WiLD CANDY
- Rising Hope
- 逆光オーケストラ
- BRiGHT FLiGHT
- best day, best way
- No More Time Machine -MUSIC CLIP-
LiSA(リサ)
6月24日、岐阜県生まれのボーカリスト。学生時代よりバンド活動を始め、2008年に活動の拠点を東京に移す。2010年春、テレビアニメ「Angel Beats!」の劇中バンド「Girls Dead Monster」の2代目ボーカル・ユイ役の歌い手に抜擢され、同年5月にGirls Dead Monster名義のシングル「Thousand Enemies」をリリース。2011年4月にLiSA名義のミニアルバム「Letters to U」でソロデビューを果たす。以降、アニメ「Fate/Zero」のオープニングテーマ「oath sign」や、アニメ「ソードアート・オンライン」のオープニングテーマ「crossing field」などスマッシュヒットを連発。また2013年にはシングル「best day, best way」がオリコン週間シングルランキング6位を記録し、アニソンシーン内外で高い人気を誇る存在に。そして2014年1月3日には初の東京・日本武道館公演を開催し、同5月リリースのシングル「Rising Hope」(アニメ「魔法科高校の劣等生」オープニングテーマ)はオリコン週間シングルランキングで4位をマーク。2014年12月にアニメ「ソードアート・オンライン II」《マザーズ・ロザリオ》編のエンディングテーマ「シルシ」をシングルとしてリリースした。2015年1月には東京・日本武道館で2DAYSにわたるワンマンライブ「LiVE is Smile Always~PiNK&BLACK~」を開催し、3月にはその武道館公演で披露した「Mr.Launcher」を含む3rdアルバム「Launcher」をリリースした。