アルバム全体に丸を付けてもらえた

──亀田さんと共に「遥」を作り上げた経験は、今回のアルバムのほかの楽曲にも何か影響を及ぼしたところはありましたか？

松川　制作の順番で言うと「遥」が最後だったんですよ。だから、どちらかと言うとそれまでに自分たちだけで作ってた楽曲の答え合わせを亀田さんに、そして「遥」という楽曲にしてもらった感覚が強いと言うか。最後の最後に「これでよし」ってアルバム全体に丸を付けてもらえたと言うか、そんな感覚が強いですね。

──確かに「遥」とそれ以外の曲が並ぶことの違和感はまったくないですもんね。今回のアルバムにはメジャー感をすごく感じたところもあったんで、それは「遥」での経験によるものなのかなと思ったんですよ。でもそうでないならば、そのメジャー感はLACCO TOWERがそもそも持ち合わせたものだったってことでもありますよね。

真一　まさにそうですね。今回は僕の中でそのメジャー感を重視して曲作りをしてったところもあって。LACCO TOWERがもともと持っているメジャー感を前面に出していきたかったから。その決意と覚悟が「遥」というアルバムタイトルにも込められてると思うし、「遥」を1曲目にした曲順にも表れているとは思いますね。

重田　たぶん今回のアルバムには一皮むけた感があると思うんですよ。新しい俺らも出てると思うし。またさらに強くなれた感じがしますね。

ほぼ全曲にギターソロが入っているLACCO TOWER

──制作の中で特に印象に残ってる楽曲はありますか？

真一　プレイ的に言うと「夕顔」のピアノが好きっすね。あの曲はピアノのイントロからできて、そのままつるっと最後までできちゃったんですけど、ずっと3拍子で進んでいくのも今までになかったし、なかなかよくできたなと。この曲はギターソロも好き。

細川　最近のバンドシーンの中には「ギターソロはなくていい」って風潮があったりしますけど、LACCO TOWERはほぼ全曲にギターソロ入れてますから。自分としてはこんだけカッコいいギターソロが弾けるのは日本で2人くらいしかいないんじゃないかなって思ってますけどね。

塩﨑　俺も日本で2人だと思ってる（笑）。

松川　俺もそう思う（笑）。

細川　でしょ！ 本当にそこは自信あるんですよ、そこがうちのバンドの色にもなってると思うんで！

真一　あ、あとリハに行く前、15分で作った「火花」も印象深いですね。「リハまであと15分、なんもできてねぇ」「よし作ろう、できた！」っつって。僕の中で火花が上がった瞬間でしたね。

松川　僕も「夕顔」の歌詞は20分くらいで書いたんですよ。これはもう“ド不倫”の歌なんですけど（笑）、こういうちょっと悲しい内容の歌詞は書くのが早いですね。「純情狂騒曲」みたいな言葉遊びをしていくタイプの歌詞も楽しみながら早く書けますけどね。

塩﨑　「火花」と「喝采」は最後に作った2曲なんですけど、僕としてはすごく印象深くて。15周年目前、アルバムの全体像もだいぶ見えてきた、そして「遥」を亀田さんと一緒に録ることが決まっている状況の中で、言葉を交わさずともメンバー全員が同じ方向をしっかり見据えて作れたのがこの2曲なんですよ。ガッと集中して臨めたレコーディングはすごく楽しかったし、「あ、大丈夫だな。こっちに進めばいいんだな」ってことがわかった瞬間があったので、それがすごくうれしかったんですよね。

ツアーではスペシャルな時間を届けたい

──9月には全7公演のレコ発全国ツアー「遥なる軌跡」もスタートしますね。

松川　レコ発のワンマンツアーでこれだけの本数やるのは意外と初めてなので楽しみですね。せっかく皆さんに来ていただくわけなので、ただ単に楽曲を生で演奏するだけにとどまらず、それ以上に僕らのことを深く感じてもらえるような時間にしたいなと思います。僕は外に出るのがあんま好きじゃないから時間を割いてどこかに出かけることがどれだけ大変なことかはなんとなくわかってるつもりなので、皆さんにとってスペシャルな時間をしっかりお届けしたいですね。

──Twitterではツアーに対して「変化」という言葉も使われていましたよね（参照：松川 ケイスケ (@laccomatsukawa) | Twitter）。

松川　そうですね。この新しい「遥」というアルバムを引っ提げて回るツアーなので、今の僕らが感じている気持ちはもちろん、今までのライブとはちょっと変わってるところも見せることで、みんなを巻き込んで、一緒になって楽しんでいきたいなって思うんですよ。それがわかりやすい演出なのかライブの運び方なのか、考えなきゃいけないことはいろいろあるんですけど、そういったものを何かしら感じてもらえるツアーにしたい。ぜひ楽しみにしててほしいですね。