音楽ナタリー PowerPush - 小林太郎

見た目も音も軽快に

小林太郎が新作ミニアルバム「DOWNBEAT」を2月18日に発売した。

彼にとって約1年ぶりの作品となるこのミニアルバムは、アメリカンハードロックサウンドを前面に押し出した前作「IGNITE」から一転、ダンスミュージックを基調とした1枚に仕上がっている。また小林はトレードマークだった長い髪の毛もばっさりと切っていた。この1年の間に彼にどのような心境の変化があったのか。本人に話を聞いた。

取材・文 / 小林千絵

髪の毛を切ったから音も変えよう

──ミニアルバム「DOWNBEAT」を聴かせてもらいましたが、雰囲気がこれまでからガラッと変わっていて驚きました。

実はフラれまして……。というのは冗談で(笑)、髪の毛を切りまして。

──はい、髪の毛をばっさり切られたのも驚きました。

最初は見た目を変えようと思って、髪の毛を切って、アー写の雰囲気を変えたんですよ。で、じゃあ音も変えようかと。

──見た目が先なんですか!?

そうなんです。「IGNITE」をリリースしてから1年の間に、免許を取ったりちょっと旅行をしたり、音楽以外のことをしてたんです。その間に「髪を切ってみたら?」っていろんな人に言われて。確かに邪魔になってきたんで、よし切るか、と。で、これを機に音も変えてみたら面白いんじゃないかなって……。最初は本当にそのくらいだったんです。

──そこからダンスミュージックを基調としたこのような作品になったのはなぜですか?

確かなイメージがあったわけじゃないんですけど、見た目が軽快な感じになったから音も軽快にしようと思って、もともとやりたかったダンスミュージックをやってみることにしました。

──ダンスミュージックをやってみたいと思ったきっかけはなんですか?

もともとクラブがすごく好きで。ライブハウスって一方的だと思うんですよ。演者がお客さんに向かって演奏して、お客さんは観るだけじゃないですか。でもクラブってそこにいるお客さんが主役で、誰の曲か知らないけどよかったら盛り上がるし、ダメだったら帰っちゃう。音楽が原始的に評価されてる感があるなあと思って。だからやってみたら得るものがあるんじゃないかなって思ったんです。

自分らしさがいらないアルバム

──ハードロックからダンスミュージックへシフトチェンジするとなると、曲作りの方法もガラッと変わりそうですね。

プロデューサーさんをつけたり、エンジニアさんを今までと違う人にお願いしたり、音周りのスタッフを変えました。バンドサウンドは自分で作れるけど、ダンスミュージックは自分ではできないと思ったので、いろいろ教えてもらいながら。今まではアレンジも自分でしてたんですけど、今回はできないから「できる人にやってもらおう」と思って。

──プロデューサーやエンジニアが変わるのって劇的なことですよね。そこまでしてダンスミュージックに挑戦しようとしたのはなぜなんでしょうか?

音を変えることが重要だったので、変わったことがわかりやすいのがダンスミュージックだったということなんですよ。

──なるほど。

ギターもできるだけ自分で弾かないようにして。自分で弾くと手癖が出ちゃったりして、自分っぽくなっちゃうじゃないですか。それもいらないなって。これまでは自分らしさを出してたんですけど、自分らしさがいらないアルバムにしようと思っていたので。いっそ歌もほかの人に歌ってもらいたいくらいだったんですけどね。俺が歌うと全部俺の歌なんだもん(笑)。

──「自分らしさをなくしたい」ってすごい発想ですよね。

完成したらもっと今までと違う感じになるかと思ったんですけど、今までと新しくやってみたいことの真ん中くらいのものになったから、意外と自分らしさってなくならないんだなって思いました。

小林太郎「DOWNBEAT」発売記念インストアライブ
2015年2月27日(金)東京都 タワーレコード渋谷店B1F CUTUP STUDIO
START 19:00
内容:ミニライブ
特典:サイン入りアナザージャケット
2015年3月5日(木)静岡県 イケヤ浜松メイワン店 店内イベントスペース
START 18:00
内容:アコースティックミニライブ+サイン会
2015年3月6日(金)愛知県 タワーレコード名古屋パルコ店イベントスペース
START 19:00
内容:アコースティックミニライブ+サイン会
2015年3月13日(金)大阪府 タワーレコード梅田NU茶屋町店イベントスペース
START 19:00
内容:アコースティックミニライブ+サイン会
小林太郎ライブツアー「DOWNBEAT」
2015年5月1日(金)大阪府 Shangri-La
2015年5月3日(日・祝)愛知県 池下CLUB UPSET
2015年5月4日(月・祝)東京都 下北沢GARDEN
小林太郎(コバヤシタロウ)

静岡県浜松市生まれのロックシンガー。初音源として、2010年1月にインディーズ1stアルバム「Orkonpood」をタワーレコード限定でリリース。力強いボーカルと洋楽の影響を感じさせる重厚なサウンド、鋭い歌詞でリスナーから支持を得る。iTunesによる2010年にもっとも活躍が期待できる新人アーティスト「iTunes JAPAN SOUND OF 2010」にも選出され、夏には「ARABAKI ROCK FEST」「SUMMER SONIC」など新人としては異例となる16本の大型フェスに出演。「小林太郎とYE$MAN」での活動を経て、2012年よりソロ活動を再開。同年7月にキングレコード内のレーベル「STANDING THERE, ROCKS」からメジャー1st作品「MILESTONE」をリリースした。2013年1月には早くもメジャー1stフルアルバム「tremolo」を発売。同年7月には1stシングル「鼓動」を発表し、11月には新曲「太陽」をデジタル配信した。そして2014年2月、ハーレーダビッドソンが毎年開催するイベント「DEMO RIDE CARAVAN」初のオフィシャルタイアップアーティストに選ばれ、そのタイアップソング「IGNITE」も収録されたCD「IGNITE」をリリース。2015年2月、それまでのイメージを一新するようなダンスミュージック基調のミニアルバム「DOWNBEAT」を発表した。