ナタリー PowerPush - 小林太郎

より伝わる言葉を追求した“俺なりのJ-POP”の進化型

小林太郎の新曲「太陽」が配信リリースされた。この曲は7月発売の1stシングル「鼓動」での路線をさらに押し進めた、エモーショナルなミディアムチューン。前作で意識した「より伝わる歌詞 / 言葉」がより明確化された、聴き応えのある1曲となっている。

小林は「太陽」の制作において、「『鼓動』のときよりもさらに聴く人の立場に立ってみて、もう一段階、二段階も深く追求した」という。今回のインタビューではその制作過程について語られている。さらに、本来11月発売予定だった2ndシングルのためにライブレコーディングされた洋楽カバー「Studio Live ~Another Side~」についても言及。これらのカバー曲は今後発売される新作に収められる予定なので、まずはインタビューを通じてその片鱗に触れてほしい。

取材・文 / 西廣智一

今まで以上にいろんなアドバイスを自分なりに消化した

──今回の新曲「太陽」は、7月に発売されたシングル「鼓動」の路線をさらに進化させた楽曲ですね。

小林太郎

そうですね。「鼓動」はミドルテンポでしたけど、今回の「太陽」はよりBPMを落としたバラード寄りの楽曲で。でも躍動感というか勢いは失いたくなくて、その微妙なさじ加減のテンポ感を持った曲ですね。歌詞にしても「鼓動」は情熱が自分の中で鼓動としてドクドクと心臓の音みたいに鳴ってるっていうイメージだったけど、「太陽」はその情熱がついに外に出始めた感じなんです。

──前回のインタビュー(参照:小林太郎「鼓動」インタビュー)で、伝わる言葉に対するこだわりや、歌うときにお客さんと同じ側に立ってメッセージを放つというようなお話を伺いました。今回の「太陽」の歌詞は今まで以上にシンプルでわかりやすく、言葉が持つパワーも増しているような気がしました。

「鼓動」のときよりもさらに聴く人の立場に立って、もう一段階、二段階も深く追求した曲を作ってみよう、というコンセプトで書いたのが「太陽」で。歌詞は自分が納得いくものができるまで、何度も書き直したんです。もう考え過ぎて、ハゲるかと思いましたよ(笑)。

──あははは(笑)。そこまでブラッシュアップを重ねて歌詞を完成させた作品って、これまでありましたか?

「鼓動」もそんな感じではあったんですけどね。要はこういった経験を積んで、自由自在に作詞をコントロールできるようになればいいわけで。そのための勉強を経て、集大成がこの「太陽」だったのかな。

──サウンド面も前作「鼓動」以上に、ディープなものに仕上がりましたね。

「鼓動」は“俺なりのJ-POP”というものをイメージして書いた曲でもあるんです。その進化型の「太陽」はバラードということで、より幅広い層に届けることを意識して作りました。歌詞もサウンドもそうなんですけど、今回は今まで以上にいろんなスタッフさんからアドバイスをいただいて、それを自分なりに消化していて。例えば「太陽」にはサンプリングしたストリングスを取り入れているんですけど、これも自分としては新たな試みでした。いろんな視点から曲作りに向かえたという意味では、今回の制作は本当に勉強になってます。

今までやったことがないものを作ろうという意欲の塊

──今回は1曲のみ配信リリースという形ですが、現在も新作の準備を進めているんですか?

そうですね。いろんな方のアドバイスを参考に、今までとは違ったエネルギーを注ぎ込んだ曲ができつつあります。

──「鼓動」や「太陽」を聴いてもわかりますが、次の作品集は「tremolo」とはかなり違った作風になりそうですね。

そうだと思います。「tremolo」は自分の頭の中で鳴ってる音をCDで表現するにはどうしたらいいのかということが第一目標であったのに対して、「太陽」を含めたこれから出るであろう楽曲たちは、「tremolo」からさらに数歩進んだ、とても挑戦的なものになるんじゃないかな(参照:小林太郎「tremolo」インタビュー)。「tremolo」は自分の中にあるものをより忠実に再現した作品だけど、「鼓動」や「太陽」といった曲は今まで自分がやったことがないものを作ろう、表現しようといった意欲の塊なんじゃないかと。それは「太陽」が完成して最後に感じたことなんですけど。

──なるほど。「tremolo」から「鼓動」、「太陽」と作品ごとに新たな挑戦がしっかり感じられます。

そうかもしれないですね。洋楽カバーというのも今までやったことない新しい試みだったし、それにも驚いた人は多いと思うし。

──Facebookでダイジェスト映像が公開されている「Studio Live ~Another Side~」のことですね(参照:小林太郎がビートルズ、レニクラ、Maroon5カバーに挑戦)。

これまでカバー曲を音源にしたり映像に収めたりしたことはなかったんですよ。実は今回のカバーについても「やってみたら面白いんじゃない?」という周りからのアドバイスがきっかけで、自分でもいつかやってみたいとは思ってたんです。次の作品にこのカバー曲が収録される予定なんですけど、そういう意味でも今までとはまったく違った作品になるんじゃないかなと思います。

小林太郎ワンマンツアー
Tour 2013 "SOL Y SOMBRA"
  • 2013年11月15日(金)福岡県 福岡Queblick
    OPEN 18:00 / START 18:30
  • 2013年11月23日(土・祝)宮城県 仙台PARK SQUARE
    OPEN 17:30 / START 18:00
  • 2013年11月29日(金)大阪府 OSAKA MUSE
    OPEN 18:00 / START 18:30
  • 2013年12月1日(日)愛知県 名古屋ell.FITS ALL
    OPEN 17:30 / START 18:00
  • 2013年12月5日(木)東京都 渋谷CLUB QUATTRO
    OPEN 18:00 / START 19:00
  • 料金:全立見 前売3000円 / 当日3500円(ドリンク代別)
小林太郎(こばやしたろう)

静岡県浜松市生まれのロックシンガー。初音源として、2010年1月にインディーズ1stアルバム「Orkonpood」をタワーレコード限定でリリース。力強いボーカルと洋楽の影響を感じさせる重厚なサウンド、鋭い歌詞でリスナーから支持を得る。iTunesによる2010年にもっとも活躍が期待できる新人アーティスト「iTunes JAPAN SOUND OF 2010」にも選出され、2010年夏には「ARABAKI ROCK FEST」「SUMMER SONIC」など新人としては異例となる16本の大型フェスに出演。バンドでの活動を経て、2012年よりソロ活動を再開。同年7月に新レーベル「STANDING THERE, ROCKS」からメジャー1stミニアルバム「MILESTONE」をリリースした。翌2013年1月には早くもメジャー1stフルアルバム「tremolo」を発売。リリース日より関東近郊をまわる対バンショートツアー「小林太郎VS Short Tour」、3月から東名阪ワンマンツアー「TOUR2013 "tremolo"」を実施した。その後7月には1stシングル「鼓動」をリリースし、9月には2度目となる対バンショートツアーを東名阪にて開催。同年11月には新曲「太陽」をデジタルリリースし、全国5都市を回るライブツアー「Tour 2013 "SOL Y SOMBRA"」を行う。