音楽ナタリー PowerPush - 小林太郎
見た目も音も軽快に
今までと違うことをする
──制作を始めるにあたって、曲のイメージはありました?
まったくなかったです。ただダンスビートがテーマで、リスナーを乗せたかったのでバラードではないなと思いました。ロックなリフと、四つ打ちとかダンスミュージックの要素があればいいかなと。あとはプロデューサーさんがアレンジしてくれるだろうなあって(笑)。ただ、自分の勉強のためにも、今までと違うことをするというのは意識して作っていきました。
──今までと違うこととは?
例えば 1曲目「Show me」は四つ打ちで、徐々に盛り上がっていく。そういう抑揚の付け方って今まであんまりやってこなかったんですよ。逆に2曲目「Damn」は最初にガツンと盛り上げるっていうのはいつも通りなんだけど、シンセだったりいろんな楽器が入ってるっていうのが今まで通りじゃない。
──3曲目「miscommunication」はBPMが速めのバンドサウンドの曲ですね。
この曲は詞を白井裕紀.さんという方に書いてもらったんですよ。自分の中にないものがたくさん詰まっていてすごくインパクトがありましたね。作詞をほかの方に手伝ってもらうことはありましたけど、100%人に書いてもらった詞を歌うっていうのは今回が初めてでした。
──実際に歌ってみてどうでした?
カラオケで好きな曲を歌ってるみたいな感覚でした。刺激もあったし、何より歌うことが楽しいと感じられた1曲でしたね。
──4曲目「electronica」はタイトルからイメージする通りのエレクトロなインストゥルメンタルです。
このアルバムを作る前に遊び感覚でDAWソフトをグレードアップしてみようと思って、そのときに作った曲なんです。アルバムには毎回インタールードを入れてるんですけど、インタールードにはそのアルバムでやりたいことを詰め込んでるんです。で、今作はダンスミュージック寄りの作品にしたかったので、こんな感じになりました。インタールードはライブのSEとしても使用するので、ほかの曲とは違う演出ができるのもいいですね。
──5曲目「Yo-Ho」はいかがでしょう?
ドラムとベースだけで成立するくらいの曲があればなと思って作りました。というのと、普段はレコーディングしたあとにカチッとタイミングが合うようにそれぞれの音を調整しているんですけど、この曲では特に歌は全然合わせてないんです。ドラムとベースがうねっていて、ラフで気楽なボーカル。遊びの要素が強い曲だと思います。
──6曲目「opposite」。スペーシーなシンセサイザーの音をフィーチャーしたロックナンバーですね。
ダンスミュージックで踊らせるのではなく、速いテンポで踊らせるというか。バンドサウンドにシンセも入れて、激しくて重いんだけど、ノれるような軽快な曲にしました。ここまで速い曲ってこれまでの俺の曲には意外となかったんです。ハードロックっていうより、モダンなバンドサウンドにしてみようかなと。
──最後は「utsumi」です。
この曲が一番これまでの自分っぽいですね。ロックテイストで、メロディがあって、歌が入ったらバラードっぽい。ただこの曲は作り方が新しくて。この曲はピアノとかシンセとか、今作の中で一番音数が多い曲なんです。今までなら音数が多かったら減らすようにしていたんですが、今回は減らさない方向でどういうふうにミックスをしようかなと考えながら進めていきました。
──この曲は音数が多いにも関わらず、ボーカルがすごく立っていますよね。
今回、これ以外の曲では、オケとの混ざりを重視してミックスでボーカルの声を細くしてるんです。だけど最後はパワフルに聞こえたらいいなと思って「utsumi」のボーカルだけは太めにしました。
英語詞に挑戦
──歌詞も全体的に攻めてますよね。
今までで一番、何も考えずに歌詞を書きました。つまり日頃から攻めてるんでしょうね(笑)。あと今回は英語詞を入れてみたんです。というのも、日本語詞で書いたら合わなすぎて。
──曲と?
はい。デモの段階から日本語詞で歌ってたら別だったんでしょうけど、英語っぽい鼻歌で歌ってたんで、全然合わなくて。去年1年間音楽以外のことをしてるときに仲良くなったイギリス人の友達がいて、彼との会話で培われたくだらない英語が生きたかなと。単語とか全然分からないんですけどね(笑)。
──英語に対する抵抗感がなくなった?
なくなりましたね。彼は日本語が何もしゃべれないんですよ。彼が呼ぶ友達も日本語がしゃべれなくて。おかげで英語詞を書くときのハードルが下がりました。自分がわかる範囲で、簡単な英語でいいんだなって。文法はめちゃくちゃかもしれないですけど。
──音楽以外のことをしたつもりが、結果音楽につながったんですね。
朝まで渋谷で飲んでっていうだけでしたけどね。言ってることは全然わかんないんだけど、でもなんか楽しそうだから話を合わせて(笑)。まあ英語は勉強したいと思ってたんで、意外なところで学べてよかったです(笑)。音楽に生かすためにやってたことではなかったので、まさか英語詞の曲を書くことになるとは思わなかったですけど。
──実際に英語詞を歌ってみていかがですか?
歌いやすいです。メロディも取りやすいし。あと日本語ってひと言ひと言に母音と子音がくっついているので、英語で歌ったほうがミックスしやすいらしいです。ただ、英語詞にするとリスナーからしたら歌詞が意味を持たないのと同じになると思うんですよね。もちろん意味がない英語詞を付けてるわけじゃないんだけど、英語詞を聴いてすぐ意味が分かる人って日本には少ないじゃないですか。そういう意味では今回英語詞でやってみて、日本語詞のよさにも気付けました。
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収録曲
- Show me
- Damn
- miscommunication
- electronica
- Yo-Ho
- opposite
- utsumi
- 小林太郎「DOWNBEAT」発売記念インストアライブ
- 2015年2月27日(金)東京都 タワーレコード渋谷店B1F CUTUP STUDIO
START 19:00
内容:ミニライブ
特典:サイン入りアナザージャケット - 2015年3月5日(木)静岡県 イケヤ浜松メイワン店 店内イベントスペース
START 18:00
内容:アコースティックミニライブ+サイン会 - 2015年3月6日(金)愛知県 タワーレコード名古屋パルコ店イベントスペース
START 19:00
内容:アコースティックミニライブ+サイン会 - 2015年3月13日(金)大阪府 タワーレコード梅田NU茶屋町店イベントスペース
START 19:00
内容:アコースティックミニライブ+サイン会
- 小林太郎ライブツアー「DOWNBEAT」
- 2015年5月1日(金)大阪府 Shangri-La
- 2015年5月3日(日・祝)愛知県 池下CLUB UPSET
- 2015年5月4日(月・祝)東京都 下北沢GARDEN
小林太郎(コバヤシタロウ)
静岡県浜松市生まれのロックシンガー。初音源として、2010年1月にインディーズ1stアルバム「Orkonpood」をタワーレコード限定でリリース。力強いボーカルと洋楽の影響を感じさせる重厚なサウンド、鋭い歌詞でリスナーから支持を得る。iTunesによる2010年にもっとも活躍が期待できる新人アーティスト「iTunes JAPAN SOUND OF 2010」にも選出され、夏には「ARABAKI ROCK FEST」「SUMMER SONIC」など新人としては異例となる16本の大型フェスに出演。「小林太郎とYE$MAN」での活動を経て、2012年よりソロ活動を再開。同年7月にキングレコード内のレーベル「STANDING THERE, ROCKS」からメジャー1st作品「MILESTONE」をリリースした。2013年1月には早くもメジャー1stフルアルバム「tremolo」を発売。同年7月には1stシングル「鼓動」を発表し、11月には新曲「太陽」をデジタル配信した。そして2014年2月、ハーレーダビッドソンが毎年開催するイベント「DEMO RIDE CARAVAN」初のオフィシャルタイアップアーティストに選ばれ、そのタイアップソング「IGNITE」も収録されたCD「IGNITE」をリリース。2015年2月、それまでのイメージを一新するようなダンスミュージック基調のミニアルバム「DOWNBEAT」を発表した。