音楽ナタリー PowerPush - 小林太郎

見た目も音も軽快に

ライブの熱さは変わらない

──ハードロックからダンスミュージックへ、という方向性に変わったことによって受け入れられないファンもいると思うんです。勇気はいりませんでした?

まったくなかったですね。俺っていうのが“これ”しかしないアーティストじゃなくて、自分のやりたいことをやるアーティストだから。アルバム単体でこれが好きであれが嫌いでっていうのはあると思うんですけど、それをわかってくれればいいなと。

──逆にずっと変わらないことってあります?

どんな曲やってもライブは熱いんですよ。そこにはすごく自信があって。どんなアルバムを出しても、ライブさえやれれば楽しいし熱くなれる。その情熱でいったら誰にも負けるつもりはないです。今回はこれまでよりもさらに攻めたアルバムができたので、ライブでも映えるだろうし。また楽しんでもらいたいな。

──小林さんは作品を作るたびに、勉強して進化をしていくイメージがあります。

作る立場なんで、いろいろわかってないと作れないと思ってるんです。最初にインディーズで「Orkonpood」っていうアルバムを作ったとき、やりたいことは頭の中にいっぱい詰まってたんだけど、細かな作業が指示できなかった。実際どうしたらいいのかがわからなかったから、伝えきれなかったことがいっぱいあって。そのときに「いいものを作りたいならまずは勉強しないとダメだな」っていうのを実感したんです。言ってもね、俺はレコーディングとかライブのときしか勉強できないんですよ。これが毎日だったら飽きてるかもしれないけど(笑)。繰り返しているうちに、ミックスでもマスタリングでも、どんな人が来ても物怖じしないで「こうやってほしい」っていうことをきちんと伝えられるようになりました。耳も肥えてきたし。

──特に最近はライブに重きを置いているアーティストが多いと思うんですが、小林さんはライブももちろん、レコーディングにロマンを感じているように見えます。

ロマン、感じますねえ。ていうか感じなきゃいけないと思うんです。洋楽が全部いいってわけじゃないけど、洋楽のほうがパワフルだったり音が聴きやすかったりするんです。邦楽は全然追いついてない気がする。まだ日本の音楽全体が勉強途中っていうときにDTMがすごく発達しちゃったから。実際にやってみて、腹が立ったんですよ。インディのときは自分がまだまだだったんですけど、ある程度耳が肥えてた今、レコーディングして思うのは、業界全体でまだここなんだっていう。

──そこは戦っていきたい?

戦いたいわけじゃないけど、同じように感じていて、高い知識や技術を持っている人たちとやっていきたいと思ってます。そのためにも俺も勉強を続けていきたいですね。

夢が叶った5年間

──2010年1月のデビューから5年経ち、6周年に突入しましたね。この5年間を振り返ってどうですか?

やりたいことをいっぱいしたなあって思います。最初の4年間は音楽でやりたいこといっぱいやって、去年は音楽以外のこともいっぱいできたんで、全部叶ったなあって。中学生の頃にBUMP OF CHICKENを聴いて、曲作りに興味を持つようになったところから俺の音楽活動が始まったんですけど、バンプのドキュメンタリーを観たら、ベースのチャマさん(直井由文)が「家では寂しいもんですよ」とか言って家でヘッドセットしてネトゲしてたんですよ。俺ゲーム大好きだからうらやましすぎて。素晴らしいライブして、家帰っていい部屋でゲームして……「あんな生活したいわあ」って(笑)。

──ははは(笑)。

小林太郎

そしたら自分もこの5年間で全部できたんで、おなかいっぱいです。感謝しかないですね。デカいフェスにも毎年出させてもらって。音楽以外にゲームしたり、免許を取ったりする時間もあって。素晴らしいなあ。音楽的にやりたいことがなくなることはないと思うので、これからもやりたいことをし続けていきたいですね。

──ちなみに音楽以外でこれからやりたいことはありますか?

去年やりたいこと全部やっちゃったんですよ。今、その余韻で楽しんでる状態なので、今後もこの調子で余韻を楽しみたいですね。あと今年は後厄なんで、何もなければいいなと思ってます(笑)。

小林太郎「DOWNBEAT」発売記念インストアライブ
2015年2月27日(金)東京都 タワーレコード渋谷店B1F CUTUP STUDIO
START 19:00
内容:ミニライブ
特典:サイン入りアナザージャケット
2015年3月5日(木)静岡県 イケヤ浜松メイワン店 店内イベントスペース
START 18:00
内容:アコースティックミニライブ+サイン会
2015年3月6日(金)愛知県 タワーレコード名古屋パルコ店イベントスペース
START 19:00
内容:アコースティックミニライブ+サイン会
2015年3月13日(金)大阪府 タワーレコード梅田NU茶屋町店イベントスペース
START 19:00
内容:アコースティックミニライブ+サイン会
小林太郎ライブツアー「DOWNBEAT」
2015年5月1日(金)大阪府 Shangri-La
2015年5月3日(日・祝)愛知県 池下CLUB UPSET
2015年5月4日(月・祝)東京都 下北沢GARDEN
小林太郎(コバヤシタロウ)

静岡県浜松市生まれのロックシンガー。初音源として、2010年1月にインディーズ1stアルバム「Orkonpood」をタワーレコード限定でリリース。力強いボーカルと洋楽の影響を感じさせる重厚なサウンド、鋭い歌詞でリスナーから支持を得る。iTunesによる2010年にもっとも活躍が期待できる新人アーティスト「iTunes JAPAN SOUND OF 2010」にも選出され、夏には「ARABAKI ROCK FEST」「SUMMER SONIC」など新人としては異例となる16本の大型フェスに出演。「小林太郎とYE$MAN」での活動を経て、2012年よりソロ活動を再開。同年7月にキングレコード内のレーベル「STANDING THERE, ROCKS」からメジャー1st作品「MILESTONE」をリリースした。2013年1月には早くもメジャー1stフルアルバム「tremolo」を発売。同年7月には1stシングル「鼓動」を発表し、11月には新曲「太陽」をデジタル配信した。そして2014年2月、ハーレーダビッドソンが毎年開催するイベント「DEMO RIDE CARAVAN」初のオフィシャルタイアップアーティストに選ばれ、そのタイアップソング「IGNITE」も収録されたCD「IGNITE」をリリース。2015年2月、それまでのイメージを一新するようなダンスミュージック基調のミニアルバム「DOWNBEAT」を発表した。