音楽ナタリー Power Push - 木村カエラ

新しい仲間と見つけた“PUNKY”な私

岸田さんしかいない

──くるりの岸田さん作曲の「向日葵」についてもお伺いしたいです。映画「バースデーカード」の主題歌になっていますね。

私はくるりの作るメロディの美しさがもともと大好きなので、台本を読んで、監督と打ち合わせをした直後に、すぐに「岸田さんにお願いしよう」って思ったんです。時間があまりなかったんですけど、「でも、岸田さんしかいない。岸田さんができなかったらもうダメだ」くらいに思ってお願いしたら、やっぱり「時間がない」って話で。でも、「もしかしたらできるかもしれないから、ちょっと猶予をください」って言われて、1週間くらい待ってたら、急に岸田さんがデモを録ってる動画が送られてきて、すごい軽く「できたよ」って来たから、「マジかよ!」と思って(笑)。アレンジは「Sun shower」で弾いてもらった(徳澤)青弦さんの弦が好きだったので、青弦さんとピアノの音で優しい曲にしようってイメージがすぐに決まりました。

──青弦さんもくるりとの交流があるから、アレンジもバッチリはまっていて、すごくいい仕上がりですよね。

これまで私が歌ってきた映画関連の曲って、「フランケンウィニー」だったり、「チェブラーシカ」だったり、アニメだと「ちびまる子ちゃん」とか、キャラクター系が多かったんですよね。私がキャラクターみたいな人間なので(笑)。でも、今回のような映画の主題歌を歌わせてもらうのは初めてだったので、これはがんばんなきゃと思って。歌詞を書いてると、宮崎あおいちゃんが演じる母親の役が乗り移っちゃって、毎回号泣してました。そういう意味でも、すごく思い入れがあるし、大好きな曲になりましたね。

──映画同様、子供の誕生がテーマになっている曲ですよね。

親が向日葵だとしたら、子供は太陽であって、子供が生まれると、親は常に太陽を見つめて咲く花になる。向日葵は花言葉も「あなただけを見つめてる」なので、親子の関係にすごく近いんですよね。親が子供を宝物だと思う気持ちを言葉にすることが、この映画に対する答えなんじゃないかと思って、それでこの歌詞を書いたんです。

「自分らしくあってほしい。そして、愛を持ってほしい」

──「PUNKY」にはジャンルとしての「パンク」には収まらない、幅広い楽曲が収録されています。それは歌詞のメッセージにしてもそうで、「自分らしくあれ」と歌う「PUNKY」があれば、人に対する愛情にあふれた「向日葵」もある。一見、相反するメッセージのようにも見えるけど、そのどちらも重要だということを「PUNKY」は示してると思うんです。

私「今を生きる」っていう言葉がすごく好きで、座右の銘みたいになってるんですけど、それを改めてちゃんと言葉にできたと思います。生きるってすごく難しいことだけど、そこには必ず愛があって、自分も大切にしなきゃいけないし、人も大切にしなきゃいけない。そこには常に光と影もあるけど、そうやって今を積み重ねて生きていけば、すぐに明日が来るし、振り返ることはしなくなる。そういうメッセージはもともと自分の中にあったんですけど、それを改めて伝えたくて、このアルバムを作ったっていうのはありますね。

──「ただ前を見て 今を生きてる」「行こう 新しい日々へ」と歌う「僕たちのうた」は、このアルバムのテーマソング的な1曲だと言えるかもしれないですね。

シンプルに卒業ソングとして受け止めてもらってもいいんですけど、今の時代って自分で自分を生まれ変わらせる力、自分で“自分”を進めていく力っていうのが誰にとっても必要だと思うんです。自分で生きていく力を養って、自分で学ぶ力を持たないと、きっとこれから生きていけないんじゃないかと思う。インターネットが普及して、選択肢が増えすぎて、今の子供は生きることがすごく難しい時代だと思うし、親が子供を愛せなくなることも出てくると思うんです。そういうことが少しでもなくなったらいいと思っていて。「顔をあげて」って歌詞がこの曲のすべてかもしれない。「自分らしくあってほしい。そして、愛を持ってほしい」。このアルバムで一貫してるのは、そういうメッセージなんです。

ニューアルバム「PUNKY」 / 2016年10月19日発売 / ELA
「PUNKY」
初回限定盤 [CD+DVD] 3996円 / VIZL-955
通常盤 [CD] 3240円 / VICL-64563
下記サイトにて配信中!
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レコチョク
mora
CD収録曲
  1. There is love
    [作詞:木村カエラ / 作曲:蔦谷好位置 / 編曲:横山裕章]
  2. 僕たちのうた
    [作詞:木村カエラ / 作曲・編曲:H ZETT M]
  3. EGG
    [作詞:木村カエラ / 作曲・編曲:横山裕章]
  4. THE SIXTH SENSE
    [作詞:木村カエラ / 作曲・編曲:會田茂一]
  5. オバケなんてないさ
    [作詞:まきみのり / 作曲:峰陽 / 編曲:H ZETT M]
  6. SHOW TIME
    [作詞:木村カエラ / 作曲:AxSxE / 編曲:H ZETT M]
  7. 好き
    [作詞:木村カエラ / 作曲・編曲:シャムキャッツ]
  8. 恋煩いの豚
    [作詞:木村カエラ / 作曲・編曲:小松清人]
  9. PUNKY
    [作詞:木村カエラ / 作曲・編曲:H ZETT M]
  10. BOX
    [作詞:木村カエラ / 作曲・編曲:H ZETT M]
  11. 向日葵
    [作詞:木村カエラ / 作曲:岸田繁 / 編曲:徳澤青弦]
  12. Happyな半被(Bonus Track)
    [作詞:木村カエラ / 作曲・編曲:AxSxE]
初回限定盤DVD収録内容
  • EGG(music video)
  • BOX(music video)
  • BOX(making movie)
  • LIVE「GO!SHOW TIME」at 渋谷公会堂 (2015.9.9)
KAELA presents PUNKY TOUR 2016-2017
STUDS TOUR supported by クラシエ naive
  • 2016年10月18日(火)東京都 赤坂BLITZ
  • 2016年10月19日(水)東京都 赤坂BLITZ
  • 2016年10月24日(月)広島県 広島CLUB QUATTRO
  • 2016年10月26日(水)新潟県 新潟LOTS
  • 2016年11月11日(金)北海道 札幌PENNY LANE24
  • 2016年11月14日(月)愛知県 DIAMOND HALL
  • 2016年11月16日(水)兵庫県 チキンジョージ
  • 2016年11月17日(木)大阪府 なんばHatch
DIAMOND TOUR
  • 2017年1月28日(土)埼玉県 戸田市文化会館
  • 2017年1月29日(日)宮城県 電力ホール
  • 2017年2月5日(日)石川県 金沢市文化ホール
  • 2017年2月11日(土・祝)神奈川県 神奈川県民ホール
  • 2017年2月25日(土)愛知県 愛知県芸術劇場 大ホール
  • 2017年3月1日(水)福岡県 福岡国際会議場 メインホール
  • 2017年3月3日(金)東京都 東京国際フォーラム ホールA
  • 2017年3月5日(日)愛媛県 西予市宇和文化会館
  • 2017年3月6日(月)大阪府 フェスティバルホール
木村カエラ(キムラカエラ)

1984年生まれ、東京都出身の女性シンガー。テレビ番組「saku saku」への出演をきっかけに、2004年6月にシングル「Level 42」でメジャーデビュー。2005年3月発売の3rdシングル「リルラ リルハ」が大ヒットを記録し、一躍全国区の人気を獲得する。2006年には再結成したサディスティック・ミカ・バンドにボーカルとして参加した。2007年6月に初の東京・日本武道館公演を成功させたほか、2009年7月に神奈川・横浜赤レンガパーク野外特設ステージにてデビュー5周年記念ライブを行い約2万2千人を動員。同年末には「NHK紅白歌合戦」に初出場し、ヒット曲「Butterfly」を披露した。2013年からはビクターエンタテインメント内にプライベートレーベル「ELA」を設立し、コラボカバーアルバム「ROCK」を発表する。デビュー10周年となる2014年6月には横浜アリーナで2DAYSの大規模ライブを行い、同年12月にオリジナルアルバム「MIETA」をリリース。2016年10月に9thアルバム「PUNKY」を発表した。