ナタリー PowerPush - 片桐舞子(from MAY'S)

初ソロアルバムで対峙した「もう1人の自分」

付き合ったことを後悔するのではなく「ありがとう」って言いたい

──「Deeper and Deeper」をはじめとした女性の弱い部分を見せる曲がある一方で、「V.I.P」「Ex-Boyfriend」のように女性の強さがグッと出た楽曲が混在しているのもすごく面白くて。

あははは(笑)。確かにそうですね。その2曲は“イケイケ舞子りん”です。「V.I.P」は、女の子のほうから積極的に男の子をゲットしにいくんだぜっていう曲があってもいいんじゃないかなと思って書きました。だって実際、そういう女の子もいっぱいいるじゃないですか。恋愛しようと一生懸命なだけなのに、それの何が悪いのかなって思うから。

──うん。確かにそうですよね。歌詞にあるように、「相性なんてTry in bed」でいいじゃないかと。

そうですそうです(笑)。そういう時期を経て本当に好きな人と出会ったりするわけじゃないですか。たとえそれで痛い目にあったとしても、その経験を糧にして本当に好きな人に出会えることもあるわけだし。そういう人が見落としがち、隠しがちなテーマがこの曲ではより強く出た感じがしますね。

──「Ex-Boyfriend」は描写がかなりリアルですよね。

うん。歌詞に出てくる年号もかなりリアル。これは高校時代に付き合ってたダメな彼氏がFacebookで友達申請してきたことがヒントになってできたんですよ(笑)。今がんばって強く生きていけている私は、過去の恋愛の相手がいたからこそ作り上げられたものなんだろうなって思うんです。ダメな相手だったけど、その人と付き合ったことを後悔するのではなく、すべてを超越して「ありがとう」って言いたいなって。

──そういう元カレへの感謝の気持ちが、かなりな上から目線で書かれていますよね(笑)。

そうですね、はい(笑)。この歌詞の感じもMAY'Sでは絶対出ない部分だと思う。男の子は耳が痛いかもしれないですけど。

──そしてアルバムの最後にはMAY'Sの「True Love Story」のリミックスが収録されています。ソロ作にこれを入れようと思ったのは?

まずサウンド面からアイデアを出したんですよ。ちょっとオールド感があって、リズムがオシャレでっていうトラックがこのアルバムの中にあったらいいなって。で、そのイメージに合う楽曲が「True Love Story」だったんです。ソロの新録曲でそういうのを作ってもいいかなって思いもあったんですけど、MAY'S楽曲のリミックスのほうがなんとなくハマったというか。結果的にこれがこのアルバムの中で唯一のハッピーなラブソングになったことで、聴いてくれる方の気持ちがこの先のMAY'Sの活動にうまくつながっていく気もしたんですよね。すごくカッコいい仕上がりになっているので気に入っています。

今は「今度はMAY'Sの活動を振り切ってやるぞ」っていうモード

──本作と同日には相方である河井さんのソロアルバム「Aozora」もリリースされます。お聴きになりました?

はい! カッコいいですよ。MAY'Sと同じことをやっても意味がないっていうのは彼も思ったみたいで、全部外国人ボーカルになってるんですよ。サウンド的にも「ああ、こういうことできるんだ」「器用だよね」みたいなことは改めて感じましたね。

──逆に片桐さんの作品について河井さんは何かおっしゃってましたか?

あ、「Deeper and Deeper」は刺さったみたいでしたね。「MAY'Sとしてこういうタイプの曲を作ろうっていう気持ちは今の俺にはなかったからすごく新鮮だったよ」って。うれしかったです(笑)。

──ソロ作品の制作はお互いに大きな意味のある出来事になったようですね。

ホントにそうですね。私なんかはアルバムを作り終えてみて、「もっとこういうことができたかもな」とか「こんなことやってみても面白いんじゃないかな」とか、いろんな思いがすでに出てきてるんですよ。そういう部分では自分の新たな可能性を少し感じることができたし、自分のアウトプットの方法が1つ増えたこともすごくうれしいので、またいつかソロ第2弾はやってみたいなって思ってます。まあ今はね、「よし今度はMAY'Sの活動を振り切ってやるぞ」っていうモードですけど(笑)。

──MAY'Sとして来年3月5日にニューアルバムのリリースが決まっているそうですね。

そうなんです。しかも3月15日からは全国ツアーも始まります。けっこう怒涛のスケジュールなんで、ソロが終わってほっと一息ついてるヒマもないっていう(笑)。

──制作はすでにスタートしているんですか?

そうですね。聴いてもらいたいなって思えるストック曲もすでにけっこうあるので、少しずつ作り込みを始めてはいます。どれだけMAY'Sとして新しいものを出せるかっていう気持ちを持って、2人ともすごく楽しんで取り組めてますよ。まあこの先、確実にスケジュール的には追いつめられることになるんでしょうけど(笑)。

片桐舞子(from MAY'S)
ミニアルバム「Solo」 / 2013年12月4日発売 / 1800円 / KING RECORDS / KICS-1996
ミニアルバム「Solo」
収録曲
  1. Deeper and Deeper
  2. Anytime, Anywhere ~恋焦がれてたあの頃~
  3. TOKYO BLUE
  4. V.I.P
  5. Ex-Boyfriend
  6. Beautiful
  7. True Love Story ~Luv behind the melody remix~
片桐舞子(from MAY'S)
(かたぎりまいこ ふろむめいず)

1982年5月31日生まれの女性シンガー。音楽ユニットMAY'Sのボーカリストとして、2008年7月にシングル「My Everything」でメジャーデビューを果たす。本格的R&Bと極上のポップスの要素を兼ね備えた楽曲が、幅広い層からの支持を獲得。2012年に公開された映画「今日、恋をはじめます」のテーマソングに新曲「ダイヤモンド」を提供し、話題を集めた。2013年2月には同曲を含むベストアルバム「BEST 2005-2013」を発表。同年12月に初のソロ作品となるミニアルバム「Solo」をリリースした。