ナタリー PowerPush - 神聖かまってちゃん / mono (Key)

メンバー全員自宅訪問! 異例の個別インタビューでバンドの本質に迫る

「俺らは配信がなかったらいったい何をやればいいんだよ!」

──ネットで動画配信を始めたのはいつ頃からですか?

2年ぐらい前だと思います。たまたま配信サイトを発見したの子に「こいつはすげえから! バンドにとって大きな武器になるから! mono君も出てくれ! おまえ顔面白いし絶対ウケるから!」って言われて、怖かったけど説得されて渋々OKしたのが最初です。

──配信がバンドの武器になるっていう自覚は最初からあったんですね。

まあ、売名目的もあっただろうけど、単純にあいつは配信が大好きなんですよね。でも最初のうちは叩かれまくったし、人前で喋るのは得意じゃないし、本当に配信が苦手なんですよ僕。

──そうなんですか。monoさんは1人でも配信をやってるので、それは意外でした。

嫌々ですよ(笑)。の子がやってくれって言うから。ただ、やっぱりバンドの現状を考えたら配信が大事なのかなと思う部分もあるし、今はがんばるようしてますけどね。以前、我慢できずに「もう配信はやりたくないよ! 勘弁してくれ!」って言ったことがあって。そしたらの子が「じゃあ、俺らは配信がなかったらいったい何をやればいいんだよ!」って。「いや、普通に音楽活動すればいいんじゃねえか」って答えたんですけど。

──わはは、一般的なバンドだったら正論なんですけどね(笑)。

インタビュー写真

そのうち「音楽やんないならこんなバンド辞めてやるよ!」って話になって、の子も「もういいよ! 配信やんないんじゃ意味ねえよ! 辞めるなら他のメンバー探すよ!」って怒ってるから、もう就活することにしたんです。

──それはいつ頃の話ですか?

サマソニのちょっと前くらいですかね。

──2009年の夏だ。意外と最近ですね(笑)。

で、エントリーシートを書こうとしてたら、の子から「mono君が本当に嫌なときはやんなくてもいいから、とりあえずやろうぜ?」って連絡がきて。「いや別にいいよ。まあ、俺もちょっと言い過ぎたし、これからは配信がんばるよ」って言って和解しました。

──そういう意見の衝突はよくあるんですか?

お互い曲げられない性格だから、ぶつかったことは何回もありますよ。けど、熱しやすく冷めやすい人間なんで、大ゲンカになっても次の日になったらケロっとして仲良く接してますね。なんか、の子が僕のことを尊重してくれてるのかなっていうのは感じます。きっと僕もの子も一緒で「誰かから必要とされたい」っていう感情がものすごく強いんです。だから意見がぶつかり合って「お前なんかいらねえ!」ってことになって、僕が本当に離れようとしても結局あいつが歩み寄ってきてくれるんですよね。だから本当は、メンバーの中で一番わがままなのはの子じゃなくて僕なんですよ(笑)。

なんでこんなバンドが持ち上げられているのかさっぱりわからない

──神聖かまってちゃんのライブはよく言えばマイペース、悪く言えばグダグダですよね。賛否両論あると思うんですが、そのあたり自分たちではどう考えていますか?

何も考えてないです。今の状態でウケなくなったら破滅すればいいし。このままで状態で受け入れられるなら、このスタイルで続けていきたいなと。

──例えば調子が悪いときは1時間で4~5曲しか演奏できないときもあって。普通のバンドであれば異常事態ですが、そういう部分を改善していきたいという思いは?

ないです。曲をいっぱいやれれば良いライブになるのかというと、それもどうかと思う部分があって。もちろん曲を聴きたいっていうお客さんは多いみたいだし、それで怒るお客さんもいるけど、いやあ、もうどうしようもないなっていう。

──あはは(笑)。じゃあ、例えばもっと演奏力を付けたいとか。

もちろんヘタクソだって自覚はあるのでうまくはなりたいけど、ライブの出来不出来は演奏以外の問題が大きくて。まずメンバーの団結力とかテンションをなんとかしなきゃいけないから、うまくなってる余裕がないというか。

──確かにライブの出来にはムラがあるし、演奏も決してうまいわけではない。それなのにかまってちゃんを支持する人はどんどん増えています。monoさんは神聖かまってちゃんの魅力はどこにあると思っていますか?

さっぱりわからないんですよね。僕が逆に聞きたいです。

──でもmonoさん自身も「このバンドはいける」と思ったから参加したんですよね。

そうなんですけど、当時はこんなバンドになるなんて思ってなかったから。演奏もうまくてしっかりしてて、曲をちゃんとやる、普通のバンドになるイメージだったんですよ。全然できてないのになんでこんなに持ち上げられてるの? っていう。

──(笑)。そりゃあ、まさかステージで殴り合いをするバンドになるとは思いませんよね。その、昔イメージしてた理想のバンドに近づけたいっていう気持ちは今もありますか?

ありますね。あるんですけど、それは僕が勝手に思ってることなんで、果たしてそれがバンドにとって良いことなのかどうかはわからないです。完成度を上げると魅力がなくなるのかもしれないし、難しいですね。

24年間彼女がいたことがないんですよね……

──配信やライブを観ているファンにとっては、monoさんといえばお酒っていうイメージがありますよね。

喋るのがホントに苦手だから、お酒を飲んでムリヤリ喋れるようにしてるだけです。シラフじゃライブも配信もなんにもできないんで。

──そうは言ってもステージドリンクがジャックダニエルのストレートって、そんなミュージシャンなかなかいませんよ。しかもあれ、水のようにゴクゴク飲んでますよね。

そうなんですかね。あとはやっぱり、の子が気分の上下が激しいもんだから、あいつのコンディションが最悪な状況のときに誰も喋らなかったらやばいなっていう、僕のちょっとした責任感っていうか。せめて俺が盛り上げなきゃっていう意味で酒を飲んでるとこもあります。まあ、逆に酔っ払いすぎて大失敗することも多いんですけど(笑)。

──余計なお世話かもしれませんが、普段からあんなにお酒を飲んでたら体を壊しませんか?

いや、普段は飲んでないんです。全然アル中とかじゃないですよ。配信とライブのときだけ。

──そうなんですか。酒好きでいつもハードリカーばっかり飲んでる人なのかと思っていました(笑)。それでは、最後に今後の目標について教えてください。

認められたい。尊敬されてみたい。本当にそれだけです。「おまえやるじゃん! なかなかおもしれえじゃん!」みたいな、そんな程度でいいから。

──「かまってちゃん」というバンド名のとおりですね。それは今までの人生であまり認められた経験がなくて、その反動ということでしょうか。

少なくとも僕はそうですね。多分の子もそうだと思う。学校では目立たないイジメられっ子で、心の中ではクラスの人気者に憧れていたので。最近になってそうなれる可能性が少しだけど見えてきたから、人からもっと認められたいっていう気持ちが強くなってます。

──なるほど。

あんな大勢のお客さんの前に立っている自分が今だに信じられないんで、もうこれで十分っていう気もするんですけどね。お客さんが「アゴー!」って叫んでくれるだけで感無量というか。ただ欲を言えば、1人の女性に認められたいっていうのはずっと思ってます。生まれてから24年間彼女ができたことがないんですよね……。

インタビュー写真

ミニアルバム「友だちを殺してまで。」 / 2010年3月10日発売 / 1575円(税込) / PERFECT MUSIC / XQFL-1014

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CD収録曲
  1. ロックンロールは鳴り止まないっ
  2. ぺんてる
  3. 死にたい季節
  4. 23才の夏休み
  5. 学校に行きたくない
  6. ゆーれいみマン
  7. ちりとり
神聖かまってちゃん(しんせいかまってちゃん)

アーティスト写真

の子(Vo,G)、mono(Key)、ちばぎん(B)、みさこ(Dr)の千葉県在住メンバーからなるロックバンド。の子による2ちゃんねるバンド板での宣伝書き込み活動を経て、自宅でのトークや路上ゲリラライブなどの生中継、自作ビデオクリップの公開といったインターネットでの動画配信で注目を集める。2009年には1600組の応募バンドの中から選ばれ、一般公募枠で「SUMMER SONIC 09」に出演。子供の頃の暗い記憶やニートの抱える不安な感情などを美しいメロディに乗せた楽曲、予測のできない破滅的なライブパフォーマンスでファンを増やし続けている。2010年3月に初のCD作品となるミニアルバム「友だちを殺してまで。」をリリース。