担任の先生に知的障害がある子だと思われてたらしい

──神聖かまってちゃんはちょっと普通のバンドじゃないので、加入してみていろいろ驚いたこともあると思うんですが。

私が入って何回目かのライブで、の子さんが下北屋根裏でおしっこしたりなんてこともあったんですけど、入る前からなんとなくそういう人なんだろうと薄々感じてはいたので（笑）。

──目の前でケンカしたり楽器を壊したりしてますが、ああいうのは怖くないですか？

大丈夫ですよ。直接被害が及ぶと困るぐらいで。

──演奏中にドラムを壊し始めたりとか。

そうですね、ちょっと焦りはします（笑）。

──（笑）。

ていうか、私自身も小さい頃は意味のわからない自己中心的な行動をとる子供だったみたいで、担任の先生に知的障害がある子だと思われてたらしいんですよね。でも勉強ができないわけじゃなかったから「あ、挙動不審なだけだった！」って（笑）。

──じゃあかまってちゃんで活動していて「これはキツい」と感じたことはありますか？

の子さんからよく「いつも俺がやってるみたいに、MCでわめき散らしたらいいんじゃない？」とか言われるのがキツいですね。の子さんは結構ぶっ飛んだ女の子が好きなので、私にそれを求めているような気がして（笑）。屋外で動画配信するぐらいだったら私にもかろうじてできるんですけど、の子さんと同じような奇行をやってほしいって言われると……。でもの子さんがそういう部分で、ほかのメンバー以上に私に期待してるっぽいのをひしひしと感じるんです（笑）。

──の子さんから音楽的な指示を受けたりすることはないんですか？

ドラムに関してはスタジオで、まあちょいちょい「このタイミングでフィルを増やしてほしい」とかそういうのがあるくらい。それよりもメンバーみんなでいかだに乗ってそれを配信しようって言われたりするのが……。そのときも、それ実は危ないんじゃないのとか、そんなくだらないことで命を落としたくないっていうことをみんな思ってたんですけど、の子さんは一瞬一瞬に賭けてるような人だから「まあ死ぬときゃ死ぬでしょ」みたいなことを結構平気で言うんですよね。

太く短くがんばりたいです

──生命保険会社での仕事は今も続けてるんですか？

ライブが平日に週3回あるような生活になってきて、仕事は去年の夏に辞めました。「このタイミングを逃したらこういう経験はもう2度とできないんじゃないか」と思って。先のスケジュールもわからないから、今は単発の派遣アルバイトやってます。

──かまってちゃんのために仕事を辞めたというのは思い切った決断ですよね。

でも仕事が苦手っていうのもおかしな話なんですけど、頻繁にヘマをする人間なので。居酒屋でバイトしてたときは月に10枚以上もお皿を割ったり（笑）。それにバンドで芽が出るかどうかなんて1～2年でわかりますよね。そこらへんはみんなかなり割り切ってて、もしダメだったらすぐにきっぱりあきらめて就職すればいいと思ってます。もともとこれでご飯を食べていこうなんて思ってなかったし、「きっと楽しいことがあるんだろうなー」くらいの気持ちで加入したので。

──でもみさこさんは実際いつも楽しそうですよね（笑）。で、そんなバンドの将来についてはどんなイメージを持っていますか？

ちょっと大それた感じになっちゃうんですけど、かまってちゃんの強みは楽曲の良さだけじゃなくて、配信みたいに他のバンドでは得られない刺激を皆さんに与えられることだと思ってるんです。私も今までいろいろなアーティストさんに影響を受けてきたので、多少なりとも何かこっちから影響を与えられるような存在になれたらいいなと思いますね。そういう意味でバンドが成長してほしいと思う。

──今はその目標に向けて、いい感じで突き進んでいるように見えますね。

そうですね。でも今は順風満帆なんですけど、やっぱりプレッシャーも大きいので、そういうところでの子さんに負担をかけてるなと思ってます。このバンドって細く長くはできないと思うので、ダメならダメで太く短くがんばりたいです（笑）。