ナタリー PowerPush - カジヒデキ

自主レーベルで新たな一歩 新作アルバム「BLUE HEART」

カジヒデキが自主レーベル「BLUE BOYS CLUB」を設立。レーベル第1弾作品として、自身のニューアルバム「BLUE HEART」を5月16日にリリースする。

前作から約2年半ぶりのオリジナルアルバムとなる「BLUE HEART」には、ゆかりの深いアーティストが多数参加。さまざまな音楽要素を取り入れ、カジヒデキの活動の集大成とも言える意欲に満ちた1枚となった。

ナタリーではそんなカジヒデキにインタビューを実施。インタビュアーは、カジと旧知の仲であるA.K.I.(A.K.I.PRODUCTIONS)が担当した。

取材・文 / A.K.I. 撮影 / 佐藤類

 
mixiチェック

自主レーベル立ち上げの理由

──新しいアルバム「BLUE HEART」は、これまでずっと所属していたTRATTORIA~felicityレーベルを一度離れ、カジくん自身のレーベル「BLUE BOYS CLUB」からのリリースですね。

インタビュー風景

でも、そんなに大げさなことでもなくて、ちょっと新しいことをやるのもいいかな、くらいの気分です。

──2008年7月から始めた、レーベルと同じネーミングのイベントの延長といった感じでしょうか? とすると、その「BLUE BOYS CLUB」の元々の目指すところ、というかその志はどのへんにあったんですか?

インディロックのクラブイベントをやるというよりは、ロンドンとかでよくある、パブで音楽を楽しんでる雰囲気にしたかったんです。インディポップとかインディロックは、そういう楽しみ方ががいいかな、と。一時、ネオアコとかギターポップとかもあまり聴かれなくなったけど、また周期があって、若い子でそういうものをファッショナブルに聴く世代も出てきたし、そういう人たちがこういう音楽に楽しく触れられる空間があればいいなと思って。それと、例えば、イギリスでは、パブでは音楽を楽しむのはもちろんなんだけど、もっと会話を楽しんでいるっていうのがあって、みんなで(パブリックビューイングで)サッカーを観るときでも、試合を観るというよりそれを観てみんなでああだこうだと言い合ってる感じが楽しいというか、そういう雰囲気を持ってきたかったんです。まあ、かといって自分自身、超社交家というわけでもないんですがね(笑)。でも、そういう機会があれば人と人が出会い、そこから新しい何かが生まれるかもしれない。そういう場があるのがいいなと思ったんです。

──レーベルでは、どういったものをリリースする予定ですか?

イベントでのクラシックチューンみたいな、定番でかかるような曲も結構あるし、国内外問わず、これまでイベントに参加してくれたバンドの曲も集めてコンピレーションをまずは出したいですし、もちろん今良さそうだなと思う人たちの作品もリリースしていく予定です。

同世代にも若いファンにも「青春」を伝えたい

──カジくんも40代になって、1stアルバムの「ミニ・スカート」、あるいはそれ以前のバンド、bridge時代からの同世代ファンはもちろん、その頃のことを情報でしか知らない、「デトロイト・メタル・シティ」あたりから入った若いファンの方もいると思うんです。今回のアルバム「BLUE HEART」は、ターゲットをどこに置くか迷いませんでしたか?

今回は同じ世代にも「あーっ!」って思ってもらえるようにした部分はありますね。まあ、いつも多少あるんですけど。でも、若い世代に聴いてほしいっていう思いは、いつも必ずありますね。かといって、変に若ぶるわけじゃないけど(笑)。

──1曲目からしてモロにネオアコ! オリーブ! ボーダーシャツ!って感じで、ものすごくキャッチーですよね。みんながイメージする一般的な意味での「渋谷系」というか。

インタビュー風景

そうですね。この曲の歌詞に悩んでいたとき、たまたまNHK「日曜美術館」の「木村伊兵衡 天然色でパリを撮る」を観てインスパイアされました。木村さんが50年代にパリで撮影されたのと同じ場所を今、緒川たまきさんが改めて探訪する、という番組だったんですけど。まず木村さんのパリの写真がカッコいいし、また、ある意味で90年代のポップアイコンのお一人でもある緒川さんが、番組中ボーダーシャツを着てらっしゃったのもあって、それにもインスパイアされました。98年頃だったかな? NEIL & IRAIZAのパリのレコーディングに遊びに行ったことを思い出したりもしましたね。やっぱりこの感じいいなって。で、歌詞で「青春とは呼ばないけど」と書いたんだけど、誰でも2度目や3度目の青春と呼びたい時期があったりするよね。でも、フリッパーズ・ギターは「青春は一度だけ」と歌ったし……フリッパーズ派の僕としては(笑)、青春は何度もない!という意味でこんな歌詞にしました(笑)。ネオアコ的な発想。でも本当は、青春は気持ち次第で何度もやってくるし、持続するかもしれない。今は、40代を超えても人生を謳歌してる人がものすごく多いというか。若い頃と気持ちとかあんまり変わらずにいて、ずっといきいきと暮らしてる人が多い気がしますね。ファッションとかライフスタイルにこだわりを持って生きている人が多いので。

──そんな同世代に向けて、という部分もあったんですね。でも「BLUE BOYS CLUB」の盟友KINKさんの手がけたジャケットからして「半ズボン履いて青春!」という、とても爽やかな感じで。

それくらいわかりやすいほうがいいかな?って。で、出来上がったら、タイトルは「BLUE HEART」しかないって。THE BLUE HEARTSだった皆さんに怒られるかな、とも思ったけど(笑)。

ニューアルバム「BLUE HEART」 / 2012年5月16日発売 / 2800円(税込) / AWDR/LR2 / BLUE BOYS CLUB / DDCB-12048

  • Amazon.co.jp
CD収録曲
  1. トリコロール フィーバー
  2. ビーチボーイのジャームッシュ
  3. 君とサマーと太陽がいっぱい
  4. ヒツジ君とミツバチ君
  5. 春風がフュー
  6. 君は君を見てるだけ
  7. ブルージーンズ
  8. ホワイトシューズ
  9. 小さな光、新しい光
  10. フットボールの無い土曜日
  11. クローバーに囲まれた日
カジヒデキ「BLUE HEART TOUR」
  • 2012年7月13日(金)
    福岡県 福岡BEAT STATION
  • 2012年7月15日(日)
    大阪府 心斎橋Janus
  • 2012年7月16日(月・祝)
    愛知県 名古屋CLUB QUATTRO
  • 2012年7月20日(金)
    東京都 渋谷CLUB QUATTRO
カジヒデキ

カジヒデキ

1967年生まれ、千葉県出身のシンガーソングライター。1989年結成の男女混成バンド・bridgeでベースを担当し、1993年3月に1stアルバム「Spring Hill Fair」をリリース。1995年のバンド解散を経て、1996年8月に「マスカットe.p.」でソロデビューを果たす。そのポップな音楽性とキャラクターが幅広い支持を受け、一躍“渋谷系”シーンの中心的存在に。他アーティストの楽曲提供やプロデュースなども多数手がけつつ、コンスタントにリリースを重ね、2008年公開の映画「デトロイト・メタル・シティ」に提供した「甘い恋人」はスマッシュヒットを記録した。2012年3月に自身のレーベル「BLUE BOYS CLUB」を立ち上げ、同年5月に約2年半ぶりのニューアルバム「BLUE HEART」をリリース。