Blur「The Ballad of Darren」リリース記念|著名人10人によるプレイリスト&コメント

1990年代に巻き起こったブリットポップブームの立役者として音楽シーンを牽引し、日本のアーティストにも大きな影響を与えてきたBlur。昨年、再始動をアナウンスして世界中のファンを驚かせた彼らがこの夏、実に8年ぶりとなるオリジナルアルバム「The Ballad of Darren」をリリースした。8月には20年ぶりに音楽フェスティバル「SUMMER SONIC」に出演することも決定しており、注目度は大いに高まっている。

この夏の盛り上がりに向け、音楽ナタリーでは「The Ballad of Darren」の発売に合わせたプレイリスト企画を展開。石崎光(cafelon)、カジヒデキ、後藤正文(ASIAN KUNG-FU GENERATION)、たかはしほのか(リーガルリリー)、永野、西寺郷太(NONA REEVES)、ハリー杉山、ホリエアツシ(ストレイテナー)、やついいちろう(エレキコミック)、ラブリーサマーちゃんの10名に作成してもらったBlur楽曲のプレイリストおよびコメントを掲載する。この企画を通して、古くからのファンはもちろん、初めて作品に触れるリスナーにも、Blurというバンドの魅力を感じ取ってもらえたら幸いだ。

構成 / 下原研二

石崎光(cafelon)

石崎光

テーマ:Strange Pop is Blur !

1994年頃、ブリットポップ全盛期、周囲では王道Oasisが大人気。ねじ曲がっていた僕は1曲も聴かずに(なんて愚か)まさにひねくれたBlur派でした。
英国ユーモアとヘンテコなサウンドを兼ね備えたこのバンドにのめり込みました。

かくいう僕と渡辺シュンスケとのバンド・cafelonも“ひねくれPOP”と散々
言われましたが意図して変に捻じ曲げてやる!というよりも
【ひねくれた=王道とは違うほうがカッコよくない!?】
という意志なんじゃないか?と、Blurのおかげで今も勇気付けられています。

そして大事な要素が“現役”です。ここ重要です。懐古的、ヒット曲のみでツアーをするようなバンドだったらライブも別に興味はないです。
しかし我らがBlur! 7/21に新譜も出して来日してくれるのですから!
楽しみで仕方ありません。
そんな僕のプレイリストはお察しの通り、王道ではない
「Strange Pop is Blur !」です!
(アンディ・パートリッジのプロデュース3曲も入れたかったがサブスクにはなかった。。。)
皆さまに楽しんでいただけたら幸いです。一緒にサマソニで盛り上がりましょう!

プロフィール

石崎光(イシザキヒカル)

1974年生まれ、新潟県出身のプロデューサー / アレンジャー / ギタリスト。2001年に渡辺シュンスケとcafelonを結成し、これまでに4枚のミニアルバムをリリースしている。aiko、杏、家入レオ、片平里菜、カノエラナ、Kiroro、くるり、さかいゆう、私立恵比寿中学、高橋優、堂島孝平、新津由衣、Rie fu、吉澤嘉代子などさまざまなアーティストのプロデュース、アレンジ、ギター演奏も担当している。

カジヒデキ

カジヒデキ

テーマ:VERY BRITISH

Blurが1stシングル「She's So High」をリリースした1990年の末頃は、すでにマンチェやプライマルなどUKロックにどっぷり浸かっていたので、デーモンのマッシュルームヘアやサイケデリックなサウンドに一瞬にしてK.O.でした。でも決定打は続く「There's No Other Way」のカッコよさ! 当時、下北沢ZOOでのLove Paradeや91年8月のフリッパーズ・ギターのライブ前に瀧見憲司さんがDJでその曲をプレイし、発狂するほど踊り狂ったことは一生忘れないでしょう。もちろん、初来日のクラブチッタも大興奮! デーモンがスピーカーの上までよじ登ったりしてね。

で、完全に彼らの虜になったのはやはり「Modern Life Is Rubbish」で打ち出した「VERY BRITISH = 英国的な」な曲調やイメージでした!! もうそこからは完全にBlur派ですし、とにかくずっとBlurがナンバー1です。海外でも何度もライブを観ましたが、特に「Think Tank」でグレアムが脱退したあとの、今は亡きアストリアでの涙の4Daysを全部観たことと、グレアムが復帰したハイドパークを2日とも観に行ったことは思い出深い経験。

そう貴重な経験と言えば、00年代にロンドンでよく使っていた友人のスタジオの隣が、なんとあの「スタジオ13」。一度、デーモンが自転車で出かけるときに出くわし、通路のドアを開けてあげて「Cheers, Mate!」と言われたのは最高にうれしかったけど、緊張しすぎて「Alright!」しか言えなかったのが、本当に残念、、笑。プレイリストのテーマは「VERY BRITISH」です。

プロフィール

カジヒデキ

1967年生まれ、千葉県出身のシンガーソングライター。1989年結成の男女混成バンド・bridgeでベースを担当し、1993年に1stアルバム「Spring Hill Fair」をリリース。1995年のバンド解散を経て、1996年8月に「マスカットe.p.」でソロデビューを果たす。2012年に自身のレーベル・BLUE BOYS CLUBを立ち上げ、以降コンスタントに作品を発表。2022年12月には3曲入りのEP「A ROOM WITHOUT YOU e.p. [CD]」をリリースした。

後藤正文(ASIAN KUNG-FU GENERATION)

後藤正文

テーマ:Blurから感じるLondon

ほとんど「Parklife」からの選曲になってしまった。10代のときに聴き続けたアルバムだから仕方ない。彼らの曲を聴くとロンドンの街並みを思い出す。数回しか行ったことがないけれど、SOHOの街で赤い2階建てのバスの車列とすれ違ったときに、彼らの曲がふっと浮かんだ。この街だから、こういうコード進行やメロディになるのかとなんだか腑に落ちたのだった。あんまりアメリカナイズされてない曲が好きなのかも。プレイリストは好きな曲を選んで、友達に薦めるときのことを思って並べた。

プロフィール

後藤正文(ゴトウマサフミ)

1976年生まれ、静岡県出身。1996年にASIAN KUNG-FU GENERATIONを結成し、2003年4月にミニアルバム「崩壊アンプリファー」でメジャーデビュー。2004年にリリースした「リライト」を機に人気バンドとしての地位を確立させる。バンド活動と並行してGotch名義でソロ活動も展開。the chef cooks me、Dr.DOWNER、日暮愛葉らの作品にプロデューサーとして携わるなど多角的に活躍している。文筆家としても定評があり、これまでに「ゴッチ語録」「凍った脳みそ」「何度でもオールライトと歌え」などを刊行した。なお、2023年7月にはASIAN KUNG-FU GENERATIONのニューアルバム「サーフ ブンガク カマクラ(完全版)」がリリースされた。

たかはしほのか(リーガルリリー)

たかはしほのか

テーマ:教室を照らした夕暮れのヘッドフォン

私の行く先が転々としても、昔住んでいた故郷が脳裏で両足を支えてくれているみたいな、懐かしさを感じます。街でどこか耳馴染みのいい匂いのするフレーズとか、神出鬼没の和音とか、道でばったり昔の友達に会ったときみたいな、ちょっと怖いけど新しい何かがまた動き出す心の夏を感じます。

初めてBlurにのめり込むきっかけになったのは「Song 2」のライブ映像。

イントロのふっふーを会場すべてがシンガロングしてその場所を震わせていて、画面越しでも迫力がありました。

あれは、なんだろう、歌なのか!と考えさせられるきっかけにもなりました。(小学生のとき、歌の授業のときに口笛を吹いたらそれは歌じゃありませんとお叱りを受けた過去があるので)かなりの衝撃映像でした。たくさんの自由を知る入り口を優しく運んでくれる音楽です。ずっと好きです!

プロフィール

たかはしほのか

ロックバンド・リーガルリリーのボーカリスト / ギタリスト。2014年7月にバンドを結成し、高校在学時より精力的に活動する。2019年にはアメリカの音楽フェスティバル「SXSW」に出演し、中国でツアーを開催するなど海外でも活動。2022年1月には2ndアルバム「Cとし生けるもの」をリリースした。2023年5月に最新ミニアルバム「where?」を発表し、7月には東京・日比谷公園大音楽堂(日比谷野音)でワンマンライブ「リーガルリリー YAON 2023」を開催。9月からはツアー「リーガルリリー TOUR 2023 『where?』」で全国7都市を回る。

永野

永野

テーマ:永野が聴いた数が多い順(たぶん)ベスト7

Blurを知ったのはまずは写真で、世間的にグランジ現象が落ち着いた時期のアルバム「Parklife」の告知用のやつで、自分は相変わらず憂鬱なロックに浸かっていたのでその陽気な姿にピンと来ませんでした。そのあと何かでシングル「Girls & Boys」を聴いていい曲だと思いつつも舐めた連中だと思いました。アルバム「The Great Escape」を経て彼らにとって最大の問題作「Blur」が発売されまして、その清々しいまでのオルタナティブロックに対する敗北宣言には聴き心地がいいと同時に親父に腕相撲で勝ってしまった息子のような気持ちにもなり、妙に前の2枚のアルバムの気高さが恋しくなってしまいました。そこでアルバム「Parklife」「The Great Escape」を改めて聴き直すと自信に満ちあふれた空気に「唯我独尊」という言葉が浮かび、初めて最高だなと気付かされました。というわけでほかのアルバムも重要だと理解しつつ、聴いた時期や状況などから個人的にはその3枚が自分にとってのBlurです。人生のさまざまな瞬間に急に聴きたくなります。特に「The Great Escape」が好きです。一見捻くれてるように見えてとても正直で好奇心旺盛なバンドだと思います。今は紆余曲折あって一番楽しそうな時期に見えます。Blurでほっこりする日が来るとは。

プロフィール

永野(ナガノ)

1974年9月2日生まれ、宮崎県出身。1995年に活動を始め、“孤高のカルト芸人”として長きにわたりライブシーンで活躍する。2014年に「ゴッホより普通にラッセンが好き」のフレーズで知られるネタでブレイク。洋楽や洋画への造詣が深いことでも知られる。清水康彦、斎藤工、金子ノブアキとともに映像制作プロジェクト「チーム万力」を結成し、2019年に長編映画「MANRIKI」を発表。2023年2月には著書「オルタナティブ」を刊行した。