デジナタ連載 Technics×「レコードの日」|僕らが大好きなレコードの話をしよう 12名の言葉で味わうアナログレコードの世界

毎年11月3日に開催されるアナログレコードの祭典「レコードの日」。アナログレコードのプレスメーカー・東洋化成が主催、Technicsが協賛する本イベントでは、全国各地のレコードショップでさまざまなアーティストたちのアナログ作品がリリースされる。

音楽ナタリーでは、今年「レコードの日」が11月3日と27日の2DAYSで開催されることを記念して、アナログレコードを愛する著名人12名のコメント企画を展開。各々のレコードにまつわる思い出やエピソード、好きなレコード作品などについて教えてもらった。

構成 / 瀬下裕理

Technics「SL-1200MK7」

Technics「SL-1200MK7」

世界中のDJがプレイする現場で使われ続ける「SL-1200」シリーズの最新機種。ダイレクトドライブモーターやプラッター、シャーシなどすべてを一新しながら、トーンアームや各種操作スイッチなどの配置は「SL-1200」シリーズのレイアウトをそのまま踏襲し、これまでと変わらない操作性を実現している。ボディはブラックおよびシルバーの2色展開。

Technics「SL-1200G」

Technics「SL-1200G」

音楽好きにリスニング用機材として愛されている“グランドクラス”シリーズのターンテーブル。ダイレクトドライブシステムの課題を解決し安定した回転を実現する、Technicsが開発したコアレス・ダイレクト・ドライブモーターを搭載。Blu-rayディスクの制御技術が盛り込まれたことにより、回転制御がブラッシュアップされている。カラーはシルバーの1色展開。

レコードの日

「レコードの日」ロゴ

アナログレコードの魅力を伝えることを目的として2015年より毎年11月3日に開催されているアナログレコードの祭典。東洋化成が主催、Technicsが協賛している。イベント当日は全国各地のレコード店でさまざまなイベントが行われ、この日のために用意された豊富なラインナップのアナログ作品が販売される。

石塚淳(台風クラブ)

台風クラブ。中央が石塚淳(Vo, G)。

アナログレコードの魅力

今ではサブスクに対し、CDもアナログもフィジカルと呼ばれていますが、より身体的なのがアナログレコードだと思います。

アナログ盤は、最初に針を落とすときの「ぷつ…」という音から1曲目が始まるまでの無音部分すら、イントロのイントロという感じがして、本当にワクワクします。
ここでのチリチリノイズは、自分にとってはむしろ興奮剤として作用します。
針が溝を擦る、そこから音楽が再生される、という不思議な仕組みは、聴く者の無意識下に何らかのいい影響を与えていると思います。

対するCDは、プレーヤーに吸い込まれてしまったあとはブラックボックスで、なんだか味気ないなあと思います。無論そんなことが音楽の善し悪しに影響しないとは分かっていても、好きな作品であればあるほど、アナログで欲しい、アナログで聴きたいと思ってしまいます。

自分は特にLPが好きなのですが、スキップもシャッフルもできないという性質上、レコードを選んで再生した時点で、そこから3、40分はそのレコードを中心に時間が流れるのです。「贅沢~」と思います。

レコードで聴くべき3枚

トラヴィス・ウォーマック「Scr-Scr-Scratchy!」

この夏、ココナッツディスク吉祥寺店でゲットした1枚。
トラヴィス・ウォーマックは、高校生の頃に買った60’sガレージのコンピLP「ARE YOU EXCITED?」に2曲が収録されており、そのぶっ飛んだ奏法のエレキインストに感電してしまって以来、ず~~っとその名を心に刻んでいました。
刻みすぎて同姓同名(いや、本人かもしれない)のレイドバックした70’sSSW作品も持ってます。

そんなトラヴィスの1960年代メンフィスでの作品集。ぶっ飛んだエレキインスト(牧歌的ボーカル曲もあり)がみっちり13曲、最っ高です。

こんなふうに、心のウォントリストが100枚とか200枚あると、いつどこのレコード屋さんに行っても楽しいし、必ず何かと出くわします。

浅川マキ「ライヴ 夜」

尾道の尾道レコードでゲットした1枚。

CDで音楽を聴くことが当たり前になってからも、マキさん自身がCDをよく思ってはいなかったという逸話も手伝って、ずっと浅川マキさんの残したレコードを探しては、少しずつ集めています。

このレコードは1977年の京都大学西部講堂でのライブ録音。
冬の西部講堂の体の芯から凍える寒さと、所々に灯るストーブのオレンジ、木と埃の匂いが漂ってくる超名盤です。演奏やMC、お客さんの拍手や手拍子、全部で1つの“夜”になっています。仮にCDで持っていたとしても、レコードでしか聴かないと思います。

とし太郎&リバーサイド「ジェーンがかわいそう」

こちらは贈り物としていただいた、7inchのシングル盤。

キングジョーさんのDJでも大いに盛り上がるキラーな1曲で、まさかの曽我部恵一さんもラジオでスピンされていました。
いわゆるレアグルーヴ、珍盤再発見といった文脈に位置付けられる1枚かと思うのですが、A面B面ともに、曲も演奏も本当にイカしてます。

CD化もサブスク化もされることもなく、レコードとしてのみ存在しています。
「音源化されたすべての音楽」を見渡せば、まだまだレコードでしか存在しないものが膨大に存在するだろうなというのは、レコードが主流だった時代の長さを思えば、容易に想像ができます。
いいものや必聴盤はだいたいCDになってるかサブスクに上がってるだろうという思い込みはヤバイな、と思います。

Technics製品のイメージ

特に「SL-1200」シリーズは、質実剛健、憧れの逸品というイメージがあります。
極稀にイベントでDJをさせてもらうときなど、会場にある機材が「SL-1200」シリーズだと、「おお~!」と思います。

手前味噌になりますが、今夏の自主企画ライブで、会場BGMとして「先輩ブレンド」という、アナログオンリーの2時間超MIXを作りました(Mixcloudに上げてます! / 参照:先輩ブレンド R3.夏 by taifuclub | Mixcloud)。

我が家にはターンテーブルが1台しかなく、レコード交換時の無音タイムを己の熱量で埋めつつ(泣)、最終的にPC上でつなぎました。
たとえテンポがズレようと、カットインをミスろうと、ターンテーブル2台+ミキサーで一気に作り上げたら、もっともっと楽しかったろうなあ、いつかやってみたい!と思いました。

かつて「SL-1200」の生産終了がアナウンスされたとき、飛びつきたかったのですが、お金がなく諦めざるを得なかったので、その後の復活がとてもうれしいです。
2台そろえるのはまだ先になってしまいそうですが、これからも憧れの存在として鎮座していてください。

石塚淳(台風クラブ)
山本啓太(B)、伊奈昌宏(Dr)とのロックバンド・台風クラブのボーカルとギター担当。2013年の結成後、台風クラブは7曲入り音源集「12月14日」をリリース。2014年に初代ベーシスト・まっちゃんが脱退し、山本の加入により現体制に移行した。2015年にシングル「ずる休み」、2016年にタカダスマイルとのスプリット7inchシングル「ついのすみか / かくれんぼ」、2017年にアナログ作品「相棒 / 飛・び・た・い」と1stアルバム「初期の台風クラブ」を発表。その後もアナログ盤でのリリースを続け、2020年には7inchシングル「下宿屋ゆうれい」を発売した。

AAAMYYY

AAAMYYY

アナログレコードの魅力

針を落としたときの感触や盤を裏返す手間、温かみのある音像が魅力的。父親が昔やっていたバンドの40年前のレコードが発掘され、針を落として音が鳴ったときはタイムスリップしたかのような感覚に感動した。

レコードで聴くべき3枚

ワンオートリックス・ポイント・ネヴァー「Age Of」

ちりばめられている繊細な音やアナログシンセのふくよかさ、弦楽器の響きや空気感はレコードで聴くと一入。

ハンス・ジマー&ベンジャミン・ウォルフィッシュ「Blade Runner 2049 (Original Motion Picture Soundtrack) 」

ヴィンテージアナログシンセ×オーケストラ×アナログレコードの相対的作用。

美空ひばり「ひばりとシャープ」

ステレオ録音技術が導入されたばかりの当時、生演奏と共に一発録音されたこのレコードは、デジタル化されたとてやはりレコードで聴きたい。

Technics製品のイメージ

ハイファイかつ圧倒的信頼の置ける音響機器メーカーであり、レコードを最高音質で聴くなら絶対的にTechnics。

AAAMYYY(Tempalay)
長野県出身のシンガーソングライター / トラックメイカー。カナダへの留学後、22歳から音楽制作を始める。2017年にソロ活動を開始し、2018年にTempalayに正式に加入。その後もバンド活動の傍ら、ソロ名義での作品発表や、他アーティストのサポート活動、CMへの楽曲提供、モデル活動など多岐にわたって活動している。2019年に1stフルアルバム「BODY」、2021年8月に2ndアルバム「Annihilation」を発表した。

江口寿史

江口寿史

アナログレコードの魅力

自分の場合、音楽を聴く時間はほとんどが仕事中になります。が、絵を描いているときにアナログレコードは向きません。片面終わったら裏面にひっくり返さないといけない。ホコリがついていたら拭き取らないといけない。そしてその面もすぐ終わり、次のレコードはどれにしよう……そんな面倒な事に囚われていたらとても仕事に集中などできません。

なのでもっぱら仕事中はサブスクやiTunesを流しっぱなしにするのですが、時間に余裕があるとき、「お酒とか飲みながらレコード聴こうかな」という気分のときには、その“面倒なこと”全部が愉しみの要素になるのですね。チリチリという針の音や、針飛びですら。それはとても豊かな時間だと思うのです。紙の本を読むことも、珈琲を豆から挽いて淹れることもそれに似ています。

すべての産業は、無駄を省くことや効率をあげることに向けて努力と進歩を続けてきたわけですが、これから先の時代は“無駄なこと”の豊かさをどう残すかということが大切な課題になっていくと思いますね。

レコードで聴くべき作品

CD化されていない、もしくは過去にされたCDが希少化、高騰化していて手に入りにくい作品はアナログでしか聴けないわけで、当然そういうレコードには愛着が湧きますね。

手持ちの中ではTESTPATTERNの「APRÈS-MIDI」とかアンディ・パートリッジの「TAKE AWAY」などがそうです。 ジャケットが好きで長く部屋に飾っているのは、

大滝詠一「NIAGARA MOON」

ベン・ワット「North Marine Drive」

Sonic Youth「Goo」

ホルヘ・サンタナ「JORGE SANTANA」

アストラッド・ジルベルト「The Essential Astrud Gilberto」

など。

ジャケットを飾るだけで部屋のいいアクセントになる。そんな気安く身近なアートであるところもアナログレコードの魅力ですね。

Technics製品のイメージ

自宅のレコードプレイヤーは40年使っている他社製品ですが、仕事場でもアナログレコードが聴きたくなり、Technicsの「SL-1200MK5」を中古で買いました。選んだ理由は機能がどうのこうのというよりルックスがイカすからです。デザインがとても日本っぽくないですよね。必要最低限の機能だけが形になっている、という感じで、余計な装飾が多い日本の製品の中にあって際立ってストイックで格好いい。

もとより自分はハード面での音の違いなどはあまりわかりません。自分の使っているシステムによるのかもしれないし、何百万、何千万円をかけた“最上級の音”を聴いたことがないからかもしれませんが、音楽そのものが大事なのであって、ミックス違いがどうのこうのみたいな部分にもあまり興味がないし、そういう違いを聴き分ける耳も持っていないと思っています。

江口寿史
1956年生まれ、熊本県出身のマンガ家 / イラストレーター。1977年に「週刊少年ジャンプ」にてマンガ「恐るべき子どもたち」でデビュー。代表作は「すすめ!!パイレーツ」「ストップ!!ひばりくん!」など。1990年頃からシャープな画風の美少女イラストで人気を集め、以降は主にイラストレーターとして活動している。これまでに吉田拓郎、銀杏BOYZ、lyrical schoolほかさまざまなアーティスト作品のジャケットを手がけ、2020年にジャケットアートワーク集「RECORD」を出版。2021年3月には女性イラストのみで構成した美人画集「彼女」を発表し、7月から9月にかけて北海道立旭川美術館にてイラスト展「彼女」を開催した。同展は2022年に長野、岩手、千葉でも行われる予定。

カジヒデキ

カジヒデキ

アナログレコードの魅力

僕の年齢だと、アナログレコードは特別なものでは無く、生まれたときから日常の中に普通にあるものでした。
20代の頃はレコードショップでバイトをしながら音楽活動をしていましたし、ずっとレコードが好きで生きてきたので、その感覚は今も変わりません。
レコードの魅力と言えば、丸い物体に針を落とすと音楽を奏でるという、魔法のようなアイテムだということ。
レコードジャケットも魅力的で、音楽とアートワークが織りなす総合芸術でもあります。
低音の心地よさや、温かみのある音質、そしてパチパチというノイズですらレコードならではの魅力です。

レコードに関する思い出はたくさんあり過ぎます。
1991年の夏、友人と初めてロンドンをメインにイングランドを旅した時、ほとんど観光名所に行くことなく、ひたすらレコードショップを巡り続けました。その頃が一番レコード熱が爆発していた頃でした。1カ月の滞在中に500枚くらいレコードを買ったと思います。帰りの空港で、それをなんとか普通に荷物として持って帰ろうとしましたが、もちろん重量も大きさもオーバー。超過料金もすごい値段だったので、慌てて空港の郵便局へ行きダンボールに詰めて日本へ送ったことがありました。
その後、海外旅行へ行った際も、一応重量のことは気にするようになりましたが、欲しいレコードと出会うとつい買ってしまうので、大変なことは何度もありましたね。

レコードで聴くべき3枚

Roger Nichols & The Small Circle Of Friends「Roger Nichols & The Small Circle Of Friends」

アナログレコードの時代だった60年代の作品は、レコードで聴くのが一番だと思います。
隠れた超名盤と言われたこの作品を知ったのは、80年代末にCD化されたときだけど、その少しあとに当時1万円以上のレア盤だったこの中古レコードを比較的買いやすい値段で見つけたときの感動と言ったら! 僕がレコードに深くのめり込むようになった、きっかけを作ってくれた作品の1つです。

The Smiths「The Queen Is Dead」

アナログレコードはA面とB面があり、その曲順というのがとても重要です。
このアルバムはその流れの素晴らしさが、とても顕著に表れている名盤中の名盤です。
The Smithsはレコードジャケットのアートワークにもものすごいこだわりがあり、その統一感のあるジャケットは全部持っていたくなりますね。アルバムも12inchシングルも、7inchシングルも。
レコードというものの素晴らしさを教えてくれたバンドです。

Belle and Sebastian「The Boy With The Arab Strap」

1998年のリリース当時、インディーファンに神様のように崇められていた彼ら。とても繊細で息遣いまで聴こえてきそうなこの作品は、ぜひレコードで聴きたい1枚。この3rdアルバムがリリースされた日、僕は彼らの地元であるスコットランドのグラスゴーにCorneliusのライブを観に行っていました。そして当時、僕の神様であるThe Pastelsのスティーヴン・パステルが働いていたレコードショップで、このアナログレコードを購入したことも、自分にとってとても大切な思い出。

Technics製品のイメージ

僕が20歳を過ぎた頃は、まさにクラブカルチャーやDJカルチャーが台頭し広まり出した頃だったので、レコードをたくさん買っている人は、自分たちでクラブイベントを企画し、誰もがDJを気取り始めた時代でもありました。みんな自宅に、ターンテーブルを2台とミキサーを購入したりして。そしてターンテーブルと言えば、Technicsの「SL-1200」というイメージでしたし、僕自身今もこれです。
Technicsの製品は、精密で正確。そしてシンプルで美しいデザインという印象を持っています。

カジヒデキ
1967年生まれ、千葉県出身のシンガーソングライター。1989年結成の男女混成バンド・bridgeでベースを担当し、1993年に1stアルバム「Spring Hill Fair」をリリース。1995年のバンド解散を経て、1996年8月に「マスカットe.p.」でソロデビューを果たす。そのポップな音楽性とキャラクターが幅広く支持され、渋谷系シーンの中心的存在に。2012年に自身のレーベル・BLUE BOYS CLUBを立ち上げ、以降コンスタントに作品を発表。2021年11月の「レコードの日」に、1997年発売の1stアルバム「ミニスカート」のアナログ盤が24年の時を経てリリースされる。

STUTS

STUTS

アナログレコードの魅力

デジタルで聴くのとは違うアナログならではの深み、温かみがあるところ。デジタルで聴いていた音楽をアナログで聴いたらその音の豊かさに感動して、改めてアナログのよさを実感しました。
高校生の頃レコード屋の店員さんにいろいろ教えてもらってレコードを買っていたのですが、そのときに買ったレコードは今でもたまに聴いています。

レコードで聴くべき3枚

エディ・ラス「See the Light」

高校生の頃レコード屋さんにおすすめしてもらって買ったレコード。その頃から今までいつ聴いても感動する作品です。データで聴くよりアナログで聴いたほうが心に来るものがある気がします。

ウェルドン・アーヴィン「The Sisters」

少しこもった感じのミックスが、アナログになるとより温かさと深みが増して素晴らしいです。

The Beatnuts「Props Over Here」

ひさびさにアナログで聴いたらドラムとベースの太さにテンション上がりました。昔のHIP HOPはやっぱりアナログが映えると思います。

Technics製品のイメージ

Technicsのターンテーブル「SL-1200MK5」を高校生の頃からずっと使っているので、DJやレコードといえばTechnicsというイメージがあります。

STUTS
1989年生まれ、愛知県出身のトラックメーカー / MPCプレイヤー。作品制作やライブ活動と並行して、さまざまなアーティストのプロデュースやコラボレーション、テレビ / CMへの楽曲提供など活躍の場を広げている。2016年にPUNPEE、KID FRESINO、KMCらをゲストに迎えた1stアルバム「Pushin'」をリリースし、2018年に鎮座DOPENESS、Daichi Yamamotoらが参加した2ndアルバム「Eutopia」を発表した。2020年にミニアルバム「Contrast」を発表し、2021年6月にドラマ「大豆田とわ子と三人の元夫」の主題歌を収めたアルバム「Presence」をSTUTS & 松たか子 with 3exes名義でリリースした。

須田洋次郎(ミツメ)

須田洋次郎(ミツメ)

アナログレコードの魅力

再生環境やターンテーブルの針圧を調整することで聞こえ方が変わったり、雑に扱うと傷ついて聴けなくなってしまうといった、少し手間がかかる感じ、もしくはそういった余地があることが面白いなと思います。
また、金銭的にも収納スペース的にも新しくレコードを買うときは悩むため、それぞれのレコードを買ったときの出来事やそのとき調べたことなど、そのレコードにまつわる記憶が自分の中に残っていることが多いと感じます。

レコードで聴くべき3枚

Panbers「Volume 1」

初めての海外ツアーで買ったインドネシアのレコードです。真剣な1970年代サイケデリックロックのはずなのですが、可笑しなフレーズやコーラスワークの波が押し寄せてきます。
ジャケットにも真面目なのかふざけているのか分からない雰囲気があり、レコードサイズでのインパクトがあります。

Milk 'N' Cookies「Milk 'N' Cookies」

こちらも真面目なのかふざけているのか掴めない、そういった愛嬌のようなものを感じる作品です。
“レコードで聴く音楽=家で聴く音楽”なので、思わずにやついてしまうような音楽をレコードで買うというのも、もしかするといい判断基準になるのかもしれません。

マイケル・ハーレイ「Back Home With Drifting Woods」

数年前に発売された1960年代アシッドフォークの発掘盤。画家としても活動されているご本人による(と思われる)ジャケの絵もとても好きで、このジャケをターンテーブルの奥に立てて、だらっと聴いていると幸せな気分になれます。

Technics製品のイメージ

普段家でレコードを聴くときにもTechnicsのターンテーブル「SL-1200MK3」を使っています。一時期はDJの練習をするべく、2台並べて試行錯誤していました。やはりDJといえばTechnicsというイメージがあります。直線的で無骨なフォルムも好きです。

須田洋次郎(ミツメ)
川辺素(Vo, G)、大竹雅生(G, Syn)、nakayaan(B)とのバンド・ミツメのドラム担当。2009年の結成後、ミツメは2011年に1stアルバム「mitsume」、2012年に2ndアルバム「eye」を発表。国内だけでなくインドネシア、中国、台湾、韓国、タイ、アメリカなどでの海外ツアーを行う。以降もライブ活動を精力的に行いながらコンスタントに作品を制作し続けている。2021年3月に6thアルバム「VI(シックス)」およびSTUTSをゲストに迎えた楽曲「Basic」を発表。同年9月にはライブ音源集「"mitsume archives" best」を配信リリースした。