「PEANUTS CAMP 2018」特集 カジヒデキ×ヒロシ|キャンプへ行くつもりじゃなかった“ぼっち”でも楽しめるキャンプフェス

8月25、26日に千葉・一番星★ヴィレッジで野外ライブイベント「PEANUTS CAMP 2018」が行われる。

2016年にスタートした「PEANUTS CAMP」は東京ドーム約13個分の広大なオートキャンプ場でライブのほかアウトドアアクティビティ、ワークショップ、地元グルメなど、さまざまなコンテンツが楽しめる。音楽ナタリーでは本イベントのキュレーターを務めるカジヒデキと、今回の出演者であるお笑い芸人・ヒロシによる対談を実施。カジにはイベントの特色や楽しみ方、そしてアウトドア愛好家としての顔を持つヒロシには、1人でも楽しめる“ソロキャンプ”の魅力などを述べてもらいつつ、それぞれの「PEANUTS CAMP」に向けた意気込みなどを語り合ってもらった。また特集の後半では、ヒロシからソロキャンプ初心者へのアドバイスをもらった。

取材・文 / 秦野邦彦 撮影 / 佐藤類

目指したのは家族連れが気持ちよく楽しめるようなフェス

──お二人はこれが初対面だそうですね。

カジ そうなんです。今回は「PEANUTS CAMP」に出演していただいて、ありがとうございます。

ヒロシ こちらこそありがとうございます。ジャンルが違うから、お会いする機会もないですもんね。そもそも僕、お笑い芸人と会うこともないので……(笑)。

左からヒロシ、カジヒデキ。

──「PEANUTS CAMP」は今年で3回目を迎えます。カジさんは初回からキュレーターを務めていらっしゃいますが、そもそも、どのような流れでカジさんにお話が来たのでしょう?

カジ 千葉県市原市に一番星★ヴィレッジというキャンプ場があって、そこでキャンプのフェスをやろうということでお話をいただいたんですね。「Let's Chill!」というテーマがあったので、たぶんイメージ的に僕のところに話が来たんだと思います。あと、僕も千葉県出身なので。

──キュレーターの主な仕事というのは?

「PEANUTS CAMP 2017」の様子。

カジ どのようなアーティストに出演してもらうかを決めるのが一番大きな仕事ですね。ロックキッズというよりは、家族連れが気持ちよく楽しめるようなフェスを目指しているので、出演アーティストもアコースティック系が多かったりします。基本的には豊かな自然の中で音楽やいろんなアミューズメントをのんびり楽しもうというフェスになっています。

──キャンプ好きのヒロシさんにはぴったりなフェスですね。

ヒロシ でも、若い人は知りませんよ? 僕のこと……。

カジ そんなことないです(笑)。お客さんは三十代、四十代の人が多いですし、出演者も、けっこう僕と同世代が中心なので。

ヒロシ 自分よりダメな人がいると落ち着きますもんね……。

──いやいやいや(笑)。まずは今回初参加のヒロシさんのために、これまでの「PEANUTS CAMP」についてカジさんからご紹介いただいてもよろしいですか。

カジヒデキ

カジ はい。初回から毎回出てもらっているのが、かせきさいだぁくん、サニーデイ・サービスの曽我部恵一くん、やついいちろうさん、DJみそしるとMCごはんさんです。初年度はまず千葉で開催することをアピールしたかったので、千葉県出身の大木温之(Theピーズ)さん、大木知之(TOMOVSKY)さん、日高央(THE STARBEMS)くん、それから氣志團の綾小路翔くんと早乙女光くんにお声がけさせてもらいました。翔くんと自分は実家がすごく近いんです。僕が富津市で、翔くんが君津市。彼は上下関係をすごく大切にしてくれる人なので、快くオファーを受けてくれました。そして去年はチャットモンチー、ORIGINAL LOVEの田島貴男さん、小西康陽さん……。小西さんはDJとして野外フェスに出る機会はこれまであまりなかったと思うんですけど、2つ返事でOKをもらえて。小籔千豊さんの吉本新喜劇ィズというバンドは結成当時に僕が曲を提供させてもらった関係から出演していただけました。千葉県枠では、千葉を代表するJAGUARさんというミュージシャンの方がいるんですけれども……。

ヒロシ あ、知ってます。すごく派手な格好されている方ですよね。

カジ JAGUARさんは僕が高校生の頃、千葉テレビで「ハロー!ジャガー」という番組に出演されていたんです。

──当時みうらじゅんさんが雑誌「宝島」などで紹介されていましたね。

ヒロシ たぶん、僕はそういうので見たんだな。熊本出身だから情報があまりなくて……雑誌とかでしか知らないんですけど、「なんだろうなあ、この人は」って感じで見てました。

カジ 最近またテレビなどでも活動されてるので、ぜひと言うことで。基本的にこのフェスではみんなそれぞれ自由にやってもらえたらと思っているんです。去年は小西さんのDJのときに田島さんが突発的に1曲歌ってくれたり、そのぐらいのユルさみたいなものがあるといいなと思ってます。

ソロキャンプは今の時代に合ってる感じがする

ヒロシ (出演者リストを見ながら)みんな音楽をやる人じゃないですか。芸人さんも含めて。僕、音楽やらないんですけど……。

──今年ヒロシさんに出ていただきたいと思われたのは?

ヒロシ (怪訝そうに)暇そうだったから?

カジ 違います!(笑) ヒロシさんのYouTubeの動画(「ヒロシちゃんねる」)を拝見して、キャンプがお好きなんだなと思って。

ヒロシ

ヒロシ そうなんです。ソロキャンプが好きで。

カジ スタッフの間でも盛り上がったんです。ぜひヒロシさんに出ていただきたいって。「PEANUTS CAMP」はキャンプ色が強いフェスなので、自前のテントを持って来られる方もたくさんいますし、テントの貸し出しコースもあるので、ヒロシさんにキャンプのレクチャーをやっていただけたら面白いだろうなって。

ヒロシ レクチャーというほどではないですけど、僕が感じているキャンプの魅力については話せると思います。それぞれ楽しむポイントが違うじゃないですか?

カジ そうですね。僕も以前「GO OUT JAMBOREE」というイベントに参加させてもらって、キャンプイベントにもいろんなタイプがあるんだな、面白いなと思いました。

「PEANUTS CAMP 2017」の様子。

ヒロシ キャンプといってもいろんな形がありますよね。テントに飾りを付ける、かわいらしいのが好きな人もいれば、道具にこだわる人や料理にこだわる人もいる。本当にバラバラなんです。だから僕はこういうところに萌えポイントを置いてるんですよ、みたいなことならお話しできるんですけれども……まあ、それぞれ自由にできるから楽しいんですよね。こうしなきゃいけないっていうのもないので。

カジ 今、フェスに1人で来る人って意外と多いと思うんです。音楽を1人で聴く人も多いので、キャンプも1人で楽しめたらすごくいいなって。そういう意味でも、ソロキャンプって今の時代に合ってる感じがするんです。ヒロシさんが野外でコーヒーを淹れてる映像とか観ると、「これいいな、やってみたいな」と思う人はたくさんいるだろうなと思うんですよ。

──「ヒロシちゃんねる」は4、5人いないとキャンプはできないものという固定観念を取り払ってくれますよね。

ヒロシ ソロキャンプは何も気にしなくていいんで。僕もフェスは友達とか仲間が多い人が行くものだと思っていたので、1人でも遊びに行けるフェスがあるとしたら魅力的ですね。

──最近は1人用のテントも需要が多いようです。実際、13万人のチャンネル登録者を持つ「ヒロシちゃんねる」を参考にされている方も多いのではないでしょうか。

カジ キャンプの映像をYouTubeに上げようと思われたのは何かきっかけがあったんですか?

ヒロシ もともとソロキャンプはやってたんですけど、途中からソロキャンプに賛同する芸人の友達ができて。それで思い出作りに映像を撮り始めたんです。忙しくてキャンプに行きたくても行けないときは都内で飲み会をやって、キャンプの映像をみんなで観たり。

カジ あの映像すごくきれいですよね。

ヒロシ ありがとうございます。人に観られていることに気付いたので、だんだん画質とか意識し始めて。

カジ また、あまりしゃべらないのがいいですね。あれがすごく気持ちよくて。

ヒロシ そうなんです。YouTuberにもいろんな方がいますけど、僕はどうもテンションが高いのが合わなくて……。あまりしゃべらずに自然な感じでキャンプの様子を撮れたらいいなと思ったんです。

左からカジヒデキ、ヒロシ。

カジ キャンプ歴はずいぶん長いんですか?

ヒロシ 歴で言ったら小学校からです。ただ、自分で道具を買い始めたのは……ほら、15年前に1回メディアによく出てた時期があったじゃないですか? その後落ち目になりましたけど……。

──いやいやいや(笑)。

ヒロシ その売れたときに初めて自分のお金で道具を買いました。当時はまだ1人でキャンプに行ってたわけじゃないんですけど。やっぱりキャンプって何人かで行かなきゃいけないものだと思っていたので。

──バイきんぐの西村瑞樹さんもキャンプ仲間ですよね。「ヒロシちゃんねる」にも登場されていますが。

ヒロシ そうなんです。去年まで西村くんとは、しょっちゅう会ってたんですけど、今年になってから彼が非常に忙しくなって……売れやがって(笑)。また一緒にキャンプに行きたいから、早く暇になってくれないかなあと思ってます。

PEANUTS CAMP 2018
PEANUTS CAMP 2018
2018年8月25日(土)千葉県 一番星★ヴィレッジ
OPEN 10:00 / START 12:00 / END 21:00(予定)
出演者

カジヒデキ / かせきさいだぁ / 小山田壮平 / GRAPEVINE / コアラモード. / スチャダラパー / 曽我部恵一(サニーデイ・サービス) / 台風クラブ / DJみそしるとMCごはん / DJやついいちろう(エレキコミック) / wacci / 猫ひろし / ヒロシ

2018年8月26日(日)千葉県 一番星★ヴィレッジ
OPEN 8:00 / START 10:00 / END 19:00(予定)
出演者

カジヒデキ / かせきさいだぁ / 大木温之(Theピーズ) / カネコアヤノ / 小西康陽 / ザ・なつやすみバンド / SOLEIL / 野宮真貴 / and more

カジヒデキ
カジヒデキ
1967年千葉県出身のシンガーソングライター。1989年結成の男女混成バンド・bridgeでベースを担当し、1993年3月に1stアルバム「Spring Hill Fair」をリリース。1995年のバンド解散を経て、1996年8月に「マスカットe.p.」でソロデビューを果たす。そのポップな音楽性とキャラクターが幅広い支持を受け、一躍“渋谷系”シーンの中心的存在に。また2008年公開の映画「デトロイト・メタル・シティ」に提供した「甘い恋人」はスマッシュヒットを記録した。2012年3月に自身のレーベル「BLUE BOYS CLUB」を立ち上げ、以降コンスタントにアルバムを発表。2018年9月5日にニューアルバム「秋のオリーブ」をリリースする。
ヒロシ
ヒロシ
1972年生まれ、熊本県出身のお笑い芸人。1995年より芸人としての活動をスタートし、哀愁漂う芸風と「ヒロシです。」という決めのフレーズで2000年代中盤にブレイクを果たす。趣味はキャンプ。ソロキャンプの様子を自ら撮影・編集しているYouTubeのオフィシャルチャンネル「ヒロシちゃんねる」の登録者数は13万人を超える。