大好きなロドニーのイラストがジャケットに

──今回はアーティスト写真やジャケットアートワークなどでもさまざまなコラボレーションが行われています。まず、新しいアーティスト写真はカメラマンの藤田一浩さんが撮影されたものにイラストレーターのeveさんがイラストを描かれていますね。

ファッション誌「NYLON JAPAN」の「kaela's gallery」という連載で、毎回いろんなアーティストとコラボさせてもらっているんですけど、eveさんはその中でお会いした方です。

──こうしたアーティストから刺激をもらうことは多いですか。

多いですね。「kaela's gallery」での私はほとんど意見を言わずにモデルに徹してるんです。それぞれのアーティストによって私のイメージは違うし、その人の作品の中に入り込むと見たことのない自分に会える。そうやって新しい自分に会えると自分の引き出しも増えるので。藤田さんが撮影した写真の私はすごく生々しくて、“女性”のイメージが強かったんです。私自身が思う木村カエラはキャラクターっぽいイメージだったから藤田さんの写真が新鮮で。さらにそこにポップでかわいいeveさんのイラストが加わることで、今の私っていう現実感とイラストの対比があっていいなと思ったんです。

──そしてシングル「HOLIDAYS」のジャケットイラストはPlayStation用ゲームソフト「パラッパラッパー」でおなじみのニューヨーク在住のイラストレーター、ロドニー・グリーンブラットさんの描き下ろしです（参照：木村カエラ、ロドニー・グリーンブラット手がける新作ジャケット）。

小学生のときに「パラッパラッパー」をずっとやってて、この人の絵ばっかりマネして描いてたんです。何年か前に雑誌の企画で対談させてもらったことがあって、本当に夢のような時間を過ごしたんですけど、最後に「いつかCDジャケットを描いてほしいです！」ってロドニーさんにお話ししたんです。いつかその機会が訪れるのを待っていて。それで今回の曲ができて、スタッフとどんなアートワークにするか話していたときに「カラフルな世界で、虹があって、ペガサスがいて……ロドニー？」という流れになって、「今だ！」って感じでお願いしたんです。

──「パラッパラッパー」のキャラクター、PJベリーもいますね。

そうなんです。私が一番好きなキャラクターだって話をしたのを覚えててくれたのかな……。今回イラストをようやくお願いすることができて、すごくうれしいです。完成した絵が届いたときは、かわいすぎるから周りのスタッフもテンションが上がって「毎回頼みたいね！」なんて言ってました（笑）。ジャケットの反対側にはさらに「パラッパラッパー」のほかのキャラクターたちもいるので、ロドニーファンの人にもぜひゲットして見てもらいたいです。

自分の好きなものだらけのミュージックビデオ

──そして「HOLIDAYS」のミュージックビデオは「STARs」に続いて2度目のコラボレーションとなる映像作家の須藤カンジ監督作品です。2人のカエラさんがエアロビクスをしていますが、これはどういうイメージですか？

私がよくライブで履いているのがエアロビクスのために作られたREEBOKのFreestyleという靴で、今回そのFreestyleと今回コラボできることになって。もともとエアロビ用の靴なので、「ミュージックビデオの中でもエアロビをやりたい」っていうアイデアを監督にお話ししたんです。私にとって、歌うときの靴とか足元はすごい重要で、地面と足がちゃんとくっ付いてないと絶対歌が歌えないんです。Freestyleはお守りみたいな存在で、履くと安心する靴なので、今回のコラボレーションはすごくうれしかったですね。

──カエラさん発のアイデアなんですね。

それと、私がInstagramで気になっていたアントニー・ツディスコさんというドイツ在住のアーティストの方と一緒にやりたいというお話もしました。私、インスタでいろんな投稿をたどっていくのが好きで、面白いアーティストがいたらすぐにフォローしていたんです。ただ、アントニー・ツディスコさんは絶対一緒に仕事したいと思ったから、誰にもバレないようにずっとフォローしないでメモをしておいて（笑）。それ以外は監督にすべてお任せしました。私が2人いるのも監督が出してくれたアイデアです。

──そして振り付けを担当されたのは、ダンサーのえんどぅさんです。

NHK Eテレで「カテイカ」という番組があって、そこに出演されていたのをたまたま観たんです。イカの格好ですごくいい動きをしていたから、「この人誰だろう」と思って調べたら、水曜日のカンパネラのコムアイちゃんと一緒にダンスをやってたり、安室奈美恵さんのライブでダンサーをやっている方だということがわかって。今回すごくポップな楽曲だからきっと合うんじゃないかなということでお願いしました。「イカの番組観てました！」と言って（笑）。

──いいですね。「この人と一緒に仕事したい」という思いがちゃんと形になって。

そういうコラボが今回すごく多かったですね。ちょうどタイミング的に一緒にやりたい人がいっぱいいたので。

──新しい出会いもあれば、原点に立ち戻る場面もあって。歌と向き合うカエラさんのドラマが詰まった1枚になりました。まずはこのシングルを聴いて、いい休日を過ごしてほしいですね。

ぜひ！ 生産限定盤にはロドニーが描いてくれたジャケットイラストのレジャーシートが付いているので、ハイキングとかキャンプに持っていってもらいたいですね。サイズ感も2人座れる感じなので。

──カエラさん自身は忙しくてなかなかお休みもないんじゃないかと思いますが。

ちゃんと休みありますよ（笑）。普通に公園や水族館に行ったり映画を観に行ったり、休みはいろんなところに行ってます。