「あいちトリエンナーレ2019」 PR

「あいちトリエンナーレ2019」特集 酒井一圭(純烈)×江川ゲンタインタビュー|話題の歌謡コーラスグループがあいちトリエンナーレで見せる新たな挑戦

愛知県で3年に1回開催される国内最大規模の現代アートの祭典「あいちトリエンナーレ」。その音楽プログラムとして、9月15、16日に純烈のリーダー・酒井一圭によるプロデュース公演「1969年の前川清と藤圭子~昭和を彩るロックとブルース~」が行われる。

日本の歌謡界を代表する歌い手でありながら、洋楽のロックとブルースをルーツに、演歌の枠を超えた音楽的才能を持つシンガー、前川清と故・藤圭子。この2人のトリビュートライブとなるこの公演で、純烈はどんなステージを見せてくれるのか。

純烈の酒井一圭と、音楽監督兼バンドメンバーとして公演を支える打楽器奏者の江川ゲンタに話を聞いた。

取材・文 / 田島太陽 撮影 / 吉場正和

前川清の夢を毎晩見た

──「あいちトリエンナーレ2019」への出演が発表されて、驚いた純烈ファンも多いと思います。

左から酒井一圭、江川ゲンタ。

酒井一圭 そうなんですよね。「トリエンナーレ?」「なぜ純烈が?」ってキョトンとしている方が多いみたいで。まあ当然の反応なんですけど(笑)、僕らとしてはこれをきっかけに純烈の新しい一歩をお見せしたいなと思ってます。来てくれた方が「すごいものを観た!」と思えるようなステージにしますよ。

──今回の公演はどういう経緯で決まったんでしょうか?

酒井 音楽プロデューサーの佐藤剛さんが僕らに声をかけてくださったのがきっかけです。僕は剛さんが以前プロデュースしていた中村一義さんの大ファンだったので、剛さんが純烈に興味を持ってくれたのがうれしくて。僕が今の奥さんと結婚したのは中村一義さんの「永遠なるもの」と「笑顔」という曲を聴かせたときの反応がよかったからなんですよ。この曲の素晴らしさがわからない女性とは結婚できないって、ずっと思ってましたから(笑)。

──酒井さんは「百獣戦隊ガオレンジャー」でガオブラックを演じていたことはよく知られていますが、音楽にはいつ頃から関心があったんですか?

酒井 もともと子役でデビューしたんですけど、それはすぐに辞めてしまって。20歳くらいのときには池袋で友達3人と一緒に暮らしながらロックバンドをやってました。デモテープを作って新宿LOFTに送ったりしてましたけど、全然うまくいかなくて。それでまた俳優のオーディションを受けて合格したのが「ガオレンジャー」なんです。そしてこの時期からロフトプラスワンっていう場所でトークライブをやるようになって、28歳で結婚したとき、ロフトの人が「酒井さんお金ないでしょ?」って誘ってくれてそのままロフトの社員になりました。それからはいろんなイベントのプロデュースをしながら子供と妻を食わす生活で。

──そんなキャリアがあったんですね。純烈を始めたきっかけは?

酒井一圭

酒井 その頃に右足を骨折して40日間入院しまして、病院のベッドで寝ているとなぜか夢に前川清さんが出てくるわけです。医者には「もう歩けないかもしれない」って言われたんだけど、夢の中では前川さんが直立不動で「長崎は今日も雨だった」を歌ってお客さんを喜ばせている。その姿が毎晩夢に出てくるんです。それで「俺もクール・ファイブをやればいいのかな」と思い立って、退院してすぐに心当たりのある俳優をファミレスに呼び出して、「こういうのやろう」「紅白出たらお前の親も喜ぶよ」と声をかけたのが純烈の始まりです。

──以前から前川清さんが好きだったんですか?

酒井 テレビの歌番組にも出ていたし、母がクラブで歌う歌手だった影響で子供の頃は自然と聴いてました。中学生のときには貯金をはたいて機材を買いそろえて、自分の部屋に音響システムを作るような子供だったんです。僕の部屋、TM NETWORKみたいでしたよ(笑)。今こうして音楽の仕事をやれてるのは、あの環境でいい音楽を聴いて育ったからかなと思います。

芸術祭もスーパー銭湯と変わらない

──江川さんは1980年代からオルケスタ・デ・ラ・ルスのメンバーとして活躍し、忌野清志郎さんや山崎まさよしさんなどさまざまなアーティストと共演していますが、今は宮古島で暮らしているそうですね。

江川ゲンタ

江川ゲンタ うん、最近は大きな会場ではほとんど演奏してないです。長年感じてたことだけど、J-POPの制作現場に熱量を感じないし、最近のエンタテインメントって面白くないなと思っちゃって。でも時代が悪いとは言いたくないし、ダメな時代なら自分で変えなくちゃいけないなと思って、最近は生音が聞こえるような小さいライブハウスでの演奏を続けてます。

酒井 その感覚はわかります。僕らもなるべくお客さんとの距離が近い会場でライブをするのが理想なんです。普段は健康センターやスーパー銭湯で歌ってるので、地元のおじいちゃんやおばあちゃんたちが、最初は「アンタたち誰?」みたいな雰囲気で、でも最後には「おー、いいじゃん」「元気出たよ」「もう1回観たいからまた来てよ」と言ってくれる。その繰り返しです。

江川 お客さんを目の前で感じられるダイレクトさがいいんだよね。

──今回の会場となる愛知県芸術劇場はキャパ2000人規模のホールですが、オペラハウスのようなバルコニー席があるので、お客さんとの距離はけっこう近く感じられると思います。

酒井 よかった。僕らとしてはいつも通り、スーパー銭湯と変わらないスタンスでやるつもりなので。「客席はなるべく明るくしよう」とか「1階の客席にはいつでも降りられるようにしよう」という話はしてます。お客さんに近くで歌を感じてもらえるように。僕らを初めて観る人も、最後には「よかったわ!」と言ってもらえるようなライブにしたいですね。