ナタリー PowerPush - 家入レオ

「この世界に染まりたくない」17歳の決意

今年2月にメジャーデビューした17歳のシンガーソングライター家入レオが、1stアルバム「LEO」を完成させた。10代の満たされぬ心の渇きや孤独感。あるいは、強い意志やささやかな幸福感を等身大の筆致で描く彼女のソングライティングは、本作で際立った強さと輝きを放っている。ナタリー初登場となる今回は、彼女のバックグラウンドから音楽に燃やす情熱の源泉、そして本作に込めた思いを訊いた。

取材・文 / 三宅正一(ONBU) 撮影 / 佐藤類

学校では存在感がないので……

──この取材の前まで学校だったんですよね?

インタビュー写真

そうなんです。すみません、時間を合わせていただいて。

──いやいや、全然。学業にもちゃんと励んでいるんだなと思って。

そうですね。ホント、勉強は大っ嫌いなんですけどね(笑)。

──あはははは(笑)。勉強できそうなのに。

ホントですか? ぜひそれをレコード会社の皆さんに伝えてください(笑)。

──(笑)。でも、高校はちゃんと卒業したいと思っていると。

そうですね。今3年生ですし、ここまできたら卒業したいなって。あと普通の環境だったら「音楽活動を優先しなよ」って言う大人の人のほうが多いと思うんですけど、私の周りは「家入の将来のために高校はちゃんと卒業しようね」って協力してくれる人たちがたくさんいるので。好きな音楽をやらせてもらっている分、勉強もがんばろうと思ってます。

──学校の同級生にもレオさんの歌は届いてると思うんですけど、友達からはどんな反応があるんですか?

いや、今通っている高校ではホントに存在感がないので……。

──そんなことないでしょ(笑)。

ホントにそうなんです。多分私が学校にいることをクラスメイトしか知らないんじゃないかな。

──あえて影を潜めているの?

去年、福岡から転入してきたのもあって。もちろんクラスメイトと話をしたりするんですけど、どちらかというと、福岡時代の友達のほうが連絡を取り合ってますね。福岡時代の友達も照れくさいのか、私の曲についての感想を言ったりはしないんです。何も変わらず、あの頃のままという感じで。今は学校生活を充実させたいというよりは、音楽活動をやらせてもらっているので犠牲にしなきゃいけないものもあるなと思ってますね。

──しっかりしてますね。

いや、そんなことないです。葛藤もあるし。でも学校生活だけでは満足できないものがあるから音楽をやっているのかなと思うので。ただ学校でクラスメイトの話を聞いて曲ができることもあるし、学生だからこそ感じることもたくさんありますね。

素直に「ありがとう」

──この1stアルバムも今のレオさんでなければ表現できない曲が集まっていると思います。ご自身ではどういう作品になったと思いますか?

「ありがとう」という気持ちが一番素直に出ているというか。人の記憶に残るものって、楽しいことや面白いことよりも、苦しかったり、悲しかったりすることのほうが多いと思うんです。「なんで自分ばかりこんな思いをしなくちゃいけないんだろう?」って思うことがたくさんあって。誰もがそういう葛藤があることをどこかではわかっているんですけど、やっぱりうまく自分だけじゃないって割り切れない。でもそういう経験や思いがなかったら、このアルバムに入っている曲は書けなかったので。だから素直に「ありがとう」って思えるんです。

──過去のいろんな出来事に?

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そうですね。あとはヘビーな曲もたくさん入っているんですけど、ありのままの私が書いた曲をリリースさせてくれる環境にも「ありがとう」って思います。

──今の自分をアルバムに刻めた実感がある?

あります。17歳で1stアルバムをリリースできることが、自分にとってすごく大きくて。18歳という響きの中には大人の雰囲気が入り込む感じがするし。だから、18歳になる前に1stアルバムをリリースできることに大きな喜びを感じています。

自分の拠点になるアルバム

──今年2月に「サブリナ」でメジャーデビューしましたが、レオさんにとってこの8カ月はどういう時間でしたか?

ホントに早かったです。あっという間に駆け抜けた感じですね。いろんな自分に出会えたし、ちょっとずつですけど成長できているんじゃないかと思ってます。でもやっぱりまだまだ感情のコントロールがうまくできないところもあるし。

──こうして話しているとそうは見えないんですけどね。

ありますよ、全然。スイッチが入ると大丈夫なんですけど。

──確かに曲の中では不安定な自分もさらけ出してますよね。その一方で、そういう自分を俯瞰的に捉えている視点も感じるんですけど。

そうですね。明るい自分と暗い自分の落差が激しいから、1枚のアルバムの中にどう落とし込んだらいいのかすごく不安だったんです。両極端な曲を入れてもいいのかなって。でも結果的に良いバランスでそれぞれの自分を入れることができたのではないかと思っています。このアルバムがあることで、これからヘビーな曲も明るい曲も思いっきり出せると思うんです。このアルバムを拠点としてどんどん新しいことに挑戦していける。そういう場所になったと思います。

CD収録曲
  1. サブリナ
  2. Last Stage
  3. Say Goodbye
  4. Shine
  5. 明日また晴れますように
  6. Second Dream
  7. キミだけ
  8. Bless You
  9. Fake Love
  10. Hello
  11. ミスター
  12. Lady Mary
  13. Linda
DVD収録内容
  1. イジワルな神様 [Music Video & Making]
  2. Live from SETSTOCK'12
  3. LEO Files 2011-2012

iTunes Storeにて配信中!

レコチョクにて着うた®、着うたフル®配信中!

LIVE INFORMATION
家入レオ 1st ワンマンツアー“LEO”

2013年1月17日(木)
福岡県 福岡DRUM Be-1

2013年1月19日(土)
大阪府 梅田CLUB QUATTRO

2013年1月20日(日)
愛知県 名古屋CLUB QUATTRO

2013年1月25日(金)
東京都 渋谷CLUB QUATTRO

家入レオ 1st ワンマンツアー“LEO” 追加公演

2013年3月9日(土)
大阪府 大阪BIG CAT

2013年3月17日(日)
東京都 赤坂BLITZ

家入レオ(いえいりれお)

プロフィール画像

1994年生まれ、福岡県出身の女性シンガーソングライター。幼少時代にピアノを習い始め、小学校時代は合唱部に所属するなど幼い頃から音楽に親しむ。13歳のときに自ら音楽塾ヴォイス福岡校の門を叩き、同塾の主宰者である西尾芳彦に師事する。圧倒的な存在感を放つ透明感あふれる歌声、強い意志を感じさせる詞世界が魅力。2012年2月にシングル「サブリナ」でメジャーデビューを果たし、同年5月に2ndシングル「Shine」、9月に3rdシングル「Bless You」をリリースする。同年10月に1stアルバム「LEO」を発表。