音楽ナタリー Power Push - i☆Ris
そして武道館アーティストになった
はい! しょっぱかったです!
──実は芹澤さんとは“2度目まして”なんですよ。去年の今頃、マンガ「我が愛しのヲタ彼女」特集でコミックナタリーにご登場いただいたので(参照:「我が愛しのヲタ彼女」特集、作画・咲良×声優・芹澤優対談)。
そうだ! おひさしぶりです!
──で、その特集の中で「学生時代、思わず“ご自愛しちゃう”性格が災いしてしょっぱい思いをしていた」とおっしゃっていましたよね。
はい! しょっぱかったです!
──あはははは(笑)。
小さい頃から芸能の世界への憧れが強くて、中学のときには「私はあの世界に進むし、そんな私が好きだから」って感じで“ご自愛”というか、自己主張しすぎてたから「あの子、苦手だな」「ヤだな」って思われてたみたいで。ただ、言うほど周りの声は気にならなかったんですけどね。「しょっぱい思いをしても、私は芸能の世界を目指すんだ」「だから別にみんなと仲良くできなくてもいいや」とも思ってたから。
──じゃあ当時の芹澤優は、夢を叶えた芹澤優をホメてあげられそう?
まだですね。叔母さんの由貴ちゃん(斉藤由貴。斉藤は芹澤の母の実妹)は18歳でこの世界に入ってすぐにCMにバシバシ出て、曲もバーンッと売れてましたから。それに比べたらまだまだ。なので当時の芹澤は今の芹澤のことをホメてはやらぬ(笑)。
──身内に強力すぎるライバルがいると大変ですねえ(笑)。
ただi☆Risとして、声優としての4年間に不満はないし、挫折らしい挫折もないよなとは思ってます。そう思えちゃうのは性格的なものなのかもしれないけど。
──確かに学生時代のことだって挫折といえば挫折ですよね。
でもあまり気にならなかったですし、それは今もそうで。ライブのお客さんが13人みたいなこともあったけど、それも込み込みで全部楽しかったって思ってます。反省しなきゃいけないことは当然たくさんあるけど、この4年間に不満はないです。
声優としてなら私もがんばれるかも!
──そもそも芸能の世界に憧れたきっかけって?
環境がよかったというか、親戚に由貴ちゃんがいたし、ママもママで役者っぽいことをしたり、フラメンコを踊ったりしていたっていうのがあって。あと私もちっちゃい頃からママが弾いてくれるピアノに合わせて歌ってたりして。身近なところにエンタテインメントがある家庭だったから、表現するのが当たり前だったんです。
──ではなぜ、声優アイドルを探す「アニソン・ヴォーカリストオーディション」を受けようと?
まず小学校低学年の頃「満月をさがして」っていうアニメが好きで。余命1年のヒロインがそれでも夢を追いかける話なんですけど、それを観て「私も夢を追いかけよう」「表現をする仕事に就こう」って決めて。そのあと中2の頃から声優を明確に目指してました。
──何かきっかけが?
エンタテインメントに関わることならなんでもやりたかったんですけど、実は人前に立つのが苦手だったりもして。「じゃあ何をしよう?」って思ってたときに「涼宮ハルヒの激奏」の平野綾さんを観まして。
──アニメ「涼宮ハルヒの憂鬱」の音楽イベントである「涼宮ハルヒの激奏」で、アニメに声を当てる裏方的な仕事である声優さんがステージで歌う姿を観た、と。
それで「声優としてなら私もがんばれるかも!」って一瞬で気持ちを切り替えることにしたんです。
誰かが好きでいてくれる私を好きでいるために
──ただオーディション合格後、グループを組まされたのは……。
誤算でした! 女の子コミュニティの中で「あの子、めっちゃぶりっ子だよね」とか散々言われてきたから「絶対こんな環境、抜け出してやる」「1人で生きてやる」って決めて受けたオーディションなのに。
──「ヲタかの」特集のとき言ってましたけど、結成当初はメンバーからも「青(芹澤のイメージカラー)の子、怖い」と思われてたんですよね?
だから毎日「女の子がいっぱいなのヤだー」って愚痴ってました(笑)。
──でも今は超楽しそうですよね?
めっちゃ楽しいですね。オーディションに受かったことが大チャンスであることと、ここでがんばることに意味があることはさすがにわかっていましたから。性格に難がある私なりにみんなと折り合おうとしたつもりだし、こう言うと“上から”になっちゃうんですけど、メンバーがめちゃめちゃいい子だったのに救われました。「青の子、怖い」っていうのも今だから言ってくれることで、本当に怖がってた当時はそんなこと言わずに歩み寄ってくれたから。今私が楽しいのはみんなのおかげです。
──折り合おうとするとき“ご自愛しちゃう”キャラクターを曲げたりは……。
してないですね。私は私に幸せになってほしいから、自分を曲げてまで歩み寄ろうとは思わなかったです。それだけに、そんな私を受け入れてくれたメンバーには本当に感謝ですね。
──ちなみに自分を愛せるようになったきっかけってあったります?
私、メンバーいち親に愛されてた自信があるんですよ。5人兄弟なのに、家に帰るとママが「お帰り、私の天使ちゃん」って迎えてくれてたし、泣いていれば「泣かないで」って抱きしめてくれたり。一番ヒドいときは頭洗ってもらってましたもん。洗面所に連れてってもらって、シャンプーしてもらって、流してもらってみたいな(笑)。そこまで溺愛されたら自分を嫌いになれないですよね。
──親御さんにしてみたら「なんでお前が私の大好きな優ちゃんのことを嫌ってんだよ!」って話ですもんね。
そうなんですよ! だからちっちゃい頃から私は私を嫌っちゃいけないって思ってました。
──そして今や親御さんに対してだけ責任を負えばいいわけではない。武道館に集まるだろう何千人もの人に愛される存在なわけだから。
確かに! それってすごく幸せですよね。私を好きでいてくれる人のために私も私を好きでいようと思ってるから、好きでいてくれる人が増えれば増えるだけ、自分のことを好きになれるし、芹澤優という人間の世界が広がる気もしますし。「せりざわーるど with you」っていうラジオ番組をやっているんですけど、まさに“芹澤のワールド”が広がっていく感じというか。で、これってきっとi☆Risに入ったから知ったことなんだと思います。
──もしソロアーティストとしてデビューしていたら……。
ヘタすると中学や高校の頃と一緒。「わかってもらえなくても別に」ってなっていたかもしれないです。でもi☆Risのメンバーが私のことを好きになってくれたから「私、ホントは嫌われてもいいなんて思ってなかった」「みんなが好きでいてくれるのってホントにうれしい」って気付けて。それでちゃんとアイドルになれたというか。こっ恥ずかしい話なんですけど、1周年記念ライブのMCで泣きながら「嫌われるのが怖いんです」って本音をぶつけられたし、その頃から私をもっと好きになってもらうにはどうすればいいんだろう?って真剣に考えられるようになったんだと思います。
──そのメンバーと臨む武道館ライブですけど、どんなものにしましょう?
“6人でやってる感”が出るライブにしたいですね。というのも正直、技術は場数を踏めば踏むだけ上がるんですよ。
──実際i☆Risのライブってカッコいいですよね。どんなビートでもバキバキ踊るし、余裕で3声くらいでハモるし。
ありがとうございます。でもそういうテクニックはやったぶんだけ向上するものだと思うんですけど、「6人でやり切った!」って思えるライブっていうのは、できたりできなかったりするものなので。
──そういうものなんですか?
みんなモチベーションを高く臨んでるのは間違いないんですけど、そのときどきでコンディションにバラつきがあったりするし、心がうまく通じ合わなかったりするときも正直ありますし。でもそうなっちゃうくらいなら武道館に立つ意味はないと思ってるので。全員がちゃんと11月25日にコンディションや気持ちのピークを持っていって「今日は6人ともすごいノってるな」「一体感がすごいな」って思ってもらえるライブをしたいですね。
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i☆Ris 4th Anniversary Live
- 2016年11月25日(金)東京都 日本武道館
- OPEN 17:30 / START 18:30
- 最新シングル「Re:Call」 / 2016年8月3日発売 / DIVE II entertainment
- Type-A [CD+DVD] / 1944円 / EYCA-11059/B
- Type-B [CD] / 1296円 / EYCA-11060
Type-A CD収録曲
- Re:Call
- 鏡のLabyrinth
- Re:Call(Instrumental)
- 鏡のLabyrinth(Instrumental)
Type-A DVD収録内容
- Re:Call-MUSIC VIDEO-
- Re:Call-Off Shot Movie-
Type-B CD収録曲
- Re:Call
- 鏡のLabyrinth
- 真夏の花火と秘密基地
- Re:Call(Instrumental)
- 鏡のLabyrinth(Instrumental)
- 真夏の花火と秘密基地(Instrumental)
- ライブBlu-ray / DVD「i☆Ris 結成4周年Live~foooour~@i☆RisTELLARTHEATER」 / 2016年10月26日発売 / DIVE II entertainment
- [Blu-ray Disc] 6480円 / EYXA-11197
- [DVD2枚組] 4860円 / EYBA-11195~6
i☆Ris(アイリス)
山北早紀、芹澤優、茜屋日海夏、若井友希、久保田未夢、澁谷梓希からなる声優アイドルグループ。avexと81プロデュースが共催した「アニソン・ヴォーカリストオーディション」を機に2012年に結成され、同年11月にシングル「Color」でアーティストデビューを果たした。また2014年からは全メンバーがアニメ「プリパラ」シリーズのメインキャストを務めており、この「プリパラ」シリーズのテーマソングなど、現在までに13枚のシングルと2枚のオリジナルアルバム、1枚のカバー盤を発表。その一方で各メンバーとも声優、舞台俳優、ラジオパーソナリティ、DJなど、個人活動を積極的に展開し、2016年にはその実績が認められ「第十回 声優アワード」の歌唱賞を受賞した。そして2016年11月にはデビュー4周年記念公演として、初の東京・日本武道館ワンマンライブを実施する。