音楽ナタリー Power Push - i☆Ris
そして武道館アーティストになった
ずっとドッキリだと思ってました
──さっき若井さんにお話を聞いていたら、デビュー当時の久保田さんのエピソードが出てきまして。
わあ、怖い!
──曰く、当時の久保田さんはメディア露出にあまり積極的ではなかった、と。
そうですね。オーディションを受けたのも、ホントに軽い気持ちでしたから。もともとアニメが好きで、声優っていうお仕事にも憧れはあったんですけど、受けたのが高3の春とかだったので。「高校を卒業したら留学しようかな」とも思っていたので、オーディションは記念受験みたいな感じ。正直受かると思ってなかったし、受かってからもずっとドッキリだと思ってたんですよ。
──あはははは(笑)。
「合格です」って聞かされたときには、まだ大々的に結果が発表されてなくて事実確認のしようがなかったから、メンバーの顔合わせやレッスンが始まってもまだ「これホントかな?」って思っていて。取材を受けたり、レコーディングをしたりするようになって、ようやく「あっ、ホントに受かったんだ」みたいな(笑)。
──さすがに編集者やレコーディングエンジニアまで巻き込んでウソは吐かないだろう、と(笑)。
だから、ゆうきちゃん(若井友希)の言ってることはホントに正しいと思います。オーディションを受けておいてなんなんですけど、学校が終わったら速攻で家に帰るのが好きなただのオタクで、もともと人前に出るのも実は好きじゃなかったりしましたし。
──そういうタイプだと、知らない女の子とグループを組むことについて思うことはなかった?
合格の電話をもらった瞬間、絶対1人じゃ活動できないと思ったので「受かったの何人ですか?」って聞いたら「1人じゃないです」って返ってきて。それでホッとした部分もあるんですけど、もう片っぽで、実は私、女子が苦手というか……。
──芹澤さんといい、i☆Risさん、そういうタイプが多すぎです!
工業高校でプログラムの勉強をしてたんですけど、なんで工業に進んだのかっていったら、アニメやパソコンが好きで「自分でプログラムを組んで何か作品を作れたらいいな」と思ったからっていうのと、あともう1つ、女の子の集団が苦手だったからで……。
──確かに工業高校なら女の子は少なそうですね。
男女比は9.5対0.5くらいでした。1学年に10人しか女の子はいなかったし、高3のときはクラスで女子は私1人。
──なのに卒業したら、いきなり女の子の数が6倍に(笑)。
しかも高校の友達はみんなオタクだったのに「音楽一筋でやってきました」っていうゆうきちゃんみたいなタイプがいるし(笑)。メンバーのことが嫌いなわけじゃないんだけど「イマドキの女子とはどんな話をしたらいいんだろう?」ってけっこう悩んでましたね。
未来って楽しい!
──若井さんは逆に久保田さんを見て「私、アニメの話できないのにどうしよう」って焦ったらしいですよ。
みたいですね。でもそういう感じだったのがよかったのかなとも思ってます。i☆Risってグループ内ブームが起きにくいというか、メンバー全員が好きっていうものがあんまりないんですよ。レッスンのときなんかも「私、ファストフード行くから」「あっ、私はコンビニで済ます」って感じで、全員バラバラにごはんを食べに行っちゃいますし。
──いい意味でクールですね。
ふざけるときは一緒になって全力でふざけるけど、過剰には干渉し合わない関係だから、女子が苦手な私も居心地がいいんですよね。それにそれぞれが違う考え方をしているから、話し合いになればいろんな意見やアイデアが出てくるし、それをお互いが「なるほど。そういう考え方もあるよね」って尊重し合えるし。そういう関係だから4年間続けてこれたし、これからもずっと続けていける気がしています。
──男の子の集団、つまりファンについてはどう思ってます?
記念受験でオーディションを受けた私が今も活動を続けられている一番の理由は、皆さんがいたからだと思ってます。もともと友達もそんなに多くはないし「あんまり人に好かれるタイプじゃないのかもな」って思ってたのに、皆さん、そんな私に会いに来てくれて。しかも握手会なんかでお話してみると「ここがよかった」「あれが面白かった」とか、ホントに細かいところまで見ていてくださるんですよね。「こんなに私のことを好きでいてくれる人がいるんだ」「誰かが見ていてくれて、しかも楽しんでくれている」って実感させてもらえることが、活動のモチベーションになってますね。
──学生時代は女子の集団が苦手で、人前に出ることも苦手だったけど、今となってはクールに付き合ってくれる仲間と、求めてくれるファンがいるからがんばれる、と。
ですね。だからもしも今ツラい思いをしている学生さんがいるなら「あんまり悲観しないで」って言いたいですね。自分が思ってるよりも未来って楽しいし、優しいから!って。
──久保田さんはまさに今、その楽しい未来を生きてるわけですもんね。
だから私の言うことをちょっと信じてみてほしいですね(笑)。
過去最高の久保田未夢とi☆Risをお見せする
──“学校が終わったら速攻で家に帰るのが好きな”人にとって、歌やダンスのレッスンって大変じゃなかったですか?
ホンットに大変でした。i☆Risが結成されていきなり1週間くらいダンスレッスンとボーカルレッスンをする合宿があったんですけど、毎晩お母さんに「もう辞めたいんだけど」「朝が来なければいいのに」って2時間くらい電話してました(笑)。毎朝ランニングしてたんですけど、とにかくそれがイヤすぎて!
──「みんなに比べて歌えない、踊れない」って落ち込むわけではなく、ただ単純にトレーニングが嫌いでしたか(笑)。
ホントにゼロからのスタートだったので、ほかのメンバーに対して卑屈になったことは一度もないですね。「やっぱりゆうきちゃんは歌がうまいし、ひみちゃん(茜屋日海夏)はダンスがうまいなあ」「追いつくにはどうしたらいいんだろう」って考えることは今でもしてますけど。だからダンスレッスンとボーカルレッスンは大変だけど、苦痛ではなかったです。できないことでも何度も繰り返すうちに「おっ、前よりスムーズに踊れてるぞ」とか「あっ、高音が出るようになった」ってクリアできるようになるから。
──課題を設定して、それを解決するのは嫌いじゃない。
むしろ燃えちゃうタイプですね。高校時代やっていたプログラミングもそういう作業だったので。なぜかうまく動作しないプログラムを前に「どうすればいいんだろう?」ってひたすら検証するのがすごく楽しかったんです。ダンスやボーカルについては「できるようになるんだ!」って努力をしているんじゃなくて、プログラムしているときと一緒。「何がダメなんだろう?」って研究している感じだから好きなんですよね。
──ところがランニングは……。
イヤすぎた!(笑) 今もちょっとそういうところがあるんですけど「これをやることになんの意味があるんだよ!」って思いながら走ってました。
──基礎体力がついたり、肺活量が上がったりするんですよ!(笑)
それはわかるんですけど、ダンスレッスンやボーカルレッスンみたいな「これができるようになった!」っていう喜びは見出せないじゃないですか!
──即物的!(笑) でもそれを続けた甲斐あって、今や皆さんと肩を並べてハードに歌って踊れるようになってますよね?
確かに成長してる実感はあるんですけど、ほかのメンバーも私と同じ時間を過ごしているわけですから。その分みんなも成長して、先を行っているのは見ていればわかりますし。これからもみんなに追いつけるようにコツコツ楽しく研究を重ねていかなきゃなって思ってます。
──その研究の成果の発表の場である武道館なんですけど……。
楽しみでしょうがないですね。私、今の自分が否定された気になっちゃうから「過去の自分には絶対に負けたくない!」って思っていて。武道館では歌とダンス、それからかわいさにおいても、過去最高の久保田未夢とi☆Risをお見せしたいし、お見せします!
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i☆Ris 4th Anniversary Live
- 2016年11月25日(金)東京都 日本武道館
- OPEN 17:30 / START 18:30
- 最新シングル「Re:Call」 / 2016年8月3日発売 / DIVE II entertainment
- Type-A [CD+DVD] / 1944円 / EYCA-11059/B
- Type-B [CD] / 1296円 / EYCA-11060
Type-A CD収録曲
- Re:Call
- 鏡のLabyrinth
- Re:Call(Instrumental)
- 鏡のLabyrinth(Instrumental)
Type-A DVD収録内容
- Re:Call-MUSIC VIDEO-
- Re:Call-Off Shot Movie-
Type-B CD収録曲
- Re:Call
- 鏡のLabyrinth
- 真夏の花火と秘密基地
- Re:Call(Instrumental)
- 鏡のLabyrinth(Instrumental)
- 真夏の花火と秘密基地(Instrumental)
- ライブBlu-ray / DVD「i☆Ris 結成4周年Live~foooour~@i☆RisTELLARTHEATER」 / 2016年10月26日発売 / DIVE II entertainment
- [Blu-ray Disc] 6480円 / EYXA-11197
- [DVD2枚組] 4860円 / EYBA-11195~6
i☆Ris(アイリス)
山北早紀、芹澤優、茜屋日海夏、若井友希、久保田未夢、澁谷梓希からなる声優アイドルグループ。avexと81プロデュースが共催した「アニソン・ヴォーカリストオーディション」を機に2012年に結成され、同年11月にシングル「Color」でアーティストデビューを果たした。また2014年からは全メンバーがアニメ「プリパラ」シリーズのメインキャストを務めており、この「プリパラ」シリーズのテーマソングなど、現在までに13枚のシングルと2枚のオリジナルアルバム、1枚のカバー盤を発表。その一方で各メンバーとも声優、舞台俳優、ラジオパーソナリティ、DJなど、個人活動を積極的に展開し、2016年にはその実績が認められ「第十回 声優アワード」の歌唱賞を受賞した。そして2016年11月にはデビュー4周年記念公演として、初の東京・日本武道館ワンマンライブを実施する。