ナタリー PowerPush - 細野晴臣

「歌うのが好きになってきた」ソロ活動40年を振り返る

細野晴臣インタビュー

「HOSONO HOUSE」(1973年)

「HOSONO HOUSE」を作り直したい

1973年5月25日「HOSONO HOUSE」

──細野さんのソロ活動は1973年の「HOSONO HOUSE」からスタートしています。それまではエイプリル・フールやはっぴいえんどといったバンドで活躍されていましたが、ソロアルバムを作ることになったきっかけはなんだったのでしょうか?

周りから「ソロ作りましょうよ」って言われて、ドタバタと決まったんです。だからあの頃は、本当に余裕ってもんがなくてね。

──周囲からの誘いがあったんですね。

うん。でもソロを作ることが決まったからといって、あんまり準備もできず。ただ、その頃住んでいた埼玉・狭山の“ハウス”と言われているところで録りたいとは思っていて。そしていい条件が重なってそこでレコーディングができることになった。狭山にはバンドのメンバーもいたので、楽曲もその場で作っていったんですよ。準備できなかったんで。

──「HOSONO HOUSE」を作ることになる前から、ソロ用に曲を作っていたりはしましたか?

細野晴臣

いやいや、曲はソロをやることが決まってからひねり出したんですね。だからバタバタしていた。

──でも、そうやって作った「HOSONO HOUSE」は、名盤としていまだに多くのアーティストに影響を与えています。

そうですか。自分ではやり直したいとも思ってるけど。

──「HOSONO HOUSE」を作り直したいということですか? それは面白そうですね。

よさそうでしょ? 言ったからにはやるかも(笑)。

──ちなみにやり直したいというのは、レコーディング、ミックス、アレンジなどのサウンド的な部分なんですか?

そうですね。あとは、歌も。まあ「HOSONO HOUSE」を作ったのは23~24歳くらいで、子供でしたから(笑)。

──「HOSONO HOUSE」はバンドサウンドが中心なので、レコーディングの作業的にはそれまでバンドで作ってきた作品とさほど変わらなかったと思うのですが、制作に取り組むスタンスに何か違いはありましたか?

うん、やっぱりソロってことで、歌わなければならないですからね。もともと自分ではシンガーっていう意識もないし、ベースプレイヤーだったんで……在籍していたバンドもキャラメル・ママからティン・パン・アレーっていうふうに名前が変わって、自分たちはセッションバンドのメンバーだっていう意識が強かったんですよ。で、いつも「歌手がいないからバンドが作れないね」なんて話していて。その中でソロを作ったんで、自分がたまたま歌っていただけであってね、申し訳ないなと思いながら歌っていたわけですよ。歌手がいないからね。

──一般的には、細野さんが自分で歌いたい曲があるからソロを始めたと捉えた人も多そうですよね。

あー、そういうわけじゃないんだ。僕自身はバンド志向が強かったからね。

ニューアルバム「Heavenly Music」 / 2013年5月22日発売 / 3150円 / SPEEDSTAR RECORDS / VICL-64031
ニューアルバム「Heavenly Music」
収録曲
  1. Close to You
  2. Something Stupid
  3. Tip Toe Thru The Tulips with Me
  4. My Bank Account Is Gone
  5. Cow Cow Boogie
  6. All La Glory
  7. The Song Is Ended
  8. When I Paint My Masterpiece
  9. The House of Blue Lights
  10. ラムはお好き? part 2
  11. I Love How You Love Me
  12. Radio Activity
細野晴臣(ほそのはるおみ)

1947年生まれ、東京出身の男性アーティスト / プロデューサー。エイプリル・フールのベーシストとしてデビュー。1969年に大瀧詠一、松本隆、鈴木茂とバレンタイン・ブルーを結成し、翌年バンド名をはっぴいえんどに改名する。はっぴいえんど解散後はソロ活動と並行し、林立夫、松任谷正隆らとキャラメル・ママを結成。荒井由実などさまざなアーティストのプロデュースを行う。1978年に高橋幸宏、坂本龍一とイエロー・マジック・オーケストラ(YMO)を結成。YMO「散開」後は、映画のサントラを手がけるほか、松田聖子や山下久美子へ楽曲を提供しヒットメイカーとしてもその名を知らしめる。2000年代に入ると、高橋幸宏とのユニットSKETCH SHOW、忌野清志郎、坂本冬美と結成したHIS、SKETCH SHOWに坂本龍一を迎え結成したHuman Audio Spongeなど、さまざまなユニットで音源を発表。還暦を迎える2007年にはHARRY HOSONO & THE WORLD SHYNESS名義で「FLYING SAUCER 1947」をリリースしてソロ活動を再開。さまざまなライブイベントに出演する一方で、2013年5月に往年のスタンダードナンバーをカバーした「Heavenly Music」を発売した。