日向坂46「月と星が踊るMidnight」高本彩花×東村芽依インタビュー|一期生仲良しコンビが語るグループ過渡期の現在と未来 (2/3)

センターは齊藤京子「ついにこの時が来た」

──それではここからニューシングル「月と星が踊るMidnight」についての話を。前作「僕なんか」はこれまでの明るいシングル曲とは趣の異なるネガティブな歌詞で、発売当時に話を聞いた松田好花さんと富田鈴花さんは、パフォーマンスで表現するのが難しいとおっしゃっていました。「月と星が踊るMidnight」は通して聴くとポジティブな余韻が残りますが、サビはマイナーコードで「このままじゃダメだ」とシリアスに歌っていて、「僕なんか」に通じる内省的なムードを感じます。

高本 「月と星が踊るMidnight」を最初に聴いたときは、齊藤京子がひさびさのセンターということもあってか、ひらがなけやき(けやき坂46)時代に通じる雰囲気がある曲だな、という印象でした。確かに歌詞がすごく強い曲なので、それをパフォーマンスで伝えるにはなかなかの気持ちや体力が必要だなって。どうやってうまく表現するかが肝ですね。

東村 私は前向きな曲だなと感じました。「憂いとは可能性」とか「僕たちはまだまだ諦めない」とか、私はポジティブなものと捉えてパフォーマンスしています。

──学校の校舎という閉じた世界の中でもがく様子が歌われていて、今リアルタイムで思い悩んでいる中高生の背中を押すような曲だなと感じました。それはお二人にとっても身に覚えのある感覚ですか?

高本 ありますね。もしかしたら学生時代よりも、ひらがなけやき時代に感じていた気持ちに近いかもしれない。

東村 私は性格的に思い悩むようなことはあまりなくて。寝たらすぐに忘れますし(笑)。その日やるべきことをやる、という感じで生きてきました。だから学生時代はそんなに悩んだりすることもなく、ひたすら部活に熱中したりしていました。でも確かに、ひらがなけやき時代はこういうモヤモヤを抱えていたかもしれないです。

東村芽依

東村芽依

──お二人から見た“センター齊藤京子”は?

東村 発表されたときは「ついにこの時が来たか」と思いました。きょんこ(齊藤)のセンターは「NO WAR in the future」(2017年10月に発売された欅坂46「風に吹かれても」カップリング曲)や「それでも歩いてる」(2018年6月に発売されたけやき坂46の1stアルバム「走り出す瞬間」収録曲)以来で。日向坂46になってからはまだなかったから「やっと来た」と思いましたし、うれしかったです。曲のイメージにも合っていると思う。きょんこは歌もダンスもうまいし、ソロから始まるAメロを聴くたび「めっちゃいいな」と思います。

──センターとして頼れる存在?

東村 はい。日向坂46になって初めてだったと聞いて「そうだったっけ?」と感じたくらい、いつも私たちの中心にいる存在なんです。

──齊藤さんを中心に据えて円形のフォーメーションを組むミュージックビデオも印象的でした。古代建築のような円形のオブジェ、メンバーの頭上に吊るされた円形の照明など、何かと丸い円のモチーフを印象付ける映像ですよね。

高本 このMVは「つながる」がテーマになっていて。円の形になったフォーメーションや振付が多いのは、そのテーマに合わせたものだと思います。

──撮影時には各シーンについて「これはこういう意図で」という説明はされないんですか?

東村 最後の手をつなぐシーンでは「みんなと手をつなげてうれしい」という温かい気持ちを表現してほしい、という指示がありました。

──センターの齊藤さんはソロ曲「孤独な瞬間」も歌っています。80年代アイドルを彷彿とさせる不良少女感のある楽曲で、齊藤さんの低音の魅力が遺憾なく発揮されています。

高本 京子がソロ曲を歌うのはすごくひさしぶりになっちゃったけど、もっと歌うべき人なんですよ。日向坂46はあまりソロ曲を出さないから、京子にはどんどん歌ってほしい。

──お二人とも齋藤さんのことは大絶賛ですね。

高本 努力の人なので、もっと報われるべきだと思います。

高本彩花

高本彩花

おひさまに向けた「HEY!OHISAMA!」、念願の夏曲 「一生一度の夏」

──共通カップリング曲「HEY!OHISAMA!」は非常に目的のはっきりした曲ですね。ライブで、目の前のおひさま(日向坂46ファンの呼称)に向けて歌う曲、という。カラッと明るいロックンロールで、日向坂46の個性をアピールする意味ではこういう曲が表題曲になってもいいんじゃないかと思いました。

高本 ここまで直接的におひさまに向けた曲は初めてですね。日向坂46はライブをすごく大事にしていて。おひさまとの一体感を味わえるのは本当に気持ちがいいし、おひさまがいるからこそできることが私たちには多いので、こういう曲ができたことは本当にうれしいです。

──東京ドームという巨大な空間で、あれだけたくさんのおひさまが一堂に会したところを見ていると、その実感もより強くなっているんじゃないかと。

東村 そうですね。ライブでは間違いなく盛り上がると思います。タイトルにまで「OHISAMA」って入ってるのがいいなって(笑)。

高本 うん(笑)。おひさまもうれしいだろうし、早くライブで聴いてほしいですね。

高本彩花

高本彩花

──「月と星が踊るMidnight」「HEY!OHISAMA!」のほか、通常盤カップリング曲 「一生一度の夏」も三期生までの全員曲ですね。

高本 「一生一度の夏」はタイトルの通り、夏曲です。日向坂46には夏曲があまりなかったので、新しい夏曲ができたことがうれしくて。

東村 そもそも季節を全面に出した曲が日向坂46にはあまりなくて。夏にリリースされた「ドレミソラシド」(2019年7月発売の2ndシングル表題曲)は私の中では夏曲なんですけど。

高本 一期生の曲では「おいで夏の境界線」があるんですけど、それにちょっと似たような感じ。「おいで夏の境界線」みたいな夏曲を全員で歌いたいなと思っていたので、やっと来た!という感じで。出すのは秋なんですけど(笑)。

東村 んふふふふ。「一生一度の夏」はめっちゃ好きです、私。歌いやすかったし、歌っていて楽しいです。

東村芽依

東村芽依

ユニットの対比

──今作には「10秒天使」「その他大勢タイプ」と4人編成のユニット曲が2曲収録されていて、「10秒天使」には東村さん、佐々木美玲さん、河田陽菜さん、松田好花さんの4人が参加しています。日向坂46が持っている平和なムードを象徴するような1曲ですね。「その他大勢タイプ」の歌唱メンバーは影山優佳さん、上村ひなのさん、金村美玖さん、富田鈴花さんという4人です。

東村 「その他大勢タイプ」のメンバーはイマドキっぽい感じで、私たちはちょっと素朴で。この2曲にはその違いが出ていると思います。

高本 「10秒天使」のメンバーは浴衣と田舎の風景がめちゃくちゃ似合うなーって思いました(笑)。のんびりしたMVの世界観がすごくよかったし、「その他大勢タイプ」のおしゃれでかわいい感じもいいなって。ひなのちゃんが最近すごくぶりっ子なんですけど……。

──ぶりっ子?

高本 昔はあまりそういう感じを出さなかったし、できなかったんだと思うんですよ。でも最近は自分をかわいく見せるのが上手になっていて。そこにすごく惹かれました。

──確かに、今までの上村さんは素のままでいるような印象がありましたが、変わってきているのでしょうか。

高本 はい。“ザ・アイドル”みたいな存在に近付いているような。ぜひ注目して観てください。