音楽ナタリー PowerPush - HEY-SMITH

アメ村のライブハウスから野外へ 猪狩秀平が提唱する“本物のフェス”

今でもあの光景、まだ残ってる

──そして2日間ともそうやって横のつながりを大切して呼んだバンドのあとに、HEY-SMITHがライブをしたわけですが。ご自身のライブはどうでした?

猪狩秀平(G, Vo)

ここ最近で一番楽しかったっす。みんながつないでくれた感が半端じゃなかったし、ツアーとかとは違って1日限りのお祭りやったから「イエーイ!」くらいで挑めたっていうのがデカいと思う。あと2日目のSHANK、SiM、HEY-SMITHっていう流れでの、バトンがすごくて。ホンマ気持ちをぶつけられて。これに応えられないやつはクソやなって思ったし、俺は絶対応えられるわって思った。

──トリだし、ライブも感動的なムードに持っていくのかと思いきや、2日間ともひたすらアゲアゲでしたね。

なんかすごい楽しかったです。楽しくないときって、誰かがミスしたときに「チッ」って思うんですけど、楽しいときはそれを笑えるんですよね。で、DVDにも入ってるけど、本番でTask-n(Dr)が2番に行かなきゃいけないところでアウトロに行ってる曲があって。もう大チョンボで、いつもやったら「おいおい!」ってなるんですけど、俺指差して爆笑してましたもん。映像見て、「あ、俺こんな感じやったんや、楽しそう!」って思いました。雰囲気がよかったんやと思う。

──見える景色もいつもとは違いますよね。どうでした?

「暗!」って思った。「夜やなー」って(笑)。それでも照明がついて、お客さんが「ぐわー」ってなってて、スケーターが飛んでて、その後ろでまたお客さんが踊ってるっていう、あの光景はすごかった。会場は周りに何もなくて、空がめっちゃ広いから、全然日本に見えなくて、「ホンマにワープドやん!」って。今でもあの光景、まだ残ってる。

目指すはHAZIKETEMAZAREツアー

──今年は座って観られたり、全バンド観られたり、お客さんもサーキットイベントとは違う楽しみ方ができたでしょうね。

そうですね。俺はアメ村が“ディッキーズにVANS”みたいなやつらであふれかえる感じも好きなんですけどね。ただ2012年の段階でもうこれ以上大きくできなくなったんですよね。大阪のライブハウスではあれが限界で。なんばHatchとかBIGCATとか使って、それも売り切れてくれて。うれしい部分もあるけど、パンクバンドとかロックバンドのフェスに、来たいやつが来れないっていう現状には、ちょっとハテナな部分もあって。できるだけ当日券とかも出したけどそれでも来れない人がいたし。野外でやりたいっていうのは最初からの目標だったんで、ここでやってみたっていう感じです。

──「OSAKA HAZIKETEMAZARE FESTIVAL」、野外での開催という目標を果たした今、この次はどうしましょう?

うーん……。勝手に思ってるだけですけど、「HAZIKETEMAZAREツアー」とかやりたい。大型バスとかでね。

──それこそ「Warped Tour」的な?

そう。やっぱり「Warped Tour」に憧れて始まったところもあるし。あの修学旅行感見て、「楽しそう! バンドやりてえ」って思ったんで。やっぱりバンドってクソ楽しいぞっていうところを見せたいんです。

──猪狩さんは、よくMCなんかで「バンドやろうぜ!」「バンド最高!」っておっしゃいますね。そういうメッセージを発信するアーティストって意外と少ないと思うんですが、なぜ猪狩さんは声を大にしてバンドのよさを語るんでしょうか?

猪狩秀平(G, Vo)(Photo by HayachiN)

落ちるときは落ちるし、上がるときは上がる。辞めるやつもいたり、バンドってそういう人生そのものみたいなことをホンマに謳歌できる職業やなって気づいたんですよね。人を感動させられるし。ナンバーワンの職業ってバンドなんちゃうん?って思ったときにバンド楽しいって言えるようになった。もしかしたら楽器できないしって思ってるやつもいるかもしれないけど、練習したら誰でも弾ける。楽器とかバンドって始まるきっかけがなかなかなかったりするんですけど、簡単に始められるってわかってほしくて。あと俺が単純にカッコいいバンドが観たいから。みんながバンドを始めて、俺がまだ聴いたことないようなことをやってくれる新しいバンドを観たい。

──バンドが増えることでシーン全体が盛り上がればっていうことよりも、単純にカッコいいバンドが観たいだけなんですね。

そんな責任感はないですね(笑)。ホンマ、カッコいいバンドが出てきてほしいだけで。しかもライブやってればお酒飲んでいいし、全国行けるし、女の子も抱いていいんですよ?(笑) そんなの最高でしょ! まあ抱いていいかは知らんけど(笑)。

ライブDVD「Live at OSAKA HAZIKETEMAZARE FESTIVAL 2014」2015年1月1日発売 / 3131円 / CAFFEINE BOMB ORGANICS / CBR-66 / Amazon.co.jp
ライブDVD「Live at OSAKA HAZIKETEMAZARE FESTIVAL 2014」
収録内容

9/13 HAZIKETE 前夜祭

  1. Drug Free Japan
  2. Skate Or Die
  3. Stand Up For Your Right
  4. Lonely With Everyone
  5. Journey
  6. Free Your Mind
  7. Over

9/14 OSAKA HAZIKETEMAZARE FESTIVAL 2014

  1. Endless Sorrow
  2. True Yourself
  3. Theme Of HEY
  4. Like A Gentleman
  5. Jump!!
  6. Living In My Skin
  7. The First Love Song
  8. We Sing Our Song
  9. Download Me If You Can
  10. Goodbye To Say Hello
HEY-SMITH(ヘイスミス)

HEY-SMITH

猪狩秀平(G, Vo)、Mukky(Vo, B)、満(Sax)、Iori(Tp)、Task-n(Dr)からなる5人組パンクバンド。2006年に大阪を拠点にライブ活動を開始し、2009年に1stミニアルバム「Proud and Loud」でCDデビュー。2010年の1stフルアルバム「14 -Fourteen-」を経て2011年にリリースした2ndフルアルバム「Free Your Mind」はオリコン週間インディーズランキングで1位を記録する。2012年には「FUJI ROCK FESTIVAL '12」「RISING SUN ROCK FESTIVAL 2012 in EZO」といったフェスに招聘されるほか、coldrain、SiMとのパッケージツアー「TRIPLE AXE TOUR 2012」を開催した。2013年5月、2年ぶりのフルアルバム「Now Album」を発表し47都道府県を回るレコ発ツアーを大成功に収める。2010年より自主企画イベント「OSAKA HAZIKETEMAZARE FESTIVAL」を主催しており、2014年9月には大阪・泉大津フェニックスにて初の野外開催を成功させた。2015年1月1日に同イベントの模様を収録したDVD「Live at OSAKA HAZIKETEMAZARE FESTIVAL 2014」をリリース。