アニメ「ULTRAMAN」特集 OLDCODEX|革新的なアニメで追求した、オープニング主題歌の新たな可能性

世界に目を向けていいと思った

──最初のほうにTa_2さんが最近のアニメソングのオープニング主題歌の雛形のお話をされていましたけど、その特性をどう感じていますか?

Ta_2 制作サイドから言われるのは“疾走感”ですよね。言わない人は少ないと思う。最近の雛形はBPMが140~150とか、ちょっと速めで、バンドインして、少しうるさめになって、拳を突き上げやすいテンポ感で。Aメロはテンポを落として、Bメロまで穏やかで、ブレイクがあって、そこからバンドインして派手めな構成になって、覚えやすいメロでアウトロにいって終わり。これで90秒。ある一時期までは、アーティスティックなものと、アニソンの王道と言われるタイトルを叫んでいるようなもの、もしくはそこから外れた、アニソンシンガーと呼ばれる人たちが作っているような、キャッチーな中に面白いギミックが入ったもの。その3つが雛形だったんだけど、アーティスティックな部分と音楽的に面白い部分を合わせて、もっと派手にしたようなものが出始めて、みんながそれをやり始めた。今までアニメの曲を作ったことがない人が作った曲も含めて、だいたいこの枠に当てはまるような気がしますね。もちろん、そのアーティストの雰囲気を持っていくというテーマもあると思いますけど。

──今回、その枠を壊すハンマー的な役割を「Core Fade」は担っているんですかね。

Ta_2 いや、アニソンという括りで作るのも面白くないなって。その作品の主題歌として作りたいんですよ。俺たちもそこに参加して、90秒版には「ULTRAMAN」の意味を入れて、フル尺には自分たちの意味も入れて、2つが同居するようにしたい。あとは、いい加減、世界に目を向けていいと思ったんです。「ULTRAMAN」自体が世界で勝負できるように作られているから、俺たちも世界に対してのサウンドを作るという。海外ドラマのオープニングって、そんなに疾走感があるものばかりではないと思うんですよ。世界に向けているなら、始まったときの雰囲気も全人種に投げかけやすいものじゃなきゃいけない。だから、原始的なビートで構成しています。日本発という意味を持ちつつ、世界に向けて広げるというチャレンジですね。

「ULTRAMAN」を感じられるジャケット

──CDの現物がちょうど上がったところですが、サウンドのみならず、ジャケットも独特の質感ですね。

OLDCODEX「Core Fade」通常盤ジャケット

YORKE. 今回、ジャケットはシルバーの紙に印刷したのね。硬質なんだけど軽いというか。CDの盤面の印刷もすごくうまくいって。「ULTRAMAN」の銀と赤の感じも出しているんです。ジャケットに「ULTRAMAN」とは書いていないんだけど、そう感じてもらえるようなものにしたかったから。「ULTRAMAN」を作った人たちにも渡して、喜んでもらえるといいなあって。

Ta_2 こうしてジャケットを見ると、思い描いていた、音楽と作品が共に走る面白さを表現できているのかなって。

YORKE. アーティスト写真もTa_2のアイデアだったんだけど、Ta_2はバッチリ決めているのに、僕は戸惑っているじゃん(笑)。「なんでサーチライトなの?」って、表情にそれが出てるよね。

Ta_2 意味に連続性を付けたくって。サーチライトで2人を抜くと、ウルトラマンの目みたいでしょ。その後ろがまっさらだと、YORKE.が描く前なのかなとか、要するにMVの撮影前にも見える。あと「ULTRAMAN」は夜に戦うシーンが多いんですよ。光に照らされて姿がわかるシーンは、板の上の俺らのスポットライトと同じように見えて。インスピレーションの元ネタは「007」なんですけど、それを2人でやったら面白いなって。こういうふうに、いろんな連続性を想像してもらえるように、自分たちから提示していきたいと思いました。10年経って、2人で完結できるものに回帰して、OLDCODEXを1つの生き物として見たときに、もっともっといろんなことをやっていくべきだと感じています。もどかしいことも多いです。もっと面白いことができるのにって。それをどうにかするというのが、最近のテーマです。