8月25日に東京・新木場STUDIO COASTで結成14周年を記念したワンマンライブ「『ALICE IN CASTLE』-星の王子と月の城-」を開催するA9。彼らに取材を申し込んだところ、シンパシーと憧れを感じているというOLDCODEXと対談したいという申し出が。そこでA9から将(Vo)とヒロト(G)、そしてOLDCODEXの2人に登場してもらい、2組の出会い、楽曲およびライブの魅力などを語り合ってもらった。対談の最後には、A9が対談を申し込んだ本当の理由が明らかになる。
取材・文 / 真貝聡 撮影 / 草場雄介
5年ぶりの再会
将(Vo / A9) 今回はナタリーさんで対談をさせていただけるということで、僕らが一方的に大好きなOLDCODEXのお二人にオファーさせていただきました。
Ta_2(Vo / OLDCODEX) GRANRODEOのフェス(2013年に山梨・富士急ハイランド コニファーフォレストで行われた「Y・W・F /(^o^)\ ヤッホー ワンダホー FUJIYAMA!!」)でご挨拶させていただいて以来ですよね。俺ら仲のいいバンドが少ないので(笑)、ありがたいお話です。この機会にざっくばらんにお話しできたら。
ヒロト(G / A9) あのフェスは5年前ですよね。そのときはYORKE.さんが僕らの先輩と関わりがあって。
YORKE.(Painter / OLDCODEX) MIYAVIですよね?
ヒロト はい。当時の事務所の直系の先輩で。
YORKE. あのときはゆっくりお話しができなかったので、今日はじっくり話せるということで楽しみにしてました。
将 こちらこそうれしいです! 僕らも激しい楽曲は多いんですけど、OLDCODEXの楽曲も激しいですよね。あとBring Me the HorizonやThirty Seconds to Marsとか、最近のニューメタルの最先端なところを取り入れている印象なんですよ。
Ta_2 音数が多いので細かいテクニックが多いサウンドになってきてますね。遊びのある音楽が好きなタイプだから、フレーズ重視だったり、ルートで弾かないとか気付いたらどんどんテクニック重視になってきてて。気を抜くとPeripheryみたいな、バカテクの人たちみたいになっちゃうので気にするようにしてるんですけど(笑)。
楽器を置いてみんなで歌うのもアリ
ヒロト 僕はもともとアニメが好きで、お二人のことは「黒子のバスケ」のエンディングテーマ「カタルリズム」(2012年リリースの5thシングル)を歌われているときに知って。OLDCODEXは、僕が青春時代にハマった1990年代のグランジや、ミクスチャーロックの香りがプンプンするなと思って惹かれたんです。それはYORKE.さんの色が濃く出ているからですか?
YORKE. 最初は僕の色が濃かったかもしれないけど、この頃はTa_2のほうがいっぱい曲のアイデアを提案してくれて。僕の青春時代でいうとKornにどハマりして、あの音楽に救われたんですよ。お二人は年齢非公開ですか?
将 公には出してないですけど、世代は近いと思います。僕もキッズ時代にKornの「Follow the Leader」(1998年発売の3rdアルバム)が出た世代だったので、かなりドンピシャだったんですよね。Kornに通じる異端な感じも、僕がOLDCODEXを好きな理由なんです。
Ta_2 俺は楽器がまったくできないので、曲を作るときは鼻歌やアカペラなんです。それにアレンジャーの方にコードを付けてもらって作るタイプなので、そのときにギターのフレーズとかドラムのパターンを口で入れたりして。そういう意味でも、聴き手からすると不思議なフレーズになっているみたいですね。
将 ギタリストもベーシストもドラマーもいらっしゃらないからこそ、柔軟な音になってますよね。
ヒロト そうそう、自由な感じがする。僕らはツインギターだからつい「楽曲に2本ギターが入ってないとダメだよね」みたいな固定概念があったんですよ。最近になって、ようやくその考えから解き放たれました。
YORKE. 確かに、今のA9は楽器を置いてみんなで歌ってたりしますよね。
Ta_2 ライブを観てビックリしました!
将 行きすぎた感がありますけど(笑)。
YORKE. いや、全然アリだと思います。
将 僕らは結成14年目なんですけど、ヒロトが言った通り、今まではパートの呪縛に縛られ過ぎていたなって感じて。それで話し合いを重ねて「ツインギターだからツインギターらしいことをやるのは、ロックに見えて一番ロックじゃないんじゃないか」っていう結論に至ったんです。そういう意味でパート構成を破壊する試みをしました。
本当の意味での先人へのリスペクト
YORKE. 面白い構成という意味では、最近のThirty Seconds to Marsのライブが斬新でした。楽器を弾かずに、ただいるだけっていう。しかもライブの後半でジャレッド・レト(Vo, G)は、ずっと客にマイクを向けてる。
Ta_2 だいぶカオスだよね。でもその感じがちゃんとライブとして成立してるし、ロックになってる。それこそステージ上はボーカル、ドラム、マニピュレーターがいるかいないかみたいな。たまに「ドラムしかいないんじゃない?」って思うぐらいの構成になったりして。
YORKE. でもカッコいいんだよ。
Ta_2 やっぱり考え方が柔軟っていいよな、と思いますね。YORKE.も「決着のつけ方さえうまくいけば、あとはなんでもいい」というのをよく言ってて。その言葉は俺のアイデアの元になっていたりします。
将 終わりよければすべてよし、みたいな。
YORKE. あとは観る人に委ねます。こっちがやりたいことだけじゃなくて、観ている人たちがどういうことを求めているかも大事だと思うんです。結局、僕らは2人のバンドだけど、ギター、ベース、ドラムっていうものがサウンドのベースを作っている以上、どうしても放っておくとそこに縛られがちになる。なくす勇気も続けていくうえでは必要かもしれないな、と考えたりします。
ヒロト 僕らでいうとX JAPANやLUNA SEAのフォーマットを観て育ったんです。当時はあの形をやりたいと思って始めましたけど、先人たちはいろんなやり方があったうえで、ほかがやっていないことを模索して今の形に辿り着いたわけで。だからこそ斬新でカッコよかったし、魅了されてたんだと思うんです。僕らはついリスペクトしすぎて、あの形を目指していたんですけど、それって本当の意味でリスペクトをできてない感じになっちゃってたなって。
将 オリジナリティではなく焼き増しというかね。
ヒロト 14年経ってようやくそこに気が付いて。僕らなりのロックがあってもいいんじゃないかと思って新しいチャレンジとして楽器を置いて踊ってみました。
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“この世で初めて人前でギターを弾いた人”のような感覚
- A9 ライブ情報
「ALICE IN CASTLE」-星の王子と月の城- -
- 2018年8月25日(土) 東京都 新木場STUDIO COASTOPEN 16:30 / START 17:14
- A9 TORA BIRTHDAY ONEMAN
「虎祭2018~TORAMATSURI~」 -
- 2018年9月17日(月) 神奈川県 新横浜 NEW SIDE BEACH!![第1部]OPEN 14:30 / START 15:00
[第2部]OPEN 17:30 / START 18:00
- 2018年9月17日(月) 神奈川県 新横浜 NEW SIDE BEACH!![第1部]OPEN 14:30 / START 15:00
- A9「PLANET NINE」
- 2018年4月25日発売 / NINE HEADS RECORDS
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初回限定盤 [CD+DVD]
3888円 / NINE-0019 -
通常盤 [CD]
3240円 / NINE-0020
- CD収録曲
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- PLANET NINE-INVITATION-
- F+IX=YOU
- FIVE JOKER
- UNREAL
- CASTLE OF THE NINE
- PENDULUM
- ソナタ
- Neophilia
- GIGA
- ASYLUM
- Re:Born
- 初回限定盤DVD収録内容
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- 「UNREAL」Music Video
- A9(エーナイン)
- 将(Vo)、ヒロト(G)、虎(G)、沙我(B)、Nao(Dr)の5人からなる2004年結成のヴィジュアル系バンド。本格的な活動開始から2009年までのバンド名は「アリス九號.」。デビュー当初は和情緒にこだわった作風だったが、徐々にさまざまな音楽エッセンスを取り入れるようになり、現在は幅広い表現力を持ったバンドとして活動している。2009年よりバンド名表記を「Alice Nine」に統一。2011年には初の日本武道館ワンマンライブを成功させたのち、2013年にレコード会社をユニバーサルミュージックへ移籍し精力的な活動を展開。2014年8月にそれまでの所属事務所から独立し、2015年3月からはバンド名を「A9」に改めて活動している。2018年4月に8thアルバム「PLANET NINE」をリリース。8月には東京・新木場STUDIO COASTで結成14周年を記念したワンマンライブ「『ALICE IN CASTLE』-星の王子と月の城-」を行う。
- OLDCODEX「Heading to Over」
- 2018年7月25日発売 / バンダイナムコアーツ
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初回限定盤 [CD+DVD]
1944円 / LACM-34790 -
通常盤 [CD]
1404円 / LACM-14790 -
アニメ盤 [CD]
1296円 / LACM-14791
- 初回限定盤および通常盤CD収録曲
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- Heading to Over[作詞:YORKE. / 作曲:Ta_2 / 編曲:eba]
- Bang[作詞:YORKE. / 作・編曲:小山寿]
- another point[作詞:YORKE. / 作曲:加藤肇 / 編曲: 小山寿]
- 初回限定盤DVD収録内容
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- Heading to Over(Music Video)
- Making of "Heading to Over" Music Video
- アニメ盤CD収録曲
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- Heading to Over
- Clean out[作詞:YORKE. / 作・編曲:岡本武士]
- OLDCODEX ツアー情報
OLDCODEX Tour “GROWTH TO BE ONE” -
- 2018年8月27日(月) 東京都 Zepp DiverCity TOKYO
- 2018年9月1日(土) 北海道 Zepp Sapporo
- 2018年9月8日(土) 広島県 BLUE LIVE HIROSHIMA
- 2018年9月9日(日) 福岡県 BARK UP
- 2018年9月15日(土) 大阪府 Zepp Osaka Bayside
- 2018年9月16日(日) 大阪府 Zepp Osaka Bayside
- 2018年9月22日(土) 愛知県 Zepp Nagoya
- 2018年9月23日(日・祝) 愛知県 Zepp Nagoya
- 2018年9月30日(日) 東京都 Zepp DiverCity TOKYO
- 2018年10月1日(月) 東京都 Zepp DiverCity TOKYO
- 追加公演
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- 2018年11月23日(金・祝) 中国 上海 Modern Sky Lab
- 2018年11月24日(土) 中国 上海 Modern Sky Lab
- 2018年12月2日(日) 宮城県 SENDAI GIGS
- 2018年12月7日(金) 台湾 Legacy
- 2018年12月8日(土) 台湾 Legacy
- 2018年12月29日(土) 福井県 福井県県民ホール
- 2018年1月5日(土) 東京都 チームスマイル・豊洲PIT
- OLDCODEX(オルドコデックス)
- 2009年結成。Ta_2(Vo)とYORKE.(Painter)という異色の組み合わせが特徴のユニットで、ライブではTa_2のハードな歌声と、ステージ上でキャンバスに描かれるYORKE.のペインティングがオーディエンスを魅了している。これまで16枚のシングルと3枚のミニアルバム、5枚のアルバムをリリースしており、最新作は2018年7月リリースの16thシングル「Heading to Over」。8月から2018年1月にかけてライブツアー「OLDCODEX Tour “GROWTH TO BE ONE”」が開催される。