アニメ「ULTRAMAN」特集 OLDCODEX|革新的なアニメで追求した、オープニング主題歌の新たな可能性

オタクが極まってます

──曲に関しては、最初からミクスチャーなイメージがあったとのことですが、現代のヒーローを描くならハイブリッドで最新鋭なものにしたかったからですか?

Ta_2 そうですね。なので、バンド隊にはレコーディングのときにだいぶ悩ませてしまいました。録り方もバラバラだったんです。例えばドラムはタイコ類と金物を混ぜないで、「タイコだけ叩いてほしい」「金物だけ鳴らしてほしい」と。そこから、こっちで使えるものを考えたんです。バンド隊の息吹は鳴らす音で出ているから、それ以上の主張は控えてくれって。こっちのビジョンはしっかりしていたんですけど、バンド隊は「これ、大丈夫?」「合ってた?」って。でも、いい感じでしたよ。

──それはある種、これまでライブ感も含め、いろいろ培ってきたからこそできることなのかもしれないですよね。

Ta_2 そういう意味では、自分がやってきたお芝居の仕事を混ぜ込んで、OLDCODEXでいろいろ言えるようになりました。観念の壊し方や自己表現の抑え方のディレクション……いわゆる“からめ手”と言われるものですけど、それも含めておいしいものを作るという調理法にはなってきました。

──そういう発想って、ライブ中心で生きているアーティストには、なかなか生まれ得ないものかと思います。

YORKE. ないですよ! 僕にもないもん。Ta_2は演じるところから入っているから、そこに長けていて。僕も演じている部分もあるとは思うけれど、スイッチの入れ方が違う。僕は台本をその場で用意して自分で演じるみたいな仕事だから、出たとこ勝負というか。Ta_2みたいな分析はできない。Ta_2は将棋とかやったら強そうだよね。僕、最近アプリで将棋をやってるんだけど、行き当たりばったりだからすぐ負けちゃう。続けていくとわかってくることがあって、面白いんだけど。

Ta_2 俺は今、「フロストパンク」という、街を作るゲームにハマってるんですよ。極寒の場所にコアのジェネレーターみたいなものが1個あって、そこから街を作っていくんです。石炭を取って、木材を取って、必要な資源を取って、テントを作って。すぐ街を壊滅させちゃうんですけど、この先はこうなるからこういうことをやらなきゃなとか、ここの資源を取り尽くしちゃうなとか考えられるようになると、思考能力の訓練になるなあと思ってます。本とかも、そういうのばっかり読んでいるので、どんどんオタクが極まってます(笑)。

──考えることが好きなんですね。

Ta_2 嫌ですよ、考えたくない! 最近、YORKE.がよく言う「絵を描くのが嫌い」っていう気持ちがわかるようになりました(笑)。

YORKE. そうね。やり続けると飽きてくるし。

──突き詰めて考えることも絵を描くことも、それぞれうらやましいくらいの特技だと思うんですけど。

Ta_2 考えなくてもいいなら、考えたくない。でも、いろんなことをオートマチックに考えるくらい染み込んじゃってる自分もいて、そこに愛らしさと憎らしさが同居していて。ただ、愛らしさは少ないんだと思う(笑)。新しいものを見つける好奇心を持っていることに関しては、楽しいですけどね。見つからないときはひたすらイライラしますけど、そのフックを見つけてからしばらくは確変みたいな感じになりますね。

OLDCODEXは生き物

──初回限定盤には「ULTRAMAN」とコラボしたミュージックビデオが収録されていますよね。

YORKE. MVの映像はいつも監督とTa_2がグルになって考えて、僕は撮影当日に考えてる。下描きも何もない、フリースタイルなんです。撮影開始までダラダラしていて、現場に入ったときだけスイッチが入る。メイキングとか観ていて、僕、顔が変わるんだなって最近気付いたの。「こわー、動物的!」みたいな。MVの撮影で大変なのは、カットが入ること。作品をその場で作るとなると、ブレイクするのも進んでいくのも、僕にしかわからないタイム感がある。映像のスタッフも集中しているから、近いところまではわかってくれるんだけど、それが途切れちゃうときもあって。そういうときはマネージャーやスタッフから「YORKE.がんばってよー」と励ましを食らって、それでノってくるんです(笑)。そうやって人から強制的にスイッチを入れてもらわないといけない。作品作りって何日かけてもいいと思ってるけど、映像の撮影は短時間で仕上げなくちゃいけないから、そこはとても難しい。

──Ta_2さんの中には、YORKE.さんが撮影ではこうなるだろうとか、仕上がりはこうなるだろうっていうビジョンは見えているんですか?

Ta_2 仕上がりのビジョンは見えないですよ。

YORKE. でも、ほかの人よりはわかってるはずだよ。「今、仕上げにかかったな」とか……要は、僕が必殺技を出し始めるんですよ。ギブアップさせるぞって、羽交い絞めにしたとかはわかると思う。

Ta_2 ああ、リズム感は一番知ってるかも。だから、今回の撮影も最後のほうは、監督たち以上に俺が現場をコーディネートして、「YORKE.はたぶんこうやってくるから、ここを押さえて」とか言っていました。そういう意味では、演出家やプロデューサーみたいな頭を死ぬほど回しているよね。MVが上がってきたときも「このカット割りは違う」とか、「ここエフェクトを入れてほしい」とか、「これは映像で絶対できるよね?」って。裏側を知っちゃってるから、だいたい何日あればそれができるのかわかっちゃうんです。

YORKE. タチ悪いよねえ(笑)。最近も周りの人から「最初、YORKE.は付き合いにくそうに見えたけど、だんだんTa_2がわかんなくなった」って言われたことがある。僕なんか最終的に動物扱いされるから。「YORKE.、やれ!」みたいな。Ta_2はプロデューサー気質だもんね。

Ta_2 だから、淡々とロジカルに、すごい厳しいことも言うし。

──ロジカルなところとエモーショナルなところのバランスが、OLDCODEXは絶妙ですもんね。

YORKE. エモーショナルなのは主に僕だよね(笑)。泣いたり笑ったり怒ったり。

──そこがTa_2さんのロジックによって、表現として整理されるという。

YORKE. それはあるかもしれない。いや、僕にもロジカルなところだって少しはあるんですよ。

──そう思いますよ。逆にTa_2さんも、エモーショナルじゃなければこういった感情にあふれた歌は歌えないですよね。それを出すタイミングやバランスが、お互いちょうどいいんだと思います。

Ta_2 最近OLDCODEXを生き物として捉えるようにしていて。右脳と左脳、みたいなさ。俺ら2人が1つになって生き物という。