春ねむり「春と修羅」 PR

春ねむり|孤独であることを受け入れる覚悟と、怒り続けることへの決意

私のことを好きな人たちにもっと音楽を好きになってほしい

──「ロックンロールは死なない」の再演を一緒にやった突然少年のことを、ねむりさんは前から好きだったんですよね。

すっっっっっごく好きです。ほんっっっとに、ほんっっっとに好きなんですけど、あんまり好き好き言うと「あ、ありがとうございます」って引かれちゃうんで(笑)。私は春ねむりになる前から、腐りそうな夜にライブを観て突然少年に生命力を分けてもらってました。最初に観たときに、純粋そのものみたいな印象を受けて「一生守られててほしいな」って思ったんですけど、1年後ぐらいに観たら、彼らも私も経験を重ねたせいか、その純粋さは守られなくてもいいんだなと思い直したんです。「絶対に譲れないものに賭けている限り、この純粋さが壊れても別の何かがあれば美しいままなんだ」と思えて。彼らがステージにいてくれるおかげで、守られてたのは私なんですよ。うまく言えないんですけど、それってすごいロックンロールな体験だったんです。「ロックンロールは死なない」は絶対に生演奏で再録したいと思ってて、誰と一緒にやりたいかなと思ったときに、そういう個人的な思い入れがあったので、突然少年にお願いしました。

──一緒にやってみてどうでした?

初めてバンドに合わせて歌ったんですよ。トラックに合わせて歌うのと違って、私がモタるとバンドも一緒にモタるんですよね。「バンドすげえ!」ってなりました(笑)。一度録ったらそうなったからか、彼らが私に合わせようとしてくれてるのを感じたので、私は私のリズムで歌ったほうがいいのかなと思ったんです。それで本番は自分のリズムで歌って、彼らはそれを汲み取って演奏してくれた感じです。とにかく楽しかったですね。

  • 春ねむり
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──ねむりさんも以前はバンドをやっていましたもんね。リミックスで参加しているNERO IMAIさんと長谷川白紙さんも好きだったんですか?

リミックス音源を入れることは決めていて、「1つはヒップホップっぽいリミックスがいいな、誰がいいかな」って話をしていたんです。そのときに、マネージャーが吉祥寺Warpに併設されてるレコード屋さん(toosmell records)で買ったNERO IMAIさんのCDを聴かせてくれて。「めっちゃカッコいいじゃん!」って思って、ダメもとでお願いしたら引き受けてくださいました。長谷川白紙くんはMaltine Recordsからリリースしているアルバム(「アイフォーン・シックス・プラス」)を知り合いがみんな絶賛していて、SoundCloudで聴いてみたらヤバかったので、自分から提案しました。私のことを好きな人たちにもっと音楽を好きになってほしいという気持ちがあるんです。差し出がましいけど、こういう音楽もあるんだよって教えてあげたいみたいな。そういう思いをリミックスに込めました。

私はヤンキーマンガの主人公と思考回路が似てるんですよ

──前に伺ったお話ですけど、「アンダーグラウンド」の歌い出しの「ぼくを最終兵器にしたのはきみさ」というリリックは、あるお客さんとの会話が元になっているんですよね。

一昨年くらい前に1回ライブを観てくれた女の子と最近再会して、「あ、ひさしぶり」って声をかけたらブワーッと泣き出して「ねむりさんは私の最終兵器です!」って言ってくれたことがあって。そのとき、「私は私を救う必要がなくなったな」って思ったんです。私は特別な人間じゃない。それを前提にしたうえで、特別じゃない私と君が見つめあったらそこが宇宙なんだよ、それが音楽の空間なんだ、っていうメッセージをギュッと詰め込んで書いたのが「アンダーグラウンド」です。

──さっき宮沢賢治の怒りの話がありましたけど、僕もアルバムを聴いて「春ねむり、怒ってるな」って思いました。

そうなんですよね……自分でもホントに怒ってるなって思います。あらゆるものに怒り散らした結果、つまらない自分に一番ムカついてるっていう感じになって、「こういう創作物見たことあるな、なんだったろう……」って思ったら、ヤンキーマンガなんですよね(笑)。最近めっちゃ読んでるんですけど、私はヤンキーマンガの主人公と思考回路が似てるんですよ。私自身は全然ヤンキーではなかったんですけど、中途半端に繊細で、中途半端に鈍感なのに、聖人君子みたいな心に憧れるから怒るんです。でも、きれいごとを言い続けられなくなって、「清濁併せのんでさあ」みたいなこと言うやつに怒れなくなったら終わりだから。何も感じないほうがきっと楽なんですけど、実際私は何も感じないでいた時期があって、それが虚無って感じだったので、そこには戻りたくないんです。ちゃんと怒りたい。

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彼女に「飛び込めなかった」と言わせたすべてのものが憎いと思った

──ねむりさんが表現に向かう大きなエネルギー源の1つが怒り?

そうですね。あとは、やるせなさとか。特定の人に対して曲を書くことは基本ないんですけど、「鳴らして」は実際の出来事を元に書いたんです。すごく仲がよかった友達から夜に「飛び込めなかった」ってLINEがきて、そのとき私は吉祥寺にいたんですけど新宿まで会いに行ったんですね。会ったら顔面蒼白で、普段はすぐ「死にたい」とか言う子なんですけど、全然そういうこと言わないで「飛び込めなかったんだよね……」とだけ。泣いてもいないんですよ。そのことがたまらなくつらくて、彼女をそうさせたすべてのものが憎いと思ったんです。

──その憎しみを曲にしたと。

(涙を流しながら)この話をすると悲しくなっちゃうんですけど……体験も思い入れも個人的なものですけど、わかってくれる人がきっといると思って書きました。その件に関しては、いまだにめっちゃ怒ってます。「鳴らして!」なんて他人に言ってるけど、ホントは誰よりも自分に対して言ってるんだろうなってすごく思います。

──貴重なお話をありがとうございました。何か言い残したことはありますか?

私の意見なんですけど、「人は孤独である」という前提でしか話しちゃいけないことがあると思ってるんです。私自身、孤独を受け入れたときに初めて歌を歌えたし。音楽も、神や仏も、アイドルも、心の頼りにするのはいいけど、自分との境界線を曖昧にしちゃいけない。余計なおせっかいかもしれませんけど、もし皆さんに苦しんでることがあるなら孤独であることを受け入れてみるのもいいかもしれないなと。このアルバムにはそれを受け入れようとする私の覚悟が全編に詰まっています。今どきアルバムを1曲目から順番に聴く人のほうが少ないと思うんですけど、1枚通して聴いてわかることがあるように作ったつもりなので、ぜひアルバムとして聴いてください。

春ねむり
春ねむり「春と修羅」
2018年4月11日発売 / パーフェクトミュージック
春ねむり「春と修羅」初回限定盤

初回限定盤 [CD+DVD]
3240円 / PMFL-9001

Amazon.co.jp

春ねむり「春と修羅」通常盤

通常盤 [CD]
2700円 / PMFL-0008

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CD収録曲
  1. MAKE MORE NOISE OF YOU
  2. 鳴らして
  3. アンダーグラウンド
  4. 春と修羅
  5. zzz
  6. ロストプラネット
  7. せかいをとりかえしておくれ
  8. 夜を泳いでた
  9. zzz
  1. ナインティーン
  2. ゆめをみよう
  3. zzz
  4. ロックンロールは死なない with 突然少年
  5. zzz
  6. 夜を泳いでた(Nemu remix)
  7. アンダーグラウンド feat. NERO IMAI(shnkuti remix)
  8. 鳴らして(長谷川白紙 remix)
初回限定盤DVD収録内容

2017.10.26 春ねむりワンマンライブ「ぼくを最終兵器にしたのはきみさ」@武蔵野公会堂ホール

  • Intro
  • 怪物
  • 東京
  • ぼくは最終兵器
  • ロストプラネット
  • アンダーグラウンド
  • ロックンロールは死なない
  • 「ロックンロールは死なない with 突然少年」レコーディングドキュメンタリー映像(ボーナストラック)
春ねむり(ハルネムリ)
春ねむり
神奈川・横浜出身、1995年生まれのポエトリーラッパー。17歳の頃に結成したバンドでシンセサイザーを担当し、21歳で春ねむりとしての活動を始める。その数カ月後にオールナイト野外ロックイベント「BAYCAMP2016」にオープニングアクトとして出演。2016年10月に1stミニアルバム「さよなら、ユースフォビア」を発表した。2017年6月には2枚目のミニアルバム「アトム・ハート・マザー」、9月には後藤まりことの共作シングル「はろー@にゅーわーるど / とりこぼされた街から愛をこめて」をリリース。2017年10月には東京・武蔵野公会堂で初のホールワンマンライブ「ぼくを最終兵器にしたのはきみさ」を成功させた。2018年4月に初のフルアルバム「春と修羅」をリリースする。