音楽ナタリー PowerPush - ハルカトミユキ

サウンドとビジュアルに刻まれた変化の道程

つながっていた「その日が来たら」と「世界」

──そのミユキさんの変化が刺激になって、ハルカさんも次の段階に進めた?

ハルカ ミユキの曲に引っ張り上げてもらった感じはあると思います。ミユキが今までと変わらずに曲を作り続けていたら、私も結局それまでのままだったかもしれない。ミユキの変化も私が変わるきっかけになったと思う。

──ミユキさんの作る新しいサウンドや曲を聴いて、例えば新しい歌詞のイメージが湧いたり、新しい創作意欲が生まれたりとかは?

ハルカ(Vo, G)

ハルカ ありますね。ミユキの曲を聴いてまずライブに対するイメージが変わったんです。「この曲をライブで歌ったらどうなるだろう?」ということや「パフォーマンスとか、見た目とかもどうなるんだろう?」ということを考えるようになって。そしたら「こういうこと歌いたい」という曲に対するイメージも変わってきて。それまではずっと悩んでるっていうことに自分が固執して、書く曲も悩んでる感じのものだったから。その頃ライブでよくやってた曲で「ひとりごと」って曲があるんですけど、その曲はホントにひとりごとをただ書いてる感じで。そういう曲がけっこうあったんですけど、ライブに対するイメージが変わってからは「違う開けた世界で見たら、もっと全然違うことが歌えるんじゃないか」みたいな感じになれましたね。

──その悩んでいることに固執していたピークのときに作った「その日が来たら」と、次の段階に進もうとして作った今回のリードトラック「世界」はつながっているのかなと思ったんですけど。

ハルカ 簡単に言ったら、終わりと始まりという感じなんですけど、つながってはいますね。ただそれは自然と、で。作ってるときはそんなに意識してくて、できあがってみたら「あっ、つながってたんだな」っていう感じなんですよね。

毎月リリースの提案に火が点いた

──そして今年に入って、シングルを毎月配信していくというアグレッシブな選択をしてるじゃないですか。それも2人の気持ちのエネルギーが大きかったことの表れ?

ハルカ そうですね。悩んでた頃って曲は作っていたんだけどリリースが決まっていない状態がずっと続いていて、ちょうど私の気持ちが戻ってきたときに「どうせだったら毎月新曲を出したらどうか」みたいな提案をレーベルスタッフからもらって。それでちょっと火が点いたというか「じゃあやろう!」ってなったんです。私が止まってしまっているときに、そういう挑戦的で攻めた感じの作戦を提案してくれたのがうれしかったから「これはもうやるしかない」って感じで。

ミユキ だから「はい、やります!」って(笑)。そのとき私には「80年代の音楽を表現したい」という思いがあったので「やるならその要素を1曲1曲の中にどうやって入れるか考えなきゃ」っていう気持ちが生まれてましたね。あとは「毎月新曲を作るとなるとハルカは歌詞書くの大変そうー」とか(笑)。

自分の嗜好を掘ったらニューロマに行き着いた

──急に80’sにハマったのはどうして?

ミユキ 私、カート・コバーンが好きで、Foster the Peopleが好きで、中学生のときにはORANGE RANGEのファンクラブに入ってたんですけど、その3つが自分の中で結びつかなかったんです。でも何が関係あるんだってすごく思ってて、その人たちに関係するアーティストを掘ってったら、FosterからQueenに行き着いたんですよ。で、フレディ・マーキュリーのことをパフォーマーとしてカッコいいと思うようになったところから、さらにたどり着いたのがニューロマ(ニューロマンティクス)で。打ち込みドラムとアナログシンセとキレイなメロディがいいなと思って。それでCulture Clubだったり、The Human Leagueだったりを知ったんですけど、そこで「あれ? ちょっとゲイっぽい」ということに気付き(笑)。でもその要素は取り入れるべきだとも思ったんです。それとカート・コバーンが好きっていうのも実は一緒で。私、Nirvanaだけじゃなくて、Sonic YouthとかPixiesとかグランジ全般を聴いていて。それはなんでだろう?って考えたら、どのバンドも音ももちろんなんですけど、ファッションだったりジャケットだったり、見た目もカッコいいんですよね。それで「私、見た目が好きなんだ」って(笑)。

──(カート・コバーンの)縞のセーターとかチェックのシャツとかも?

ミユキ あのちょっと汚い感じが好きなんだって気付いて(笑)。あと「ORANGE RANGEはなんで好きなんだろう」と思ったら、あの人たちの曲ってホントに売れるポップスなんだけど、NAOTOさん(G)は、80’sのものとか確実に自分の好きな洋楽の要素を曲に入れてるんだと思って。大勢がちゃんと受け入れることのできる曲だけど、ちゃんと自分の好きなこともやってるという。

ハルカ なるほどね。

ミユキ それでつながったと思って。「私が好きなのは見た目で惹かれるもので、特に80’sなんだ」っていうことがはっきりしたんです。それで、Cocteau Twinsだったり、あとは今さらながらシューゲイザーとかも聴き直してみたり……。

──最近ならファレルとかもやってるし、80’s的なものを入れるのがトレンドになってる感じもありますよね。

ミユキ 実はカブってたんですけど、私、流行モノって大好きなんです(笑)。テイラー・スウィフトのこの間出したアルバム(2014年発表の「1989」)とかも「すごいカッコいいな」と思ってますし。「NEW ROMANTICS」っていう曲もあったし(日本独自企画のデラックスエディションに収録)。ああいう売れてる上に、ちゃんと自分の好きな音楽の要素を入れてる曲ってホントに素晴らしいなと思ってて。ハルカはけっこう文学だったり、音楽もコアなものが好きなんだけど、私はミーハーなので(笑)。そういう要素も自分たちの曲にも入れていこうって思うようになったんです。

ハルカ ミユキは今までわりと隠してたんですよ。ORANGE RANGEのファンクラブに入ってたこともちょっと隠してもいましたし(笑)。ポップなものとか好きなのに、作るものはすごく暗いみたいな感じで。どっかカッコつけてるのか、自分の中にあるポップさに背を向けてる感じがあったんですけど「もうそれ出しちゃったほうがいいじゃん」って話になったんですよ。それで80年代って感じに(笑)。

──この1年でお互い、自分を解放したわけだ。

ハルカミユキ そうなんです。

ミニアルバム「世界」 / 2015年4月22日発売 / Sony Music Associated Records
ミニアルバム「世界」
初回限定盤 [CD+DVD] / 2700円 / AICL-2859~60
通常盤 [CD] / 2160円 / AICL-2861
CD収録曲
  1. 世界
  2. tonight
  3. マゼンタ
  4. 君はまだ知らない
  5. バッドエンドの続きを
  6. ヨーグルト・ホリック
  7. 嘘ツキ
初回限定盤DVD収録内容

ハーモニー / Harmony #1 2015.2.6 東京キネマ倶楽部

  • 終バス(未発表曲)
  • 嘘ツキ
  • ニュートンの林檎
  • 青い夜更け
ハルカトミユキ

立教大学の音楽サークルで知り合った1989年生まれのハルカ(Vo, G)とミユキ(Key, Cho)によるフォークロックユニット。ライブを中心とした活動を展開し、2012年11月に初の全国流通音源「虚言者が夜明けを告げる。僕達が、いつまでも黙っていると思うな。」をリリース。静謐さと激しさをあわせ持つサウンド、刺激的な歌詞で大きな注目を集め、iTunes Storeが選ぶ2013年期待の新人アーティスト「ニューアーティスト2013」にも選ばれる。2013年3月、2作目のCD「真夜中の言葉は青い毒になり、鈍る世界にヒヤリと刺さる。」をリリース。同年11月にソニー・ミュージックアソシエイテッドレコーズよりメジャーデビューアルバム「シアノタイプ」を発表し、2014年には3作目「そんなことどうだっていい、この歌を君が好きだと言ってくれたら。」を発表し、2015年1月からは毎月新曲を配信で発表している。そして同年4月、初めてのミニアルバム「世界」をリリースした。