「もうすっかり NO FUTURE!」がすべて
──それにしても、今年の秋のグループ魂は大忙しですね。リリースもあり、ひさびさのワンマンライブもあり、フェス出演もあり。
暴動 9月が特にね。おそらく来年はほとんど稼働ないですよ。わかんないですけど。
──新しい曲が生まれたりは?
暴動 全然作れてないですね!
──とは言え、「20名」以来のオリジナルアルバムを期待する声もあると思います。
暴動 このペースになると何年後になるか。でも、「もうすっかり NO FUTURE!」に全部やりたいことを集約しちゃったんですよ。ほとんどこれがすべてだなって。宗教にでも入らないと歌うことがない(笑)。
破壊 もうこれでいいんじゃない? 毎年、サビ以外の語りを変えていく。
暴動 そしたらみんな、「今、グループ魂はこれが言いたいんだな」って思うよね。
小園 まあ、そういうことじゃないですかね。レコーディングもあと何回できるのかって感じだし、1回1回が大事なんだよ。もう集中力が俄然落ちて、覚えも悪くなってるし(笑)。次のワンマンがリクエストライブだから大変なんですよ。自分で弾いてて、どうやって弾いてたのか全然思い出せない。新しくフレーズを作ったほうが早いんじゃないかって(笑)。
暴動 こういう話、普通のミュージシャンの人は話さないでしょ? 昔の曲を思い出せないとか、ライブ1本の集中力が続かないとか言わないですよね。
──あまり赤裸々にお話しされる方はいらっしゃらないですね。
暴動 そりゃそうだよなあ(笑)。
遅刻 でもさ、「もうすっかり NO FUTURE!」を引き合いに出すと、トーキングの部分はユーモアとペーソスって言うんですか(笑)。でもサビのくだりは人生は一期一会であるっていうふうに聞こえて。1回1回大切にしようって思うと、次作る曲も適当に作れないなって思うんだよね。毎回最高な曲を作っていこうっていう気持ちになって。
暴動 だからギターリフ60個も作っちゃうのか!
俺らは間違った道を歩いてる!
──「もうすっかり NO FUTURE!」では人生の後半戦に入った男性の気持ちを歌ってるわけですが、それでも未来は続くわけで。これにちなんでグループ魂のフューチャーがどうなっていくのか聞かせてください。
バイト君 あの、この前、YouTubeでThe Specialsの来日ライブ映像を観たんですよ。1980年とかかな? ホントはどこかでっかいところでやるはずだったんだけど、ツバキハウスとかディスコみたいなところでやってて……。
破壊 その話、質問に答えてる?
バイト君 答えてる、答えてる! そのまま流してたら、今度は再結成後のライブ映像が流れ始めてさ。当時のメンバーの歳が、今の俺らより全然上なんですよ。それ観たら、俺らもまだできるなーって。今52歳ですけど、歳取るのもいいなあって。
破壊 おまえ、ライブで休んでんじゃねえか! この人、ライブ中にすごい休むんですよ。
バイト君 違うよ、休んでるように見えるのも振り付けなんだよ。
破壊 え……振り付けなの?
暴動 はははははは(笑)。
バイト君 自分なりの振り付けなの。
破壊 あ……そう。
港 俺さあ、3年前くらいは、歳取るのもいいもんだなって思ってたんですよ。でも、怪我したりするとダメだなあと思って。そう思ってからライブとか手を抜くようになったね。それで、自分の役割を成立させようと思ってる。俺はThe Specialsみたいにエネルギッシュにパフォーマンスはできないよ。怪我しちゃうから。って言うか、バイト君は今元気なんだな。いいときだな。
バイト君 最近よくしゃべるでしょ?
港 うん。結婚して、奥さんと一緒に住むようになってから、お前変わったな。なんで?
バイト君 いや、最近までお芝居の仕事があったから。仕事があると元気なの。
港 あ、そうなの。
──ほかのメンバーの方は、グループ魂の未来についてどう考えていらっしゃいますか?
暴動 うーん。俺らカッコいい不良のおじさんには絶対なれないじゃないですか。“文系のおじさん”になれたらいいなと思って、シティボーイズに憧れてたんだけどね。
港 あれは大人でしたねえ。
暴動 おじさんじゃないよね。大人って感じ。俺らはなんか、モテないおじさんの末路。
全員 わはははは(笑)。
暴動 モテるおじさんの末路は、カッコいいし、素敵だし。高田純次さんとか見て「こういうふうに歳取るのって素敵だな」って思ってたけど、俺らは違うから。
港 違うねえ。
破壊 この前、津川雅彦さんが亡くなったじゃない? そうするとニュースで昔の映像が流れるんですよ。結婚した頃の映像とか観ると、三十代なのに俺らより大人だもんね。サングラスかけて、タバコ吸いながらカメラの前に出てきたり。なんだろうねえ、あのカッコよさ。緊張感も感じるし。なんて言うか、俺たちより下の後輩のバンドが、俺たちに対して緊張してない気がするんだよ(笑)。
暴動 ないねえ。「憧れてます」とか口では言うけど、バカにしてんだろうなーって思っちゃう。まあ、自分たちでもこんなオリジナルな歳の取り方をするとは思ってなかったけどね。何かみたいになれるかなと思ってたけど、なんにもなってないから。誰かに憧れられたこともないし、前も後ろも(誰も)いないんだよ。俺らは間違った道を歩いてる!
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フォトギャラリー
- グループ魂「もうすっかり NO FUTURE!」
- 2018年9月5日発売 / Ki/oon Music
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初回限定盤 [CD+DVD]
2160円 / KSCL-3073~4 -
通常盤 [CD]
1080円 / KSCL-3075 -
完全生産限定盤 [アナログ]
1296円 / KSKL-8535
- CD・アナログ収録曲
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- もうすっかり NO FUTURE!
- 男は泣く
- 初回限定盤DVD収録内容
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- 「もうすっかり NO FUTURE!」ミュージックビデオ
- 帰って来た情熱三宅大陸~三宅ロックフェスティバルはじめました~
- 三宅ロックフェスティバル公式テーマソング「男は泣く」ミュージックビデオ
- 「もうすっかり NO FUTURE!」メイキング
- ライブ情報
グループ魂「東京、水入らず」 -
2018年9月5日(水)東京都 チームスマイル・豊洲PIT
- グループ魂「大阪、水入らず」
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2018年9月12日(水)大阪府 ユニバース
- 三宅ロックフェスティバル vol.3
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2018年9月13日(木)大阪府 ユニバース
出演者 グループ魂 / ザ・たこさん
- グループ魂(グループタマシイ)
- 1995年に破壊(Vo / 阿部サダヲ)、暴動(G / 宮藤官九郎)、バイト君(大道具 / 村杉蝉之介)の3人で結成。その後、小園(B / 小園竜一)、港カヲル(46歳 / 皆川猿時)、石鹸(Dr / 三宅弘城)、遅刻(G / 富澤タク)が加入して現在のメンバー編成となった。パワフルで直球なロックサウンドと過剰なまでの笑いにこだわったコントを多数織り込んだスタイルで支持を集めている。結成当初はコント中心のステージだったが、オリジナル楽曲を徐々に増やしていく。2002年12月にアルバム「Run魂Run」でメジャーデビューを果たし、2005年10月にはシングル「君にジュースを買ってあげる♡」がヒット。同年12月にはこの曲で「NHK紅白歌合戦」に出場した。2011年には結成15周年を記念した全国ツアーを行い、ツアーファイナルとして初の東京・日本武道館ワンマンライブを実施。2014年10月に初のセルフカバーベストアルバム「グループ魂のGOLDEN BETTER~ベスト盤じゃないです、そんないいもんじゃないです、でも、ぜんぶ録り直しましたがいかがですか?~」を発表した。2017年1月、港カヲルが実年齢で46歳を迎えることを記念してソロデビューアルバム「俺でいいのかい ~港カヲル、歌いすぎる~」をリリースし、2月には東京と大阪でソロコンサートを行った。2018年9月に7年ぶりとなるシングル「もうすっかり NO FUTURE!」を発表。