ナタリー PowerPush - グループ魂

「脇役の卒業ソング」を機に新曲続々リリース宣言

グループ魂の新曲が完成した。約2年ぶりとなる本作は配信限定シングルとして、2月20日にリリースされた。そのタイトルは「「卒業」からの卒業」。戦慄と脱力、爆笑と苦笑、からの失笑具合は相変わらずだが、曲調はこれまでのグループ魂にはないものとなった。陰影あるメロディやプログレッシブな展開は、新境地というよりも別天地。この注目の新曲について、暴動(G / 宮藤官九郎)、石鹸(Dr / 三宅弘城)、ジャケット同様の出で立ちで登場の港カヲル(46歳 / 皆川猿時)の3人から話を聞いた。

取材・文 / 伊藤亜希 撮影 / 井出眞諭

ずっとバンドが動いてる感じにしたい

写真左から石鹸(Dr / 三宅弘城)、港カヲル(46歳 / 皆川猿時)。

──女子高生になった気分はどうですか?

港カヲル どうですかって、あなた……なってないでしょ、ぜんぜん。

一同 うわははははははは(笑)。

暴動 ゴムでとめちゃってるんだもん、カツラを。そんな女子高生はいない。

 もうカツラがバッサバサでしょ。40代だもん、髪の毛が。

暴動 よれよれだもんね、そろそろ新調しないと(笑)。

──女子高生、学生と言えば、まさに卒業シーズンですね。

暴動 そうですね。

──そんな季節にぴったりな新曲「「卒業」からの卒業」は、配信限定リリースになりましたね。そこにはどんな経緯が?

暴動 新曲を出したいと思ったとき、そのたびにメンバー7人全員を拘束するのはさすがに無理が出てきたんですよね。仕事量的にも差があるし、全員を毎回付き合わせるのも悪いなってずっと思ってた。で、グループ魂は前からある程度分業制ではあったんですけど、それをもっと突き詰めてみた形っていうか。レコーディングは全員揃わなくてもできるから。だったら、そのやり方を試してみようと思ったんですよ。これができるようになったのは、メンバーそれぞれがレコーディングに慣れてきたっていうのもあると思うんですけど。それで、どうせだったらまずは遅刻(G / 富澤タク)と小園(B / 小園竜一)と石鹸、それから僕と、それぞれが1曲ずつ曲を作ってみようと思ったんです。アルバムいつ出すかわかんないけど、とりあえず曲作り。前々から「リリース決まってから作るんじゃなくて、曲を作りためないと」って言ってたんですが、それを長いスパンでやってみようかなと思ってやってみたら、意外とできたんですね。4曲上がってきたので、それでレコーディングしたんです。

──なるほど。

暴動 そういう中で今回、配信って形以外にも普通にシングルとか、ミニアルバムとかって案も出たんです。でもグループ魂って、作品を細かくちょいちょい出していくことを望まれているアーティストではない。やっぱりアルバムだろうと。アルバムを出したときに、どれだけインパクトを残せるか。だったらアルバムまで我慢しつつ、でも完成した曲を世に出せないのも嫌だしって考えたとき、配信に気がついたんですよね。

──暴動さん自身は「配信」というリリーススタイルに対して、どんなイメージがあります?

暴動(G / 宮藤官九郎)

暴動 まず「配信だとかさばらなくていいな」と思います。“かさばらない”ってすごく大事だと最近思っていて。とうとう俺も配信で買ったりして。でもまあ俺の好きな曲って、配信では手に入らない曲ばっかりなんですけど(笑)。で、結局CD屋行くけど、配信で聴ける曲はやっぱり配信で聴きますもんね。正直これ以上家にCDいらないもの。俺が思うんだったら、ユーザーはとっくにそう思うんだろうなって。だったらアルバムをちゃんと出す前提で、今回は配信でやってみようと思ったんですね。

──つまり音楽制作のスタイル、もっと細かく言うとアルバムへ向けた曲作りのスタイルが変化した?

暴動 そうですね。僕の中ではアルバム制作って、お芝居作ったり映画作ったりするのと感覚的に近くて。だからアルバムも映画を作るみたいに、0から10まで一気に作ってドーンって出してたんだけど、それだといつ出せるかわかんない。それよりはずっとバンドが動いてるような感じにしたいな、と。

配信限定シングル「「卒業」からの卒業」 / 2013年2月20日発売 / 250円 / Ki/oon Music
配信限定シングル「「卒業」からの卒業」
収録曲
  1. 「卒業」からの卒業

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新曲ができました!グループ魂の、今月はワンマン3回でカンベンしてくださいツアー
  • 2013年5月7日(火)東京都 Zepp Tokyo
  • 2013年5月22日(水)大阪府 Zepp Namba
  • 2013年5月30日(木)宮城県 電力ホール

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グループ魂(ぐるーぷたましい)

グループ魂

1995年に破壊(Vo / 阿部サダヲ)、暴動(G / 宮藤官九郎)、バイト君(大道具 / 村杉蝉之介)の3人で結成。その後、小園(B / 小園竜一)、港カヲル(46歳 / 皆川猿時)、石鹸(Dr / 三宅弘城)、遅刻(G / 富澤タク)が加入して現在のメンバー編成となった7人組パンクコントバンド。パワフルで直球なロックサウンドと過剰までの笑いにこだわったコントを多数織り込んだスタイルで、絶大な支持を集めている。結成当初はコント中心のステージだったが、オリジナル楽曲を徐々に増やしロックシーンにもその名をアピールした。2002年12月にアルバム「Run魂Run」でメジャーデビューを果たし、2005年10月にはシングル「君にジュースを買ってあげる♥」が大ヒット。同年12月にはこの曲でNHK「紅白歌合戦」へ出場した。2011年には結成15周年を記念した全国ツアーを行い、ツアーファイナルとして初の日本武道館ワンマンライブを敢行。2013年2月に配信限定シングル「「卒業」からの卒業」をリリースした。