ナタリー PowerPush - グループ魂

「脇役の卒業ソング」を機に新曲続々リリース宣言

本当に残念な歌になった

──今回の一連の曲作りにあたって、石鹸さんには暴動さんからどんなリクエストがあったんですか?

石鹸 僕の場合は詞を先にもらっていまして。僕が曲を作るときは暴動の詞の世界からインスパイアされたりとか、メロディが出てきたりとかすることが多いんです。歌詞は去年の4月くらいにはもらってたんですけど、なかなか曲ができなくて。結局、できあがったのは12月くらいでしたね。

暴動 作曲に関して言うと、前は遅刻が全体の半分、残りの半分を俺と石鹸と小園で3等分するって割合だったんですね。でもだんだん、その割合が変わってきて。今回は4人で4等分にしてみようかな、と。だから、すごく早い段階で歌詞が上がってるのもあったんですよ。で、石鹸には歌詞を送って、遅刻と小園には「先に曲を」ってお願いした。しかも「今までグループ魂でやってないタイプの曲を作ってください」って発注したんですよね。今回のシングルは小園が作った曲になったんですけど、「これまでにない曲」とは言ったものの、最初に来たときに、あまりやった事ない曲すぎで、まったくピンと来なくて。「なんだこれ?」みたいな。「どう面白がっていいのかわかんないなあ」って。で、なんかの拍子に、ちょうど配信が卒業のシーズンだって話を聞いて「卒業ってテーマなら、この曲に歌詞が乗せられるかもしれない」って思って、仕上げていったんです。

──あえて「わかんない、難しい」と思う曲を選んだ理由は?

暴動 そこで「こういう曲はできない」って言うと変わっていかないじゃないですか。バンドもメンバーも自分も。「あえてこういう、自分にとってはなじみのない、音楽に合わせて歌詞を書いてみよう」と思ったっていうか。だって「違う感じで作ってくれよ」って言ったのは俺ですからね(笑)。しかも、デモの段階ですごいクオリティ高くて。ほとんど今の完成のところまで作り込んできて。「これもう、書けないとか言えない」と思って一生懸命書いたんですよ。でも結果、いつも僕らがやってる音楽よりもシリアスな曲だったので、歌詞ができたとき、振れ幅が大きいなと思いました。本当にかわいそうな人の歌になったなあ、と(笑)。こんなにいい曲なのに、本当に残念な歌になったなって。今回も誰のことも励まさなかった、励まさずに済んだ(笑)。そういうふうに思いました。

港カヲル(46歳 / 皆川猿時)

 小園と遅刻が曲を持ってきたときの暴動の顔、見たかったですね。相撲の立合いみたいな感じなんだろ? どんな顔してたんだろう。見たかったなあ。

暴動 それはレコーディングに来たかったってこと?

 いやあ、まあまあ、嫌いじゃないですからね。みんなが真剣に話している場所にいるっていうのは。

暴動 なんかね、最近カヲルさんもクリエイティブな場面に入ってこようとしてて。急に携帯のメールに「歌詞書いたんで、曲つけてください」って、ものすごい長々と歌詞を送ってきたんですよ(笑)。俺、映画の撮影中でほとんど見る暇もないような状態だったから嫌がらせですよ(笑)。「レコーディングするって聞きました、つきましては歌詞を書きました」みたいなメールでさ。

 暇なんですよねー。だから、なんとか入り込もうかなと思って(笑)。

やるって言ったけど、やっぱやめようかな

──石鹸さんが今回の新曲を初めて聴いたのは、どの段階だったんですか?

石鹸 デモですね。小園が♪ラララーって歌っている形。最近、彼はパソコンでLogic(音楽制作ソフト)の使い方覚えたみたいで、だからデモのクオリティがすごく高い。

暴動 そうそう。今まではドラムマシーンと歌くらいだったんですよ。まあ俺と石鹸に至ってはそれすらないんですけど。全部口頭で「こうやって、ここ、こうやって」って作ってましたから。だから今回、小園がちょっとねえ……あっち側にいっちゃった気がしましたね。

石鹸 そうなんですよ! 完成されてて、他に入れる余地がないみたいな感じだったんですよね。実際にやるときにちょっと大変でしたね。

暴動 それに細かいんだよね、遅刻も小園も。細かく細かく変えてくる。こっちはもう「前のでいいじゃん、もう!」ってなっちゃう(笑)。今回も譜面とかどんどん書いてくるから。「やるって言ったけど、やっぱやめようかな」とか。その点、俺や石鹸のは譜面ないもんな。

石鹸(Dr / 三宅弘城)

石鹸 そう。歌詞の上にコードついてるぐらいで、あとは口頭だったりするので。

暴動 でも今回は石鹸が珍しく1人で僕の家に来て。事前に「こういう曲にしようと思うんだ」って言ってました。

石鹸 それは……ボツるのが怖いんです(笑)。普通に凹むから(笑)。事前にボツならボツって言ってくれれば、別の曲を作っていけるから(笑)。

暴動 でも今回の曲も結局いろいろ変えていったんだよね。小園が持ってきたのは、もっとカッコよかったんですよ。もっといい感じだった。

石鹸 いい感じだったねー。本人は「泣きのメロディ、泣きを入れたい」ってずっと言ってました。

 それどっち? どっち系の泣き? アメリカ? イギリス?

一同 あはははははははは(笑)。

配信限定シングル「「卒業」からの卒業」 / 2013年2月20日発売 / 250円 / Ki/oon Music
配信限定シングル「「卒業」からの卒業」
収録曲
  1. 「卒業」からの卒業

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新曲ができました!グループ魂の、今月はワンマン3回でカンベンしてくださいツアー
  • 2013年5月7日(火)東京都 Zepp Tokyo
  • 2013年5月22日(水)大阪府 Zepp Namba
  • 2013年5月30日(木)宮城県 電力ホール

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グループ魂(ぐるーぷたましい)

グループ魂

1995年に破壊(Vo / 阿部サダヲ)、暴動(G / 宮藤官九郎)、バイト君(大道具 / 村杉蝉之介)の3人で結成。その後、小園(B / 小園竜一)、港カヲル(46歳 / 皆川猿時)、石鹸(Dr / 三宅弘城)、遅刻(G / 富澤タク)が加入して現在のメンバー編成となった7人組パンクコントバンド。パワフルで直球なロックサウンドと過剰までの笑いにこだわったコントを多数織り込んだスタイルで、絶大な支持を集めている。結成当初はコント中心のステージだったが、オリジナル楽曲を徐々に増やしロックシーンにもその名をアピールした。2002年12月にアルバム「Run魂Run」でメジャーデビューを果たし、2005年10月にはシングル「君にジュースを買ってあげる♥」が大ヒット。同年12月にはこの曲でNHK「紅白歌合戦」へ出場した。2011年には結成15周年を記念した全国ツアーを行い、ツアーファイナルとして初の日本武道館ワンマンライブを敢行。2013年2月に配信限定シングル「「卒業」からの卒業」をリリースした。