ナタリー PowerPush - ゴスペラーズ
新体制で作り上げた真夏の爽快ラブソング
ゴスペラーズから届いた2012年第1弾シングル「It's Alright~君といるだけで~」。夏らしい爽快感を携えたタイトル曲は、気鋭のシンガーソングライター、竹本健一に作詞・作曲・編曲の全てを委ねた意欲作で、グループとしての新たな表情を堪能できる仕上がりに。また、カップリングには海外ドラマ「PAN AM / パンナム」日本版エンディングテーマとなっている、THE 5TH DIMENSIONのカバー「Up, Up And Away」を収録。フィーチャリングボーカルに招いたMay J.とともに極上のハーモニーを披露している。
開催目前のイベント「SOUL POWER SUMMIT 2012」を初め、今夏は数々のフェスに参加することが決定しているゴスペラーズの面々に、そのステージでも活躍するであろう本作についての話をたっぷりと訊いた。
取材・文 / もりひでゆき インタビュー撮影 / 上山陽介
聴いた瞬間に「これ歌ってみたい!」
──新曲「It's Alright ~君といるだけで~」の制作はどのような流れで行われたのでしょう?
村上てつや 2月にツアーを終えた後、3月はちょっとお休みをいただいて、4月から曲作りを始めたんです。その段階でメンバーからの曲を含めてコンペをやったんですけど、そこに竹本(健一)くんが書いてくれたこの曲も入っていて。
──竹本さんは「Shall we dance?」(2011年6月発売「ハモリズム」収録)のアレンジを手がけられていた方ですよね。
村上 そうです。竹本くんはシンガーでもあるんだけど、いい曲を書くっていう話を前々から聞いていたし、彼のスタッフからもぜひゴスに歌ってみてほしいというプッシュもあって。で、今回、実際に曲を聴かせてもらって、それがすごく良かったからやってみようと。
──決め手はどんな部分でした?
村上 まず俺たちが非常に新鮮に聴けたんですよ。自分たちが書けそうで書けない、書きそうで書かないというかね、そういう楽曲だったんで、それをゴス色で歌ってみたらいいんじゃないかなという意見で一致したんです。
黒沢薫 メンバーの曲に関してはもう手の内を知ってるところがあるから、「なるほどね、こういう感じだよね」って納得して聴けちゃうんだけど、竹本くんの曲は本当に新鮮で。聴いた瞬間に「カッコいいじゃん!」「これ歌ってみたい!」って気持ちになった。ある種、シンガー的な衝動で選びましたね。
──今回は作曲のみならず作詞とアレンジも竹本さんが手がけられています。それはどうしてだったんですか?
村上 詞、曲、編曲の3つともを委ねることってあまりないんですけど、竹本くんがものすごくやる気を見せてくれたんで、じゃあお願いしようかなと。タイトな制作スケジュールの中、がんばってくれましたね(笑)。
安岡優 いろいろ時間をやりくりしてスタジオに来てくれてね。
村上 今回は、全てではないですけど、ボーカルディレクションやコーラスアレンジもかなりやってもらったんです。そういう意味では珍しい形で作っていった曲にはなりましたね。
酒井雄二 だからたくさんの人に聴いてもらいたいですね。
黒沢 そうだね。
“竹本印”な感じがものすごく出てる
──ラブソングとして綴られた歌詞はものすごくストレートですよね。
北山陽一 僕らの中からこういうメッセージが出てきたら、ちょっと照れちゃう可能性があったと思うんですけど、「竹本くんが書いてくれたからさ、歌っても大丈夫だよね」っていう感じがみんなの中にありましたね。
黒沢 いつものゴスペラーズじゃ、ここまで「君」って言い続けないもんね。でも、シンガーが作ってるから、それもイヤじゃないというか。しつこい感じには聴こえないし。
──メロディと絶妙にマッチした歌詞なので、スッと聴き手の心に入ってくるんですよね。
黒沢 うん。メロディもすごくストレートだからね。
北山 この曲って詞をメロディに任せてるところがあるんですけど、そこが全体として上手く作用してると思いますね。
酒井 ゴスペラーズの曲は「カラオケで歌えないのなんとかしてくれ」って友達に言われることが多いんですけど、これはすごくキャッチーだし、比較的歌いやすいと思いますよ。
ニューシングル「It's Alright ~君といるだけで~」/ 2012年7月11日発売 / Ki/oon Music
CD収録曲
- It's Alright ~君といるだけで~
- Up, Up And Away (feat. May J.)
初回限定盤DVD 収録内容
- Up, Up And Away (feat. May J.)Music Video
ゴスペラーズ(ごすぺらーず)
北山陽一、黒沢薫、酒井雄二、村上てつや、安岡優の5人からなるボーカルグループ。1991年、早稲田大学のアカペラサークル「Street Corner Symphony」内で結成され、メンバーチェンジを経て、1994年にシングル「Promise」でメジャーデビュー。シングル「永遠に」「ひとり」が立て続けに大ヒットを記録し、トップアーティストの仲間入りを果たす。毎年精力的に全国ツアーを行う一方、他アーティストへの楽曲提供・プロデュースやソロ活動なども活発に行っている。2011年6月には約2年3カ月ぶりのオリジナルアルバム「ハモリズム」をリリース。同年9月には、東日本大震災の被災地支援のチャリティシングル「BRIDGE」を発売した。2012年7月、ニューシングル「It's Alright ~君といるだけで~」をリリース。11月からは、全国ツアー「ゴスペラーズ坂ツアー2012~2013“FOR FIVE”」がスタートする。