ナタリー PowerPush - ゴスペラーズ

新体制で作り上げた真夏の爽快ラブソング

グループシンギング用に作られてる歌詞

──歌詞を手がけることが多い安岡さんは、この曲の詞をどう感じましたか?

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安岡 僕はすごくゴスペラーズに合わせて書いてくれた気がしました。僕らのようにリードチェンジをしていくグループの場合、歌い手が変わったことだけで曲に展開が生まれるんですよ。だから詞ではそんなに展開が必要ないというか、同じことを違った言い方で歌っていく内容にしないと聴く側が理解しにくくなっちゃうんです。だからこの詞はものすごくグループシンギング用に作られてると思うんですよね。逆に、これをソロシンガーが歌ったら味が薄すぎる感じがしちゃうと思う。竹本くんとそういう話をしたわけじゃないけど、多分ものすごく僕らのことを研究して書いてくれたんでしょうね。

──なるほど。そういう意味では、ソロシンガーでもある竹本さんも、いつもとは違った手法で書くことにトライされているわけですね。

安岡 うん。僕らが5人でプリプロをするところにも立ち会ってくれたんで、そういうところからシンプルなメッセージで構成する詞がいいと思ってくれたんだと思います。だからこの曲はほんとにオーダーメイド、オートクチュールで書かれたものだと思いますよ。

──コーラスアレンジはどう積み上げていきましたか?

安岡 コーラスは北山中心に竹本くんとやってくれたんだよね。

北山 まあでも、基本は竹本くんが考えてきたものを踏襲するだけでしたけどね。彼の作ったコーラスをゴスペラーズ風に翻訳する必要があれば、その意図をちょっと訊いてみるっていうくらいで。そういう場所もほとんどなかったですし。そこはね、初めましての間柄ではないですし、僕はソロのライブで彼と一緒に歌ったこともありましたから、全く違和感はなかったです。彼はきっと緊張してただろうけど、こっちとしてはラクな気持ちでできましたね。

黒沢 僕個人としてはサビのコーラスが非常に印象的でした。あまり分厚くはないんですけど、すごくおいしい。僕らが作るともうちょっと分厚くしたり、分量増やしちゃったりするんですけど、それがうまい具合に省かれているというか。そういうところでも一緒にやった価値があったなって思います。

歌手がちゃんと見せ場を作らなきゃいけない

──歌に関しても、新しい表情がしっかり見えていますよね。

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酒井 新風が吹きこまれてる感じがしますよね。シンガーソングライター、いわゆるSSWの語り口と言いましょうか、歌の引っ張り力が曲に織り込んである感じがするし、それを見込んでのメロディになっているので、歌が弱いと曲のダイナミズムが減ってしまうわけですよ。だからこそ、ちゃんとドライブするように歌わないといけないっていう。サウンドがお膳立てしてくれるというよりも、歌手がちゃんと見せ場を作らなきゃいけない仕様でもあるし。そういう意味で、非常に歌力が試される曲だと思いました。

北山 チームスポーツで監督が変わった感じっていうのをすごく味わえましたね。新しい監督を起用したことで、それぞれのプレイも変わり、すごくいい感じになりましたっていう。黒沢さんは涙流してましたけど。

黒沢 嘘、大げさ、まぎらわしいですよ、それ(笑)。

──(笑)。黒沢さん、新監督に絞られましたか?

黒沢 非常に柔らかい物腰ながら、歌のディレクションは厳しくて。僕は結構ダメ出しをくらいましたね。もうちょっと色気が欲しいとか、そこのリズム感は違うとか(笑)。

──厳しいですねえ。でも遠慮せずにちゃんと指摘してくれるのはゴスペラーズとしてもうれしいですよね。

北山 そうそう。そこは歌手同士、同じポジションで意見を言ってくれたんだと思います。

黒沢 最近はなかなかそういうことを言われないので楽しかったですけどね。言われたことに対しては、なるほどってすごく納得もできましたし。遠慮されて中途半端なものに仕上がるのは一番良くないことですし。

安岡 でもちょっとね、トイレに引きこもって泣いちゃったよね。あれ、今も? マネージャー、ティッシュ持ってきて!

黒沢 いやいや、泣いてないから!(笑)

ニューシングル「It's Alright ~君といるだけで~」/ 2012年7月11日発売 / Ki/oon Music

CD収録曲
  1. It's Alright ~君といるだけで~
  2. Up, Up And Away (feat. May J.)
初回限定盤DVD 収録内容
  • Up, Up And Away (feat. May J.)Music Video
ゴスペラーズ(ごすぺらーず)

北山陽一、黒沢薫、酒井雄二、村上てつや、安岡優の5人からなるボーカルグループ。1991年、早稲田大学のアカペラサークル「Street Corner Symphony」内で結成され、メンバーチェンジを経て、1994年にシングル「Promise」でメジャーデビュー。シングル「永遠に」「ひとり」が立て続けに大ヒットを記録し、トップアーティストの仲間入りを果たす。毎年精力的に全国ツアーを行う一方、他アーティストへの楽曲提供・プロデュースやソロ活動なども活発に行っている。2011年6月には約2年3カ月ぶりのオリジナルアルバム「ハモリズム」をリリース。同年9月には、東日本大震災の被災地支援のチャリティシングル「BRIDGE」を発売した。2012年7月、ニューシングル「It's Alright ~君といるだけで~」をリリース。11月からは、全国ツアー「ゴスペラーズ坂ツアー2012~2013“FOR FIVE”」がスタートする。