GLAYのメインコンポーザー兼リーダーとして活躍し続けているTAKURO(G)。ニューアルバムを「メンバーそれぞれがコンポーザーを務めたシングル『G4・IV』の拡大版にする」という方向性は、彼と亀田誠治によって定められたと言う。その思惑通り、アルバムはメンバー4人の個性が各曲に散りばめられており、個々の魅力を味わえる1作に仕上がった。
TAKUROが「2枚目のデビューアルバム」と語る本作は、どのように完成したのか。自身のソロ活動にまつわるエピソードを交えながら語ってもらった。
取材・文 / 中野明子 撮影 / 上山陽介
才能ある奴にバトンを渡すことは当然のこと
──待望のアルバムがいよいよリリースされます。
ええ。今作は、自分の中で2016年1月に発表したシングル「G4・IV」から脈々とつながっているアルバムなんですよね。「G4・IV」は、そのときメンバーのやりたいこと、情熱が爆発した4曲を収録した作品だった。出来栄えにも満足していたし、その勢いがどこまで続いていくんだろうっていう感じがあったんです。そんな中で3回にわたる「Supernova」ツアーをやって、自然と「G4・IV」の曲たちがアルバムの核になっていきましたね。
──ここまでメンバーそれぞれのコンポーザーとしての一面が強烈に発揮されたアルバムはなかった気がします。特にHISASHIさん作詞作曲のオープニングナンバー「シン・ゾンビ」には驚かされました。
昔から俺は、HISASHIのやりたいことや彼の才能を世の中に知らしめることがGLAYとしての1つの大きな仕事だと思ってたんです。でも、彼自身がGLAYとしてはその一面を出さなかったり、スタッフサイドの技量が足りなかったりして、なかなか表現できずにいた。そんなことはお構いなしに、HISASHIが個人で自分のやりたいことを追求して自由自在に活動していく姿を見て、これはホントにGLAYの大きな武器になるなと思ったんです。だからあの面白さを正しいタイミングで伝えるには、どうすればいいか考えて。形にするまでに20年かかりました。
──ここ数作、HISASHIさんの楽曲が大きくフィーチャーされています。「G4・IV」のあとにリリースされたシングル「[DEATHTOPIA]」も、HISASHIさんの楽曲をフィーチャーした作品でしたね。
彼自身やってることはたぶん高校時代から変わってないんですよ。GLAYのメンバーでありつつ、サブカルに傾倒して、SNSの世界にも積極的に入っていって。GLAYの中では「ギークだね」なんて言われて、オタク担当みたいなところがあったけど、この5年くらいで時代が追い付いてきたというのかな。そもそも、発想がギタリストではないんですよ(笑)。
──いわゆるGLAYのパブリックイメージとは違うタイプの曲を作られることが多いですよね。
でも、俺は決して“GLAYの王道=TAKUROが作る曲”だとは思ってなくて。それはあくまでも昔のスタッフが丁寧に作ってくれたイメージであって、GLAYの実像ではない。JIROが作る曲も、TERUが作る曲もGLAYの将来を預けられるような曲なんです。もちろんGLAYの看板を背負って曲を書くっていうのはプレッシャーがあると思うんです。でも、その重圧を乗り越えたとき世界が広がるというのは俺自身が体験しているから。あと“GLAYの王道=TAKUROが作る曲”っていう世の中のイメージに振り回されてメインソングライターにしがみつくようなことはしたくなかった。才能のある奴にバトンを渡すことは当然のことなんです。いつまでもみずみずしいままのGLAYを保ちたければ、1人の才能に寄るっていうリスクは回避すべきだし。そういう意味で、4人それぞれの個性が凝縮した「SUMMERDELICS」はGLAYの新しいスタートを示す1枚になっていると思います。
──みずみずしいままのGLAYを保つのはリスナーのためですか?
いや、一番はバンドがわちゃわちゃ楽しくやるためにですね。俺たちがやりたいことの究極はそこなんです。与えられた人生をGLAYとして楽しく生きることが、最大の命題。そうするためには、みんながみんなそれぞれバンドに情熱を向けられるように活動を進めていくのが健康的な気がしてる。
──あくまで自分たちが情熱を傾けられる活動をしていくのが第一。
そう。だからライブでは1990年代のヒット曲を柱にはせず、有名無名はあるけどいろんな曲にスポットライトを当てて、どの曲もものすごいエネルギーでオーディエンスに伝えていく。JIROが毎回ライブのセットリストを作るんだけど、「ここ初めて行く場所だから、ちょっとヒット曲増やしたほうがいいんじゃないの?」って言っても、「いや、これぐらいでいいんです」って、バンドがそのときに向いている方向に合った曲を選んでいくんです。だから「HOWEVER」も「BELOVED」もそのときの流れに合わなければやらない。「Winter,again」も何年やってねーんだっていう(笑)。
──それでもファンのライブに対する満足度が下がっているわけではない気がします。
あるときから、「みんな曲を聴きに来ているというよりは、TERUの心臓の音を聴きに来たんじゃないの?」って思うようになって(笑)。
──心臓の音?
TERUが「アツく行こうぜ!」って心臓を動かしながら叫んで、元気に歌ってる姿、バンドの持ってるエネルギーを感じたくてお客さんは会場に来てるんじゃないかと。ただ、いいライブをやらなかったら当然次はない。これだけコンサート産業が肥大化して、いろんな人たちが面白いイベントをやっている中で、GLAYのライブを何回も観てもらうにはライブがよくなければいけない。でも、それはみんなが知ってる曲を演奏するということではないと思うんです。
「なんじゃこれ!」って言われるほうがうれしい
──アルバムに話を戻しますが、ひさびさのアルバムを作るにあたってコンセプトやテーマというのはあったんですか?
「G4・IV」ができた時点でアルバムの方向性は見えていて、GLAYとしてやりたいことをやるという感じでした。心のままに自分を突き動かす情熱を持って、胸を張って世に出せるものを作るだけ。今の世の中がこうだから、こういう曲を作ろうというのはなく。例えば「曲が長すぎるとラジオでかからないからカットしよう」とか、そういうことは言いたくないじゃないですか。7分ある情熱を4分にしろって言うのは、物作りをするうえではとっても残酷なことだから。なので、メンバー全員にスタジオの中では自由に思いっ切りやってもらって、できたものをどうやって売るかを考える感じ。一番目も当てられないのが、「今これやったらウケるよ」なんて信念曲げて曲を作ったら当たらなかったってやつで。
──確かに。
1990年代は「こうやったほうが売れる」「こうやったほうがお客さんが喜ぶ」とか考えて曲を作って失敗したことがあったんです。もちろん、その経験が生きて今のGLAYがあるんだけど、物作りの中での制限は後々あんまりいい結果を生まない。だから、今回の「SUMMERDELICS」に関しても全員好きなことをやってくださいって。だからHISASHIから「シン・ゾンビ」のベースになった「彼女はゾンビ」が上がってきたとき、俺は「勝った!」と思いましたね。「シン・ゾンビ」を作ってきたときも、「なるほど、エラいことになってますね」って思ったけど、これほどリスナーの意表を突く曲を作れるメンバーを擁するバンドってなかなかないじゃないですか。
──ホントに(笑)。
「お前、なんにもGLAYのこと考えてねえだろ」とも思うし、すげー考えてるとも言えるし……よくわからないけどインパクトはすごい。だから「シン・ゾンビ」は絶対1曲目じゃないとって押し切りましたね。HISASHI本人は嫌がりましたけど。でも、GLAYはキャリアがあるバンドだから、「GLAYらしいよね」とかって言うのは褒め言葉でもなんでもないんです。「なんじゃこれ!」って言われるほうがうれしい。
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なんとしてでも夏に出してやろう
- GLAY「SUMMERDELICS」
- 2017年7月12日発売 / LSG
-
CD+2DVD盤
5400円 / PCCN-00027 -
CD盤
3240円 / PCCN-00028 -
G-DIRECT限定盤
[5CD+3Blu-ray+グッズ]
24800円 / LSGC-0002
- CD収録曲(共通仕様)
-
- シン・ゾンビ [作詞・作曲:HISASHI]
- 微熱Ⓐgirlサマー [作詞・作曲:HISASHI]
- XYZ [作詞・作曲:TAKURO]
- 超音速デスティニー [作詞・作曲:HISASHI]
- ロングラン [作詞・作曲:TAKURO]
- the other end of the globe [作詞:TERU、TAKURO / 作曲:TERU]
- デストピア [作詞・作曲:HISASHI]
- HEROES [作詞・作曲:TERU]
- SUMMERDELICS [作詞:TAKURO / 作曲:JIRO]
- 空が青空であるために [作詞・作曲:TERU]
- Scoop [作詞:TAKURO / 作曲:JIRO]
- 聖者のいない町 [作詞・作曲:TAKURO]
- Supernova Express 2017 [作詞・作曲:TAKURO]
- lifetime [作詞・作曲:JIRO]
- Single Track Only Live @函館アリーナ [DVD(CD+2DVD盤) / Blu-ray(G-DIRECT限定盤)]
-
- My Private "Jealousy"
- 天使のわけまえ
- 疾走れ!ミライ
- とまどい
- SOUL LOVE
- a Boy~ずっと忘れない~
- Way of Difference
- グロリアス
- 真夏の扉
- Bible
- ずっと2人で…
- HOWEVER
- いつか
- 微熱Ⓐgirlサマー
- THOUSAND DREAMS
- 百花繚乱
- 誘惑
- HEROES
- 紅と黒のMATADORA
- サバイバル
- 彼女の“Modern…”
- BLEEZE
- MUSIC LIFE
- VIDEO GLAY 7 [Blu-ray(G-DIRECT限定盤)]
-
- SCREAM
- ANSWER
- ASHES-1969-
- SORRY LOVE
- VERB
- 紅と黒のMATADORA
- I LOVE YOUをさがしてる
- SAY YOUR DREAM
- 春までは
- I am xxx
- LET ME BE Live Ver. 2009-2010 at makuhari messe
- 誘惑
- Apologize
- Precious
- Satellite of love
- everKrack
- My private "Jealousy"
- Time for Christmas
- 君にあえたら
- Bible
- JUSTICE[from]GUILTY
- 運命論
- Eternally
- DARK RIVER
- DIAMOND SKIN
- BLEEZE
- 百花繚乱
- 疾走れ!ミライ
- さくらびと
- 外灘SAPPHIRE ~スタジオセッションVer~
- YOU ~スタジオセッションVer~
- 黒く塗れ! ~スタジオセッションVer~
- BLEEZE ~スタジオセッションVer~
- HEROES
- 微熱Ⓐgirlサマー
- つづれ織り~so far and yet so close~
- 彼女はゾンビ
- Scoop
- Supernova Express 2016
- 空が青空であるために
- デストピア/超音速デスティニー
- the other end of the globe
- SUMMERDELICSハイレゾ音源 / GLAY Documentary Film Part1 ~俺(TERU)にVENEZIAでライブをさせてくれ編~ / GLAY Documentary Film Part2 ~GLAY史上最大の作戦編~[Blu-ray(G-DIRECT限定盤)]
- Live CD Single Track Only Live @函館アリーナ [CD(G-DIRECT限定盤)]
-
- My Private "Jealousy"
- 天使のわけまえ
- 疾走れ!ミライ
- とまどい
- SOUL LOVE
- a Boy~ずっと忘れない~
- Way of Difference
- グロリアス
- 真夏の扉
- ずっと2人で…
- HOWEVER
- いつか
- 微熱Ⓐgirlサマー
- THOUSAND DREAMS
- 誘惑
- HEROES
- HIGHCOMMUNICATIONS TOUR Supernova 16.3.4 ロームシアター京都 [CD(G-DIRECT限定盤)]
-
- SE
- Scoop
- 千ノナイフガ胸ヲ刺ス
- 汚れなきSEASON
- laotour ~震える拳が掴むもの~
- 冬の遊歩道
- 100万回のKISS
- More than Love
- MERMAID
- Believe in fate
- SORRY LOVE
- カナリヤ
- 航海
- 空が青空であるために
- 百花繚乱
- BEAUTIFUL DREAMER
- Supernova Express 2016
- HIGHCOMMUNICATIONS TOUR Supernova reprise 16.11.10 下北文化会館 [CD (G-DIRECT限定盤)]
-
- SE
- MIRROR
- デストピア
- Scoop
- 千ノナイフガ胸ヲ刺ス
- Freeze My Love
- 誘惑
- 生きてく強さ
- THINK ABOUT MY DAUGHTER
- BELOVED
- 都忘れ
- 彼女はゾンビ
- 微熱Ⓐgirlサマー
- 時計
- BLEEZE
- 彼女の“Modern…”
- HIGHCOMMUNICATIONS
- HIGHCOMMUNICATIONS TOUR Never Ending Supernova 17.5.4 足利市民会館 [CD(G-DIRECT限定盤)]
-
- SE
- the other end of the globe
- THE FRUSTRATED
- DIAMOND SKIN
- ASHES -1969-
- BROTHEL CREEPERS
- BE WITH YOU
- May Fair
- SOUL LOVE
- MERMAID
- FRIEDCHICKEN & BEER
- WORLD’S END
- 時計
- XYZ
- CRAZY DANCE
- ピーク果てしなく ソウル限りなく
- HEROES
- GLAY ARENA TOUR 2017 "SUMMERDELICS"
-
- 2017年9月23日(土・祝)新潟県 朱鷺メッセ・新潟コンベンションセンター
- 2017年9月24日(日)新潟県 朱鷺メッセ・新潟コンベンションセンター
- 2017年9月30日(土)大阪府 大阪城ホール
- 2017年10月1日(日)大阪府 大阪城ホール
- 2017年10月7日(土)宮城県 セキスイハイムスーパーアリーナ
- 2017年10月8日(日)宮城県 セキスイハイムスーパーアリーナ
- 2017年10月21日(土)広島県 広島グリーンアリーナ
- 2017年10月22日(日)広島県 広島グリーンアリーナ
- 2017年10月25日(水)東京都 日本武道館
- 2017年10月27日(金)東京都 日本武道館
- 2017年10月28日(土)東京都 日本武道館
- 2017年11月3日(金・祝)北海道 北海道立総合体育センター 北海きたえーる
- 2017年11月4日(土)北海道 北海道立総合体育センター 北海きたえーる
- 2017年11月11日(土)神奈川県 横浜アリーナ
- 2017年11月12日(日)神奈川県 横浜アリーナ
- 2017年11月15日(水)大阪府 大阪城ホール
- 2017年11月16日(木)大阪府 大阪城ホール
- 2017年11月25日(土)福岡県 マリンメッセ福岡
- 2017年11月26日(日)福岡県 マリンメッセ福岡
- 2017年12月9日(土)埼玉県 さいたまスーパーアリーナ
- 2017年12月10日(日)埼玉県 さいたまスーパーアリーナ
- 2017年12月16日(土)愛知県 日本ガイシホール
- 2017年12月17日(日)愛知県 日本ガイシホール
- 2018年3月に台湾・台北アリーナライブ開催!
- GLAY(グレイ)
- 北海道函館市出身の4人組ロックバンド。TAKURO(G)とTERU(Vo)を中心に1988年から活動を開始し、1989年にHISASHI(G)が、1992年にJIRO(B)が加入して現在の体制となった。1994年にシングル「RAIN」でメジャーデビュー。1996年にはシングル「グロリアス」「BELOVED」が立て続けにヒットし、1997年に「HOWEVER」がミリオンセールスを記録したことでトップバンドの仲間入りを果たす。1999年7月には千葉・幕張メッセ駐車場特設会場にて20万人を動員するライブ「MAKUHARI MESSE 10TH ANNIVERSARY GLAY EXPO '99 SURVIVAL」を開催し、有料の単独ライブとしては世界最多観客動員を記録する。2000年に入ってからも数多くのヒット曲やヒットアルバムを生み出し、2010年4月には自主レーベル「loversoul music & associates」(現:LSG)を設立。メジャーデビュー20周年となる2014年は、9月に宮城・ひとめぼれスタジアム宮城にて単独ライブ「GLAY EXPO 2014 TOHOKU」を行い、11月にオリジナルアルバム「MUSIC LIFE」をリリースした。2015年には5月に10年ぶりとなる東京・東京ドーム公演を2日間にわたって開催。2016年1月にシングル「G4・IV」を発表し、同月より全国ツアー「GLAY HIGHCOMMUNICATIONS TOUR 2016 "Supernova"」を開催した。2017年7月に2年半ぶりとなるニューアルバム「SUMMERDELICS」をリリース。9月末からは「GLAY ARENA TOUR 2017“SUMMERDELICS”」と題した全23公演、23万人を動員する大型アリーナツアーを開催する。2018年3月には台湾・台北アリーナ公演の開催も決定している。
2017年7月26日更新