メンバー4人の個性とセンスが存分に生かされたニューアルバム「SUMMERDELICS」において、HISASHIの役割は極めて大きい。中でもアルバム1曲目に収録された新曲「シン・ゾンビ」のインパクトは、本作のイメージを決定付けていると言っても過言ではないだろう。
アニメ、アイドル、ネットカルチャーとの親和性を高めながら、そこで得た刺激をGLAYの音楽に反映させているHISASHI。ギタリストとしても際立ったセンスを発揮している彼に、本作「SUMMERDELICS」の制作プロセス、現在のGLAYに対するスタンスなどについて語ってもらった。
取材・文 / 森朋之 撮影 / 上山陽介
出会いがすべてGLAYの音楽に返ってくる
──まずはニューアルバム「SUMMERDELICS」の手応えを聞かせてもらえますか?
「MUSIC LIFE」(2014年11月リリース)以降のGLAYを、音で模った作品だなと思いますね。この2年半いろいろな出会いがあったんですよ。僕自身はCM、アニメなどのタイアップを作ったり、GLAY以外のアーティストの楽曲も手がけさせてもらって。
──バンドじゃないもん!の「君はヒーロー」、藍井エイルさんの「シューゲイザー」などですね。
はい。アイドルや女性シンガーの楽曲をプロデュースすることによって、自分のパーソナルな部分だったり、頭の中でイメージしていたものを弾き出してもらった感覚もあって。いろいろな経験の中で音楽の表現力も広がったと思うし、それをGLAYにフィードバックできている手応えはありますね。アニメ「クロムクロ」も第1期、第2期と続けて関わらせてもらったことで、アニメの世界観と楽曲をより強く照らし合わせることができたし。そういう出会いがすべてGLAYの音楽に返ってくるんですよね。
──「デストピア」「超音速デスティニー」はアルバムの中でもすごく際立ってますよね。
そうですね。この2曲はGLAY特有の8ビート感だったり、TERUの色気がある声をイメージしながら作ったんです。それと対照的なのが「微熱Ⓐgirlサマー」ですね。夏にオンエアするCMソング(コンタクト専門店アイシティ 2015年夏のキャンペーンCMソング)ということもあって“一瞬の夏のキラメキ”を表現しようと思って作ったんですけど、実は夏ってちょっと苦手なテーマだったんですよ。自分たちが育った街は真夏日がすごく少なくて、夏を感じられることもそれほどなかったから。
──函館の気候や雰囲気は、今も音楽に影響してますか?
うん、それはありますね。函館ってちょっとヨーロッパ的というか、曇りの日が多いんですよ。観光ではなくて住んでみないとわからないかもしれないけど、あの空の色合いは特徴的だし、まさにグレイなんですよ。だから作る曲も自然とマイナー調が多くなったり。生まれ育った場所の天気や空気にはいまだに影響されていると思います。
最後まで反対してたんですけどね(笑)
──アルバムの1曲目に収録されている「シン・ゾンビ」についても聞かせてください。「G4・IV」に収められた「彼女はゾンビ」の新バージョンですが、この曲のインパクトがアルバムの印象を決定付けていると言ってもいいと思います。
「シン・ゾンビ」を1曲目にしようと言ったのはTAKUROなんですよ。最初は冗談と思ったし、最後まで反対してたんですけどね(笑)。アルバムの1曲目にするなんて考えてなかったですからね、作ったときは。「彼女はゾンビ」をアルバムにも収録することになって、僕が嫌いな“シングルがたくさん入ってるアルバム”になっちゃうと思ったから、作り変えたんです。「彼女はゾンビ」だけでは言い足りないこともあったし、歌詞を変えて、ギターも全部録り直して。気に入ってる曲ですけど、アルバムの6曲目か7曲目くらいかなと思ってたので。
──この曲が冒頭にあることで「GLAY、攻めてるな!」というイメージにつながるんじゃないかなと。
「G4・IV」の1曲目も「彼女はゾンビ」だから、つながりはいいと思いますけど。あと、これだけサブスクリプションサービスが浸透して、音楽家の真価が問われている中、「GLAYはこんなに音楽を楽しめている」ということを示すことにはなるかもしれないですね。
──確かにめちゃくちゃ自由度が高い曲ですからね。「太鼓の達人」をフィーチャーしたバンドの曲なんて、聴いたことないです。
そうですよね(笑)。「彼女はゾンビ」もすごく気に入ってたんですけど、「最後で『太鼓の達人』みたいになったら面白いだろうな」と思い付いて。そこから「ならはしみきさん(『太鼓の達人』のキャラクター・どんちゃんの声を担当)を呼んで、本当に『太鼓の達人』が始まるような感じにしよう」とアイデアが広がって。ロックバンドの楽曲と言うより、動画サイトに投稿されるような曲を想定してリアレンジしたんです。ネット文化と相性がいい曲と言うか……バンドの曲としてはそこまで必然性がないと言うか、「太鼓の達人」とGLAYって何の関係もないですからね(笑)。さっき言ったようにアルバムの1曲目になるような手法の曲ではないんだけど、こういう自由なことができる環境だということは言えるでしょうね。
──今年は初音ミクが発売されて10年ですし、Vocaloidやネットカルチャーによって日本の音楽シーンは様変わりしているし、その影響はすごく大きいですよね。
そうですね。インターネットで見出したミュージシャンを起用するアーティストもいるし、音楽だけではなくて、イラストレーターやデザイナーなど、いろんな人が自由に作品をアップロードしていて。まだ世に出ていない素晴らしいクリエイターがたくさんいるはずだし、そういうネットのカルチャーは僕も大好きなんですよ。SNSを介して出会ったミュージシャンも多い。凛として時雨のピエール中野くん、ねごとの澤村小夜子ちゃんとか。96猫もそうですね。歌い手としてすごくいいなと思っていたんですけど、SNS経由で知り合って、ギタリストとしてレコーディングに参加させてもらって。自分たちの声を直接ファンに届けることもできるようになったことも大きいし……TwitterやYouTubeへの投稿、“弾いてみた”などは、スタッフを通さず、自分の判断でアップさせてもらってるんです。そのほうが自分のやりたいことが伝わりやすいだろうし、観ている人も楽しいと思うので。以前から言ってるんですけど、僕の人生においてギターとインターネットはすごく大きいものだし、これからさらに大きくなると思いますね。
──ネット発のカルチャーとロックバンドの融合もさらに進んでいきそうですよね。GLAYの場合、その役割を担うのは間違いなくHISASHIさんだと思います。
そうかもしれないですね。Napsterが出てきたときから「これから音楽がもっと自由になる」という兆しを感じていたし、そこに日本のネット文化がさらに磨きをかけて。最近、「ニコニコ超会議」に大相撲や歌舞伎などが登場してますが、ああいう試みも僕は大賛成なんですよ。そういうことをGLAYでもやれるんじゃないかなと。「シン・ゾンビ」のミュージックビデオを作ってるんですけど、そこでも面白いことができそうなんですよ。そうやって音楽の間口が広がれば、GLAYをあまり知らない人にも自分たちの音楽を伝えられますからね。クリエイティブに関しては、楽器だけではなくて、ネット文化を楽しむことも必須だと思います。ネットの発達はミュージシャンにとって課題もあるけど、僕自身はすごく楽しんでますね。ネガティブに捉えるのではなくて、いろんなチャンスにつながると思っているし、すごく面白いので。
──その前向きなスタンスは今回のアルバムからもすごく伝わってきます。
よかった。王道のGLAYもしっかり存在しているし、そのうえでメンバーそれぞれが自由に表現していて。遊び方もそれぞれ違うと思うし、以前よりも力を抜いて楽しめてる気がしますね。
- GLAY「SUMMERDELICS」
- 2017年7月12日発売 / LSG
-
CD+2DVD盤
5400円 / PCCN-00027 -
CD盤
3240円 / PCCN-00028 -
G-DIRECT限定盤
[5CD+3Blu-ray+グッズ]
24800円 / LSGC-0002
- CD収録曲(共通仕様)
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- シン・ゾンビ [作詞・作曲:HISASHI]
- 微熱Ⓐgirlサマー [作詞・作曲:HISASHI]
- XYZ [作詞・作曲:TAKURO]
- 超音速デスティニー [作詞・作曲:HISASHI]
- ロングラン [作詞・作曲:TAKURO]
- the other end of the globe [作詞:TERU、TAKURO / 作曲:TERU]
- デストピア [作詞・作曲:HISASHI]
- HEROES [作詞・作曲:TERU]
- SUMMERDELICS [作詞:TAKURO / 作曲:JIRO]
- 空が青空であるために [作詞・作曲:TERU]
- Scoop [作詞:TAKURO / 作曲:JIRO]
- 聖者のいない町 [作詞・作曲:TAKURO]
- Supernova Express 2017 [作詞・作曲:TAKURO]
- lifetime [作詞・作曲:JIRO]
- Single Track Only Live @函館アリーナ [DVD(CD+2DVD盤) / Blu-ray(G-DIRECT限定盤)]
-
- My Private "Jealousy"
- 天使のわけまえ
- 疾走れ!ミライ
- とまどい
- SOUL LOVE
- a Boy~ずっと忘れない~
- Way of Difference
- グロリアス
- 真夏の扉
- Bible
- ずっと2人で…
- HOWEVER
- いつか
- 微熱Ⓐgirlサマー
- THOUSAND DREAMS
- 百花繚乱
- 誘惑
- HEROES
- 紅と黒のMATADORA
- サバイバル
- 彼女の“Modern…”
- BLEEZE
- MUSIC LIFE
- VIDEO GLAY 7 [Blu-ray(G-DIRECT限定盤)]
-
- SCREAM
- ANSWER
- ASHES-1969-
- SORRY LOVE
- VERB
- 紅と黒のMATADORA
- I LOVE YOUをさがしてる
- SAY YOUR DREAM
- 春までは
- I am xxx
- LET ME BE Live Ver. 2009-2010 at makuhari messe
- 誘惑
- Apologize
- Precious
- Satellite of love
- everKrack
- My private "Jealousy"
- Time for Christmas
- 君にあえたら
- Bible
- JUSTICE[from]GUILTY
- 運命論
- Eternally
- DARK RIVER
- DIAMOND SKIN
- BLEEZE
- 百花繚乱
- 疾走れ!ミライ
- さくらびと
- 外灘SAPPHIRE ~スタジオセッションVer~
- YOU ~スタジオセッションVer~
- 黒く塗れ! ~スタジオセッションVer~
- BLEEZE ~スタジオセッションVer~
- HEROES
- 微熱Ⓐgirlサマー
- つづれ織り~so far and yet so close~
- 彼女はゾンビ
- Scoop
- Supernova Express 2016
- 空が青空であるために
- デストピア/超音速デスティニー
- the other end of the globe
- SUMMERDELICSハイレゾ音源 / GLAY Documentary Film Part1 ~俺(TERU)にVENEZIAでライブをさせてくれ編~ / GLAY Documentary Film Part2 ~GLAY史上最大の作戦編~[Blu-ray(G-DIRECT限定盤)]
- Live CD Single Track Only Live @函館アリーナ [CD(G-DIRECT限定盤)]
-
- My Private "Jealousy"
- 天使のわけまえ
- 疾走れ!ミライ
- とまどい
- SOUL LOVE
- a Boy~ずっと忘れない~
- Way of Difference
- グロリアス
- 真夏の扉
- ずっと2人で…
- HOWEVER
- いつか
- 微熱Ⓐgirlサマー
- THOUSAND DREAMS
- 誘惑
- HEROES
- HIGHCOMMUNICATIONS TOUR Supernova 16.3.4 ロームシアター京都 [CD(G-DIRECT限定盤)]
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- SE
- Scoop
- 千ノナイフガ胸ヲ刺ス
- 汚れなきSEASON
- laotour ~震える拳が掴むもの~
- 冬の遊歩道
- 100万回のKISS
- More than Love
- MERMAID
- Believe in fate
- SORRY LOVE
- カナリヤ
- 航海
- 空が青空であるために
- 百花繚乱
- BEAUTIFUL DREAMER
- Supernova Express 2016
- HIGHCOMMUNICATIONS TOUR Supernova reprise 16.11.10 下北文化会館 [CD (G-DIRECT限定盤)]
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- SE
- MIRROR
- デストピア
- Scoop
- 千ノナイフガ胸ヲ刺ス
- Freeze My Love
- 誘惑
- 生きてく強さ
- THINK ABOUT MY DAUGHTER
- BELOVED
- 都忘れ
- 彼女はゾンビ
- 微熱Ⓐgirlサマー
- 時計
- BLEEZE
- 彼女の“Modern…”
- HIGHCOMMUNICATIONS
- HIGHCOMMUNICATIONS TOUR Never Ending Supernova 17.5.4 足利市民会館 [CD(G-DIRECT限定盤)]
-
- SE
- the other end of the globe
- THE FRUSTRATED
- DIAMOND SKIN
- ASHES -1969-
- BROTHEL CREEPERS
- BE WITH YOU
- May Fair
- SOUL LOVE
- MERMAID
- FRIEDCHICKEN & BEER
- WORLD’S END
- 時計
- XYZ
- CRAZY DANCE
- ピーク果てしなく ソウル限りなく
- HEROES
- GLAY ARENA TOUR 2017 "SUMMERDELICS"
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- 2017年9月23日(土・祝)新潟県 朱鷺メッセ・新潟コンベンションセンター
- 2017年9月24日(日)新潟県 朱鷺メッセ・新潟コンベンションセンター
- 2017年9月30日(土)大阪府 大阪城ホール
- 2017年10月1日(日)大阪府 大阪城ホール
- 2017年10月7日(土)宮城県 セキスイハイムスーパーアリーナ
- 2017年10月8日(日)宮城県 セキスイハイムスーパーアリーナ
- 2017年10月21日(土)広島県 広島グリーンアリーナ
- 2017年10月22日(日)広島県 広島グリーンアリーナ
- 2017年10月25日(水)東京都 日本武道館
- 2017年10月27日(金)東京都 日本武道館
- 2017年10月28日(土)東京都 日本武道館
- 2017年11月3日(金・祝)北海道 北海道立総合体育センター 北海きたえーる
- 2017年11月4日(土)北海道 北海道立総合体育センター 北海きたえーる
- 2017年11月11日(土)神奈川県 横浜アリーナ
- 2017年11月12日(日)神奈川県 横浜アリーナ
- 2017年11月15日(水)大阪府 大阪城ホール
- 2017年11月16日(木)大阪府 大阪城ホール
- 2017年11月25日(土)福岡県 マリンメッセ福岡
- 2017年11月26日(日)福岡県 マリンメッセ福岡
- 2017年12月9日(土)埼玉県 さいたまスーパーアリーナ
- 2017年12月10日(日)埼玉県 さいたまスーパーアリーナ
- 2017年12月16日(土)愛知県 日本ガイシホール
- 2017年12月17日(日)愛知県 日本ガイシホール
- 2018年3月に台湾・台北アリーナライブ開催!
- GLAY(グレイ)
- 北海道函館市出身の4人組ロックバンド。TAKURO(G)とTERU(Vo)を中心に1988年から活動を開始し、1989年にHISASHI(G)が、1992年にJIRO(B)が加入して現在の体制となった。1994年にシングル「RAIN」でメジャーデビュー。1996年にはシングル「グロリアス」「BELOVED」が立て続けにヒットし、1997年に「HOWEVER」がミリオンセールスを記録したことでトップバンドの仲間入りを果たす。1999年7月には千葉・幕張メッセ駐車場特設会場にて20万人を動員するライブ「MAKUHARI MESSE 10TH ANNIVERSARY GLAY EXPO '99 SURVIVAL」を開催し、有料の単独ライブとしては世界最多観客動員を記録する。2000年に入ってからも数多くのヒット曲やヒットアルバムを生み出し、2010年4月には自主レーベル「loversoul music & associates」(現:LSG)を設立。メジャーデビュー20周年となる2014年は、9月に宮城・ひとめぼれスタジアム宮城にて単独ライブ「GLAY EXPO 2014 TOHOKU」を行い、11月にオリジナルアルバム「MUSIC LIFE」をリリースした。2015年には5月に10年ぶりとなる東京・東京ドーム公演を2日間にわたって開催。2016年1月にシングル「G4・IV」を発表し、同月より全国ツアー「GLAY HIGHCOMMUNICATIONS TOUR 2016 "Supernova"」を開催した。2017年7月に2年半ぶりとなるニューアルバム「SUMMERDELICS」をリリース。9月末からは「GLAY ARENA TOUR 2017“SUMMERDELICS”」と題した全23公演、23万人を動員する大型アリーナツアーを開催する。2018年3月には台湾・台北アリーナ公演の開催も決定している。
2017年7月26日更新